2009年7月 2日 (木)

「経営理念」は金鶏である。

 今年、2月のエッセイで「老舗企業に学ぼう」と題して書いてから、各方面の創業100年以上の会社を調べてきた。そして調べれば調べるほど、その凄さがわかってきた。今「100年に一度の危機」と言われ、多くの企業が試練に立たされている。しかし、創業200年以上の会社(世界全体の40%は日本に集中しており、3100社あると言われている。)にしてみれば、何度もこれ以上の危機を乗り越えて今日に至っているのだ。

 老舗の社長に、その長寿の秘訣を聞くと、多くの皆さんが「背伸びをしない。身の丈経営ですよ。」と答えられる。私はこれを聞いた時、規模の拡大を追わない、とにかく余計なことには手をださない手堅い経営のことを言うのだと思っていた。しかし、その一方で、
「伝統とは革新の連続である。」と多くの方が言っている。一見、この二つの表現は矛盾するようにも聞こえるのである。考え方の違う二つのタイプの経営者がいるのだろうか?

 しかし、良く考えを聞いていくと、この二つの表現は決して矛盾しないことに気づく。
まず「身の丈経営」は、決して規模の拡大を追わない、手堅い経営のことだけを意味するのでなく、代々引き継がれた「社是」「家訓」「経営理念」に基づいた経営判断を行っていくことを意味するのだ。「経営理念」に従い、決して、目先の損得では判断せず、ほんとうにお客様に役立てるかどうかで判断する。そして、その理念に従いながら、時代の変化には大胆に挑戦して行く。それが老舗企業の真の姿だ。

 多くの会社が明確な「経営理念」を掲げていない。掲げてはいるものの、額縁に入ったまま壁飾りになっている。「経営理念」は社長が本気で思い、社員も同じ思いでいなくては、単なる「絵に描いた餅」だ。この際、壁飾りになっている経営理念をしっかり考え直してはいかがだろうか。「経営理念」はお世話になっている社会に対する恩返しと貢献を常に念頭に置いて考えたものでなければならない。それは会社そのものが社会的存在だからだ。

 社長の熱き思いを社長自身の平易な言葉で表現したものが良い。難しい故事成語などにこだわる必要はない。日経ビジネスは平成7年8月号で、日本の企業の過去20年間の営業利益の伸び率を「経営理念」のある会社とない会社で調査した結果、ある会社は7.8倍の伸び率、ない会社は3.6倍の伸び率で約2倍以上の開きがでた。(この頃の日本経済は丁度右肩上がりで、誰が経営しても利益を出すことができた時代である。)

 アメリカの老舗J&Jは、過去74年間の増収を続け、又、44年間増配を続けたことで有名だ。その秘訣は、ずばり「経営理念」にあると語っている。入社面接でも役員会でも自社の「経営理念」に従って実行できたかどうかから議論に入るそうだ。そして、更に「経営理念は我が社の利益を生み出す金鶏である。」とまで言い切っている。
 是非、貴社にふさわしい「経営理念」を掲げ、この「100年に一度の危機」を乗りきって欲しい。社長がんばれ。

 2009年6月29日    著 者  千 葉 和 彦 
 
(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱:千葉和彦税理士事務所)
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2009年6月 1日 (月)

名経営者とは?

 沢山の金と資産を一代で築いた人は、確かに素晴らしい経営者です。しかし、その残された資産を巡って、相続人が争い、相続人の間に深い溝ができ、貴重な資産を浪費してしまうケースを最近多く見かけます。先代が質素倹約、刻苦勉励に努め、長い年月をかけて築いた資産を失うのは、あっという間です。
企業が、危機に備えて10年がかりで蓄えた内部留保も、わずか2~3年の赤字で吹き飛んでしまうのと同じです。

 又、せっかく引き継いだ企業も、二代目でダメになり、資産を残すどころか、負債を抱えこんでしまっているケースもあります。二代目を責める前に、まずは、先代が経営承継をしっかりしてこなかったことを反省すべきでしょう。

名経営者は、自分の代だけの成功で満足するのではなく、最低、三代先まで成功させることができて、初めて真の経営者といえるのです。自分の代までが、自分の責任で、後は後継者の責任と仕事だから自分は関係ないという方がおられますが、それはあまりにも無責任というしかありません。

 また、二代目ともなると会社の規模もそれなりに、大きくなっていますので、失敗した時の痛手は大きいものがあります。二代目の失敗の責任の多くは、先代にあります。しっかりと経営承継をしてこなかったことにあります。生きている時は、人に喜ばれ、死んでからは人に惜しまれる人こそ真の経営者といわれる人です。ただ単に多くの金を残しただけでは、真の成功とはいえません。

 2代、3代と、100年、200年と続いている会社には共通点があります。先代がしっかりとした「社是」「経営理念」を自分の言葉で表現し、確実に次世代に受け継がれていることです。私の知り合いの老舗の4代目社長は、いつも経営判断に迷った時、先代から引き継がれた「経営理念」を改めて、引っ張り出し、判断基準の拠り所にしています。

 そのためか、どんな「儲け話」にも簡単に飛びつくことはありません。その社長の話では、「目先の損得よりも、ほんとにお客様の役に立てるかどうか」が先代より続いた判断基準だそうです。そして、お客様を決して裏切らない・・・「信用」を何よりも大事にし、必死に守り抜いてきたそうです。

 まだまだ「社是」も「経営理念」も掲げていない会社が多いようです。社長の事業に対する熱い思いがあるからこそ、今日まで会社が倒れないで続いてきているのです。ただ、言葉で表現していないだけなのだと思います。

是非、社長自身の熱い思いを自分の言葉で表現してみましょう。そしてそれを文字にして書き出してください。経営者はどなたも真剣です。照れる必要はありません。
「経営理念」ができましたら、是非、我が社の「将軍の日」に、参加してみてください。お待ちしています。

 2009年5月30日  著 者  千 葉 和 彦 
 
(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱:千葉和彦税理士事務所)
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2009年5月 1日 (金)

内部留保なんかあっという間に吹っ飛んでしまうよ

 「何か質問はありませんか?」という私の問いかけに、そのセミナーに参加したある社長から「あんたたちは、いつもそんなことばかり言うけれど内部留保なんてあっという間に吹っ飛んじまうんだよ。」というおよそ質問とは言えない、腹の底から搾り出すような唸り声とも言える声が聞こえた。
あんたたちとは、推測するに我々のような職業会計人、もしくは経営指導のプロと言える経営コンサルタントを指すのでしょう。一向に良くならない景気、出口の見えない不況そんな中で苛立ちにも似た思いで自然と漏れた思いに違いない。

 私は「地元中小企業の存続、発展に貢献する。」を経営理念に掲げ、それを実践するには、
「経営計画の作成と実行を支援する」ことが一番と信じ、全社上げてスタッフともども取り組んでいる。

 私:「社長、私も経営者の端くれとして、社長のおっしゃらんとしていることは、充分承知しているという前提で話しているのです。」
社長:「はっきり言って、あんたたちのように資金繰りにも困らない家業の人たちに我々のような経営者の気持ちはわからないよ。」
 私:「社長、失礼ですが、私も自分の事務所を組織として、企業経営というにふさわしい規模と言われる30人体制を目指しているのです。そして、自分自身が、経営者と同じ目線で考えられるように自らも実践しているのです。」

社長:「じゃあ聞くが、今スタッフは何人なんだ?」
 私:「今はまだ20名ですが、自社で経営計画を立て、身を持って実践しているのです。」
社長:「じゃあ俺の言っている意味がわかるよな。国はちょっと儲かれば税金で取り上げ、赤字になれば知らん顔。あんたの言うように税金をコツコツ払い続け10年がかりで蓄えた内部留保なんかこの2~3年で全部吹っ飛んじまったよ。」

 私:「社長、もしその内部留保がなかったらもっと悲惨なことになっていたのではないですか?それに2年も3年も赤字を続けてはダメですよ。銀行だって2年連続赤字の会社には融資をしないといっているのですから。」

社長:「俺だって赤字を続けたくて続けているのではないよ。」
 私:「社長、赤字の多くの原因は、手を打つのが遅すぎることですよ。」
社長:「どうすれば早く手を打てるのだ。」
 私:「早く変化に気づき、手を打てる仕組みを社内に作ることです。」
社長:「ふん。あんたがいつも言っている経営計画とやらを立てるということかい。」
 私:「社長、だまされたと思って一度立てて見ましょうよ。立ててもうまくいっていないところは、立てっぱなしだからなんです。立てたら計画通り行っているかどうか毎月ミーティングして、計画と実績の差異について考え、先々と手を打っていくのです。経営計画を立て実践しているところは、70%が黒字という統計もありますから。社長、まずは出来ない理由を考えるより、どうしたら出来るかを考えましょうよ。」

社長:「まあそこまであんたが言うならだまされたと思って立てて見るか。立て方教えてくれるんだろうな」
 私:「もちろんです。日ごろ経営に悩み、資金繰りに苦労されている社長さんなら誰でも参加できる教室を定期的に開催してますから、是非、参加してください。まずは、そこから始めましょう。」

そんなやり取りをしているうちに、雨もあがり外は空一面に晴れ渡り、また一歩新たに踏み出そうとしている社長を歓迎しているようでした。

中小企業は、良くなるも悪くなるも99%社長次第です。社長頑張れ。

 2009年4月30日  著 者 千 葉 和 彦

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2009年4月 1日 (水)

経営者の条件・・・強運であること

 一ヶ月程前「良かったら、このCD聞いてみてよ」とCDをもらった。遠距離ドライブをする時にでも聞いてみようと思いながら、しばらく私の車中に眠っていた。昨日ふっと思いだし、聞いてみた。思わず引き込まれた。

それは、「強運の法則」を出版された西田文郎先生の出版記念講演の模様だった。もっと詳しく知りたいと思い、早速、アマゾンにその本を申し込んだ。ネットで見ると、どうやら私が知らないだけで(恥ずかしい!)有名な先生のようだ。

そういえば、先日読んだ「自分の会社を100年続く企業に変える法」という本の著者の会計士が自分のことを「強運会計士」とか何とか言っていたなと思い出した。その時は、「おめでたい会計士もいたものだ。」くらいにしか思っていなかったが、もう一度引っ張り出して読んでみると、どうやらこの西田先生の塾の卒業生ということが判明した。

 西田先生は平成の吉田松陰とも言われ、業界のトップアスリートから経営者まで多くの人を指導している。最近では北京オリンピックの女子ソフトボールチームのメンタル指導を行い、見事金メダルに導いた陰の立役者だった。

 氏は長年の研究で、大成功した経営者には共通点があることを解明した。それは「強運」ということだ。運は目に見えないものだが、自分の脳の持ち方で運を呼べることがわかった。氏はそのための三つの法則を教えてくれた。

    ① 運感力・・運を感じる力。運は自分に運があると思っている人間にしかついてこないそうだ。
  ② 喜感力・・他を喜ばせ(他喜力)、自らも喜びを感じる力。
  ③ 恩感力・・恩を感じ、感謝する力。

 上記三つの力をつけるために、まず「10人の法則」を実行しなければならない。今までお世話になった人から10人を選びだし、直接会いに行くことだ。ただ、「感謝してる、ありがとう」と口先だけで話しているだけではダメで、行動にあらわすことで、脳が強化されるのだ。

真の経営者とは、生きているときに喜ばれ、死んでから惜しまれる人だ。生きているときには憎まれ、死んでから喜ばれたが、金は一杯儲けて残したでは、経営者として大失敗と言える。

 しかも「最低、三代先まで成功させなければ真の成功者とはいえない。初代は将来の成功まで常に意識して経営に取組まなければならない。もし二代目が失敗するようなことになれば、組織が大きくなっている分失敗も大きく、二代目の痛手は大き過ぎるからだ。」

 このことからも、早くから経営承継計画に取組むことは、将来、真の経営者と言われ続けることでも必須である。そして、最後は、お世話になった社会に恩返ししていくことが、成功者の姿である。経営者の皆さん応援しています。
 
      2009年 3月27日    著 者  千葉和彦
 
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2009年2月26日 (木)

創業100年以上の老舗企業に学ぼう!

 当社の関与先さんの中に創業100年以上の会社さん(以後老舗と呼びます)が5社ある。
規模も業種も様々だ。いずれにしても凄いこと・・・何が凄いかというと、100年以上も周囲からも社会からも支持され、必要とされ続けてきたことだ。

ある統計によると創業から10年で90%は消えてしまうそうだ。そして100年となると生き残っているのはわずか0.3%。その中に入ることは、至難の業。世界的に見ても日本はその老舗といわれる会社が多い。今現在、日本全体で、創業100年以上の会社は10万社以上あるといわれている。

 野村進氏(「千年、働いてきました」の著者)によると、お隣の韓国には俗に「三代続く店はない」といわれる通り、老舗企業は一軒もないそうだ。又、中国の社会主義政権下では、「株式会社」は認められてこなかったので、設立100年以上という会社はない。ただ、漢方薬、中国茶、書道用具などで100年以上続いている老舗が日本ほどではないが何軒もあることにはあるようだ。フィリピンは、長い間、スペインとアメリカに支配され続けられ、民族資本の老舗が育つべくもなかった。タイはわずか数社を数えるのみ。カースト制度のインドは、100年以上続いている個人商店はあるけれど、「老舗企業」と呼べるもものはごくわずかだそうだ。

 商売が上手で有名なチャイニーズの企業に何故、老舗企業がないのだろうか。その原因は、家長制と血縁重視の伝統にある。歴史に翻弄されてきた苦い体験の蓄積から来る、血縁以外の人間への根深い不信感・・それは「有能な他人より無能な血族を信頼せよ」という格言にも現れている。一方日本の商都・大阪には、「息子は選べないが、婿は選べる」という言い習わしがある。

大阪の問屋街として有名な船場には、娘が生まれると赤飯を炊く習慣があった。跡取り息子がとんだ“アホぼん”でも、長子相続にこだわるかぎり、経営を委ねざるをえない。これで店を潰すくらいなら、もとは赤の他人でも優秀な娘婿に任せた方がよっぽどましや。こういう日本的なプラグマティズムが、そこにはある。娘婿や養子も、血がつながっていない引け目があるぶん、頑張って店の暖簾を守ろうとする。老舗の側にしても、肉親の“アホぼん”は切り捨てられないが、婿なら辞めさせやすいし、いざとなったら離縁させたってかまへんという冷徹な計算を働かせているのだろう。同じ一族経営でも「血」に固執しなかった柔軟性と、他者を受け入れる許容力が、日本をこれだけ老舗の多い国にした一因であるに違いない。(「千年、働いてきました」より)

 「血」に固執しない日本独特の同族経営が、老舗を生み出す原因のひとつであることは、間違いない。そして「企業が存続するには、大きい倫理と理念が必要」と云われるようにその意思決定の基準を「儲かるか儲からないか」、つまり「損得」に置くのではなく、「社是・社訓・経営理念」を判断基準にしてきた企業がどうやら老舗企業の共通点のようだ。

まずは、社会貢献を基本にした「社是・社訓・経営理念」作りからはじめなければならない。そしてその浸透が次の課題である。応援しています。

 2009年2月24日  著 者  千葉和彦
 

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2009年1月27日 (火)

今経営者がなすべきこと

 昨日は当事務所の恒例の新春セミナー・・「クローズアップ現代」等への出演で有名な山口義行先生をお招きしての講演だった。

先生の講演はいきなり今の不景気は、経済を勉強してれば、2年前から当然に、推察できたはずだし、自分は何度も予測してきたというショッキングな話から始まった。更に、海の向こうのアメリカで投資銀行リーマンが破綻した時に完全に世界は変わり、時代が変わり、社会が変わったのだと話された。

経営者は経済を良く勉強して海の向こうで起きたことも自分の会社にどう影響するか常に考え、社員とその家族を守るため、常に先手を打つ努力をしなければならない。そして、そのためにも、人の2倍3倍勉強するのが経営者なのだ。そもそも仕事が良くできるのは職人と呼ばれる人であり、外のことをよく勉強して、自社の進むべき道を誤らないようにする人が経営者といわれる人で、役割が全然違うことをしっかり理解しておくべきだと続けられた。

 結論からいうと、この景気の低迷は続くだろう。余計なことをすれば却って危険、しかし何もしなければ益々危険。どうしたら良いのだろう。山口先生は経営者にとって一番大事なキーワードは「問いかけ」だと言う。すなわち、「我が社は何のために存在しているか?」「我が社の製品は本当にお客様に喜ばれているか?」「我が社の強み、弱みは?」・・・このような原点にたった問いかけは、景気が良く、業績が順調な時はなかなかできにくいものだ。不景気で順調に進んでいないときだからこそできるものだ。
そしてマスコミの情報を鵜呑みにしたりせず、しっかりと自分の頭で考えて対処することが必要なのだ。

 不景気だからと価格競争にはまっては、未来はない。価格競争に巻き込まれない「ブランデイング戦略」すなわちその価格差に意味あるものとして伝えることをいかにするかが中小企業の課題だと話され、一例として今治タオルの例を挙げた。

中国製のタオルが何百円の時に今治タオルは1万円でも売れるのだ。それは、その価格差を上手に発信しているからだ。この場合は、「5秒ルール」といわれるものだそうだ。すなわち一センチ四方のタオルの切れ端をコップに浮かべた時わずか5秒で沈むほど吸水性があることを訴えたのだ。その戦略は見事に成功し、全国の有名百貨店で発売されているそうだ。

 このブランデイング戦略こそ中小企業の生き残る道である。そうすれば、決して値段競争に、値下げ競争に巻き込まれずにすむ。そのためにも重要なのは、まずは、「問いかけ」と「勉強」である。

氏は3年後又塩竃に来た時に、「あの時先生に言われ、しっかり頑張ったおかげでこのように成長しましたと言ってくれる会社が一社でも多く現れることを期待してます。」と帰られました。

2009年1月25日  著 者  千葉和彦
 
(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱:千葉和彦税理士事務所)
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2009年1月 9日 (金)

雨が降れば傘を取られる。・・・肝に銘じて

昨日、地元のある企業さんを訪問しました。

社長: 「銀行がお金を借りてくれとうるさくて仕方がない。無駄な借金をして金利を支払うほど馬鹿らしいことはないので、門前払いしてやったよ。」

私 : 「社長、お金を借りてくれと言われるうちが花ですよ。この時期何が起こるかわかりませんから、考え直してはいかがですか?」

社長: 「しかし、冷たく断わってしまったんだよ。」

私 : 「一度、断わっても再度、話されてみてはいかがですか。先方からお願いされたのですから、有利な条件を引っ張れるかもしれません。私は、自分の関与先さんには今のうちに借り入れを勧めているのですよ。特に2期連続赤字では、借りにくくなりますからね。その場合、できることならちょっと金利が高くなっても、長期で借りてくだいと話してます。」

社長: 「え!運転資金は短期と決まっているのでは?」

私 : 「そんなことはありません。短期の方が銀行にとっては、融資しやすいだけです。実際、急激に売り上げが伸びている場合など運転資金は恒常的に不足しますからね。短期だと1年以内に返済期限がきて、その時点でそれ以上の運転資金の不足分を借り入れしなければならなくなります。その時、もし業績が悪かったらお金は貸してもらえません。」

社長: 「先生、いろいろアドバイスありがたいのですが、私の理想は、無借金経営です。できるだけ銀行からの借り入れはしたくないです。」

私 : 「社長、信じられないことかもしれませんが、社長のようなお考えで順調に経営されてきた会社さんですが、ある日、重要な得意先が倒産し、急に資金が必要になり、あわてて、銀行に駆け込んだのですが、銀行にとっては、新規扱いになり、融資をすぐに受けられなかったのです。銀行から借り入れをしないで済むのは、資金調達の方法が豊富な大企業と家族経営の八百屋さんや、魚屋さんしかないと思います。日本の中小企業のほとんどは銀行と上手に付き合っていく必要があると思います。トップは定期的に銀行を訪問し会社にとって、いいことも、悪いことも正直に報告しておく必要があります。月商の3~4ヶ月分以上の預金残高を常に維持しながら、借り入れも月商の3ヶ月分くらいしておきます。そうすれば、帳簿上、借金はありますが、いつでも借金を返せる『実質無借金経営』を実現できるのです。」

社長: 「そうですか。良くわかりました。かたくなに借金をしないのではなく、借金を上手に活用しながら、経営していくことが大事なのですね。」
 
その日の新たな出会いに感謝しながら、駐車場に向かうと、すでに日がとっぷりと暮れて、顔をなでる寒気も、気持良く、その企業さんを後にしました。
 
   2008年12月27日  文 責  千 葉 和 彦

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2008年11月26日 (水)

生命保険金は相続財産ではない。

 「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」が平成20年5月9日に国会で成立し、相続税の改正に方向性をしめした。その目玉は、「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」と「相続税の課税方式の見直し」である。この制度は平成21年度の税制改正で実現し、平成20年10月1日に遡及して適用することとされている。

 相続税の課税方式の見直しでは、現行の「法定相続分課税方式」から「遺産取得課税方式」に大きく変わる予定である。相続により取得した財産の額が同額であっても、現行制度では、法定相続人の数で税額が異なってしまうなど不公平な側面があった。それをなくすために改正されるのである。

この新制度は、相続等により遺産を取得した者を納税義務者、そしてその者が取得した遺産を課税物件として課税する方式であり、自己が取得した財産だけで、正確な税額の計算・申告ができることになる。ここで注意が必要と思われるのが、相続人が受け取った保険金への課税である。

例えば相続財産が自宅(評価額2000万円)と生命保険金(5000万円)だけで、相続人は長男(自宅を取得)次男(保険金を取得)の2名だけというケースである。現行の方式なら課税されない。しかし、新方式になると次男の方が、控除を差し引いた金額2000万円(基礎控除2500万円、生命保険控除500万円・・・まだ確定ではない)に課税される可能性が高い。すなわち政府は、課税の裾野を広げ、5000億ほどの増収を見込んでいるようである。静かなる増税である。

 話は変わるが、そもそも保険金は相続財産ではない。相続税法上だけで課税財産と見なして課税するだけである。上記の場合は、次男の固有の財産ということになる。ですから、相続放棄しても生命保険金だけは受け取れる。では次男だけが受け取った保険金は、被相続人からの「特別受益」に該当するのだろうか。

生前受益の対象は「遺贈、婚姻、養子縁組のため・生計の資本としての贈与」と限定されている。平成16年10月に最高裁で「生命保険金は特別受益に該当しない」と判決がだされた。もし親が自宅を長男に相続させる代わりに、次男に保険金を受け取らせた場合、次男は保険金をもらったのだからということで、親に感謝しながら、自宅を長男に相続させるという遺産分割協議書にハンコをつけば一件落着だが、保険金は次男固有の財産であり、相続財産ではないということでハンコをつかず、自宅を法定相続分の通り半分づつに分けるべきと主張することも法的には、可能になる。

もし被相続人が長男に自宅をと遺言をしていても、次男には25%の遺留分減殺請求が可能であり、同様に兄弟間で揉めることになる。生命保険金の受取人をこの機会に見直し、余分な課税を浴びたり、揉めることの原因にならないように事前に準備しておくことがますます大事になる。

保険金は相続税の納税資金としてもっとも優れているものだ。このせっかくの保険金を無駄な争いのもとにしないよう気をつけていきましょう。

 2008年11月24日   編 集 人  千 葉 和 彦

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2008年11月 6日 (木)

経営承継計画」で次世代へのバトンタッチをスムーズに!

 日本企業の社長の平均年齢は約60歳、そして67歳では退きたいと考えている。しかし60歳以上で後継者が決まっているのは半分以下、決まってはいるけれど何の準備もしていない企業が80%。

この統計は早急に「経営承継」の準備に取りかからなければ、後継者難で廃業に追い込まれてしまうことを物語っている。毎年廃業に追い込まれる企業は29万社で、そのうち後継者難で廃業に追い込まれる企業は9万社といわれており、そこで働く社員の雇用も20万~35万人失われている。

 長年培ってきた技術、ノウハウ、お得意様を引き継げず、消えてしまうことはそこで働く社員たちも路頭に迷うことになり、大きな社会問題である。従って「経営承継計画」は経営者が必ずやらなければならないことである。
 「経営承継」は先代が創り上げてきた「価値」を次世代に「繋ぐ」ことである。後継者は、「価値」を「受け継ぎ」時代に合わせて「革新」していかなければならない。右肩下がりの厳しい環境の中、会社を引き継ぎ、更に発展させていくことは、並大抵のことではない。これからの後継者には創業者以上の経営能力が必要といわれる由縁である。

 後継者は、腹を据えて、経営に取組まなければならない。会社の「商号」も変え、「業態」も変え、「組織」も変え、「第二次創業」をするくらいの気構えがなければ、後は継げないと「覚悟」しなければならない。
 何故なら大きな「社会の変化」の波・・・人口減少のなかでの少子高齢化。そして押し寄せる「時代の変化」・・・年間2000万人以上の外国人の往来、結婚する15組に1組は外国籍という現実・・・避けて通れない国際化の波。これらの変化を踏まえ「制度」が大きく変わっていく・・法律、年金、税金そして社会全体が変化していくのだ。

 後継者はそれらの変化に対応し、「組織」を革新させながら、5年後、10年後を見据えながら自社を引っ張っていかなければならない。経営者の一番の仕事は、自社の現状を踏まえながら、自社が5年~10年後何で飯を食べていくかを決めることである。その仕事を徹底していくことで社員を路頭に迷わせることなく、更に自社を発展させることができるのだ。そのためには、自社の現状分析で「強み」「弱み」をしっかり分析しながら、「経営承継」を踏まえた「経営計画」を立て、先代と共に、PDCAのサイクルをしっかりまわしていくことに尽きる。先行型の業績管理システムをしっかりと自社に定着させることだ。

10年以上前から「事業承継」と「経営計画」に取組んできた「我が社」の出番がきたと強く感じている。しっかりと次世代にバトンタッチでき、更に発展するように「サポート」することが、我が社の役割と強く感じている。中小企業を守るために、「経営承継計画」のサポートに全力で、取組んでいく「覚悟」である。そのためには、後継者の方のための「後継者塾」も順次開催していく予定である。是非参加を待っています。

    2008年10月27日  文 責 千葉 和彦

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2008年10月 1日 (水)

黒字決算は経営者の使命

 先週から今週にかけて慌しい日が続いた。まずは先週15日のリーマンブラザーズの破綻。
僕は出張から帰るタクシーの中で知った。僅かに聞こえるラジオの音の中に、このニュースが漏れていて、思わず耳を疑い、タクシーの運転手さんに「ラジオの音もっと高くしてもらえませんか?」と声をかけたほどだった。

リーマンブラザーズといえばライブドアで大儲けし、転んでもただでは起きない「青い目をしたハゲタカ」というイメージ。
又それと同時に160年の歴史を誇るアメリカ屈指の名門企業であり、決して破綻することなどないと考えられていた大企業だ。
負債総額は日本の国家予算の80%の64兆円。文字通り世界中に支店を持つ大企業のためその世界に対する影響は計り知れない。その影響はこれからじわりじわりとでてくるのだ。

日本も例外なく株式市場が暴落し、その余波は日本中に広がりつつある。「ワーもっと景気悪くなるのかよ。いい加減にしてくれ。」という断末魔に近い叫びがあちこちで聞かれる。
あと20年は景気が下がり続けるという人もいれば、来年夏が底で、そこからは2~3年で回復するという人もいる。いずれにしても、しばらく我慢の時期が続くのは間違いないようだ。
このような時に我々中小企業は何をすべきなのでしょうか。どのようにしてこの時期を乗り切ればいいのだろうか?

 会社経営を続ける以上、まずは何が何でも黒字決算を死守しなければならない。
世の中の環境がどのような状態になろうと、それが社長、経営者の使命だ。泣き言はいっていられない。そのためにはまずは何といっても「売上高」の継続的な実現と、しっかりした「業績管理体制の確立」の仕組みを自社内に作ることだ。
業績管理体制とは、先行管理の管理会計を実践することだ。すなわち年間計画をしっかり立て、毎月実績と予算をチェックしていく管理体制のことだ。

「俺の会社だけが赤字ではない。」と開き直っている社長もいるが、その考えは倒産への坂道を加速をつけて転がっていくようなものだ。
あらゆる手を講じて、赤字を避けなければならない。役員報酬のカットはもとより、保険の解約、資産の売却、社長借り入れの免除、社員の給与の引き下げ等々です。しかし何度も言うようだが、固定費の削減には限界がある。もう乾いた雑巾を絞るところまできている企業の何と多いことか・・・。

最低限確保しなければならない売上げ・・その売り上げを何としてもまずは死守するために、毎月何をすべきかを皆で考えていかなければならない。
それがいわゆる「業績管理体制」の仕組みである。そして何と言ってもトップ営業マンは社長だ。社長自ら顧客開拓に先陣をきろう。
それが間違いなく売り上げアップに繋がるはずだ。この厳しい我慢の時期を共に乗り切ろうではありませんか。

       2008年9月25日    文 責   千葉 和彦

(千葉会計事務所:千葉経営企画㈱:千葉和彦税理士事務所)
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