2019年1月 7日 (月)

2019年の日本経済を大予測!

  2018年は皆さんにとってどんな年でしたか。巷では、経済評論家による恒例の2019年の予測が飛び交っています。その中で、昨年12月28日の日経の記事に似鳥会長(ニトリHD)の記事が載っていました。以下は、その抜粋です。似鳥会長は、19年の円相場は年平均で「1ドル=100~110円。今より円高になるだろう」と指摘。19年末の日経平均については「2万円前後」と予想した。本格的な景気後退は20年以降で21~22年が底とみる。「前回(64年)の東京五輪は終わる前から不況になった。過去にあったことは必ず起こるのが経験則だ」と指摘。「不動産価格も下がるとみており、不況時こそ思い切った投資をしたい」とも述べた。

  似鳥会長は財界で、経済界一、経済予測を的中させる男と言われおり、会社の為替予約は、今でも会長が景気動向を見極めながら決めています。ニトリHDは、1円の円安で15億円の営業利益を失うのですから、景気予測は、命懸けにならざるを得ないでしょう。一昨年末にも「2018年の為替は110円を割り、日経平均は2万円を下回る。」と予想し、ほぼ的中しました。これらのことは、似鳥会長が永年商売で培った勘で予想しているだけではなく、会長独自の緻密なデータ集に基づいて経営判断をしていることを表しています。またこのことは、経営についても巷の経済評論家の予想に振り回されることなく、自分なりに自分の頭で考えることが一番大事だということを我々に気づかせてくれます。

  年末から年初にかけて自分なりに2019年の計画を立てられたと思いますが、しっかり自分の頭で考えていくことが大事です。とは言うものの、なかなか難しいことですから、ただやみくもに考えて雲をつかむような計画にならないようにするため、まず自社の製品、商品やサービスをどこに販売するかを、次の4つのパターンで考えてみてください。販売する場合に①現在のお客様に現在の商品をさらに販売する。②現在のお客様に新しい商品を販売する。③新しいお客様に現在の商品を販売する。④新しいお客様に新しい商品を販売する。

   どうでしょうか?リスクとコストは、①→④の順番で高くなっていきます。細分類した製品、商品ごとに①→④の順番に考えていくことが大事です。①の方法は、すでに信頼関係を築いているお客様に自社の商品をさらに購入していただくというもので、「深耕作戦」とも言われているものです。まずはこの「深耕作戦」をしっかり立てて行きましょう。また製品、商品、サービスにはすべてライフサイクル(挑戦→成長→安定→成熟→衰退)がありますので、その製品や商品がどのステージにいるのかをしっかり見極めることも重要になってきます。この判断を読み違えると成果につながらないからです。自社の商品が安定→成熟にあるうちに、しっかり挑戦→成長商品を育てていく必要もあります。このような視点でしっかり考えていくと非常に良い経営計画、戦略、戦術が立てていけると思います。ぜひ頑張ってください。応援しています。

2019年1月4日     著 者    税理士 千葉 和彦

2018年12月 6日 (木)

「交換の特例」の上手な活用

「固定資産の交換の特例」というものが古くからあります。この特例は、土地や建物といった固定資産を同じ種類の固定資産と交換したときに、譲渡がなかったものとみなす(・・・)制度です。この制度には過去何度か手を焼かされたので、今回取り上げました。

  かれこれ20年ほど前のことです。知り合いの社長から電話がありました。近所の方から、社長が所有している土地を売ってほしいという話があったのですが、その方が、たまたま社長の自宅の隣接地を所有している方だったのです。そこで、社長は自分の土地を売っても良いが、交換条件で、隣接地を売ってほしいと話したそうです。話はトントン拍子にまとまり、お互いに土地を売却することになりました。しかし、ただ売ると税金が大変なので、税金のかからない「交換」という方法を使いたいということでした。

   交換には一定の要件がありますので、当然、私は、電話口でその社長にいくつか質問をしました。①交換する土地は不動産業の方が販売目的で持っているものでないこと。すなわち固定資産かどうかです。②交換する固定資産は土地と土地であること。③交換予定の土地は双方ともに1年以上所有していたものであること。かつ、交換のために取得したものではないこと。④交換により取得する固定資産は譲渡する固定資産と同じ用途に使用すること。宅地なら宅地として使用することです。⑤交換により取得する固定資産と譲渡する固定資産の時価の差が、高い方の価額の20%以内であること。社長の回答から、いずれの要件も満たしていたので、私は「大丈夫でしょう。ただし来年必ず申告してくださいよ。」と電話を切りました。

  何か月か経過し、社長との会話を忘れかけていた時、再度、その社長から、それもかなり興奮した様子で電話がありました。「先生、税金かからないといったのに税金きたぞ。責任とれよ。」と。詳しく聞いてみると、不動産取得税の納付書が県税事務所から届いたことがわかりました。私は、自分の説明が不足していたことを大いに反省しました。それ以来、たとえ交換が成立して所得税がかからない場合でも、不動産取得税や登録免許税、印紙税などの税金と、司法書士や税理士に頼んだ時には報酬が発生する旨を必ず話しています。一般の方に取っては、税金はみな一緒と考えている方が多いからです。私の苦い体験です。

  またある時、当社の関与先の社長から「交換先の相手から税金はかからないが申告は必要だと教えられたので、先生に頼もうと思って。」と交換の申告の依頼を受けました。当然この時も前述のように要件を確認していきました。すると、どうやら交換の相手は不動産業者で販売用土地と交換したことがわかりました。もうお気づきでしょうが、不動産業者の販売用土地では交換は成立しませんから、社長は譲渡所得税を納税しなければなりません。その業者さんに、私からも電話してみましたが、けんもほろろに電話を切られました。

   ただ悪いことばかりではありません。この特例で先祖代々の土地が生きたこともあります。相続で複数の土地をすべて相続人5人の共有にしており、10年間荒れ野原になっていた土地を、順列組み合わせのパズルのようにこの「交換」を活用することで、土地の所有者が一人か、仲の良い者だけで所有することになり、すべて有効活用することができました。

  この「交換」ですが、便利なようで、前述のすべての要件を満たす必要は勿論ですが、思わぬ落とし穴がありますから慎重に検討してください。

2018年11月30日    著 者  税理士   千葉 和彦

2018年10月30日 (火)

新事業承継税制の活用について

   今回のテーマは前回の約束通り、新事業承継税制の上手な活用について考えたいと思います。まずこの制度を活用する際に考えるべきことは、自社にとって、そもそもこの納税猶予制度を選択する必要があるか否かの確認です。何故なら、この制度をわざわざ使わなくても暦年贈与や相続時精算課税を活用したほうが良い場合も多いからです。それを知るために第一にすべきことは自社の株価評価です。

   そもそもこの新制度は、株価が高くなりすぎているところに有効ですが、仮に株価が高くても、その原因を調べることで評価引き下げができる場合もあります。株価評価引き下げが可能な場合は、引き下げ後の価格で、相続時精算課税で贈与する方法も一つでしょう。しかし、あらゆることを考えても、株価が上がり過ぎて、手の打ちようがない場合はこの新制度はかなり有効です。いずれにしても、まずは自社の株価を知ることが大前提です。

   さて、新事業承継税制ですが、ご存知のようにこの制度は、納税の免除ではなく、猶予ですから、将来にわたって、諸条件の縛りはついてきます。手続きも専門家に依頼すると費用も当然かかります。(特例承継計画は認定経営革新等支援機関の資格を持つ専門家に依頼する必要があります。) 活用する際は、これらのことを総合的に考えて、慎重に臨む必要があります。またいろいろ検討した結果、この制度を活用しようとする場合も、いきなり活用するのではなくて、少しでも株価評価を引き下げてから実施すべきです。贈与者が死亡し自社株部分の猶予税額は免除になっても、贈与を受けた非上場株式等の評価額自体は、贈与時の価格で贈与者の相続財産に加算され、全体の相続税が重くなるからです。

    この制度を活用する場合には、2023年3月31日までに特例承継計画を都道府県に提出しておくことが必須です。期日までに、提出がないとこの制度の活用はできません。ただし、計画書をだして、この制度を活用しなかったとしても何の罰則もありませんので、取りあえず出しておくという選択もあります。また制度を活用するには、いつでも生前贈与ができるように諸条件を満たす準備を進めておきましょう。たとえば株式の贈与を受ける受贈者ですが、贈与を受ける日まで引き続き3年以上にわたりその会社の役員(取締役、会計参与及び監査役など)であることなどの要件があるので、早めに役員への就任をしておくことなどが必要です。

  またこの届出さえしておけば、贈与ではなく相続でいきなりこの制度を活用することもできます。しかし、その場合、遺産分割が紛糾して分割協議が調わず、後継者が5か月以内に代表者に就任、8か月以内に分割協議を添付して都道府県知事に対して認定申請書の提出ができない場合はこの制度の活用はできなくなりますので、事前に必ず遺言書を残しておくことが必須です。まずは上記のような準備をしながら、この制度の活用について検討していかれてはいかがでしょうか。目的は円滑な事業承継で自社の存続、発展が目的であることを忘れず考えていただければと思います。応援しています。

 2018年10月26日(金)著 者  税理士   千葉 和彦 

2018年10月 2日 (火)

日本の事業者の2/3が後継者不在

   年商10億円未満の事業者の約2/3が後継者不在だ。(帝国データバンク2017年発表)日本の約400万事業者のうち、年商10億円未満は97%を占めているのだから、これが、日本の中小企業の現状といっても過言ではないでしょう。この数年で数十万社の中小企業が事業承継のタイミングを間違いなく迎えることになります。

   先代が、第一にすべきことは、早急に後継者を決めることです。しかし、魅力のない会社は誰も継ぎたがりません。経常利益をしっかり出し、将来性も見込めるような企業しか誰も継ぎたがりません。後継者に次を託すためには、自分の代で、しっかりと自社の事業を磨き上げ、その中で後継者を見極め、時間をかけて引き継いでいく必要があるのです。では、後継者の見つからない企業はどうなるのでしょうか?魅力のない会社を誰も引き継ぎたがらないように、M&Aの相手もなかなか見つかりません。そうなると廃業しか方法がなくなります。昨今廃業はかなり増えてきています。しかし、簡単に廃業といいますが、社員がいれば解雇しなければなりませんし、退職金の問題もあります。取引先との事業中止の根回しも必要です。また設備など希望するような価格で売れるとは限りません。解散の場合の税金もあります。廃業するのにもエネルギーとお金がかかるのです。

   どのような道を選択するにしても早い取り組みと意思決定が重要です。後継者を決めるには、まずは、一人で悩んでいないで、親族に相談して見ましょう。思わぬ知恵がでることもあります。また会社内に有力な人材がいる時は、こちらの意向を早く伝え、後継者教育に取り組みましょう。会社に魅力があれば、早めにM&Aの専門家に相談するのも一法です。いずれの方法を取るにしても、スピードが大事です。オーナー社長の早い意思決定と覚悟、思い切りが大事なのです。高齢になっても社長を譲らない、譲りたくても譲れない・・・と様々な想いや悩みを抱えているオーナー社長も多いことでしょう。しかし、進むべき道を決めずして1日、2日と経ちすれば、5年、10年は、あっという間です。その間、自分も社員もまた年を重ねていくのです。それに、後継者を決めてからも、自社株の異動の問題、社内の組織体制の整備、後継者を補佐する人の確保、後継者への段階的な権限の委譲、承継後の経営計画の策定、経営者の個人保証への対応など・・しなければならないことが山積みです。早く後継者を確保し、次の段階に進まなければならないのです。平成30年改正の「新事業承継税制」も後継者が決まって初めて活用できるのです。次回は新事業承継税制の活用について書きたいと思います。

2018年9月25日 著 者 税理士  千葉 和彦

2018年9月 4日 (火)

「経営者保証に関するガイドライン」について

「経営者保証に関するガイドライン」というものをご存知でしょうか?2013年12月に公表され、翌2014年2月に適用が開始されました。適用からすでに4年半が経過しますが、経営者の中ではまだまだ知らない方が多いというのが実態です。と言うのも、この制度が単に「個人保証が解除できる制度」と、誤った解釈で普及する懸念があったため、安易な広報ができないという難しさがあったようです。

   ガイドライン以前の経営者保証は、経営者が個人保証することにより、資金調達を円滑にする一方、思い切った事業展開を阻害する面もありました。ましてや、経営に失敗したときは、早期に事業再生等を行いたくても、更に大きな壁になってしまうものでした。

  「経営者保証に関するガイドライン」は、このような事業展開も再チャレンジも難しい経営環境を改善し、産業活性化を図るため、政府(金融庁と中小企業庁)の後押しで、中小企業団体および金融機関団体の関係者、学識経験者、専門家等の検討の成果をまとめたものです。融資の際に経営者保証を不要とするための条件を明らかにするとともに、早期に事業再生や廃業を決断した場合は経営者に一定の生活費を残し、自宅に住み続けるための可能性などを示したものになります。新規融資はもとより既存融資についても、融資条件の見直しや借り換えなどの際に考慮されることになります。内容だけ見れば、経営者サイドにとって有益なものです。しかし、このガイドラインは、何ら法的な拘束力を持つものではなく、いわば、企業・経営者と金融機関との間の「紳士協定」のようなものです。金融機関も利益を上げなくてはなりませんしリスク対策もしなければなりません。そう易々と保証ははずせません。そのため「経営者保証ガイドライン」の資格要件は下記の4条件をすべて満たす必要があります。

① 法人と経営者個人の資産経理が明確に分離されている。
② 法人と経営者の間のやりとりが、社会通念上適切な範囲を超えていない。
③ 法人のみの資産・収益力で借入返済が可能と判断し得る。
④ 適時適切に財務情報が提供されている。

上記の4条件をすべて満たすことは多くの中小企業にとって、正直なかなか難しいところです。しかし、上記の4条件を満たすことに取り組み、経営を改善していくことは、経営の健全化、経営強化につながることです。その結果「経営者保証」も外せることになります。

   余談ですが、ある顧問先の社長さんが、当社のセミナーの翌日、早速、銀行に出向き、交渉の後、見事に保証を外してもらいました。銀行の担当者からは、「誰からこの制度を聞きましたか?当行の当支店では第一号の適用になります。」と言われたそうです。その後も何社かの経営者が保証を外してもらっています。いずれの顧問先さんも上記4条件をすでに満たし、さらに経営強化に努めているところでした。この保証問題は事業承継をする場合にも非常に重要です。何故なら多額の債務の個人保証をしている先代を見て、なかなか事業承継に踏み切れない後継者も多いからです。円滑な事業承継のためにも更に事業に磨きをかけ、後継者が個人保証をしなくても良いような会社にし、次世代に引き継ぎたいものです。我々も引き続き後方支援させていただきます。

2018年8月31日(金)   著 者   税理士    千葉 和彦

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