復興財源確保法・復興特別法人税・復興特別所得税

2015年7月12日 (日)

現物給与の源泉所得税に注意!

企業(事業者)は、従業員の給与から毎月、所得税の源泉徴収を行っています。課税対象となる給与は、金銭だけではありません。自社の商品、製品の支給や値引販売、食事や社宅等の貸与なども現物給与として課税対象になる場合があります。


1.徴収もれに注意!

従業員への通勤定期券、自社の商品、製品の値引販売、食事、社宅の提供などは現物支給になります。ただし、現物給与には3.のように非課税とされるものもあります。

 このように現物給与は、実務的にも複雑で、誤解や誤りも多く、源泉徴収を対象にした税務調査でもよくチェックされるところです。

源泉徴収漏れを指摘されると、従業員から源泉徴収の不足分を改めて徴収しなければなりません。

 

2.社会保険料算定の際も現物給与を合算

 厚生年金保険および健康保険の保険料算定の基礎となる標準報酬月額を求める際、現物給与と金銭によるものの合算が必要な場合があるので注意しましょう。

 この場合の現物給与の価額は、食事や住宅については厚生労働大臣の定める金額になり、自社の商品・製品については、原則として時価で換算します。


3.主な現物給与で非課税になるもの

1)通勤定期券 …1か月あたり10万円まで

2)永年勤続者への記念品 …おおむね10年以上の勤続者を対象にしたもので、2回以上表彰を受ける人は概ね5年以上の間隔が開いていること

3)創業記念品等 …その処分見込額が10,000円以下であること

4)食事の支給 …従業員が食事価格の1/2以上を負担し、負担額が月額3,500円以下

5)残業、宿日直時の食事 …通常の勤務時間外における残業、宿日直者に対して支給する食事

6)深夜勤務者の夜食代補助 …深夜勤務者の夜食代(金銭)で勤務1回につき300円以下のもの

7)祝いの金品、見舞金等 …社会通念上相当なもの

8)商品、製品の値引販売 …取得価額以上で、かつ、通常り販売価額の概ね70%以上の価額

9)宿日直料 …勤務1回につき4,000円(食事が支給される場合はその価格を控除した残額)

10)貸与住宅 …家賃相当額で一定の要件に該当するもの

11)災害等による生活資金の無利子貸付け …災害等により従業員へ臨時に多額の生活資金を無利子で貸し付けた場合、その利息相当額

12)レクリエーション費用の負担 …社会通念上一般に行われるレクリェーション費用(任意の不参加者への金銭支給や役員だけを対象とする場合を除きます)

参考hp:
No.2508 給与所得となるもの(国税庁タックスアンサー)
No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行
No.2594 食事を支給したとき

2015年2月15日 (日)

確定申告に必要な資料

 確定申告をする場合に必要な資料を以下に挙げてみました。なお、全部が必要というわけではありません。各資料とも、対象になる方のみ必要となります。それ以外のものは不要です。

1.税務署から送付された申告書等(昨年書面で申告した方)
                        
2.源泉徴収票(給与所得・年金・退職所得等)
                        
3.配当金の支払調書・支払通知書・配当金計算書等
                        
4.報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
                        
5.保険の満期返戻金・解約金などの計算書
                        
6.配偶者及び家族の源泉徴収票(扶養の可否などの確認に使用、収入がゼロなど明らかに扶養と判断できる場合は不要)
                        
7.国民健康保険の領収書、国民年金・年金基金の控除証明書
                        
8、小規模企業共済等掛金の払込証明書・領収書
                        
9、生命保険料の控除証明書(介護医療・個人年金保険料を含む)

10、地震保険料の控除証明書(旧長期損害保険料を含む)
                        
11、医療費の領収書(生計を一にしている家族であればまとめて申告できます)
                        
12、寄附金の受領証(領収書)・証明書(税額控除の証明書など)
                        
13、住宅ローンの年末残高証明書(入居初年度のみ確定申告が必要となり登記事項証明書や工事請負契約書なども必要となります。、以後の年は年末調整で行います。)
                        
14、増改築等と行った場合の増改築等工事証明書
                        
15、市区町村・都道府県から発行された住宅耐震改修証明書
                        
16、不動産(事業)関連の申告資料
①賃貸収入の明細書・契約書、帳簿等
②固定資産税通知書(固定資産税証明書)
③借入金・支払利子の明細(借入金の返済予定表)
④賃貸物件(事業)の(火災)保険の領収書
⑤賃貸物件に係る修繕費の請求書・領収書
⑥地代その他経費と思われる領収書等
⑦事業関連の請求書・領収書・帳簿等
                        
17、不動産(土地・建物等)の売却(又は買換え)や、株式等の売却があった場合に必要な資料
①登記事項証明書(不動産)
②売買契約書(不動産)
③株式等売買の証明書(特定口座の場合は原則として申告は不要ですが、確定申告をすることで他の控除を差引き所得税・住民税の還付が受けられる場合があります。また、損失は3年繰り越すことができるため確定申告することで次年以降の株式等の譲渡所得を減らすことができる場合があります。)
                        
18、金銭その他の贈与を受けた場合の契約書、振込証明書等→贈与申告
                        
19、災害や盗難などにより損害を受けた場合の証明書等→雑損控除(確定申告)
                        
20、年末時点で国外に5,000万円を超える財産(不動産、預貯金、有価証券など)を有する場合申告が必要

 

 

 

2014年10月24日 (金)

不動産を購入した時の税務上の扱い

 不動産を購入した時には売買代金以外にさまざまな費用が発生します。その中には取得原価(資産計上)にしなければいけないものや、経費にしてもよいものなどがあります。以下にまとめてみました。

区分 個人の場合 法人の場合
①登録免許税・不動産取得税 経費or取得価額 経費or取得価額
②司法書士報酬 経費or取得価額 経費or取得価額
③印紙税 経費 経費
④仲介手数料 取得価額 取得価額
⑤立ち退き料 取得価額 取得価額
⑥固定資産税 取得価額 取得価額
⑦土地とともに取得した建物の取り壊し費用 土地の取得価額 土地の取得価額

2014年8月 1日 (金)

復興特別法人税の1年前倒し廃止(26年税制改正)

 平成26年3月31日に公布された所得税法等の一部を改正する法律(以下「平成26年改正法」)により復興特別法人税制度が改正されました。

 平成26年改正法により、復興特別法人税の課税の対象となる事業年度(以下「課税事業年度」)は、「平成24年4月1日から平成26年3月31日(改正前:平成27年3月31日)までの期間(指定期間)内に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後2年(改正前:3年)を経過する日までの期間内の日の属する事業年度」とされました。これにより、復興特別法人税の課税期間が1年短縮されました。

したがって、平成26年4月1日以後に開始する事業年度については、原則として、課税事業年度にはなりません。

(注)1 平成26年4月1日以後に開始する事業年度であっても、事業年度変更などにより、その事業年度に、指定期間内に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後2年を経過する日までの期間内の日が含まれることとなる場合には、課税事業年度となります。

 

復興特別法人税の改正の概要(国税庁)

2014年1月 8日 (水)

確定申告に必要な書類

今年も確定申告が近づいてきています。
 
 個人事業者や不動産オーナーのほか、会社からの給与が2,000万円超、2社以上から給与をもらっている人、医療費控除などを受ける人、臨時収入などを含めて給与以外の収入があった人は確定申告が必要です。

 事業の帳簿等以外では下表のような資料が必要となります。事前に確認しておきましょう。

給与をもらっている人 給与の源泉徴収票
医療費が10万円以上の人 病院・薬局・薬品等の領収書
保険金の受取(注1) 保険会社等から送られてきた計算明細書など金額がわかる資料
年金の受取り 年金等の源泉徴収票(注2)
同族会社の貸付金利子や
家賃収入
平成25年中に取得した貸付金利子や家賃年額の明細がわかるもの
配当金 配当金の支払通知書
FX・外貨預金等の
為替差損益
取引報告書など差損益の明細がわかる書類
不動産の売却 取引資産、譲渡資産のそれぞれの売買契約書
登記事項証明書
譲渡資産の取得価額や譲渡資産がわかる資料(注3)
株式の売却
(申告が不要な場合あり)
(上場株式)特定口座年間取引報告書他
(非上場株式)売買契約書、譲渡株式の取得価額のわかる資料
住宅借入金等特別控除
(住宅ローン控除)
住宅ローンの年末残高証明書
売買契約書、請負契約書の写し
住民票
登記事項証明書
雑損控除 消防署の罹災証明など損害を受けたことの証明書
損失額の証明書(自身で作成)
災害の後片付け費用などの領収書
医療費控除 医療費の領収書
保険金などで補てんされた金額のわかるもの
寄附金控除 寄附金(ふるさと納税を含む)の領収書、証明書等


(注1)満期保険金を受領せず、受領を据置いた場合でも、満期支払期日の属する年度の所得として課税されます。病気やけがにより保険金を支払われる損害保険、いわゆる所得補償保険の保険金は非課税です。

(注2)年金等の源泉徴収票を紛失した場合、ねんきんダイヤルを通じて郵送で再送付を受けるか、近くの年金事務所に基礎年金番号のわかる書類を用意して再交付を受けてください。

(注3)譲渡資産の取得価額のわかる資料等がない場合、原則として概算取得費(譲渡価額の50%)によることになります。
ただし、契約書・領収書等以外で実際の購入価額を証明できるものがある場合には、実額によって計算することができます。
 

 

2012年9月 5日 (水)

退職所得の源泉徴収税額速算表(平成25年1月1日以降分)

復興財源確保法が平成25年1月1日から施行されることに伴い「復興特別所得税Q&A」が公表されています。
このQ&Aに、退職手当等から源泉徴収する「所得税及び復興特別所得税」を算出する速算表が追加されました。(Q9)

(計算例:退職所得の受給に関する申告書が提出されている場合)
*課税退職所得金額が5,000,000円の場合

パターン①
所得税を算出してから102.1%を掛ける。
5,000,000円×20%-427,500円= 572,500×102.1%= 584,522.5 → 584,522円(源泉徴収税額)(1円未満切捨て)

パターン②
初めから合計税率を掛ける。
5,000,000円×20.42%-436,477.5円= 584,522.5円

*いずれの場合でも税額は同じとなります。

(計算例:退職所得の受給に関する申告書が提出されていない場合)
*退職手当等の収入金額が3,565,300円の場合
3,565,300×20.42%=728,034.26 → 728,034円(源泉徴収税額)(1円未満切捨て)

●住民税に関しては下記のような計算になります。
税額    =  課税対象額  ×  税率(市民税6%+県民税4%=10%)×90% ※

※の税額から10%を控除する(90%を乗じる)措置は、平成25年1月1日以降に支払われる退職手当等から廃止されます、ご注意下さい。

「復興特別所得税Q&A」(国税庁hp)
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/fukko/pdf/02.pdf

「パンフレット・手引き」(国税庁hp)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/01.htm

復興特別法人税・所得税(ワンポイント実務:千葉会計)
http://chiba-kaikei.cocolog-nifty.com/mame/2012/02/post-8785.html

 

 

2012年2月 1日 (水)

復興特別法人税と復興特別所得税(復興財源確保法)

平成23年11月30日の復興財源確保法の成立を受け、復興特別法人税と復興特別所得税が平成23年12月2日に公布・施行されました。内容は以下の通りです。

①復興特別法人税
平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度(3年間)について、法人税額に10%上乗せ

②復興特別所得税
個人…平成25年から平成49年(25年間)の所得税に2.1%上乗せ
法人…平成25年1月1日から平成49年12月31日の間に生ずる所得税に2.1%上乗せ(源泉所得税も上乗せ)
個人住民税…平成26年6月から平成26年5月の均等割りに1,000円上乗せ

*復興特別法人税については、23年12改正(法人税率の引き下げ:恒久減税)と同時に実施されます
 普通(大)法人…         30%→25.5%
 中小法人(所得800万超)…  30%→25.5%
 中小法人(所得800万以下)… 22%→19%(18%→15%)
(カッコ内)は租税措置法による軽減税率、平成24年4月1日から平成27年3月31日(3年)の間に開始する事業年度について適用

*「復興財源確保法」
(東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法)

*23年12月改正(平成23年度改正の残りの部分)
(経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律)

 

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