労働分配率について
労働分配率について 標題について、今まで数多くの経営分析の本を読んだり、セミナーに出席したりしましたが、いずれもピンとくるものがなく、自分なりに研究してきました。人件費には、役員報酬、社員給料、法定福利費(社会保険の会社負担分)福利厚生費を含みます。そして限界利益(あら利益に近いものです。 …売り上げから仕入れ・外注費等の変動費を除いた金額です)に占める人件費の額が50%までが、まずまずというものです。ここまでが、どの教科書にも書いているものです。
しかし、我々が関与させていただいている企業さんは、ほとんどが同族中小企業です。(日本の企業の97%が中小同族企業ですから、当然の結果といえます)誤解を恐れずにいえば役員報酬は自由にお手盛りで決めることができます。役員報酬を目一杯取っているケースとわずかしか取っていないケースでは、労働分配率が大きく動きます。従いまして、以前にも書きましたが、役員報酬と給料賃金は分けて考える必要があります。そしてその目安は、私個人としましては、役員報酬20%、社員給料35%(岡本史郎氏「裏帳簿のつけ方」「会社にお金が残らない本当の理由」の著者は、役員20%、社員30%といっています)と考えています。当然、中小企業では、一律の考えや指標は使えませんから、この基準は一つの参考です。
ただし、社長が勘違いしてはいけないのは、この役員報酬がすべて家計費で使えるわけではないということです。私は以前から関与先さんに「役員報酬は多く取り、全部使わずに、いざというときに、いつでも会社に出せるようにしておいてください。」といってきましたが、新車を買ったり、株に費やしたりで、使ってしまわれる方が大半です。やはり、その時、具体的な目安が必要だと考えました。
そこで、役員報酬に関しても、何となくではなく、具体的な数字の目標が必要と考えるようになりました。このとき、参考になったのが、岡本氏の著書です。それによると、社長の役員報酬はあくまでも、節税上の数字であり、本当の役員報酬は別です。本当の役員報酬は、社員一人当たり(当然役員も含み、パートは2名で一人と計算します)の経常利益が150万円と計算した分を除いた金額です。(岡本氏は200万円必要と見ています)
例えば社員数10名の会社は最低でも1500万円の経常利益を出さないと存続と少しの発展は難しいでしょう。その会社が、役負報酬を目一杯取り、法人の利益を0としている場合は、これは税金戦略上ですから、役員報酬から1,500万円を引いた残りが本当の役員報酬と考えるのです。もしこの会社の社長の役員報酬が2,000万円でしたら、本当の役員報酬は500万円ということになり、1,500万円には手をつけてはダメです。同じ通帳だと使ってしまうという場合は、別通帳で管理するなど工夫が必要です。大事なことはいざという時のために使えない金額ということです。
会社にお金が残らないと嘆いている社長さん、早速実行して見てはいかがですか? 応援しています。
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