2020年8月 3日 (月)

しっかりと「決算書」が読める社長になろう!

   当社では今年2月まで毎月事務所主催でセミナーを開催してきたが、今年は新型コロナウイルスの関係で年内のセミナーをすべて中止した。セミナーのテーマは経営に関するものが中心になるが、決算書の読み方については毎年必ずテーマに取り入れている。

   以前、年商が50億円もある社長が当社のセミナーに参加して「正直、決算書の見方が良くわからないのですよ。今更、基礎的なことを顧問税理士にも聞けないので、今日参加させていただきましたよ。」と話してくれた。私は驚いた反面、案外そのような社長が多いのではと考え、お会いする社長ごとに尋ねてみることにした。するとやはり「実は決算書の見方が今一わからない。」という答えが多かったのだ。

   そういえば京セラの稲盛会長も創業当時は決算書が読めなくて、必死で勉強したと話していた。見渡してみると経理畑出身の社長はほとんどいない。稲盛会長も技術畑出身だった。社長が営業畑か技術畑出身という方が多いようだ。決算書の読み方が苦手なのは、こんなところに原因があるのかもしれない。

  しかし、社長となった以上「決算書が読めない。」では済まされない。1996年負債総額220億円で倒産した熊本の元㈱佐藤工務店の社長は「わが社に一人でも貸借対照表が読める社員がいればこんなことにならなった。」と話していた。この話を顧問先の社長に話すと、その社長は「そもそも社員のせいにしていること自体甘いですよ。社長が貸借対照表を自らしっかり読めるように勉強しておけば良かったのではないですか。」と返してくれ、とても頼もしく思ったことがある。その社長は、三代目の社長だが、とても勉強熱心で、決算書も常に自分なりにしっかり分析されて、経営計画も立てている。このコロナ禍にも負けず業績も良い。

 決算書の中心は、貸借対照表と損益計算書だ。まずはこの二つの資料がしっかりと読めないとならない。多くの社長は損益計算書の売上と利益だけはしっかりと見るようだが、貸借対照表は毛嫌いして見ようともしない人が多い。しかし、貸借対照表には資産負債の状況が今どうなっているのか、これからどう手を打っていかなくてはならないかを知るための重要な経営指標がいっぱい詰まっている。

   しまってある決算書や試算表を引っ張りだし、貸借対照表の現金預金をしっかりと見てほしいと思う。そして月商の2か月分以上あるか、年間固定費の半分以上あるか、流動負債の半分以上あるか、借入金の半分以上あるかをチェックしてほしいと思う。何故なら、いざという時に頼りになるのはキャッシュだからだ。次に総資産から総負債を除いた純資産を見てほしい。この純資産が総資産に占める割合を自己資本比率というが、この比率が最低でも30%以上あるか確認してほしい。

   前述した㈱佐藤工務店はこの部分が弱かった。利益が出ても節税という名目で必要でないものまで購入していたため、内部留保は積み上らなかったのだ。この場合の自己資本比率だが、簿外資産の保険の解約金や土地の含み益のようなものは、加えて計算することが重要だ。逆に言うと、含み損がある場合は、これを控除して計算することになる。まずは、この2点をしっかり見ていただければ貸借対照表の読み方のコツはつかんだことになるので、まずは取り組んでもらいたいと思う。わからない時は気軽にお声がけください。いつも応援しています。

2020年7月 2日 (木)

新型コロナ後を見据えて、今こそ社員教育に取り組もう!

 先日お会いした社長が言うには、最近急に、会社への入社希望者が増えだしたとのこと。それで面接日を決め、どこから応募してきたかを聞くと東京からという人が多いので、少し後ずさりしてしまうと言っていた。

 私は、その社長の話を聞いてコロナ後の人の流れが「大都市から地方へ」という流れが始まっているのかもしれないと感じた。「地方から大都市へ」という人の流れは、過去の常識となり、今後は、地方への流れが強くなってくるのではないかと。今やITの進化は日進月歩で、ITツールを活用すれば、どこでも仕事もこなせるし、生活コストが安く、3密を避けられる地方への流れが容易に予想される。先日、内閣府で発表された調査では、テレワーク経験者のうち、4人に1人が地方移住への関心を高めているという。

 そう考えると、地方企業の人材確保に明るい兆しが見えそうだが、決してそのようなことはない。その理由は、第一に日本の人口減少傾向だ。また第二に外国人人材の減少である。近年、海外実習生などの外国人が、地方の中小企業の重要な働き手になってきていることは否めない。


 政府も20194月から特定14業種での特定技能資格の創設などで積極的に外国人受け入れに力を入れてきたが、今回のコロナ禍で見直される可能性が高い。地元の中小企業は、相変わらず人材不足に悩まされることは変わらない。そこで、やはり今やるべきことは社員教育だと私は思う。今いる人材の能力を最大限引き出しているか、会社にとって生産性をもたらす仕事の与え方になっているかを再考する絶好の機会ではないかと考える。

 人材教育には、社員個々のスキルアップ、能力アップは当然重要だが、より重要なことは、組織能力の向上である。組織能力を向上させるためには、社員全員のベクトルを同じ方向に向かわせなければならない。社員が不安になっているときこそ、会社がなにを目指しているのか、どこに向かっているのかを社長が先頭に立って指し示すことが大事だ。

 そこで重要になってくるのは、会社の「経営理念」で、その理念が社員の一人一人に浸透していなければならない。具体的には毎朝朝礼で唱和をしたり、ミーティング時にも開始前に唱和していくなど、社員一人一人が「経営理念」に触れる機会を増やすことが必要だ。どんな立派な「経営理念」でも社員に浸透していなければ、「絵に描いた餅」だからだ。個々のスキルアップや能力アップを目指す社員教育は、ただやみくもに行うのではなく、この「経営理念」に沿って戦略的に取り組まなければならない。

 反復するが、今この時期こそ社員教育の時期だということを再認識して経営に取り組んでもらいたいと思う。

2020年5月26日 (火)

電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも社長の責任である。

   今回の新型コロナウイルス騒動はなかなか落ち着きそうもない。直接大打撃を受けている観光関連の産業や飲食店などは、かつてない業績の落ち込みで今後に不安を増大させている。この業績の落ち込みは、遅かれ早かれほとんどの業種に及んでくるだろう。何故なら、すべての業種は、何らかの形でつながっているからだ。どの業界にとっても対岸の火事ではない。コロナ禍は、過去に類を見ない経済への打撃を与えているのだ。

 そのような中、同じ飲食業でも「もうだめだ。」とあきらめている社長もいればユニークな手作り弁当販売に切り替えて売り上げをあげている社長もいる。またコロナが収まった時のことを考えて、飲食券やボトルを割引前売り販売して売り上げを確保している社長もいる。

   30年余り税理士をしてきた私の経験則だが、逆境に強い社長は、本能的にとも言えるくらい前に進もうとする。しかし、それはやみくもにではなく、環境の変化にどう対応したらよいか、どうすれば必要とされる企業でいられるかを必死に考えるのだ。このような時こそあらゆる知恵を総動員して、実行に移していくことが大事なのは言うまでもない。

   その時に先頭に立つのは当然トップの社長だ。社長が弱気になったり、あきらめているところは、業績も低下するだけで、そのような会社に縁あって勤めた社員も、悲劇としか言いようがない。逆境の時こそトップの社長の心意気が問われる。辛いかもしれないが、それが社長の宿命だ。

   かつての名経営コンサルタントの一倉定先生は、その著書で「電信柱が高いのも、郵便ポストが赤いのも社長の責任である。」と言い放ち、「社長が知らないうちに起こったことでもすべて社長の責任なのだ。何がどうなっていようと、結果に対する責任はすべて社長が取らなければならないのだ。人の上に立つものは、部下が何をしようとそれはすべて自分の責任である。という態度がなければ、本当の意味で人を使うことはできないのである。部下の信頼を得ることができないからである。」と話している。中小企業の業績は、99%社長で決まると言われているが、今回ほど社長のリーダーシップが問われるときはないのではないかと考える。

   では、何をまずすべきかと問われれば、それは、何と言っても資金確保が最優先である。それもできるだけ低利で長期間の据え置きを前提に借りることが大事だ。まずは一番取引のある金融機関に相談して見ることが先決だ。中には借りたものは返さなくてはならないからと話す方もいるが、まずは借りて手元に置き、使わなかったら後日返せばよいだけである。その間の利息は保険料と思えば安いものだ。まずは、いろいろな制度を活用して、資金確保しておき、この時期を生き延びることが、社長、従業員いずれにおいても最大課題であるからだ。

 辛いことだが、どのような時でも社長は、業績の結果を外部環境や従業員のせいにしてはならない。すべては社長の責任であるということを肝に銘じて、覚悟を決めて、笑顔で取れる対策を着実に実行していかなければならない。同じ社長として応援しています。

 

2020年4月27日 (月)

新型コロナウイルス感染症緊急経済対策に伴う税務上の取り扱い

令和2年4月7日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を受けて、国税庁は4月13日新型コロナウイルス感染症に関連する法人税・所得税の新たな取り扱いを示しました。私なりに重要と思われるところを一部整理して見ましたので、参考にしていただければと思います。


① 無担保、延滞金0で1年間納税猶予

具体的には、新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年2月1日以後における一定の期間(1か月以上の任意の期間)において、売り上げが前年同月比で20%以上減少し、その事実に基づき一時に納税をすることが困難と認められるときは、1年以内の期間に限り無担保かつ延滞金なしで国税の納付を猶予することができるようになります。納期限までに、一時に納税をすることが困難と認められるためには少なくとも向こう半年間の資金繰りを示すか、書類の提出が難しい場合は口頭での説明でも認めるなど柔軟な運用が行われることになります。対象者は個人法人の別、規模も問いません。

 所得税、法人税、消費税等ほぼすべての国税が対象になりますので、預かっている消費税などを1年間資金として活用できることになります。

*令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来する国税について適用になります。

*ただ本日現在、まだ国会を通過していませんので、通過後、申請する形になります。納期限がまだ来ていない予定納税も当然含まれますが、この場合は1年ではなく申告期限までとなることに注意が必要です。詳しくは、仙台国税局の納税猶予センター(022-204-5937)に問い合わせると教えてくれ、申請書も郵送してくれるそうです。

② 固定資産税の免除

令和2年2月から同年10月までの任意の3か月(以下基準期間といいます。)の売上高(全ての事業の売上高の総額をいいます。以下同じ。)が、前年の同一期間の売上高より50%以上減少した中小事業者等については、令和3年度の固定資産税等が0になります。30%以上減少した場合は半額になるというものです。(中小事業者等とは、性風俗関連特殊営業をする者を除いて資本金1億円以下の法人です。)

 手続きは、令和3年1月31日までに認定支援機関等(当事務所は認定支援機関になっています。)の認定が必要です。注意しなければならないのは土地には税額の免除がないという点です。建物と償却資産だけが対象になります。


③ 期中の役員報酬の減額

新型コロナウイルス感染症の影響で業績が急激に悪化し、資金繰りが困難な場合だけでなく、現状では売り上げなどの数値指標が著しく悪化していないとしても、新型コロナ感染症の影響により、今後の見通しが立たず、今後の経営状況の著しい悪化が不可避なケースでの役員給与の減額改定も「業績悪化改定事由」に該当するとしています。 上記に該当するようでしたら早めに役員報酬を減額し、所得税や社会保険料のキャッシュアウトを抑えることが大事だと思います。

2020年4月 1日 (水)

コロナウイルス騒動について

   今月は当社関与先さんの経営計画発表会に参加しました。この時期ですので、開催するかどうか大分迷われたようですが、参加者は全員マスクを着用し、出入り口には消毒液が置かれ、窓は解放されての実行でした。

   役員、社員、関係者で50名近い方が参加され、各部署から今期の結果と来期の数字達成に向けた行動計画が、二時間ほどかけて次々と発表されました。

  例年そうですが、今年度も未来に向けた素晴らしい計画発表でした。最後に私が講評を求められました。私は「御社は、今まで全社一丸となり、利益を出し、内部留保を高めてきました。このような時こそそれが威力を発揮します。

 この急激な外部環境に一喜一憂することなく、来期の行動計画を着実に実行してもらいたいと思います。そのことが、このコロナ騒ぎが落ち着いた後に更に威力を発揮すると思います。」と話し、激励しました。

   しかし、上記の会社は自己資本比率が60%以上の優良企業だからそのような激励ができたのです。日本では、急激な外部環境の変化に対応するためには自己資本比率が40%以上必要だと言われ、各企業はその目標に向かって日々、経営努力しているのです。

 ところが、日本の中小企業の平均の自己資本比率は、まだ20%前後というのが現状です。しかも自己資本比率は一朝一夕では増やせません。利益を毎期出し続け、納税した残りが内部留保され自己資本を形成するからです。

 自己資本比率は当然、時価で考えますから、保険などの含み益は簿外資産として時価を形成します。反対にゴルフ会員権や値下がりした有価証券はその含み損を控除した評価で計算されます。企業の多くは、バブル崩壊やリーマンショック、大震災を経験しています。含み損を抱えたままの企業も少なくはないでしょう。

 ですから、こうした自己資本比率の低い日本の中小企業は、今回のコロナウィルス騒動は死活問題です。ほとんどの中小企業はまずは目の前の生き残りに不安を感じているのではないでしょうか?

 政府もそのことを十分承知していて「緊急経済対策」としてあらゆる手を打って、企業や国民の生活を守ろうとしています。対応が遅いという不満もあるでしょうが、それらの情報をいち早く得て活用することが急務です。

 当事務所でも活用できる融資などを少しでも早く知っていただくため常に新しい情報をメール通信や事務所通信を通じてお知らせすると共に各担当者が直接、個別にそれらの情報を各関与先さんにお伝えするなど、スタッフ一丸となって努めています。

 実際に、訪問しますと「手元資金にまだ少し余裕がありますが、借り入れしておいた方が良いでしょうか?」という質問が良くあります。それに対する答えは、「まずは借りておくべきでしょう。」と言うことです。

 理由は、治療薬がいつ出るか見当がつかず今回のコロナウィルスの世界経済に与える影響は長引きそうだからです。しかし今までも何度も大きな試練はありましたが、終わらなかったことは一度もありません。早いか遅いかだけです。

 決して油断してはだめですが、必要以上に恐怖感を持っても何もできません。まずは手元資金を厚くして、我々にできる防御策を講じながら日常生活を淡々とこなしていこうではありませんか。

 

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