2019年5月31日 (金)

お客様と正面を向いて付き合おう!

   当たり前のことだが、お客様と正面を向いて付き合う。このことをいつも念頭において仕事をしている。仕事柄、お客様からいろいろな相談を持ちかけられる。その場合、第一に考えることは、お客様の最大のメリットは何か・・・だ。必ずこの基準で相談に乗るようにしている。相談ごとは、税の話ばかりではない。資産活用や様々な対策など、むしろ、税が発生する以前の相談の方が多いかもしれない。そういう時は、各方面の業界の方につなぐこともある。しかし、それがお客様にプラスにならない場合は、つなぐことはできない。

   大企業の営業マンの方とお会いするときは、正面を向いて付き合ってくれる方かどうかを考えながらお会いする。営業マンの中には、私が求める方向と向く方向が異なっている方も多い。サラリーマンなので、顔を向けているのは後ろの上司であり、会社にならざるを得ないのはわかる。しかも、全員参加の昇進レースともなれば、顔を向ける方向は壁に張り出された営業成績になることは当然かもしれない。

  しかし、中には、ほんとに自分の成績よりお客様のメリットを第一に考えて、アドバイス、提案している営業マンもいる。だいたい会社内部では変わり者として、上司の評価も低く、出世街道も外れがちだ。しかし、お客様からの信頼には絶大なものがある。私の知り合いの建設関係の営業マンがそういう人だった。地主さんの信頼は厚く、その方の提案で、ほとんど実行が決まるのだが、建築の契約をするときには、その方は転勤で他の営業マンが果実を取ることになになる。その繰り返しだ。「悔しくないですか?」と聞くと、「サラリーマンの宿命です。」と意に介さない。凄い人だといつも感心していた。そして、私は、その人を自分の中で、勝手にニックネームを付け、「種まき人」と呼んでいた。その方がしばらくして、私の事務所に他の会社の名刺を持って現れた。なんと、大企業の「営業統括部長」という肩書だった。

 「捨てる神あれば拾う神ありですね。」といつもの穏やかな表情で挨拶してくれた。お客様だけが自分のことを評価してくれていればいいと思っていたが、他の会社から、かなりの好条件でスカウトされたとのことだった。やはり見ている人がいるのだなと、とても我がことのようにうれしく思った。また、このように埋もれた「種まき人」をきちんと評価できる人のいる会社は、更に業績が伸びていくことだろうとも思った。

   人材不足と叫ばれる時代だが、アンテナを四方八方に張り巡らしていると意外に誰も気づいていない「種まき人」を見つけることもできる。ある会社の社長は、自社にセールスにくる営業マンから居酒屋のアルバイトの店員まで、この人と思った人物はスカウトしている。そして、その社長曰く「中小企業の社長は、ただ人が足りない、足りないというだけで、真剣に人材確保に取り組んでないだけです。」と耳の痛い話をされていた。まさしくその通りで、反論の余地もなかった。いつも自分自身のアンテナを張り巡らせておけば、思わぬ「種まき人」を見つけることが出来るかもしれませんね。応援しています。

2019年5月30日(木) 著 者   税理士    千葉 和彦

2019年4月23日 (火)

いよいよ消費税アップが本格化・・企業の対応は?

  今年の10月1日からの消費税アップが現実化してきた。税務当局や商工会議所、その他関係機関の対策セミナーが始まっている。当事務所でも先日、恒例のオーナーズセミナーで消費税の改正について話した。

 

今回の消費税改正は、軽減税率が導入されることで、経理処理が複雑になることがポイントだ。

 

まずは自社の売り上げに、この軽減税率になるものがあるかどうかを確認することから始めなければならない。軽減税率の対象になるのは、酒類及び外食を除く「飲食料品」、定期購読契約が締結された週2回以上発行される「新聞」だ。まずは飲食料品の商品を扱っているところが行動を急がなければならない。

 

手書きでは対応が難しいので、早い時期にレジの導入、受発注システムの改修・入れ替えのスケジュールを立てなければならない。いずれも補助金制度の対象になるので、上手に活用してもらいたい(軽減税率対策補助金事務局のホームページ参照)。

 

食品関係の卸売業、食品製造業は、請求書管理システムが区分記載請求等保存方式に対応しているかシステム会社に確認し、必要に応じて改修・入れ替えを進めなければならない。また売上がすべて標準税率の会社でも仕入れには必ず軽減税率のものが含まれるので、区分記載するなど対応をしっかり考えておかなければならない。

 

  経理処理の対策はもちろん必要だが、これも経営が順調に進んでこそのものだ。この消費税アップで自社の経営が窮地にたたされない準備こそが最重要課題だ。

 

いままでの経験では、消費税アップ後は、必ず消費の減少がつきものだった。今回も例外ではない。来年のオリンピック開催後は日本経済全体に不景気の足音が忍び寄ってくるのが聞こえる。不景気になってもしっかり資金が回り、利益が出せるような企業体質にしておく必要がある。

 

それには、過大な設備投資を控え、内部留保を減らさないようにしなければならない。

 

内部留保が悪いことのように話している方もいるが、そのような言葉に惑わされず、しっかりと内部留保を確保していこう。不景気になり、赤字になれば、金融機関も融資をしてくれないので、しっかりと自己資金を増やしておき、来るべき不況を乗り切るようにしよう。

 

 

2019年4月19日  著 者   税理士  千葉 和彦

2019年4月 4日 (木)

生保業界に激震・・全損保険の販売停止

  2019年2月14日「全損型保険、販売停止!」の報道が各紙に取り上げられた。

 

ここ数年、節税だけが前面に押し出された「全損型保険」の大量販売を国税、金融庁が問題視し、各生保会社に税務通達の見直しを通知、生保各社が即時に販売を停止したのである。

 

生保のプロ代理店の方の中には、涙目で今後何を売っていったら良いのかと途方に暮れている方もいる。それほど今回、各保険会社が販売停止をした全損タイプの保険いわゆる「節税保険」というものが、多くの中小企業の経営者の支持を受け販売されてきたのだ。

   経営はリスクに囲まれており、いつ何が起こるかわからない。そのため、その防衛策の一つとして保険ほど心強いものはないというのが正直な感想だ。

 

自分の会社の借入金や固定費などを踏まえ、会社を取り巻くリスクに備えた必要保障額を計算し、保険に入っておけば、企業本来の目的である「存続と発展」を実現することができる。経営者の死亡や自然災害がすぐに会社の倒産につながらないようにしておくことこそが、社員や家族をかかえている会社にとっては必須であり、これが本来、企業保険が「企業防衛」と言われる所以でもある。

 

しかも、同時に節税もできるとなれば、保険の魅力は大きい。「節税、貯蓄、保障」を備えた商品は、周りを見渡す限り保険以外になかなか見当たらない。今回は、その「節税」面だけを強調した販売方法に国税、金融庁のメスが入ったのであるが、再度、保険本来の「保障」機能を見直し、企業を取り巻く将来のリスクに備えるという保険機能の原点に立ち返り、自社の必要保障額等を見直す良い機会ではないかと考える。


  そこで、生命保険ではないが、国が運営する「中小企業倒産防止共済」(経営セーフティ共済)の活用も見直してはいかがだろうか?名前の通り、取引先が倒産した場合には、掛金の10倍まで融資が受けられ、連鎖倒産を避けるためのものであるが、その掛金は、掛け捨てではなく積立で、解約するとほとんど戻ってくる。

 

その掛け金は、月額5000円から20万円までの範囲で自由に選択でき、年払い(前納)することもできる。掛金総額が800万円まで積み立てることができる。このセーフティ共済の掛け金は、前に述べたように、積立なので、本来、税務上は損金(必要経費)にはならない。しかし、国はこのセーフティ共済への加入促進のため掛金の全額損金を認めている。生保ほどの全損のインパクトはないが、これらの活用も再度見直してはいかがだろうか。

 

  今回、急な通達改正が予定されているが、今までも何度か経験してきたことだ。ここは、慌てふためかず、冷静に、成り行きを見守りながら、企業の本来の企業防衛としての保険の原点に立ち返り、自社の必要保障額をしっかり見直していこうではありませんか。


 保険は、企業防衛のほかにも相続税の納税資金準備や遺留分対策としても有効(もちろん法定相続人1人につき500万円の非課税枠があるのは従来通りである。)であり、活用のメリットは大きいので、継続して保険の活用をすべきだと思う。応援しています。

2019年4月1日   著 者  税理士  千葉 和彦

2019年3月 5日 (火)

民法改正で相続のココが変わる!

   民法の相続分野が、昨年7月6日に約40年ぶりに抜本改正された。今改正の大きな目的は、配偶者への配慮、遺言制度の簡便化、遺留分制度の見直し、特別寄与者制度の創設だ。紙面の関係で今年の1月13日にすでに施行になっている遺言書制度の簡素化について今回は述べていきたい。

*遺言制度の簡便化

① 自筆証書遺言の方式緩和(2019年1月13日施行)

従来の一字一句自筆でなければ無効という方式から、改正後は自筆証書の内容である本文自体は手書きする必要があるが、目録等は印字した紙面の1枚ずつに署名・押印すれば有効になった。このことで、長文の手書きが難しい高齢者にとっても書きやすくなった。

② 自筆証書遺言の公的保管制度(2020年7月10日施行)

封をしていない自筆証書遺言を法務局で保管する制度が整備された。この制度は本人が法務局に、その遺言書を持参し、本人確認を受けた後、法務局がデータ化して保管するというものだ。

 

 自筆証書遺言はコストがかからず、気軽に書けるところが一番の長所だ。しかし、改正前までは、遺言全文、署名、日付の全てを自ら手書きする必要があり、目録等まで自書しなければ無効になってしまっていた。実際に、目録をタイプライターで作成したために無効になった古い最高裁判例もある。しかし、今改正の②のように、この自筆証書遺言書を法務局に預けることができれば、法務局側では、厳格な本人確認と様式の不備がないかを確認してから預かるようになるから、様式の不備等で無効となったり、遺言書が偽造であるという紛争は避けられると思う。さらに法務局に保管された自筆証書遺言については、家庭裁判所の検認手続きが除外されるので、この面からも公正証書に引けを取らないのではないかと思う。

   今までは、せっかく書いた遺言書が無効になったり、見つけられなかったり、破棄されたり、偽造ではないかと訴えられたりなどの紛争が多かったが、今回の改正遺言書は、かなり使い勝手の良いものになる。しかも、コストも公正証書遺言と比較してかなり低くなるからうれしい限りだ。ただ、この自筆証書遺言書は自分の足で法務局に持っていかなければならないので、自分が動けるうちに実行する必要がある。

   ただ、どの方式の遺言書でも共通して気を付けなければならない点がある。それは各相続人の遺留分を配慮することである。せっかく遺言があっても、遺留分を侵す内容になっていることが原因で紛争になっていることがあるからだ。どうしても遺留分以下になる相続人がいたら、法的効力はないものの、遺言者の思いを伝える「付言事項」を書いてもらいたいと思う。そのことで実際、紛争が避けられたことも数多くあるからだ。皆様のご健闘祈ります。

 

2019年2月27日  著者  税理士   千葉 和彦

2019年2月 5日 (火)

会社設立から15年で上場!

  昨年から一般社団法人日本中小企業経営支援専門家協会(略してJPBM以後この名称を使用する。)という長い名称の団体の理事に就任した。

 

このJPBMの前身は、1986年に事業承継問題に関心を持つ税理士が集結して設立された「日本事業承継コンサルタント協会」である。当時私は開業したばかりだったが、すぐに会員になった。同じ時期に入会した先生が2人いるが、今でも懇意にさせていただいている。

 

その後2009年に会員を税理士に限らず9士業が参加する形でJPBMが誕生した。従って私の入会歴は30年以上に及ぶことになる。

 

今でもよく思い出されることがある。

 

当時の入会の条件は、相続のシミュレーションのソフトとハードを購入しなければならなかった。当時コンピューターは高価なもので、相続のシミュレーションソフトもかなり画期的なものだったが、その価格がなんと1000万円を超えるもので、開業間もない私は、資金繰りに四苦八苦した思い出がある。

 

今思えばその仕組みを仕掛けたのは、のちに登場する分林会長だったと思う。



  事業承継コンサルタント協会は、主として中小企業の相続問題をどう解決するかが主要なテーマだったが、「後継者がいない」という問題が日本全国から浮上してきた。そこで、当時協会の常務理事をしていた分林氏(現在、会長)が、1991年に、日本M&Aセンターを立ち上げた。

 

その15年後の2006年10月には東証マザーズに上場、そして07年12月には東証1部にスピード上場を果たし現在に至っている。私の事務所のセミナー講師に分林会長をお呼びしたのは、丁度上場の前年だったと記憶している。現在では、時価総額4000億円を超える優良企業に成長している。そして今後ますます成長していくだろう。



  後継者難という外部環境の追い風は、当然だが、それだけで上場は難しい。良い人材を獲得し、その人材に力を発揮してもらえるようにする。会長が若い社員に話していることがある。それは一度でも肉体的・精神的な限界まで仕事に挑戦してみる、ということだ。そういう経験を積んでいると後々、強さとなって生きてくる。

 

それを経験したことがある人とない人では、とても大きな差ができると考えているのだ。まさに量は質へ転化するである。最初から質を求めても意外と失敗するものだ。


  分林会長は経営に絶対必要な4ヵ条があると考えている。

 

①収益性(これがなくては、企業そのものが存続できない。顧客、社員、関係者に報いることができない。)

②安定性(貸借対照表を充実させておく必要がある。M&Aセンターの自己資本比率75%である。)

③成長性(将来に向かって成長していかなくては、企業は存続する意味がないと会長は考えている)

④社会性(迷ったとき「社会に対して正しいことをしているか?」会長はドラッガーが言ったこの言葉を、会社経営者だけではなく、社員一人一人も規範とすべきと考えている。)

 

この4つが揃った企業が良い経営を行っている企業で、揃っていない企業はいずれ存続できなくなる可能性が高いと言っている。我々も経営に携わるうえで、上記のことを胸に刻み、進んでいきましょう。そうすれば、たとえ上場はできなくても、それ以上に地域から喜んでいただきながら存続できる会社になれると信じています。一緒に頑張りましょう。

 

 

 

2019年1月31日 著 者   税理士  千葉 和彦

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