2022年12月27日 (火)

当社「将軍の日」再始動!

 今年もまた、コロナウイルスに振り回された一年でした。そうした中、当社のトレードマークの中期経営計画教室「将軍の日」を今年度から再開しました。平成9年に立ち上げて、毎回3社~4社、異業種の経営者の方に参加していただき、自社の経営計画を立ててもらうものでしたが、コロナをきっかけに一時中断しておりました。再開にあたっては、どう教室を運営するか迷っていましたが、今年度からは、より深く、じっくりと計画を立ててもらうために1社開催とさせていただくことにしました。

 また、その計画を「絵に描いた餅」に終わらせないようフォローさせていただく体制も整えました。その結果、今年度は年間6回実施し、記念すべき通算100回を終了することができました。来年度以降も更に講義内容をバージョンアップさせて、少しでも皆様のお役に立てるよう全社一丸となって継続、発展させていきたいと思っております。引き続き、ご支援の程よろしくお願いいたします。

 将軍の日では、自社の5か年計画を立ててもらいますが、何度お誘いしてもなかなかやってみると言ってくださらない方がいます。その理由としては①先のことはわからない。②小規模会社に必要ない。③数字は苦手。④計画通りにならない。⑤まずは売上さえ上げておけば良いのだから面倒な経営計画はいらない。⑥経営計画は利益を生まない。・・などです。このような社長さん方は、経営計画について大きな誤解をされているのだと思います。経営計画は、未来を予測したり、予言するものではありません。我々は占師でも預言者でもないのですから。経営計画を立てる目的は、あくまでも「目標を設定」することなのです。目標設定ができてこそ、業績を伸ばせるし、不測の事態にも対応できるのです。

 我が国の経営コンサルタントの第一人者である一倉定先生もその著書で次のように話しています。「人間というものは、目標があると、それに向かって努力する、という不思議な動物である。同時にこの目標指向は誰もが持っている。人間の持っている、そしておそらくは人間だけしか持っていない、この特性を有効に利用しないという手はないのである。・・・社員を動機づけているものは、社長自らの決意と責任から生まれる会社の未来像であり、その中に示された目標なのである。・・ここに全員経営が生まれるのである。そして業績は見る見る上がってゆくのである。」と。

 目標を設定すると創造性が発揮されることは、大脳生理学的にも証明されているようです。新日鉄の元会長の武田豊氏は大脳生理学の研究でも有名ですが、武田氏の説明によると、まず「目標を設定する」すると「思いをめぐらす」という心の動きが大脳の前頭連合野というところで出てくるそうです。この思いをめぐらしている間に、今まで得た知識を組み合わせる作業が始まり、これが普通は「思考」と言っているものです。この思考を行って「ひらめき」が発生し、創造的なものが考え出されるというのです。従って、創造は偶然から出てくるものでなく、「目標を設定しなければ創造は絶対出てこない」と武田氏は話されています。

 来年度は、社長さん方の「目標設定」のお手伝いを「将軍の日」を通して今まで以上にお手伝いしていきたいと思います。一緒に頑張りましょう。応援しています。

2022年12月 2日 (金)

名義預金について

 私が開業して間もないころの失敗談です。

 80代の奥様からご主人の相続税の申告を依頼されたことがありました。亡くなったご主人は医師で内科クリニックを営まれていました。相続人は奥様と東京に住む長男の2名でした。奥様の話では、ご主人は真面目で数字にも強く、毎年、所得税の申告は税理士には頼まず、ご自分でされていたとのことでした。

 相続財産について尋ねると、同じ敷地内にある自宅とクリニックの土地と建物、そして銀行預金のみということでした。続いて、私は奥様の預金について尋ねました。名義預金の確認をしたかったからです。奥様は、看護学校卒業後、看護師として大病院に勤務し、ご主人の独立後はクリニックで看護師として昼夜問わず働いていたとのことです。今思うとチェックが甘かったと反省していますが、見させていただいた奥様名義の預金の額くらいしかないという奥様の話を信じ、問題ないと考え申告を済ませました。

 申告後2年程経過した時点で、税務調査が入りました。調査官の話だと奥様名義の定期預金が5000万円別にあるが、これはご主人の「名義預金」ではないかというのです。私は「これは困った。」と内心思いながらも、若い時、奥様は看護師をしていてそれなりの所得があったことや奥様の実家は裕福で、父親が奥様の結婚の時、多額の結婚祝い金を持たせてくれたなどの説明をしました。しかし5000万円という金額の説明には足らず、その定期預金は名義預金として修正を余儀なくされました。何よりも長年ご主人を看護師として支えてきたにも関わらず、ご主人は白色申告だったので、奥様は給与を支給されていなかったことが致命的でした。

 相続税の世界では、夫婦共に力を合わせて築いた財産でも本来は誰のものか、どういう過程で形成されたものかが問題となります。よくお金には色はないと言われますが、贈与するとか、事業をしていれば給料で支払うとか、敢えて色を付けてお金を動かす必要があるのです。このご夫妻の場合も、青色申告で奥様に専従者給与を支払っていれば調査官も5000万円全てが名義預金だと主張することはできなかったでしょう。

 これ以降、私は相続の打合せで訪問した際は、相続人の預貯金を可能な限り見させていただくようにしています。「なぜ私の通帳まで見せなくてはいけないの?」と怒られる方もおられますが、その際は名義預金について詳しく説明して納得いただくようにしています。

 また、贈与のケースでよく見かけるのが、祖父が孫たちに、110万円を贈与して孫名義の通帳と印鑑を「孫に無駄使いされないように」と祖父が自分で管理しているケースです。もらった本人が自由に使えないのでは贈与は成立しません。これは完全に「名義預金」に認定されますので注意が必要です。

 誰かがお金の流れを追えば真実がわかると話していましたが、「名義預金」も名義は誰でも真の持ち主は誰かということです。将来、誤解を生まないように日頃からしっかり現預金の管理をしていってもらいたいものですね。

2022年11月 7日 (月)

生活費や教育費は贈与になるか?

以下は某社長と某税理士の会話です。

社長 「父親も高齢になってきたので相続税が心配です。どうしたら良いでしょうか?」

税理士「お父上の場合、かなりの相続税がかかることが想定されますから一日も早く準備していかなければな
     りませんね。」

社長 「気持ちが焦るばかりで、何から手を付けたらよいかわかりません。」 

税理士「まずは揉めない対策が重要で、次に納税資金対策、そして節税対策という三本柱が重要であること
     は昔から共通です。」

社長 「揉めない対策は、父親に遺言してもらうことですよね。それは昨年してもらいました。納税資金対策と
     しましては、保険で賄いきれない分は、自社株を買い取ることで対応しようと思います。どちらも以前
     先生に教えていただいた方法です。残りは節税対策ということになるかと思いますが、手っ取り早く効
     果が大きい方法はないものでしょうか?」

税理士「社長の息子さんは高校生でしたね。どうされているのですか?」

社長 「長女は音楽関係の私立の大学に通っています。長男は、今高校生で来年私立の医学部を受験する
     予定です。」

税理士「お二人ともこれから教育費がかなりかかりますね。」

社長 「その通りです。娘の授業料も大変なのに、息子が医学部に受かれば、入学金、授業料と一般の学部
           と違いかなりの金額を覚悟しなければなりません。頭が痛いです。」

税理士「そこで提案ですが、社長のお父さんに孫の教育費を負担してもらってはいかがでしょうか?」

社長 「そんなことをしたら贈与とか税務署で騒がないでしょうか?それが心配です。」

税理士「扶養義務者相互間の生活費や教育費には贈与税はかかりません。」

社長 「孫の教育費を父が払っても良いのでしたら、ほんとに助かります。早速、父に頼んでみます。」

税理士「その場合、お金の支払い方に気を付けてください。この贈与は(都度贈与)でなければなりませんか
           ら、面倒だからと3年分の授業料をまとめて払ったり、残ったお金で株式投資などした場合は、それ
           は贈与税の対象になりますから注意が必要です。」

 それから月日が流れて父上の相続税の申告も無事に済み、ホッとしたのも、つかの間。相続税の調査です。調査官は「息子さんの教育費をすべて祖父に負担させましたね。」とジロリと社長を見ました。社長はオロオロです。横にいる税理士に目で助けを求めます。税理士は落ち着いた口調で「何か悪いことでも・・・・」調査官「別に・・・」調査官は厳しく問い詰めることで税理士を値踏みしたのでしょう。扶養義務者相互間の生活費や教育費の負担は、そもそも非課税です。何も悪いことはしていないのです。結果、相続税の税務調査も無事に済みました。この(都度贈与)案外知らない方が多いので今回取り上げてみました。 

2022年10月 6日 (木)

相続税納税資金対策・・金庫株の活用

 前回、紙面の都合で書けませんでしたので、今回、詳しく書きたいと思います。金庫株とは、会社が発行した株式を会社自身が株主から買い取り、自社で所有している株式のことです。金庫株という名称は、会社の金庫にある自社株式のイメージからこの名が付きました。会計上は自己株式と表示されます。その金庫株を活用した相続税の納税資金対策ですがシンプルなもので、自社に相続した自社株を売却し、その現金で相続税を納付する方法です。

 オーナー社長の死去により相続が発生した場合、会社に手元資金があっても、それは会社の財産であり社長個人の財産ではないため、当然のことですが、それがすぐに相続人の納税資金になるわけではありません。中小企業の社長は、心理的に会社と一体となっているため、相続税を相続人が支払えるように、しっかりと現預金を用意して亡くなる社長は、ほとんどいません。会社の後継者の相続人は、主として自社株を相続しますので、その分の相続税を支払う現金が不足するケースが多いのです。他の相続人から遺留分を請求された場合はさらに対処に困ります。そのような時に金庫株の活用です。(あくまでも優良会社で会社に余裕資金があることが前提になりますが・・)

 さらに、相続時における金庫株の活用については、税務上も有利です。最高税率が55%に近い総合課税の対象となる「みなし配当課税」は行われず、低税率の譲渡益課税となります。(相続税申告期限から3年以内の自社株譲渡は通常の株式の譲渡益課税となり、税率は20.315%の申告分離課税となります。)その上その相続した自社株にかかった相続税を取得費に加算できることになっており、譲渡益の圧縮までできます。

 この金庫株ですが、納税資金対策の他にも様々な活用が考えられます。
それは、この金庫株を少数株主対策に使う方法です。老舗の会社ほど少数株主が多くなる傾向があります。また何代も相続を重ねたり、当事者間で譲渡が行われていたり(会社の承認を得ない譲渡も当事者間では有効です。)真の株主が誰かわからない状態になっているケースが見受けられます。少数株主のメリットは配当金くらいしかありません。

 しかし、少数株主は配当金を自由に決められるわけでもありません。少数株主のフラストレーションは想像以上です。そこで少数株主権を行使されたりすると会社経営にも影響を及ぼします。この場合に自社株を会社で買い上げる方法です。少数株主からは額面で買い上げればよいと考えている経営者の方がほとんどですが、ここで発想を変えて、同族の原則的評価方法で買い上げてみてはいかがでしょうか?ある会社は、原則的評価方法ですと額面のほぼ10倍になりましたが、その価格で買い取る提案をしたら、ほとんどの少数株主が売却を希望しました。その結果株主数は激減し、会社経営は安定したものになりました。ぜひ一考していただければと思います。


2022年9月 5日 (月)

相続税の納税資金対策

  相続が発生した時、相続人は、相続の開始を知った日の翌日から10ケ月以内に相続税を納めなければなりません。現金の一括納付が原則です。現金が不足する場合は、利子を払って延納にするか(資金繰り表を提出したり、担保を提供したりとなかなか面倒な手続きです。)現金の代わりに土地等で支払うことが出来ます。(これを物納と言います。過去に何度か手続きをさせていただきましたが、最近は物納の条件が厳しく、なかなか受け入れてもらえなくなりました。国側も土地を欲しいわけではないので、その土地を現金化するなど、ひと手間かける余裕もなくなってきたのだと思います。)

 相続財産に豊富な現金がある場合には、相続人も納税に苦しみませんが、現金が不足する場合は、労せず土地などを相続したのに、逆に先代を恨むものさえでてきて、せっかく相続させてもらったのに・・・と複雑な心境になります。
そこで相続税の納税資金対策として考えられるものを下記に書かせていただきました。

① 先代は保険に加入しておく。
   保険は相続が発生した際に、受取人に指定されていた者が請求すれば、すぐに現金化できますので非常に便利です。過去に入院したことがあっても、高齢であっても対応できる保険がありますので、是非活用していただければと思います。しかも、例えば相続人が4人いれば2000万円まで相続税は非課税です。(相続人1名につき500万円の非課税枠があります。)先代が会社の経営者の場合は、会社が契約者で保険に加入しておく方法も有効です。先代死亡の場合に会社に入った保険金を原資に相続人に死亡退職金を支払います。相続人はその死亡退職金を納税資金に活用します。(生命保険同様の非課税枠があります。)

② 現金を生前贈与しておく。
   ご存知のように110万円までは非課税です。500万円でも約50万円の贈与税で済みます。しかも、その分は相続財産からも除かれます。(ただし、死亡前3年以内は相続財産に加算されます。)この暦年贈与ですが、改正の動きがありますので、実行するなら早いうちです。また相続人は納税資金準備のため、いただいた現金を費消しないようにしてください。

③ 土地を売却する。
   相続した土地を売却し、その代金を相続税の支払いに充当します。土地の売却なので所得税はかかりますが、相続財産としての土地にかかった相続税は売却価格から控除することができるメリットもあります。売り急ぎますと足元を見られ、安くしか売れないケースもあります。しかも境界確定測量費用や売買のための不動産仲介料などコストもかかります。そこで私は自分の会社に売却することを勧めています。第三者への売却ではないので、買い叩かれることもありませんし、第一に、思い入れのある土地を他人に売らずに一族で持ち続けることが出来るからです。この場合も、その土地にかかった相続税分は控除できる特典はそのまま使えます。

④ 自社株を会社に売却する。
この方法は、私が一番お勧めしたい対策ですが、紙面が無くなりましたので、次回に詳しく書かせていただきます。

 

 

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