2021年9月 2日 (木)

「年商の壁」を超えるお手伝いを始めました!

   日本には法人188万社、個人事業主198万人・・合わせて約386万の事業者がいると言われています。私の記憶では消費税が導入された平成元年には法人、個人合わせて600万事業者が存在していたと記憶しています。その後日本の人口減少と共に、事業者数も減少してきており、さらに令和7年には団塊の世代が75歳になり、その中の経営者も退任時期を迎え、更に減少傾向が進んでいます。この減少傾向を食い止めるためにも、上手に事業承継をして事業者数をできるだけ減らさないように頑張ってほしいと思います。

  日本の事業者の99.7%は中小企業と言われており、その中小企業が日本経済を支えてきたのです。すなわち日本の事業者の95%は年商5億円以下であり、そのうち年商1億円以下の事業者は80%も占めています。日本のほとんどの事業者が年商5億円以下で頑張ってきたと言えるのです。そこで、社歴10年以上で年商5億円以上ある会社は「偉い!」と私は褒めたい。何故なら並大抵の努力では達せられないからです。そのように話すと、簡単に5億円の売り上げを短期間で達成したという自信満々の社長もいますが、その次の年商10億円の壁は、なかなか超えられず苦労しています。すなわち年商5億円、10億円は年商の壁と言われており、年商10億を超えている事業者は、わずか15万社(全体の3.8%)に過ぎません。年商5億円までは社長一人の営業力でいける限界の数字と言えるのではないでしょうか。その壁を超えるには、もはや社長一人の力ではどうしようもありません。

   ずばり「組織力」「総務・経理部門などの間接部門」の重視が必要になってきます。その壁を何とか破りたいという社長に何度かコンサルを頼まれましたが、我々会計事務所の業務では正直難しかったのです。これは私の事務所だけでなく、日本全国どこの会計事務所でも難しいと思います。

 そんな時、現場改善を通して「組織力」の強化をはかるという専門のコンサルを実践し、数多くの実績を残してきたコンサルタントを思いだしました。しかも彼は私の学生時代からの親友で気心も知れています。早速、昨年1社、今年になってからさらにもう1社の実践を行いました。幹部社員も巻き込んでのワークショップ形式で行い、幹部一人一人に考えてもらい、気づいてもらうという形なので、ワークショップが終わってからの一人一人の発表会では、大きな成長を実感すると共に経営者からはとても感謝されました。専門のコンサルを紹介して丸投げするのでなく、当社からも1名アシスタントとして参加し、最後までアシストさせていただいたのが成功の要因だったと思います。

 今後は、同じように年商の壁を破りたいと考えている会社にこのサービスを提供して支援していければと考えています。自社の組織能力をアップし、年商の壁をぶち破りたい社長がおられましたら、ご気軽に声掛け下さい。必ず年商の壁を我々のアシストで超えていただきます。応援しています。

2021年8月 3日 (火)

『M&A』って何?

 最近「M&A」という言葉をよく聞くけど・・具体的にはどのようなことなのだろうか?

 これについては、今回、3人共著で発行した「あなたの事業承継」の第4章で齋藤氏が自らの経験を踏まえてわかりやすく書いていますので、是非参考にしていただければと思います。

 「M&A」と聞くと、「乗っ取り」などのイメージで悪い方向に考える方も多いようです。しかし、齋藤氏は、「会社と会社がお見合いをして、お互い気に入ったら一緒になる」というお見合い結婚と捉えた方が良いと自分の体験を通して話しています。後継者選定に問題をかかえる中小企業が、継続的・永続的に事業運営をできるようにするための前向きな位置づけが我々の取り組んでいる「M&A」です。

 齋藤氏はその著書の中で、この前向きな「M&A」についてこう述べています。「バリバリのオーナー社長が、代表権を返上することになり、買収側企業から新社長が来るのが一般的です。一抹の寂しさが伴うことは、覚悟しなければなりません。これに対して、世間はどうとらえるでしょうか。『順調だったのになぜ?』と思うでしょう。そして、『もう少しの期間社長を続けられたのでは?』とも、言われるかも知れません。そんな言葉を投げかけてくれたならば、ある意味で勲章をいただいたようなものです。そんな時には、『ありがとうございます。私も会社も元気なうちに、新オーナーが当社経営を継続し発展できる可能性に託しました。従業員も取引先も安心です』と答えることができるとしたら、『この承継もあり』ではないでしょうか。従業員は、『社長はまだがんばれるに何故だろう?でも我々従業員としては、これで将来も安心して働ける会社になるか?』と感じるのではないでしょうか。得意先からは『今まで以上に長い付き合いができる会社になった。今後も応援しよう』と仕入先からは『今後も安定した経営に期待できるので、精一杯の協力を惜しまない』との評価をいただくことが十分に予想されます。」と。

 中小企業の「M&A」は事業承継戦略の一つです。後継者がいない場合には、「休廃業・解散」という方法も当然考えられます。その場合、一緒に働いてきた社員は他の働き口を探さなければなりません。若い社員はまだしも、年配の社員は家族を抱えながら路頭に迷うことにもなりかねません。仕入先、得意先も困るでしょう。このようなことにならないためにも、早めに事業承継戦略の一つに「M&A」も選択肢に入れながら早めに取り組みましょう。


 中小企業の社長さん・・応援しています。一緒に頑張りましょう。

持ち株会社について

   最近、事業承継対策で持株会社の設立を相談されるケースが増えてきた。

   以前より、メガバンクを中心とした金融機関は持株会社の設立提案をかなり積極的に行っている。過去、提案を受けた会社も多いと思う。金融機関が提案する内容はこうだ。

   まず後継者が出資して新会社を作る。次にこの新会社が、先代経営者から従来の会社の株式を時価で買い取る。その際に問題となるのが買い取り資金だ。持株会社まで作って対策しようというのだから当然株価は高い。その際に買い取り資金が、億単位になることは珍しくない。そこで、その買い取り資金は全額その金融機関が融資をしてくれるというスキームだ。株価が上昇し続けている会社にとっては、効果も高い(新会社は後継者の会社なので、どんなに株価が上昇しても先代の相続税の心配がなくなる。)が、設立時のコストがかかるのが欠点だ。

   まず先代が新会社に株式を売却するときに税金が約20%かかる。税率は低そうだが、元の金額が大きいのでかなりの税額になる。しかも新会社は、株式購入資金を借り入れるが、とても10年以上の期間では借りられない。そうなると毎年の返済額は大きくなり、資金繰りが圧迫され、財務内容が悪化していく。また社長が高齢な場合、株式売却による多額の現金は使い切れず、相続対策でしたはずなのに、株式が現金に変わっただけということにもなりかねない。

 そこで私は、今回出版した本の中でも触れたが、コストのかからない持株会社の提案をしたい。それは「株式移転」と言われる方法で、従来会社の株主が新会社に、現在所有している株式を現物出資する方法である。従来会社の株主がそのまま新会社の株主になり、従来会社を子会社として間接所有する方法だ。株主を変えないで対策になるのかと疑問を呈する人もいるが、まず新会社を作ることで、株価評価をする際に含み益に対する法人税相当額分が控除されるので株価は下がる場合が多い。しかも先代が新会社の株主のままなので、後継者の見守りをしながら経営の引継ぎもできる。もし子会社が従来から不動産を所有していればそれを持株会社に時価売却するのも一つの方法である。(この場合の不動産の売却益に対しては、グループ法人税制が適用されるために従来会社には課税は生じない。)

 3年経過したら(3年後、持株会社の不動産の評価は取得価格でなく、相続税評価額になる。)この段階で株価評価は下がる。さらにタイミングが合えばその時点で、社長は退職金を取り、代表を下りてはいかがだろうか。更に株価評価が下がることになる。ある会社では株評価が半分以下になってしまったケースもある。その段階で後継者に持ち株会社の株式を譲渡、贈与すれば、事業承継がうまくいき万事めでたしということだ。
 

 株価評価を引き下げながらの事業承継対策の一つに是非「持株会社」の活用をお勧めしたい。

 

2021年5月28日 (金)

待ったなし!あなたの事業承継

 来月(令和36月)「待ったなし!あなたの事業承継」と題して新刊を3人の共著で出版する予定です。4章からなっており、私は第3章「今がその時!『特例事業承継税制』」を担当させていただきました。その他の章のほとんどは齋藤氏が担当されました。


 齋藤氏は、以前当社の顧問先の社長でした。自ら立ち上げ育てた会社を4年ほど前にMAで譲渡し、その後、引継ぎの為役員として残っていましたが、令和元年には退任されました。初めてお会いした時に、私の高校の後輩ということがわかり、特に親しく付き合わせていただいてきましたが、在職中から勉強熱心で当社のオーナーズセミナーには欠かさず出席してくれました。齋藤氏の話では、自社のM&Aも当社のオーナーズセミナーでM&Aというものを知ったことがきっかけだったそうです。思い切ったM&Aにも驚かされましたが、更に驚かされたのは、経営について、あらためて勉強したいと一念発起して大学院に入ったことです。現在、齋藤氏は令和2年から宮城大学大学院で自分の経験を踏まえて事業承継をテーマに勉強されています。その勉強熱心さには頭が下がる思いです。そして齋藤氏自らのM&Aの経験を活かし、自分と同じように悩まれている経営者の皆さんに少しでも役に立てればという一心から今回の出版の運びになりました。

 もう一人の著者である菱沼氏は齋藤氏の古くからの友人で調査会社の東北支社長をされていた方です。在職中には、延べ2万人の会社経営者・経営スタッフと面談しています。今回の本の出版では、実際に多くの会社経営者の不安や悩みを垣間見てきた経験とその顔の広いところを生かし、大いに活躍していただきました。

 このように「特例事業承継税制」の届け出の提出期限が2年後に迫る中、経営者の皆さんの少しでもお役に立てる本を提供出来たらという思いで、専門家でなくとも誰でも読めるわかりやすい解説書を自分たちの経験も踏まえて提供しようということで、意気投合し、今回の出版になりました。来月出版されましたら当社の顧問先の経営者の方には、一冊づつ提供させていただきたいと考えています。

 「待ったなし!」とは、特例事業承継税制の適用を受けるための届け出期間が令和53月に迫っていることだけを言っているのではありません。何故なら統計によると60歳以上の経営者の約半分が後継者不在という深刻な状態に陥っているからです。「後継者問題」は、ほんとに頭の痛い問題ですが、どのような形にせよ避けては通れません。もし避け続ければ、それまでの経営努力も泡のごとく消えてしまうことになります。たとえ廃業にするにしましても、上手に廃業するには、その準備に十分な時間をかけなければなりません。それを怠れば、必要な老後資金も残すことができません。いずれにしても「待ったなし」の気持ちで目をそらすことなく、真正面からこの事業承継問題に取り組まなければなりません。大変なことだとは思いますが、一緒に取り組みましょう。応援しています。

2021年5月 7日 (金)

教育資金の一括贈与の特例

「教育資金の一括贈与の特例」が2023年3月31日まで2年間、更に延長されました。
2013年、特例が創設されてから、なんと10年間続くことになるのです。この特例が出来たときには、私は、「誰がこんな使い勝手の悪い特例を使うのだろうか?きっと普及しないだろう」と高を括っていました。

 

   ところが、2020年3月末時点でその契約数は約23万件、信託財産設定額は累計1兆6,700億円と、利用者の非常に多い制度になっていました。私の予想は見事に外れてしまったのです。使い勝手よりも孫可愛さの方が勝ったのでしょうか?勿論、孫可愛さはあったのでしょうが、それ以上に相続対策に活用できたことが大きかったからだと考えられます。



 今回の改正では、その点で手が加えられました。2021年4月1日からの信託受益権等の契約からは、その贈与者が亡くなった時点で、残っている教育資金贈与はすべて相続税の課税対象になりました。さらに孫やひ孫に対しては相続税の2割加算がされることになりました。もし贈与者が亡くなった場合に、以前はすでに贈与した分は、相続財産に加える必要がありませんでしたので、節税効果が縮小したと言えます。しかし、贈与者が亡くなった時点で、受贈者が23歳未満である場合や学校に在学中の場合は除かれています。相続財産に加算されないようにするには、23歳までに使い切ってしまえば、相続財産に加算されることもありません。この制度を節税に活用される方はその辺を踏まえて計画的に贈与することが重要です。


 昨年、この特例を活用されている方のお孫さんが私立の有名医大に入学されました。「入学金が大きいので、この分は別途、孫の為に大学に直接振り込んであげたいが、税金はかからないか?」と質問されました。持つべきはお金持ちの祖父だなと思いながらも、私は「大丈夫ですよ。ただし入学金の請求書や振込用紙は必ず保存して、通帳にも鉛筆でメモしておいてくださいね。」と答えました。以前より扶養義務者相互間における生活費や教育費は非課税です。このことは教育資金の一括贈与を活用していても併用して使えます。これは、その都度贈与とも言われ、必要な都度、必要な金額を直接振り込むというものです。必要以上の金額を振り込むとそれは通常の贈与になりますので、注意が必要なのは言うまでもありません。


 また年間110万まで非課税の暦年贈与も使えますので、上手に組み合わせて活用すると更に節税効果は高まると思います。例えば孫が生まれたら、この教育資金一括贈与の特例で贈与を実行しておきます。小さいうちはその都度贈与を行い、認知症気味になってきたらこの特例を活用するのです。贈与は、あくまでも民法上の契約ですから、「あげる」「もらう」のお互いの意思がしっかりしていないと成立しないからです。もし贈与者が認知症などになれば、贈与などは当然できなくなるのです。高齢化が進むと同時に認知の問題は深刻な問題になってきています。次回はこの「認知症対策」としての「信託」の活用について述べていきたいと思います。

«個人事業主が親族に事業承継する際の良い選択肢は?・・「小規模宅地の特例」の活用