所得税・確定申告・年末調整・雑損控除

2015年8月19日 (水)

「マイナンバー取扱い」の社内への通知と準備

 10月以降、マイナンバーが国民一人ひとりに通知されます。その前(9月中)に、社内に周知し、また来年(平成28年1月)施行前に準備しておきたい事項があります。


1.9月中に全従業員に伝えること
 マイナンバーの通知が開始される10月までに、全従業員(パート.アルバイト等を含む)に次のことを伝えてる必要があります。

①平成27年10月以降、住民票記載の住所にマイナンバーが記載された「通知カード」が簡易書留で届くこと。
※同封されているもの
  ・マイナンバーの「通知カード」
    ・「個人番号カード」の申請書と返信用封筒
    ・マイナンバーの説明書類
②源泉徴収や社会保険関係の事務のために、会社から従業員にマイナンバーの提供を求めること。

③「通知書カード」や「個人番号カード」は、家族の分を含め、紛失しないよう大切に保管すること

④自分や家族のマイナンバーを法令で必要となる事務以外で他人に知らせないこと。


2.自社のマイナンバールールを決める

 企業は、税や社会保険の事務手続きにおいてマイナンバーを取り扱うことになります。
マイナンバーへの対応について、情報漏えいや不正利用を防止するため、社内での取り扱いルールを決め、従業員に周知しましょう。具体的には、次のような対応が必要になります。

①マイナンバーの取扱担当者(総務・経理担当等)を決定し、管理責任者(社長等)に報告する体制を整えます。

②マイナンバーを取り扱う業務を把握しマイナンバーの取得方法などを決めます。

③マイナンバーが、記載された書面や入力された給与システムなどには、取扱担当者以外が、触れることのないようにします(業務に関係のない従業員の眼に触れないこと)

④マイナンバーを書面で収集した場合には、施錠可能なキャビネットに保管します(鍵の管理者を決めること)

⑤法令で定められた目的以外で「通知カード」「個人番号カード」のコピーやマイナンバーのメモをとらないこと(マイナンバーを法令で定められた事務以外で取得することはできません)

⑥マイナンバーが記載された書面を机の上に放置したり(置き忘れ)、ゴミ箱に捨てたりしないこと(ルールに基づいて廃棄する)

⑦給与計算システムなどの業務システムは、利用権限(ユーザIDやパスワード)を設定します。

⑧インターネットに繋がっているパソコンで作業を行う場合は、ウィルス対策ソフトを導入し、自動更新機能を活用し、常に最新状態にしておきます。

⑨マイナンバーの入力作業などを行うパソコンについて、情報漏えい(のぞき見)の防止のために設置場所などを工夫します。
・人の出入りが少ない場所で使用する。
・作業場所を間仕切り等で区分する。

⑩マイナンバーは、法令で定められた利用目的以外で保管しないこと(マイナンバーの記載が必要な書類には、法定保存期間があるものがあります。
(税)扶養控除(異動)申告書→提出期限の属する年の翌年の1月10日の翌日から7年間
(税)退職所得の受給に関する申告書→提出期限の属する年の翌年の1月10日の翌日から7年間
(社保)雇用保険関係書類→退職した日から4年間
(社保)労災保険関係書類→退職した日から3年間
(社保)健康保険・厚生年金保険に関する書類→退職した日から2年間

⑪マイナンバーが記載された書面、入力されたデータの廃棄方法を決めておきます。
・パソコン等で入力されたものは、その情報を削除する。
・書面に記載されたものは、読み取れないようにマスキングしたり、シュレッダー等で断裁する。
・廃棄(断裁)した事実の記録、データ削除時の操作ログを残す。

 以上のようなルールを、業務マニュアル社内規定に盛り込み、従業員に周知してください。

最初から、いきなり高度な取扱いルールを作ることは難しいので、実際に運用しながら、少しずつ内容を充実・強化させていくとよいでしょう。


3.マイナンバー対応点検チェックリスト
自社のマイナンバー制度対応のため、準備の状況を点検してみましょう。

□①マイナンバー事務取扱担当者・責任者を決めましたか?

□②マイナンバーを取り扱う業務(源泉徴収票作成、健康保険、厚生年金保険届出等)を把握できていますか?

□③業務こどに、マイナンバーを取得する時期や方法、本人確認の方法を決めましたか?

□④マイナンバーが記載された書類の保管方法(施錠可能なキャビネット等)を決めましたか?

□⑤マイナンバーが記載された書類の廃棄方法を決めましたか?

□⑥マイナンバーの利用目的や禁止事項を全従業員(パート、アルバイト等を含む)に説明し、周知しましたか?

□⑦利用している計算ソフトが、マイナンバーを暗号化して保存する機能があるなど、安全管理に対応しているか確認しましたか?


4.マイナンバーに関する法律の規制等
   マイナンバーは他の個人情報よりも厳重な取り扱いが番号法(行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)等で求められてします。主な規制内容は下図の通りです。

(1)番号法で定められた規制の内容(事業者の規模の大小を問わず、これらの規制が課されます)

①利用の規制(番号法9条)
 番号法に定められた利用目的以外で、マイナンバーを利用することを禁止。

②提供の制限(番号法19条)
 番号法に定められた利用目的以外で、マイナンバーを他者に提供することを禁止。

③収集、保管の制限(番号法20条・28条)
 番号法に定められた利用目的以外で、マイナンバーを収集・保管することを禁止。番号法で定められた業務を処理するための必要な限度を超えて特定個人情報ファイル(マイナンバーを含んだ個人情報のデータベースなど)を作成することも禁止。

④安全管理措置(番号法12条)
 マイナンバーの漏えい、滅失または毀損の防止その他の適切な管理のために必要な措置をとることが必要。

(2)特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)
 民間事業者が番号法に適切に準拠して特定個人情報(マイナンバーを含む個人情報)を取り扱うための指針や、安全管理措置の実施方法を示したガイドラインです。「特定個人情報保護委員会」という国の機関が告示。ガイドラインの具体的な内容や、ガイドラインの内容を理解するための関連資料は、特定個人情報保護委員会ウェブサイト(http://www.ppc.go.jp)で公表されています。


5.廃棄の方法
  マイナンバーは、法令で定められた用途で利用する場合に限り、保管が認められてします。このため、マイナンバーを使用する業務が終了したら、可能な限り速やかに(随時もしくは定期的に)、復元不可能な方法で廃棄する必要があります。

(1)廃棄すべき時期
・法令で保管期限が定められた書類:その保管期限後
・報酬等の支払先などからマイナンバーを書面で取得した場合:法定調書の提出後

(2):継続的に法定調書等を作成・提出する支払先等の場合
   不動産の使用料など、支払が複数年にわたり継続的に法定調書を作成する支払先については、契約が継続している間は、マイナンバーを保管することができると解されます。



参考hp:
1.マイナンバー 社会保障・税番号制度(内閣官房)

2.社会保障・税番号制度<マイナンバー>について(国税庁)

3.国税の番号制度に関する情報(国税庁)

4.特定個人情報の適正な取扱に関するガイドライン(特定個人情報保護委員会)

5.民間事業者における取扱に関するQ&A(内閣官房)

6.ガイドライン(事業社編)に関するQ&A(特定個人情報保護委員会)

7.番号法(マイナンバー法)等の改正履歴
(内閣官房)

8.政府公報オンライン・マイナンバー特集ページ(内閣府大臣官房政府広報室)

9.マイナちゃん市長表敬訪問(2015年7月17日)(塩竈市)

2015年7月20日 (月)

マイナンバーの「収集・取得」から「利用・提供」「保管・廃棄」まで

 来年(平成28年)1月から順次、マイナンバーの利用が始まります。従業員(パート、アルバイトを含む)を雇用する企業(個人事業者を含む)は、税や社会保険の手続きにおいて、マイナンバーを取り扱うことになります。マイナンバーの取り扱いにおける「取得」「利用、提供」「保管、廃業」までの流れを理解しておきましょう。

1.従業員等からマイナンバーを取得する(取得)

1)全従業員とその扶養家族が対象

 企業は、従業員等のマイナンバーを記載した税や社会保険の書類を行政機関等に提出するため、全従業員(雇用形態は関係なし)と役員からマイナンバーを取得しなければなりません。

 また、日本に居住する外国人にもマイナンバーが付与されるため、外国人従業員からも取得する必要があります。

 派遣社員は、派遣元企業が取得するため、派遣先企業が取得する必要はありません。

 マイナンバーは、扶養控除手続きなどにおいて、従業員本人だけでなく、その扶養家族のマイナンバーも取得する必要があります。

 正社員が少なくても、パート、アルバイト等が多い企業の場合、取り扱うマイナンバーが多くなるため、特に注意が必要です。

※マイナンバーの取得が必要な従業員等
・正社員
・契約社員、嘱託社員
・パート、アルバイト(高校生や大学生も必要)
・外国人従業員
・役員
(上記従業員等の扶養家族も取得が必要)

2)報酬等や不動産関係の支払先も対象

 報酬、料金、契約金等の支払調書や不動産関係の支払調書にもマイナンバーの記載が必要になるため、その支払先からもマイナンバーを取得しなければなりません。

※マイナンバーを記載する書類の例

【税分野】・給与所得の源泉徴収票、給与支払報告書
     ・退職所得の源泉徴収票、特別徴収票
     ・扶養控除等(異動)申告書
     ・報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
     ・不動産使用料の支払調書等

【社会保障分野】
     ・被保険者資格取得・喪失届
     ・報酬月額算定基礎届
     ・健康保険被扶養者(異動)届
     ・国民年金第3号被保険者関係届 等

3)利用目的を通知、公表する

 マイナンバーは、法律で定められた税と社会保険の手続きに使用する以外の目的(自社の顧客管理など)で取得することはできません。

 マイナンバーの取得の際には、あらかじめ従業員等や外部者に対して、その利用目的を特定して、通知または公表する必要があります。

※利用目的の特定の例

・「健康保険.厚生年金保険届出事務」のため
・「源泉徴収票作成事務」のため 等

※利用目的の通知、公表の例

・社員へのメール等での通知
・社内掲示板への掲示
・イントラネットへの公表 等

4)厳格な本人確認が必要

 マイナンバーを取得する際には、他人のなりすまし等を防止するため、厳格な本人確認を行う必要があります。本人確認には、番号確認と身元確認が必要です。

 従業員の本人確認については、雇用関係にあることなどから、本人に相違ないことが明らかである場合は、身元確認は必要ありません。

5)本人確認の方法

・番号確認(記載されたマイナンバーが正しい番号であることの確認)の方法 →通知カード、マイナンバー記載の住民票、個人番号カード(1枚で番号確認、身元確認が可能)等による
・身元確認(そのマイナンバーの正しい持ち主であることの確認)の方法 →運転免許証、パスポート 等、個人番号カード 等による

6)従業員や報酬の支払先からマイナンバーの提供を受けられない(取得できない)とき

 まず、マイナンバーの提供は法律上の義務であることを伝え、従業員等に提供を求めます。

 それでもなお、提供を受けられないのであれば、提供を求めた経過等の記録、保存を行い、単なる(企業側の)義務違反でないことを明確にしておきます。

 マイナンバーの提供を受けられないからといって、安易にマイナンバーの記載のないまま法定調書等を作成しないようにしなければなりません。

2.利用目的以外の利用・提供はできない(利用・提供)

 マイナンバーは、法律で定められた目的以外の利用や提供はできません。たとえ、社員や顧客の同意があってもマイナンバーを社員番号や顧客管理番号などに利用することはできません。

 「個人番号カード」の裏面に記載されたマイナンバーは、法令で認められた場合以外で、書き写しやコピーはできません。

3.必要がある場合のみ保管、必要がなくなれば廃棄(保管・廃棄)

 マイナンバーを含む個人情報(マイナンバーが記載された書類等)の保管は、必要がある場合(継続的な雇用があるなど)や保管義務期間が決まっている場合のみ認められています。

 マイナンバーを保管する必要がなくなった場合は、廃棄、削除しなければなりません。廃棄を確実に行うため、該当書類を事業年度ごとにファイリングするなどして、廃棄すべき時期がわかりやすいようにしておきましょう。

・保管が認められる場合

 ・翌年度以降も継続的に雇用契約が認められる場合
 ・法令で一定期間保存が義務づけられている場合

・廃棄、削除しなければならない場合

 ・税や社会保険の手続きで使う必要がなくなった場合
 ・法令で定められた保存期間を経過した場合 等

4.セキュリテイー対策

 マイナンバー制度は、国や行政など複数の機関に存在する各個人のさまざまな情報を紐付ることで、より効率的・効果的な行政サービスの提供と国民の利便性向上を図るための社会基盤(インフラ)をつくることが目的です。

 一方で、「国による個人情報の一元管理が行われるのではないかは?」「不正利用による被害や情報漏えいの危険性はないのか?」といった国民各層からの懸念や不安の声もないわけではありません。

 マイナンバー制度では、マイナンバーを含む個人情報の漏えい・悪用を防ぐため、制度とシステムの両面から厳格な情報セキュリティー対策がとられています。

1)利用の制限

 マイナンバーは、法令で定められた事務(社会保険、税、災害)以外の目的(顧客リストの作成など)で、マイナンバーを収集、利用、保管等をすることは禁止されています。

2)なりすましの防止

 行政手続きの際、マイナンバーみのでの本人確認は行いません。(運転免許証など本人確認できる身分証明書類が必要です)。

3)第三者機関による監視・監督

 マイナンバーが適切に管理・取扱いがなされているかを第三者機関である特定個人情報保護委員会が監視・監督します。

4)アクセスの記録の確認

 自宅のパソコンから、自分の個人情報にアクセスした行政機関の記録を確認することができます(平成29年1月からの「マイナポータル」の稼働開始により可能)。

5)罰則の強化

 マイナンバーに関する不正行為に対して、厳格に対処するために、マイナンバー法では、個人情報保護法や住民基本台帳法などよりも罰則が強化されています。

 例えば、行政機関の職員が個人情報ファイルを漏えいした場合、行政機関等個人情報保護法では「2年以下の懲役または100万円以下の罰金」ですが、番号法では「4年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはその両方」を科すことができると規定されています。

6)個人情報の分散管理

 マイナンバーによって、各行政機関が持っている情報を一か所の機関にまとめる一元管理は行われません。従来通り、年金情報は日本年金機構、税情報は国税庁といったように分散管理が行われます。

例えば、先日の日本年金機構による情報流出事件のような場合、日本年金機構の持つ情報だけが流出し、芋づる式の情報漏えいが起こらないしくみにしています。

7)システムへの接続制限

 行政機関同士の間で情報をやりとりするときも、マイナンバーを直接使わないようにしたり、システムにアクセスできる人を制限したり、通信する場合は暗号化を行います。

参考hp:
1.マイナンバー 社会保障・税番号制度(内閣官房)

2.社会保障・税番号制度<マイナンバー>について(国税庁)

3.国税の番号制度に関する情報(国税庁)

4.特定個人情報の適正な取扱に関するガイドライン(特定個人情報保護委員会)

5.民間事業者における取扱に関するQ&A(内閣官房)

6.ガイドライン(事業社編)に関するQ&A(特定個人情報保護委員会)

7.番号法(マイナンバー法)等の改正履歴
(内閣官房)

8.政府公報オンライン・マイナンバー特集ページ(内閣府大臣官房政府広報室)

9.マイナちゃん市長表敬訪問(2015年7月17日)(塩竈市)

 

 

マイナンバー制度の目的と個人の利便性

 マイナンバー制度は平成28年1月から開始されますが、制度の目的など基本的なことが、まだ国民各層によく浸透していないようです。しかし、従業員からマイナンバーを提供してもらうことになるため、一人ひとりの従業員にもマイナンバーの目的を理解してもらう必要があります。

1.今なぜ、マイナンバーなのか?

 わが国では、年金や健康保険、税金、住民票、雇用保険などに付された個人を特定する情報や番号等は、それを管轄する機関ごとにバラバラに付番、管理されているため、一つの情報の変更や修正が行われても、その他の機関に反映されないなどの不備があり、また過去には「消えた年金記録」のような不祥事も発生しました。

 このような問題が起きないよう、社会保障と税に関する同一の個人情報を結びつける社会基盤(インフラ)としてマイナンバー制度が導入されます。

2.国民にとってのどのような利便性があるのか?

 マイナンバーによって、国や自治体等は、年金や健康保険、税金に関する個人情報の名寄せなどの効率化が可能になり、国民にとっても利便性の向上が図られます。

(1)社会保障、税などの手続きを簡素化

 マイナンバーを活用することで、各行政機関同士、あるいは行政機関内部においての情報連携が正確.迅速に行われるため、各種の申請に必要な所得証明書や住民票等の添付書類等が省略できるようになります(平成29年以降順次)

(2)社会保障・税などの適正・公平化を図る

 年金などの給付漏れや誤り、不正受給、社会保険の加入漏れや保険料の徴収漏れ、所得の過少申告、税の不正還付等の防止が図られます。

 また、各人に制度改定や各種給付の案内なとが直接届くようになります。

(3)災害時の行政支援への活用

 災害時における、被災者台帳、要援護者リスト等の作成や、銀行預金の引き出し、保険会社の保険金支払い等の本人確認にも活用されます。

3.マイナンバー制度のスケジュール

(1)平成27年10月から

 日本在住の全国民(赤ちゃんからお年寄りまで)にマイナンバーが割り当てられ、市区町村から簡易書留で世帯ごと(4人家族なら4人分)に通知カードが送られます。紛失などに注意しましょう(マイナンバーは原則として一生変わりません)

(2)平成28年1月から

 平成28年1月から、社会保障(年金、健康保険・介護保険、労働保険等)と税(国税・地方税 )の分野でマイナンバーの利用が始まります。

 民間企業は、源泉徴収票や社会保険の届出書類の作成にあたり、従業員等からマイナンバーの提供を受ける必要があります。

 国民は、市区町村へ申請すれば、「個人番号カード」(顔写真付きICカード)を受け取ることができます。

※個人番号カードの機能
 ・身分証明書になる
 ・健康保険証などの機能(検討中)
 ・図書館カードや印鑑登録証に利用
 ・各証明書をコンビニで交付 など

(3)平成29年1月から

 ネット上に個人用サイト「マイナポータル」が開設され、自宅用のパソコンから、行政機関が持つ自分の個人情報の内容や自分の年金や社会保険給付の状況などを確認することが可能になります。

 また、マイナポータルを通じて、引っ越しなどの手続きを一度で済ませられるなどのサービスも検討されています。

 さらに、平成30年以降をめどに、医療情報、戸籍、預金口座への活用が検討されています。

4.制度開始までに企業が対応すべきこととは

 各企業は、規模の大小に関わらず、健康保険や厚生年金、源泉徴収の手続きや法定調書の提出にあたり、従業員等のマイナンバーを使うことになります。

 マイナンバーは、その取扱いにあたり、関係者以外の閲覧禁止や流失防止などの安全管理に厳しい規制があるため、制度開始までに、人事給与計算システムのチェックや対応が必要になります

補足1.制度の概要

 マイナンバーの利用にあたっての社内体制、システム対応、規程作成などの具体的な対応についての情報はもちろん必要ですが、広く世間一般から見ると、そもそも「何のための制度なのか?」「国民の暮らしや社会がどう変わるのか?」といった点への理解が浸透していないようです。

 また、マイナンバーのような番号制度は、過去にも何度か導入が検討されましたが、プライバシーへの不安などから国民の反対に遭い、実現に至らなかったという歴史があります。そのため、年配の経営者や従業員の間には、マイナンバー制度への不安をお持ちの方も少なくないと思われます。

 企業は、社会保険や税の事務手続きにおいて、従業員からマイナンバーを提供してもらう必要があり、その事務をスムーズに進めるためにも、経営者や経理担当者だけでなく広く従業員に制度そのものの目的などを正しく理解してもらうことも必要になってきます。

補足2.制度の導入までの経緯

 1960年代後半(昭和40年頃)には、コンピュータ化の進展に伴い、各省庁、各手続こどにバラバラに付番、管理されていたコードを統一化して、行政の効率化を図るための「国民総背番号制度」が検討されました。

 1980年(昭和55年)には、少額貯蓄非課税制度(マル優)の不正利用を防止するために、利用者に納税者番号を付した「グリーンカード」の取得を義務付ける方法が考えられました。

 しかし、いずれも、国家による個人のプライバシー侵害などをおそれる国民の強い反対などもあって実現には至りませんでした。

 2003年(平成15年)には、行政サービスの向上と行政事務の合理化を目的に、住民基本台帳をもとに本人確認ができる全国共通のシステムとして、「住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)」が稼働しました。

これは、住民一人ひとりに特定の番号(住民票コード)を付して、本人確認を容易にしようとするものです。

しかし、過去の「国民総背番号制度」「グリーンカード」の反省から、その利用場面が限定されてしまい、広く社会で使われる番号制度にはなりませんでした。

 このように、過去、国民から反発のあった番号制度ですが、2007年(平成19年)記憶にも新しい「消えた年金記録問題」が転機になります。

この件により、年金納付や社会保険関係の給付の記録は、各人こどに唯一のコード番号によって管理しない限り、現在の戸籍制度、漢字表記では確実なマッチングができないことが明確になりました。

 また、2008年(平成20年)に最高裁において、住基ネットは「プライバシーを侵害するものではない」との合憲判決が出されたことも制度導入の追い風になりました。

補足3.導入の目的とねらい

(1)行政側のメリット

 国民および企業等が、社会保障、税に関する各種手続きに本人及び従業員等のマイナンバーを記載することで、行政機関等が保有、管理する各種の個人情報にマイナンバーが付番されることになります。

 これにより、行政機関等が保有、管理する個人情報同士を、マイナンバーを使って検索したり、紐付したりすることが可能になります。

(2)国民のメリット

 行政機関等への各種手当の申請や、所得税等の確定申告にあたり、他の行政機関等が発行した証明書(住民票の写し、所得証明書等)を添付書類として提出することがよくあります。

マイナンバーが導入されると、ネットワーク経由で、行政機関同士が情報を要求、提供することができるようになり、このような証明書の提出(添付)が不要になります。

 例えば、平成27年度税制改正において、所得税確定申告で住宅ローン減税を適用する場合に、従来は「住民票の写し」を添付する必要がありましたが、平成29年1月以降の申告から廃止されます。

 

参考hp:
1.マイナンバー 社会保障・税番号制度(内閣官房)

2.社会保障・税番号制度<マイナンバー>について(国税庁)

3.国税の番号制度に関する情報(国税庁)

4.特定個人情報の適正な取扱に関するガイドライン(特定個人情報保護委員会)

5.民間事業者における取扱に関するQ&A(内閣官房)

6.ガイドライン(事業社編)に関するQ&A(特定個人情報保護委員会)

7.番号法(マイナンバー法)等の改正履歴
(内閣官房)

8.政府公報オンライン・マイナンバー特集ページ(内閣府大臣官房政府広報室)

9.マイナちゃん市長表敬訪問(2015年7月17日)(塩竈市)

 

 

2015年7月12日 (日)

現物給与の源泉所得税に注意!

企業(事業者)は、従業員の給与から毎月、所得税の源泉徴収を行っています。課税対象となる給与は、金銭だけではありません。自社の商品、製品の支給や値引販売、食事や社宅等の貸与なども現物給与として課税対象になる場合があります。


1.徴収もれに注意!

従業員への通勤定期券、自社の商品、製品の値引販売、食事、社宅の提供などは現物支給になります。ただし、現物給与には3.のように非課税とされるものもあります。

 このように現物給与は、実務的にも複雑で、誤解や誤りも多く、源泉徴収を対象にした税務調査でもよくチェックされるところです。

源泉徴収漏れを指摘されると、従業員から源泉徴収の不足分を改めて徴収しなければなりません。

 

2.社会保険料算定の際も現物給与を合算

 厚生年金保険および健康保険の保険料算定の基礎となる標準報酬月額を求める際、現物給与と金銭によるものの合算が必要な場合があるので注意しましょう。

 この場合の現物給与の価額は、食事や住宅については厚生労働大臣の定める金額になり、自社の商品・製品については、原則として時価で換算します。


3.主な現物給与で非課税になるもの

1)通勤定期券 …1か月あたり10万円まで

2)永年勤続者への記念品 …おおむね10年以上の勤続者を対象にしたもので、2回以上表彰を受ける人は概ね5年以上の間隔が開いていること

3)創業記念品等 …その処分見込額が10,000円以下であること

4)食事の支給 …従業員が食事価格の1/2以上を負担し、負担額が月額3,500円以下

5)残業、宿日直時の食事 …通常の勤務時間外における残業、宿日直者に対して支給する食事

6)深夜勤務者の夜食代補助 …深夜勤務者の夜食代(金銭)で勤務1回につき300円以下のもの

7)祝いの金品、見舞金等 …社会通念上相当なもの

8)商品、製品の値引販売 …取得価額以上で、かつ、通常り販売価額の概ね70%以上の価額

9)宿日直料 …勤務1回につき4,000円(食事が支給される場合はその価格を控除した残額)

10)貸与住宅 …家賃相当額で一定の要件に該当するもの

11)災害等による生活資金の無利子貸付け …災害等により従業員へ臨時に多額の生活資金を無利子で貸し付けた場合、その利息相当額

12)レクリエーション費用の負担 …社会通念上一般に行われるレクリェーション費用(任意の不参加者への金銭支給や役員だけを対象とする場合を除きます)

参考hp:
No.2508 給与所得となるもの(国税庁タックスアンサー)
No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行
No.2594 食事を支給したとき

2015年6月30日 (火)

税務・社会保険のマイナンバーの事務

平成28年1月から、マイナンバー制度が始まります。マイナンバー制度は、住民票を有するすべての人(個人)に対して、一つのマイナンバーを付し企業等に対しては法人番号を付して共通の社会基盤として番号を活用することにより、「公平・公正な社会の実現」「国民の利便性の向上」「行政の効率化」を目的として導入されます。

具体的には、平成27年10月から、住民票の住所宛に、マイナンバーが記載された「通知カード」が郵送されます。

(1)民間企業もマイナンバーを扱います
 会社は、従業員の健康保険・厚生年金の加入手続きを行ったり、従業員の給料から源泉徴収を行って税金を納めたりしています。
また、外部の方に講演や原稿の執筆を依頼し、報酬を支払う場合、報酬から税金の源泉徴収を行い、支払調書を作成しています。
マイナンバー制度が開始されると、会社は、これらの書類にマイナンバーを記載する必要があります。そのため、会社では、次のような対応が必要になります。

(2)従業員等からマイナンバーの提供を受ける
 従業員(その扶養家族を含む)から、マイナンバーを記載した扶養控除等(異動)申告書を提出してもらうなど、マイナンバーを提示してもらい、本人確認を行う必要があります。同様に、外部の方からも支払調書などの作成のためにマイナンバーを提示してもらい、本人確認を行います。
 なお、従業員には、正社員だけでなく、パート・アルバイトも含まれます。

(3)マイナンバーを記載、提供する
 会社は、源泉徴収票や支払調書、社会保険の資格届などの作成にあたり、従業員等から提供されたマイナンバーを記載します。
 会計事務所などに源泉徴収票等の作成・提出を委託している場合は、マイナンバーを提供します。

(4)マイナンバーの保管管理を徹底する
 従業員等から提供されたマイナンバーは、書類作成に備え、書面やデータ等により収集.保管することができます。ただし、マイナンバーを利用する目的以外の収集.保管はできません。
 保管期間が過ぎたなど、利用する可能性がなくなったマイナンバーは廃棄します。マイナンバーの漏えい、滅失.毀損等には罰則規定がありますので、厳重な管理が求められます。

(5)制度開始までに準備が必要なこと
 マイナンバー制度が始まるまでに、各企業では、次のような準備が必要になります。
 ①人事・給与などのシステムの導入や改修
 ②従業員への研修や社内規定の作成
 ③個人情報の安全管理措置の検討

(6)従業員に周知しておくこと
①㍻27年10月から、マイナンバーが記載された「通知カード」が簡易書留で届くこと
 「通知カード」は、住所宛(住民票に記載の住所)に簡易書留で届きます。住所変更をしている場合は、必ず新住所を市町村に届け出ておいてください。
②届いた「通知書カード」を絶対に紛失しないこと
 「通知書カード」は、勤務先等へのマイナンバーの提供時の本人確認のために必要なものであり、また「個人番号カード」の交付を受けるために必要なものですから、絶対に紛失しないように管理してください。「個人番号カード」は、㍻28年1月以降、各市町村で申請手続きをして発行してもらうことができます。
③マイナンバーは他人に教えないこと
 社会保障や税の手続きで行政機関や勤務先に提示する以外は、「通知カード」に記載されたマイナンバーを絶対に他人に教えないでください。
④「扶養控除等(異動)申告書」などの提出の際、マイナンバーの記載が必要になること
 平成28年1月以降、税務や社会保険関係の書類を会社に提出する際には、従業員本人とその扶養家族のマイナンバーを記載する必要があります。
 
(7)通知カードと個人番号カードの違い
①平成27年10月から、全国民に簡易書留で郵送されます。顔写真ではなく、身分証明書としては使用できません。
「個人番号カード」を受けるまでの間、行政機関等の窓口で、マイナンバーの提供を求められた際に、他の本人確認書類とともに利用可能です。
②表面に氏名、住所等とともに顔写真が表示され、マイナンバーは裏面に記載されます。これらの情報はICチップに記録されます。平成28年1月以降、希望者に発行されます(その際、通知カード、住民基本台帳カードを返納します)。
身分証明書として使用することができます。

参考HP:
社会保障・税番号制度<マイナンバー>(国税庁)

2015年2月15日 (日)

確定申告に必要な資料

 確定申告をする場合に必要な資料を以下に挙げてみました。なお、全部が必要というわけではありません。各資料とも、対象になる方のみ必要となります。それ以外のものは不要です。

1.税務署から送付された申告書等(昨年書面で申告した方)
                        
2.源泉徴収票(給与所得・年金・退職所得等)
                        
3.配当金の支払調書・支払通知書・配当金計算書等
                        
4.報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
                        
5.保険の満期返戻金・解約金などの計算書
                        
6.配偶者及び家族の源泉徴収票(扶養の可否などの確認に使用、収入がゼロなど明らかに扶養と判断できる場合は不要)
                        
7.国民健康保険の領収書、国民年金・年金基金の控除証明書
                        
8、小規模企業共済等掛金の払込証明書・領収書
                        
9、生命保険料の控除証明書(介護医療・個人年金保険料を含む)

10、地震保険料の控除証明書(旧長期損害保険料を含む)
                        
11、医療費の領収書(生計を一にしている家族であればまとめて申告できます)
                        
12、寄附金の受領証(領収書)・証明書(税額控除の証明書など)
                        
13、住宅ローンの年末残高証明書(入居初年度のみ確定申告が必要となり登記事項証明書や工事請負契約書なども必要となります。、以後の年は年末調整で行います。)
                        
14、増改築等と行った場合の増改築等工事証明書
                        
15、市区町村・都道府県から発行された住宅耐震改修証明書
                        
16、不動産(事業)関連の申告資料
①賃貸収入の明細書・契約書、帳簿等
②固定資産税通知書(固定資産税証明書)
③借入金・支払利子の明細(借入金の返済予定表)
④賃貸物件(事業)の(火災)保険の領収書
⑤賃貸物件に係る修繕費の請求書・領収書
⑥地代その他経費と思われる領収書等
⑦事業関連の請求書・領収書・帳簿等
                        
17、不動産(土地・建物等)の売却(又は買換え)や、株式等の売却があった場合に必要な資料
①登記事項証明書(不動産)
②売買契約書(不動産)
③株式等売買の証明書(特定口座の場合は原則として申告は不要ですが、確定申告をすることで他の控除を差引き所得税・住民税の還付が受けられる場合があります。また、損失は3年繰り越すことができるため確定申告することで次年以降の株式等の譲渡所得を減らすことができる場合があります。)
                        
18、金銭その他の贈与を受けた場合の契約書、振込証明書等→贈与申告
                        
19、災害や盗難などにより損害を受けた場合の証明書等→雑損控除(確定申告)
                        
20、年末時点で国外に5,000万円を超える財産(不動産、預貯金、有価証券など)を有する場合申告が必要

 

 

 

2015年2月 3日 (火)

確定申告で医療費控除を受けるには

1.医療費控除を受けるには確定申告が必要です。

  医療費控除を受けるには確定申告をしなければなりません。(年末調整では控除は受けられません。)
昨年1年間の医療費の領収書等を集計して、翌年の確定申告書提出時期(通常2/16~3/15:曜日の関係で前後します)に提出しなければなりません。
                        
                        
2.医療費控除とは?

  医療費控除とは、本人や家族(生計をとものする配偶者やその他の親族)のために支払った1年間の医療費が一定の金額を越えた場合に、確定申告することで税金の還付もしくは軽減を受けることができる制度です。
  その年の所得から、支払った一年間の医療費の額をそのまま差し引くのではなく、一年間の医療費から保険などの補てん金(ある場合)と10万円(総所得金額が200万円未満の人は所得の5%)を差引いた金額を医療費控除額として総所得金額から差し引きます。
 *保険などの補てん金には次のようなものがあります
  …生命保険等の入院給付金、健康保険の高額療養費、出産育児一時金
  *なお、補てん金を差引く場合はその対象となった疾病等の治療費から差引くのみで、差引き残が出てもほかの治療費から差引く必要はありません
                        
                        
3.医療費控除の対象となる医療費とは?

  医療費控除の対象となる医療費とは、支払った医療費のうち治療などのために使った通常必要となるものが対象となります。(その病状に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額(消費税等が含まれる場合は含んだ金額)でその年に支払われたものとされます。所基通73-3~7他)
                        
                        
【医療費控除の対象となる医療費の例】
                        
①医師、歯科医師に支払った医療費
                        
②治療、療養に必要な医療費の購入費用
                        
③病気やケガなどで病院等に運ばれた際の費用
                        
④通院等のために通常必要な交通費
 (電車やバス等は対象となりますが、自家用車で通院する場合のガソリン代・駐車場の料金等は含まれません)
                        
⑤保健師や看護師、付添婦などに支払った療養上の世話を受けるための費用
                        
⑥助産師による分べんの介助料
                        
⑦介護保険制度の下で提供された一定のサービスの自己負担額
                        
⑧治療のために按摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師などに支払った施術費
                        
⑨入院の際の部屋代や食事代、治療等に直接必要な医療用器具等(コルセット等)の購入費
 (ただし、入院のための日常生活用品の購入費用は含まれません)
                        
⑩6ヶ月以上寝たきりの場合などのおむつ代(原則医師の証明書が必要) 
                        
⑪医師等による診療や治療を受けるために直接必要な、義手、義足、松葉杖、義歯、補聴器などの購入費用 など
                        
                        
4.医療費控除の対象になるもの(一例)

①生計を一にする社会人の子供のために支払った医療費も対象になる
 「生計を一にする」とは、扶養や同居が要件となるのではなく、同じ生活共同体で日常生活の糧をともにしていることです。
生計を一にしていれば次のような場合も、その医療費を支払った人が医療費控除を受けられます。
 1)共働きの夫婦で夫が配偶者控除の対象とならない妻の医療費を支払った。
 2)父親が社会人の子供の医療費を支払った。

②レーシック手術の費用は対象になる
   眼科医による視力回復のためのレーシック手術(視力回復レーザー手術)や角膜矯正療法(オルソケラトロジー治療)の費用は医療費控除の対象になります。(角膜矯正療法による、特殊なコンタクトレンズの購入費用も医療費控除の対象となります。) (所令207、所基通73-3)
                        
                        
5.医療費控除の対象にならないもの(一例:医師の指示によるものなど条件によって対象になるものもあります)

①メガネの購入費用
  近視や遠視などのために日常生活の必要性に基づき購入されるものは、視力を回復させる治療の対価ではないので、医療費控除の対象とはなりません。しかし、斜視、白内障、緑内障などで手術後の機能回復のために短期間装用するものや、幼児の未発達視力を向上させるために装着を要するための眼鏡などで、治療のために必要な眼鏡として医師の指示で装用するものは、医師による治療の一環として直接必要な費用なので、医療費控除の対象となります。

②人間ドック・健康診断の費用
 人間ドックや健康診断の費用は、疾病の治療を行うものではないので、原則として医療費控除の対象とはなりません。
   しかしその診断の結果、疾病等が発見されて引き続き治療を行った場合は、その健康診断等は治療に先立って行われる診察と同様に考えることができるので、その健康診断等のための費用も医療費控除の対象になります。(所基通73-4)

③インフルエンザ予防接種の費用は対象にならない
  インフルエンザの予防接種は、病気の治療ではなく、あくまでも予防であるため医療費控除の対象にはなりません。 (インフルエンザに感染した場合の医療機関での診察費用は医療費控除の対象になります)

④自家用車による通院のためのガソリン代等は対象にならない
   通院のための交通費(電車やバス等)は医療費控除の対象になりますが、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金などは対象にはなりません。

⑤健康サプリメントや栄養ドリンクの購入費用は対象にならない
   健康サプリメントや栄養ドリンク、ビタミン剤などの病気予防や健康増進のための医薬品の購入代金は、治療目的ではないので医療費控除の対象にはなりません。

⑥美容目的のための歯列矯正は、医療費控除の対象にはなりません。ただし発育段階にある子供の成長を阻害しないために行う不正咬合の歯列矯正の費用は対象になります。
                        
                        
6.その他
                        
①以前に医療費を支払っていて申告を忘れていたという場合、医療費控除は5年前までさかのぼって申告することができます。(更正の請求)

②12月に治療を受けたが、支払や口座引き落とし、クレジットの決済が1月になったという場合は、1月の年の医療費控除として申告することになります。

③領収書は確定申告書に添付するか、提出の際に提示する必要があります。この場合は5年間保存しなければなりません。
   電子申告で“第三者作成書類の添付省略”をする場合も同様で5年間保存です。
                        
e-Taxを利用して所得税の確定申告書を提出する場合の「源泉徴収票」や「医療費の領収書」などの第三者作成書類の添付省略の制度

(参考)
所得控除(国税庁→税について調べる→質疑応答事例→所得税)
所得税確定申告書作成コーナー(平成26年分)
申告書に添付・提示する書類

 

2015年1月 5日 (月)

役員・個人事業主の退職金(小規模企業共済)

 小規模企業共済制度は、小規模企業の役員が退職したり、個人事業をやめたりした場合などに備えてその生活資金等をあらかじめ積み立てておく、経営者等のための退職金積立制度です
 

1.加入対象は一定の従業員数以下の個人事業主及びその共同経営者、会社等の役員
 加入できるのは、常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)は5人以下)の個人事業主やその経営に携わる共同経営者、会社等の役員です。
 

2.掛金全額を所得控除することができる
 掛金月額は1,000円から70,000円までの範囲で自由に選ぶことができます(500円刻み)。この掛金は税法上、掛金全額を契約者個人の所得から控除でき節税できます。
・一括して受け取られる共済金は退職所得扱い
・10年または15年で受け取られる分割共済金は公的年金などと同様の雑所得扱い
・掛金月額は一定の手続きで増額・減額が可能
 

3.掛金は前納でき割引がある
 掛金は前納できます。そして前納月数が12か月以内であれば、掛金全額を前納した年分の所得控除額とすることができます。
 また掛金を前納した場合には割引があり、前納掛金に対して一定割合の前納減額金を受け取ることができます。
 

4.その他
 共済金の受取は、「一括受取」・「分割受取」及び「一括受取と分割受取の併用」(分割受取を利用の場合一定の要件あり)が可能です。
 また、加入者には低利の貸付制度(担保、保証人不要)があります。
 

(参考)
小規模企業共済 (独立行政法人 中小企業基盤整備機構)
 

 

 

2014年12月 1日 (月)

年末調整(準備事項と添付書類)

 年末調整では、以下の2種類の申告書の記入と添付資料の準備が必要となります。記載や添付のもれがないか確認しましょう。
                        
                        
1.平成26年分扶養控除等(異動)申告書
              
① 本人の住所・氏名・生年月日の記載。および本人印を確認。給与の支払者受付印の押印。
② 本人が勤労学生の場合は、各種学校等の生徒である旨の証明書類の添付。
③ 配偶者の有無の確認。控除対象配偶者がいる場合は、配偶者の氏名、生年月日、住所、年間所得見積額の記載の確認。
④扶養親族がいる場合、家族の氏名・続柄・生年月日・住所・年間所得見積額の記載の確認。
⑤「障害者」欄に記載がある場合、「身体障害者手帳」等で確認。
⑥中途入社した社員に前職がある場合、前職分の「源泉徴収票」を添付。
                        
                        
2.平成26年分保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書
                                                          
①本人の住所・氏名の記載。および本人印を確認。給与の支払者受付印の押印。
②生命保険料控除がある場合、控除証明書類が添付されているか確認。および新・旧の保険料、介護保険料、新・旧の個人年金の金額が正しく記載されているか確認。
③地震保険料控除がある場合、控除証明書類が添付されているか確認。および地震保険料・旧長期損害保険料の金額が正しく記載されているか確認。
④社会保険料控除がある場合、国民年金・年金基金の控除を受ける場合は、国民年金保険料控除証明書が添付されているか確認。および金額が正しく記載されているか確認。
⑤小規模企業共済等の支払がある場合は、中小企業基盤整備機構等が発行した証明書類等が添付されているか確認。および金額が正しく記載されているか確認。
⑥配偶者特別控除の対象となる場合、本人の合計所得金額の見積額と配偶者の氏名・合計所得金額の見積額、配偶者特別控除額が正しく記載されていることを確認。
                        
                        

3.平成26年分給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書・住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書

①本人の住所・氏名・生年月日の記載。および本人印を確認。給与の支払者受付印の押印。
②「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」が平成26年分申告書であることを確認。

                         
                        

2014年10月24日 (金)

不動産を購入した時の税務上の扱い

 不動産を購入した時には売買代金以外にさまざまな費用が発生します。その中には取得原価(資産計上)にしなければいけないものや、経費にしてもよいものなどがあります。以下にまとめてみました。

区分 個人の場合 法人の場合
①登録免許税・不動産取得税 経費or取得価額 経費or取得価額
②司法書士報酬 経費or取得価額 経費or取得価額
③印紙税 経費 経費
④仲介手数料 取得価額 取得価額
⑤立ち退き料 取得価額 取得価額
⑥固定資産税 取得価額 取得価額
⑦土地とともに取得した建物の取り壊し費用 土地の取得価額 土地の取得価額

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