相続・贈与

2015年6月29日 (月)

小規模宅地等の特例とは?(相続税)

 相続税の基礎控除額が6割に縮小されたことによって、相続財産で大きな割合を占める自宅に高額な相続税がかかり、「自宅を売らなければならないのでは?」と心配な人も多いようです。そういったことがないよう税法では、宅地の相続税課税価格を大幅に減額する「小規模宅地等の特例」があります。

では、自宅(家屋.土地)の相続税評価額はだいたいどれくらい(概算額)なのでしょう?

(1)家屋の概算額(固定資産税評価額と同じ)
 自宅の家屋(建物)の相続税評価額は、固定資産税評価額と同じです。毎年、市区町村等から送られてくる「固定資産税.都市計画税の納税通知書」に同封される「課税証明書」(地方自治体によって名称が異なる)に記載された家屋の「価格」または「評価額」が相続税評価額になります。

(2)宅地の概算額
相続税を計算するときの宅地(自宅の土地)の評価方法には、路線価方式と倍率方式があります。一般的に市街地は「路線価」(その宅地に面する道路に付けられた価格)が決まっているのでほとんどの宅地は路線価方式と考えてよいでしょう。
国税庁が公表する「路線価図」に1㎡あたりの価格が示されてしますので、これに宅地の面積(㎡)を掛ければ、土地の評価額の概算がわかります(図表1)
なお、路線価が定められていない土地は、固定資産税評価額に地域ごとに定められた「倍率」(注)を掛けて評価額を計算します。
(注)「倍率」は国税庁ホームページの「財産評価基準書 路線価図.評価倍率表」でみる事ができます。
 
(3)マンションの場合
マンションの場合は、建物と土地の評価額にそれぞれ持分割合を掛けて計算します。持分割合は、契約書や登記簿謄本に記載されています。

宅地の課税価格を80%減額できる小規模宅地等の特例

(1)小規模宅地等の特例とは
 亡くなった人(相続人)と一緒に住んでいた家族(親族)が自宅を相続しても、重い相続税がかからないように、宅地の課税価格を80%減額する「小規模宅地等の特例」という制度があります。
 この特例を使えば、例えば、評価額3,000万円の土地であれば、600万円(3,000万円×20%)に減額することができます。
 ㍻27年1月1日以後の相続から、この特例が受けられる居住用宅地の限度面積が拡大(240㎡→330㎡) されています。
(2)この特例を使えるのは、次のような人が自宅を相続する場合です。
①被相続人の配偶者
②被相続人と同居していた親族
③被相続人と別居していた親族(持ち家の有無など一定の条件あり)

③の別居していた親族というのは、①②に該当する人がいない場合に、持ち家の有無など一定の条件を満たす相続人(いわゆる「家なき子」)が相続するのであれば、「小規模宅地等の特例」を使えるというものです。

(3)事業用の宅地にも適用できる
 被相続人の自営の店舗や工場などの事業用(不動産貸付業、駐車場等を除く)の宅地についても、小規模宅地等の特例を使うことができます。
 この場合は、限度面積400㎡までについて80%の減額を受けることができます。ただし、被相続人の事業を承継した親族が、その宅地を相続した場合など一定の条件を満たす必要があります。
 また、㍻27年1月1日以後の相続から、自宅と事業用の宅地について、それぞれの限度面積まで適用を受けられるになり、最大730㎡(330㎡+400㎡)まで適用できるようになりました。

(平成25年度税制改正)

 

2015年2月15日 (日)

確定申告に必要な資料

 確定申告をする場合に必要な資料を以下に挙げてみました。なお、全部が必要というわけではありません。各資料とも、対象になる方のみ必要となります。それ以外のものは不要です。

1.税務署から送付された申告書等(昨年書面で申告した方)
                        
2.源泉徴収票(給与所得・年金・退職所得等)
                        
3.配当金の支払調書・支払通知書・配当金計算書等
                        
4.報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
                        
5.保険の満期返戻金・解約金などの計算書
                        
6.配偶者及び家族の源泉徴収票(扶養の可否などの確認に使用、収入がゼロなど明らかに扶養と判断できる場合は不要)
                        
7.国民健康保険の領収書、国民年金・年金基金の控除証明書
                        
8、小規模企業共済等掛金の払込証明書・領収書
                        
9、生命保険料の控除証明書(介護医療・個人年金保険料を含む)

10、地震保険料の控除証明書(旧長期損害保険料を含む)
                        
11、医療費の領収書(生計を一にしている家族であればまとめて申告できます)
                        
12、寄附金の受領証(領収書)・証明書(税額控除の証明書など)
                        
13、住宅ローンの年末残高証明書(入居初年度のみ確定申告が必要となり登記事項証明書や工事請負契約書なども必要となります。、以後の年は年末調整で行います。)
                        
14、増改築等と行った場合の増改築等工事証明書
                        
15、市区町村・都道府県から発行された住宅耐震改修証明書
                        
16、不動産(事業)関連の申告資料
①賃貸収入の明細書・契約書、帳簿等
②固定資産税通知書(固定資産税証明書)
③借入金・支払利子の明細(借入金の返済予定表)
④賃貸物件(事業)の(火災)保険の領収書
⑤賃貸物件に係る修繕費の請求書・領収書
⑥地代その他経費と思われる領収書等
⑦事業関連の請求書・領収書・帳簿等
                        
17、不動産(土地・建物等)の売却(又は買換え)や、株式等の売却があった場合に必要な資料
①登記事項証明書(不動産)
②売買契約書(不動産)
③株式等売買の証明書(特定口座の場合は原則として申告は不要ですが、確定申告をすることで他の控除を差引き所得税・住民税の還付が受けられる場合があります。また、損失は3年繰り越すことができるため確定申告することで次年以降の株式等の譲渡所得を減らすことができる場合があります。)
                        
18、金銭その他の贈与を受けた場合の契約書、振込証明書等→贈与申告
                        
19、災害や盗難などにより損害を受けた場合の証明書等→雑損控除(確定申告)
                        
20、年末時点で国外に5,000万円を超える財産(不動産、預貯金、有価証券など)を有する場合申告が必要

 

 

 

2014年10月24日 (金)

不動産を購入した時の税務上の扱い

 不動産を購入した時には売買代金以外にさまざまな費用が発生します。その中には取得原価(資産計上)にしなければいけないものや、経費にしてもよいものなどがあります。以下にまとめてみました。

区分 個人の場合 法人の場合
①登録免許税・不動産取得税 経費or取得価額 経費or取得価額
②司法書士報酬 経費or取得価額 経費or取得価額
③印紙税 経費 経費
④仲介手数料 取得価額 取得価額
⑤立ち退き料 取得価額 取得価額
⑥固定資産税 取得価額 取得価額
⑦土地とともに取得した建物の取り壊し費用 土地の取得価額 土地の取得価額

2013年8月12日 (月)

孫などへの教育資金の贈与が1,500万まで非課税になる

 平成25年度税制改正では、子・孫への教育資金を一括して贈与する場合、1,500万まで贈与税が非課税になる制度が設けられました。すでに大手信託銀行における制度活用のための

「教育資金贈与信託」の残高は、4月の施工から2か月半で1,000億円を超えたといわれています。

Q1.教育資金の一括贈与の非課税制度とは、どのようなものなのですか。

A1.例えば、祖父母が孫に学校の授業料などの教育資金を贈与した場合(金融機関での教育資金口座の開設が必要)に、一定の要件を満たせば、孫など1人につき1,500万まで贈与税がかからない制度です。

ただし、平成27年12月31日までの措置です。将来にわたって必要となる教育資金を一括贈与しても、贈与税がかからず、次世代への財産承継が可能となることから、相続税対策(※)としても注目されています。

※贈与を受けた孫等が30歳に達するまでに贈与者が亡くなった場合、一括贈与が相続開始3年以内に行われていても、贈与財産に加算されません。ただし、孫等が30歳になると口座等は終了し、残額に贈与税がかかる場合があります。

一定の要件とは次のものをいいます。
①贈与者は子・孫の直系尊属(両親、祖父母、曾祖父母など)に限ります。
②金融機関に孫等の名義の教育資金口座を開設する等の手続きが必要です。
③孫などは30歳未満であること。
④金融機関を経由して「教育資金非課税申告書」を税務署に提出します。

Q2.非課税になる教育資金を具体的に教えてください。

A2.学校の授業料のほか、塾や習い事の費用も対象になります。ただし、学校等に対して支払ったことが領収書等により確認できる費用が対象になります。

①教育資金として認められるもの

学校等への支払で認められるもの
 ●入学料、授業料、入園料、保育料、施設設備費、受験料など
 ●学用品費、修学旅行費、学校給食費など学校教育に必要な費用など
 ●正規課程以外の講座等(幼稚園の預かり保育、子育て支援活動、大学の公開講座など)

学校等以外への支払で認められるもの
 ●(1,500万円の非課税枠内で500万まで)
 ●学習塾の受講料、水泳、野球、ピアノ、絵画などの習い事の月謝など
 ●上記に必要な物品の購入費用
 ●業者から購入する学校指定の学用品等

②教育資金として認められないもの
×下宿代、留学の渡航費、滞在費、一般書店で購入した参考書代、通学定期代等

Q3.複数の金融機関に預けてもよいのでしょうか。

A3.一人の孫などが待つことができる口座等は1つだけです。複数の祖父母から教育資金の贈与を受ける場合にも、その1つの口座等で受払いすることになります。

Q4.教育資金の追加や、中途解約はできますか。

A4. 1,500万円の非課税枠内であれば平成27年12月末までは、教育資金の贈与を追加で受けることができます。

贈与した教育資金を祖父母が払出したり、中途解約することはできません。

※大手信託銀行の調べでは、本制度の平均贈与額は約600万とされています。

Q5.一括贈与の手続きと教育資金の払出しの流れについて教えてください。

A5.金融機関等に孫などの名義の教育資金口座をつくり、教育資金を一括して搬出します。資金の払出しは、孫などが金融機関等に領収書等を提出します。

領収書には、支払日、金額、摘要(支払内容)、支払者(宛名)、支払先の氏名(名称)と所在(所在地)が明らかにされていなければなりません。

また、塾や習い事などの費用については、何に使用したのか(○月分○○料として、○回又は○時間)についても記載されている必要があります。

関連リンク:

教育資金贈与1,500万円の非課税特例(25年度改正)

2013年4月30日 (火)

教育資金贈与1,500万円の非課税特例(25年度改正)

1.概要
30才未満の者(受贈者:孫・ひ孫・子等)が教育資金に充てる為に、直系尊属(曾祖父母・祖父母・父母など)から金融機関等との一定の契約に基づき金銭等の贈与を受け た場合、1,500万円まで贈与税が非課税となります。

2.期間
平成25年4月1日~平成27年12月31日までの間に、口座開設・追加入を行う。

3.金融機関等との一定の契約(教育資金口座開設)とは次のものをいいます
①直系尊属が信託会社と締結した信託の受益権を受贈者が取得した場合
②直系尊属から書面での贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合
③書面での贈与により取得した金銭で有価証券を購入した場合

4.教育資金とは次のものをいいます
①入学金、授業料、入園料、保育料、修学旅行費、給食費
②塾、予備校、習い事・スポーツ教室
 (②の場合1,500万円のうち500万円まで)
③次のものは対象外です→参考書、下宿代、受験にかかる宿泊費・交通費、留学渡航費

5.手順
①金融機関において「教育資金口座」を開設する(教育資金管理契約締結)
②「教育資金非課税申告書」を金融機関へ提出(税務署での手続きは不要)
③学校等へ教育資金をまず自分で支払い領収書等を受け取る(立替払い)
④金融機関へ領収書等を1年以内に提示し払い出しを受ける(ほとんどの金融機関は後払い)
⑤残高がゼロになった場合、もしくは孫等が30才になった時点で終了、口座の残額がある場合は残額に贈与税がかかります

6.教育資金口座を開設できる金融機関等
三菱UFJ信託銀行
三井住友信託銀行(孫への想い)
みずほ信託銀行
りそな銀行(きょういく信託) りそな教育資金贈与Q&A
横浜銀行

6.その他
①孫等が30才になった時点で終了、残ったお金はその時点での税率で贈与税が課税されます
②孫等が亡くなった場合は贈与税は課税されません
③孫等(受贈者)一人につき1,500万円が非課税となります
④相続発生時前3年の加算の対象にはなりません
⑤本制度とは別枠で相続時精算課税制度や暦年課税の非課税枠を使うことができます

<参考>
 :教育資金非課税制度あらましなどについて(国税庁)
 :パンフレット(国税庁)
 :Q&A(国税庁)
 :Q&A(文部科学省)

2012年7月25日 (水)

住宅取得等(マイホーム)資金の贈与税の非課税措置

平成24年末までの贈与なら最大1,610万円まで非課税

 親や祖父母が、子供や孫のために、結婚やマイカー購入などの資金を援助(贈与)すると、資金をもらった子供や孫には、贈与税がかかります。(贈与税の基礎控除額110万までは非課税)
 ところが、マイホーム資金を援助する場合には、一定の要件を満たせば、一定額までの贈与税が非課税になる特例があります(マイホーム資金の贈与の特例)。(図表1)
 今回の改正で、従来の一般住宅を対象とする特例のほか、省エネ・耐震住宅※1を取得した場合の特例が創設され1,500万円の非課税枠が設けられました。(図表2)
 この特例措置は、平成26年末までですが、非課税限度額は毎年、逓減していきます。(図表3)
 なお、この制度を適用するには贈与税の申告が必要です(贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15までに申告する)。

※1生活用エネルギー使用量が削減できる。または耐震性能が高いと認められる住宅として指定確認検査機構などが証明を行った住宅をいいます。

Zu1_3

Zu2_2  Zu3_3

事務所通信平成24年8月号

 

2011年11月14日 (月)

土地の評価が下がったことによる影響

東日本大震災により、土地の評価が下がったことで、相続税額・贈与税額が下がる場合があります。
※対象となる地域がありますのでご確認ください。

◆対象となる方

<相続税>
(1)平成23年3月11日以後に相続税の申告期限が到来する方で、平成23年3月10日以前に相続等により取得 
(2)平成23年3月11日から平成23年12月31日までの間に相続等により取得

<贈与税>
(3)平成22年1月1日から平成23年3月10日までの間に贈与により土地等を取得
(4)平成23年3月11日から平成23年12月31日までの間に贈与により土地等を取得

◆計算例

 路線価のある1路線に面する土地で、平成23年分の路線価 100,000円、地籍 375㎡、奥行25mの場合

(平成23 年分の路線価) (調整率) (調整率適用後の路線価)
    100,000 円   × 0.90  =    90,000 円

(調整率適用後の路線価) (奥行25mに応ずる奥行価格補正率) (1㎡当たりの価額)
     90,000 円   ×         0.99      =    89,100 円

(1㎡当たりの価額 ) (地積)   (自用地の価額)
     89,100 円 ×  375 ㎡  = 33,412,500 円

                               基礎控除     税率   
 上記の計算により、贈与税を計算した場合 ( 33,412,500 - 1,100,000 ) × 50% = 16,156,250

 調整率がなく贈与税計算した場合     ( 37,125,000 - 1,100,000 ) × 50% = 18,012,500

比較すると 1,856,250円の差額が出ます。

※申告する方の状況や物件等により、計算方法が変わりますので、当事務所までお問い合わせ下さい。

2011年8月 8日 (月)

死亡保険金に係る非課税限度の対象者の改正

≪死亡保険金に係る非課税限度の対象者の改正≫

数に入れる法定相続人に制限が設けられました。

 500万円×法定相続人の数(※)

(※)・未成年者
  ・障碍者
  ・相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者

財務省HP→http://www.mof.go.jp/about_mof/bills/177diet/kst230610y2a.htm#03

ちば会計

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