2019年10月 1日 (火)

共有名義の不動産は、早めの対策を!

   不動産の「共有」は遺産分割において避けた方が良いと言われています。「共有」とは、一つの土地などを複数人で所有している状態をいいます。私も実務で多くの困ったケースを見てきました。土地を兄弟2人で相続して、仲良く駐車場として活用していたケースですが、その後その兄弟二人にも相続が発生して、6人の共有になってしまいました。条件の良い売却の話がありましたが、共有者の中に反対するものがいて売却できませんでした。その後その土地の上に商業施設を建てて貸すという話が持ち上がりましたが、それも全員の賛成を得ることはできませんでした。
 もうお分かりかと思いますが、「共有」の場合、一人でも反対するものがいると売却(持分売却はできますが、第三者が買う場合は、全員の持分を購入できなければ意味がないので、現実的ではありません。考えられるのは、他の持分所有者が購入する場合だけです。)も有効活用もできません。しかも厄介なのは、共有者の相続で、共有者がどんどん増えていくことです。そのため早い段階で共有を解消しなければなりません。対策としては、下記のことが考えられます。

①  共有物を分割(具体的には分筆)し、各々の持分に応じて登記し、単独所有にする。
   この場合、同面積で分割しても、土地の位置・形状等で、分割前と同じ価格になるとは限りませんので、同じ価格比になるように注意が必要です。また共有者と連絡が取れないような場合は、裁判所に共有物分割請求訴訟を提起し、裁定により共有名義を解消することもできます。

②  共有持分を贈与、売却する。
  通常いずれも他の共有者が対象になるケースが多い。売却の場合、譲渡所得税がかかる。贈与の場合は、相手側に贈与税がかかるので、注意が必要です。

③ 共有持分の交換
   互いに共有している2つの土地がある場合、自ら所有する土地の共有持分と、他者が所有する土地の共有持分を交換することにより、各々の土地を単独所有とすることができます。この場合も交換する不動産に価格差が生じないように注意が必要です。

   最後に共有持ち分の解消がすぐにできない場合は、信託の活用を提案します。例えばアパートなどを相続し、共有になっている場合など、信託を活用すると、賃貸、管理、修繕、売却など共有者の意向に関係なく、受託者の判断でできます。委託者、受益者はスタート時点で同じに設定することになりますが、信託契約で第二次受益者を決めておくことなどで、共有解消にも威力を発揮することになります。ぜひ検討されてみてはいかがでしょうか。

 

2019年930日 著 者  税理士   千葉 和彦

2019年9月 3日 (火)

俺は税金を払う気はない!

    私は時折、T社長に初めてお会いした時のことをまるで昨日のように思い出す。あれは、顧問契約のためにT社長の会社を訪問した時のことで、もう20年以上も経つ。名刺交換が済むと社長は開口一番、私に「俺は税金を払ったことはないし、これからも税金を払う気はない。とにかく税金を払わないようにだけしっかり指導してくれ。」と言い放った。これはとんでもないところを紹介されてしまったと、一瞬で後悔したが、ここで怯んではいけないと思い、私は当時書物等で聞きかじった経営の知識を社長に話した。すると「君はほんとに机上の理論だけを勉強してきたようだ。俺は、生きるか死ぬか必死の思いで今日まできた。教科書にない知恵をだせと言っているのだよ。」と返され、その迫力に役者が違い過ぎると正直思った。そんなT社の年商は、当時4億円くらいだった。毎月、月末になると社長は必死の形相で資金繰りに走り回り、月末は誰も近づけないオーラを放っていた。私はそんな社長に、若さもあってか「社長、思い切り利益を出し、堂々と税金を払いましょうよ。会社は、そうすることでしか強くなれないのですよ。御社の10%にも満たない自己資本比率では、いつになっても社長は資金繰りに追われ続けますよ。」と嫌われるのを覚悟で言い続けた。
   現在では年商20億円以上、自己資本比率60%と優良企業に生まれ変わった。何年か前に決算を迎えるにあたって、私は社長に「社長、凄い利益です。少し節税しませんか?」と言った。すると社長から意外な言葉が返ってきた。「利益を出して、税金を納めなければ強い会社になれないと私に教えてくれたのは先生ではないですか?おかげさまで月末の資金繰りに追われることもなく先生の言ってくれたことを肌で感じています。今回の納税資金もきちんと資金繰りに入れていますので、余計な節税はしなくていいですよ」と力強く返答された。その時、私は深い感動を覚えた。社長さん方、T社のように、しっかり利益をだし、税金を払って、自己資本比率を上げ、強い会社を作っていきましょう。それこそが、まさしく優良企業への近道ですから。応援しています。

2019年8月29日  著 者  税理士  千葉 和彦

2019年7月31日 (水)

経営改善計画の立て方

 7月のセミナーのテーマは「経営改善計画の立て方」だ。一般的に「経営改善計画書」というと、業績悪化で借入返済が難しくなった時、金融機関に相談するために提出する資料と捉えられているが、私は「経営改善計画書」は例外なくあらゆる企業に必須であると考えている。計画書の作り方は、少し調べればどこにでも解説があるので、今回のセミナーでは、何故「経営改善計画書」が必要なのか、その本質を説明したいと思っている。会社は生き物だ。どんな企業でも、例え、あなたの企業が優良企業であっても、業績の問題、人の問題、取引先の問題と様々な問題が日々起こっていないだろうか。経営課題は無限だ。そして、常にその経営課題を解決し続けない限り優良企業であり続けることなど不可能なのだ。

   そもそも企業の使命は、黒字を出し続け、会社を取り巻く社員、取引先等すべての人を幸せにすることだ。しかし、国税庁の発表によると企業は全国で約250万社あり、そのうちの7割が赤字だ。帝国データバンクの調査では、調査対象企業約150万社の平均点は43点だ。平均点以下の企業は、ちょっとした環境の変化ですぐに窮地に追い込まれ、存続も難しい。後継者難の問題解決の一つの道として、M&Aが急激に増えてきたが、その対象となる企業は、51~55点クラスの企業であり、その対象からもはずれる。そのような厳しい経営環境のど真ん中にいるにも拘わらず、何から手を付けて良いのかと途方にくれている経営者も多いと推測する。

   経営者にとって大事なことは二つある。その一つは「経営改善」に挑戦し続ける強い気持ちだ。どんな立派な経営戦略があっても、社長にそれを実践しようとする気持ちがなければ、何も進まない。「煙突が高いのも、郵便ポストが赤いのも全部自分の責任」という気持ちで会社の数字に対する責任はすべて自分が負う覚悟が何よりも大事だ。 次に大事なのは、会社の数字に強いということだ。経営者の方は経理出身者がほとんどいないため、会社の数字に弱い人が多い。問題は弱いままでいることで、そのような企業は衰退の一途をたどる。次の項目に一つでも当たる経営者はすぐに勉強を始めなければならない。①損益計算書が読めない。②貸借対照表が読めない。③月次試算表を毎月見ていない。④会社の数字の管理を経理担当者や税理士に任せきりである。⑤営業キャッシュフローがプラスかマイナスかわからない。いかがだろうか?ひとつでも当たった社長には、まずは変動損益計算書を勉強してもらいたい。変動損益計算書については前回の当社のセミナーでも説明したように経費を変動費と固定費にわけた損益計算書で、難しいものではない。損益計算書から変動損益計算書に変えられるように白紙のフォームを差し上げているのでそちらを活用してもらえると良い。慣れると簡単にできるようになる。そうすればしめたもので、次にその変動損益計算書を活用して、経営課題を読み取り、対策を立てていけるようになる。まずはすぐに始めようではないか。当社では毎月セミナーを開催しているので、是非参加してもらえればと思う。経営者の皆さん・・応援しています。

2019年7月29日(月)
               著 者 税理士   千葉 和彦

2019年7月 3日 (水)

貴方は、何を志しますか?

月に1回程度、東京のコンサルタントの先生と同行している。私が車で仙台駅まで迎えに行き、お客様を訪問するのだが、その車中での会話の一コマです。

私「パチンコ業界は衰退の一途で、大変なようですね。」
先生「そうです。店舗数もピーク時の半分近くまで減りました。今後ますます厳しくなっていくでしょう。」
私「業績の悪いところばかりですか?」
先生「いえ、そうとも言えないです。業績の良いところは、まだ沢山あります。実は、先日、同じ厳しい環境の中で、なぜ貴社の業績が良いのですか?とある社長に聞いて見ました。」
私「そうですか。それで、一体なんとその社長は答えたのですか?」(興味津々・・)
先生「その社長が言うには、経営者の志の違いだそうです。志のない経営者は、少しお金が入ると、私利私欲で大切なお金を浪費してしまい、失敗してしまいます。志を高く持ち、社員の待遇改善などに真剣に取り組んでいると、社員は頑張ってくれるものです。その結果、業績も上がるのです。と話していました。」
私「えっ、志ですか?」(平凡な答えのようで、なんと奥深い・・その社長は吉田松陰のファンか・・)

しかし、家に帰ってからも、その言葉が頭から離れませんでした。確かに、中小企業の業績は、99%社長の肩にかかっていると言われています。経営改善計画で、まず、最初にすることは財務分析です。その会社が、余程巧みな粉飾でもしていない限り、その会社の現状はわかるものです。経営改善は、そこから経営課題を抽出して、その課題克服を考え、アクションに移していくことに尽きます。しかし、その時に、経営者自身に「必ず改善して見せる。」と言う強い意志がないと、改善計画は成功しません。何と言っても大事なのは、経営者のマインドです。以前に聞いた話ですが、ある税理士が経営者にアドバイスする技術を磨くには、アメリカで経営学を専門に勉強してこなければダメだと考えたそうです。それで、意を決し、渡米し、大学院で経営学を勉強した上に、MBAまで取得して帰ってきました。そして、最高の知識を蓄えた経営コンサルタントとして、華々しく活動を始めました。しかし、何年かして、彼はコンサルタントを辞めてしまいました。なぜかというと「いくらアドバイザーが知識を持っていても、経営者にやる気がないと、何もできない。ということに気づいたので辞めた。」ということでした。

やはり経営で一番大事なのは、経営者自身がいかに志を高く持ち続けられるかどうかにかかっているのですね。私もその言葉を噛みしめながら、経営者の皆さんの応援をし続けたいと気持ちを新たにしました。経営者の皆さん、応援しています。

2019年6月30日   著 者  税理士    千葉 和彦

2019年5月31日 (金)

お客様と正面を向いて付き合おう!

   当たり前のことだが、お客様と正面を向いて付き合う。このことをいつも念頭において仕事をしている。

仕事柄、お客様からいろいろな相談を持ちかけられる。その場合、第一に考えることは、お客様の最大のメリットは何か・・・だ。必ずこの基準で相談に乗るようにしている。

相談ごとは、税の話ばかりではない。資産活用や様々な対策など、むしろ、税が発生する以前の相談の方が多いかもしれない。そういう時は、各方面の業界の方につなぐこともある。しかし、それがお客様にプラスにならない場合は、つなぐことはできない。

 

   大企業の営業マンの方とお会いするときは、正面を向いて付き合ってくれる方かどうかを考えながらお会いする。営業マンの中には、私が求める方向と向く方向が異なっている方も多い。サラリーマンなので、顔を向けているのは後ろの上司であり、会社にならざるを得ないのはわかる。しかも、全員参加の昇進レースともなれば、顔を向ける方向は壁に張り出された営業成績になることは当然かもしれない。

 

 しかし、中には、ほんとに自分の成績よりお客様のメリットを第一に考えて、アドバイス、提案している営業マンもいる。

 

だいたい会社内部では変わり者として、上司の評価も低く、出世街道も外れがちだ。しかし、お客様からの信頼には絶大なものがある。私の知り合いの建設関係の営業マンがそういう人だった。地主さんの信頼は厚く、その方の提案で、ほとんど実行が決まるのだが、建築の契約をするときには、その方は転勤で他の営業マンが果実を取ることになになる。その繰り返しだ。

「悔しくないですか?」と聞くと、「サラリーマンの宿命です。」と意に介さない。凄い人だといつも感心していた。そして、私は、その人を自分の中で、勝手にニックネームを付け、「種まき人」と呼んでいた。その方がしばらくして、私の事務所に他の会社の名刺を持って現れた。なんと、大企業の「営業統括部長」という肩書だった。

 

 「捨てる神あれば拾う神ありですね。」といつもの穏やかな表情で挨拶してくれた。お客様だけが自分のことを評価してくれていればいいと思っていたが、他の会社から、かなりの好条件でスカウトされたとのことだった。

やはり見ている人がいるのだなと、とても我がことのようにうれしく思った。また、このように埋もれた「種まき人」をきちんと評価できる人のいる会社は、更に業績が伸びていくことだろうとも思った。

 

   人材不足と叫ばれる時代だが、アンテナを四方八方に張り巡らしていると意外に誰も気づいていない「種まき人」を見つけることもできる。ある会社の社長は、自社にセールスにくる営業マンから居酒屋のアルバイトの店員まで、この人と思った人物はスカウトしている。

そして、その社長曰く「中小企業の社長は、ただ人が足りない、足りないというだけで、真剣に人材確保に取り組んでないだけです。」と耳の痛い話をされていた。まさしくその通りで、反論の余地もなかった。いつも自分自身のアンテナを張り巡らせておけば、思わぬ「種まき人」を見つけることが出来るかもしれませんね。応援しています。

2019年5月30日(木) 著 者   税理士    千葉 和彦

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