自転車に対する規制強化への対応
飲酒運転や信号無視などの危険な行為を繰り返す自転車の利用者に「自転車運転者講習」を義務づけるなどの規制を盛り込んだ改正道路交通法が施行されました。
今回の改正を機に、社内規定の見直しを検討してみましょう。
1.悪質な利用者に講習を義務づけ
改正法では、一定の危険行為をして、3年以内に2回以上違反があった悪質自転車運転者には、講習の受講が義務づけられました。
受講時間は3時間で、手数料は5,700円です。この講習を受けないと5万円以下の罰金刑になります。
2.社内規定を見直しましょう
今回の道路交通法の改正により、講習につながる「14項目の危険行為」が定められています。
自動車と異なり、自転車については、車両使用に関する社内規定の整備や、安全管理指導がきちんとなされていないのが実情といえます。一方で、従業員が業務中に自転車事故等を起こした場合、会社の責任が問われることも予想されます。
就業規則においては、これらの項目をもとに自転車運転時の禁止事項を定めるとよいでしょう
また、自転車通勤を認める場合は、必ず許可制にし、「自転車通勤許可申請書兼誓約書」等の書面の提出を求めるようにしましょう。
3.講習につながる自転車の「危険行為」14項目
①信号無視
②通行禁止違反(歩行者天国の走行など)
③歩道における車両の義務違反(徐行違反)
④通行区分違反(車道の右側通行など)
⑤路側帯通行時の歩行者の通行妨害
⑥遮断踏切(警報機の鳴っている踏切)立ち入り
⑦交差点安全進行義務違反等(交差点を通行するときの他車の進路妨害など)
⑧交差点優先車妨害等(交差点で右折するときの直進車の進路妨害など)
⑨環状交差点安全進行義務違反等
⑩指定場所一時不停止等(止まれ)の無視など
⑪歩道通行時の通行方法違反
⑫制動装置(ブレーキ)不良自転車運転
⑬酒酔い運転
⑭安全運転義務違反(携帯電話、傘の使用など)
4.就業規則の例
第〇条(自転車運転での禁止事項)
自転車に乗車する場合は、道路交通安全に関する法令に従って運転を行うとともに、以下の各号に定める運転をしてはならない。
①酒酔い(飲酒)運転
②心身が著しく疲労しているなど、正常な運転が困難な状態での運転
③携帯電話を使用しながらの運転
④傘をさしながら等危険な姿勢での運転
⑤ブレーキの不良その他整備不良状態での運転
⑥天災地変、その他道路事情が安全運転に困難と予想されるときの運転
⑦その他、道路交通法令(改正道路交通法)(平成27年6月1日施工)等が禁止している事
項に該当する運転