法人

2015年9月23日 (水)

自転車に対する規制強化への対応

 飲酒運転や信号無視などの危険な行為を繰り返す自転車の利用者に「自転車運転者講習」を義務づけるなどの規制を盛り込んだ改正道路交通法が施行されました。
 今回の改正を機に、社内規定の見直しを検討してみましょう。
 
 

 

1.悪質な利用者に講習を義務づけ

 改正法では、一定の危険行為をして、3年以内に2回以上違反があった悪質自転車運転者には、講習の受講が義務づけられました。

受講時間は3時間で、手数料は5,700円です。この講習を受けないと5万円以下の罰金刑になります。
 

 

 

2.社内規定を見直しましょう

 今回の道路交通法の改正により、講習につながる「14項目の危険行為」が定められています。

 自動車と異なり、自転車については、車両使用に関する社内規定の整備や、安全管理指導がきちんとなされていないのが実情といえます。一方で、従業員が業務中に自転車事故等を起こした場合、会社の責任が問われることも予想されます。

 就業規則においては、これらの項目をもとに自転車運転時の禁止事項を定めるとよいでしょう

 また、自転車通勤を認める場合は、必ず許可制にし、「自転車通勤許可申請書兼誓約書」等の書面の提出を求めるようにしましょう。
 

 

3.講習につながる自転車の「危険行為」14項目

①信号無視

②通行禁止違反(歩行者天国の走行など)

③歩道における車両の義務違反(徐行違反)

④通行区分違反(車道の右側通行など)

⑤路側帯通行時の歩行者の通行妨害

⑥遮断踏切(警報機の鳴っている踏切)立ち入り

⑦交差点安全進行義務違反等(交差点を通行するときの他車の進路妨害など)

⑧交差点優先車妨害等(交差点で右折するときの直進車の進路妨害など)

⑨環状交差点安全進行義務違反等

⑩指定場所一時不停止等(止まれ)の無視など

⑪歩道通行時の通行方法違反

⑫制動装置(ブレーキ)不良自転車運転

⑬酒酔い運転

⑭安全運転義務違反(携帯電話、傘の使用など)
 

4.就業規則の例

第〇条(自転車運転での禁止事項)

自転車に乗車する場合は、道路交通安全に関する法令に従って運転を行うとともに、以下の各号に定める運転をしてはならない。

①酒酔い(飲酒)運転

②心身が著しく疲労しているなど、正常な運転が困難な状態での運転

③携帯電話を使用しながらの運転

④傘をさしながら等危険な姿勢での運転

⑤ブレーキの不良その他整備不良状態での運転

⑥天災地変、その他道路事情が安全運転に困難と予想されるときの運転

⑦その他、道路交通法令(改正道路交通法)(平成27年6月1日施工)等が禁止している事
項に該当する運転

売掛金管理の徹底(黒字化・資金繰り改善)

 黒字化や資金繰り改善のためには、何から着手すればよいでしょうか。月次決算の一つひとつの勘定科目の数値をよく吟味することで、そのヒントが見えてきます。
 例えば、それほど売上が伸びていないのに、売掛金が急増している場合は、その中味をよく吟味しましょう。

 

1.請求書は、毎月確実に発行していますか?

 売掛金の回収漏れがないように、請求書は決まった様式で毎月一定日(毎月20日締め、月末締めなど)に必ず発行していますか。
 請求書の発行が遅れたり、請求内容(価格・数量、送料負担等)に誤りがあると、クレームにもつながり、それが原因で得意先の支払が遅れることにもなりかねません。
 売上、返品や値引きがあれば、すぐに売上の計上や修正が行われるよう、営業と経理の連絡を密にして、売上の計上漏れや請求ミスをなくしましょう。
 また、値引きは、売上や利益の減少にもつながりますので、注意が必要です。

<<売掛金管理のポイント>>

①売上や返品・値引きの情報が営業から経理へきちんと伝達され、漏れなく処理されている。

②請求書は、決まった様式で毎月一定日に必ず発行している。

③送料の負担(自社か相手先か)明確になっている。

④得意先ごとの売掛金残高を確認し、回収漏れがあれば、すぐに対応している。
 

 

2.得意先ごとの売掛金残高を確認していますか?

 売上が伸びているときは売掛金の残高も大きくなりがちですが、売上が伸びていないにも関わらず、売掛金が増えているような場合があります。これは、売上があっても代金回収が進んでいないということですから、それだけ資金繰りは苦しいはずです。

 得意先ごとに売掛金残高を確認し、回収遅れがないか確認します。そして、回収が遅れている得意先については、「なぜ、遅れているのか」その原因と責任者をはっきりさせ、いつ、どのように回収するか、対応策まできちんと決めましょう。

 回収遅れの原因が自社にあるような場合は、早急に手を打ちましょう。また、未回収の長期売掛金は、金融機関から不良債権とみなされる可能性もあるため、注意しましょう。

<<自社に原因がある例>>

①回収遅れに対する責任やルール等が不明確なため、対応が遅れている。

②営業担当者が、成績(売上)アップのため、支払のよくない取引先にも販売している。

③自社のクレーム対応等が不十分なため、取引先から支払を見合わされている。

④返品・値引きなどの漏れや請求金額の誤りがあり、取引先から支払を見合わされている。

⑤営業担当者への業績評価が売上のみで回収が評価の対象になっていないため、回収が疎かになっている

2015年7月20日 (月)

マイナンバーの「収集・取得」から「利用・提供」「保管・廃棄」まで

 来年(平成28年)1月から順次、マイナンバーの利用が始まります。従業員(パート、アルバイトを含む)を雇用する企業(個人事業者を含む)は、税や社会保険の手続きにおいて、マイナンバーを取り扱うことになります。マイナンバーの取り扱いにおける「取得」「利用、提供」「保管、廃業」までの流れを理解しておきましょう。

1.従業員等からマイナンバーを取得する(取得)

1)全従業員とその扶養家族が対象

 企業は、従業員等のマイナンバーを記載した税や社会保険の書類を行政機関等に提出するため、全従業員(雇用形態は関係なし)と役員からマイナンバーを取得しなければなりません。

 また、日本に居住する外国人にもマイナンバーが付与されるため、外国人従業員からも取得する必要があります。

 派遣社員は、派遣元企業が取得するため、派遣先企業が取得する必要はありません。

 マイナンバーは、扶養控除手続きなどにおいて、従業員本人だけでなく、その扶養家族のマイナンバーも取得する必要があります。

 正社員が少なくても、パート、アルバイト等が多い企業の場合、取り扱うマイナンバーが多くなるため、特に注意が必要です。

※マイナンバーの取得が必要な従業員等
・正社員
・契約社員、嘱託社員
・パート、アルバイト(高校生や大学生も必要)
・外国人従業員
・役員
(上記従業員等の扶養家族も取得が必要)

2)報酬等や不動産関係の支払先も対象

 報酬、料金、契約金等の支払調書や不動産関係の支払調書にもマイナンバーの記載が必要になるため、その支払先からもマイナンバーを取得しなければなりません。

※マイナンバーを記載する書類の例

【税分野】・給与所得の源泉徴収票、給与支払報告書
     ・退職所得の源泉徴収票、特別徴収票
     ・扶養控除等(異動)申告書
     ・報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
     ・不動産使用料の支払調書等

【社会保障分野】
     ・被保険者資格取得・喪失届
     ・報酬月額算定基礎届
     ・健康保険被扶養者(異動)届
     ・国民年金第3号被保険者関係届 等

3)利用目的を通知、公表する

 マイナンバーは、法律で定められた税と社会保険の手続きに使用する以外の目的(自社の顧客管理など)で取得することはできません。

 マイナンバーの取得の際には、あらかじめ従業員等や外部者に対して、その利用目的を特定して、通知または公表する必要があります。

※利用目的の特定の例

・「健康保険.厚生年金保険届出事務」のため
・「源泉徴収票作成事務」のため 等

※利用目的の通知、公表の例

・社員へのメール等での通知
・社内掲示板への掲示
・イントラネットへの公表 等

4)厳格な本人確認が必要

 マイナンバーを取得する際には、他人のなりすまし等を防止するため、厳格な本人確認を行う必要があります。本人確認には、番号確認と身元確認が必要です。

 従業員の本人確認については、雇用関係にあることなどから、本人に相違ないことが明らかである場合は、身元確認は必要ありません。

5)本人確認の方法

・番号確認(記載されたマイナンバーが正しい番号であることの確認)の方法 →通知カード、マイナンバー記載の住民票、個人番号カード(1枚で番号確認、身元確認が可能)等による
・身元確認(そのマイナンバーの正しい持ち主であることの確認)の方法 →運転免許証、パスポート 等、個人番号カード 等による

6)従業員や報酬の支払先からマイナンバーの提供を受けられない(取得できない)とき

 まず、マイナンバーの提供は法律上の義務であることを伝え、従業員等に提供を求めます。

 それでもなお、提供を受けられないのであれば、提供を求めた経過等の記録、保存を行い、単なる(企業側の)義務違反でないことを明確にしておきます。

 マイナンバーの提供を受けられないからといって、安易にマイナンバーの記載のないまま法定調書等を作成しないようにしなければなりません。

2.利用目的以外の利用・提供はできない(利用・提供)

 マイナンバーは、法律で定められた目的以外の利用や提供はできません。たとえ、社員や顧客の同意があってもマイナンバーを社員番号や顧客管理番号などに利用することはできません。

 「個人番号カード」の裏面に記載されたマイナンバーは、法令で認められた場合以外で、書き写しやコピーはできません。

3.必要がある場合のみ保管、必要がなくなれば廃棄(保管・廃棄)

 マイナンバーを含む個人情報(マイナンバーが記載された書類等)の保管は、必要がある場合(継続的な雇用があるなど)や保管義務期間が決まっている場合のみ認められています。

 マイナンバーを保管する必要がなくなった場合は、廃棄、削除しなければなりません。廃棄を確実に行うため、該当書類を事業年度ごとにファイリングするなどして、廃棄すべき時期がわかりやすいようにしておきましょう。

・保管が認められる場合

 ・翌年度以降も継続的に雇用契約が認められる場合
 ・法令で一定期間保存が義務づけられている場合

・廃棄、削除しなければならない場合

 ・税や社会保険の手続きで使う必要がなくなった場合
 ・法令で定められた保存期間を経過した場合 等

4.セキュリテイー対策

 マイナンバー制度は、国や行政など複数の機関に存在する各個人のさまざまな情報を紐付ることで、より効率的・効果的な行政サービスの提供と国民の利便性向上を図るための社会基盤(インフラ)をつくることが目的です。

 一方で、「国による個人情報の一元管理が行われるのではないかは?」「不正利用による被害や情報漏えいの危険性はないのか?」といった国民各層からの懸念や不安の声もないわけではありません。

 マイナンバー制度では、マイナンバーを含む個人情報の漏えい・悪用を防ぐため、制度とシステムの両面から厳格な情報セキュリティー対策がとられています。

1)利用の制限

 マイナンバーは、法令で定められた事務(社会保険、税、災害)以外の目的(顧客リストの作成など)で、マイナンバーを収集、利用、保管等をすることは禁止されています。

2)なりすましの防止

 行政手続きの際、マイナンバーみのでの本人確認は行いません。(運転免許証など本人確認できる身分証明書類が必要です)。

3)第三者機関による監視・監督

 マイナンバーが適切に管理・取扱いがなされているかを第三者機関である特定個人情報保護委員会が監視・監督します。

4)アクセスの記録の確認

 自宅のパソコンから、自分の個人情報にアクセスした行政機関の記録を確認することができます(平成29年1月からの「マイナポータル」の稼働開始により可能)。

5)罰則の強化

 マイナンバーに関する不正行為に対して、厳格に対処するために、マイナンバー法では、個人情報保護法や住民基本台帳法などよりも罰則が強化されています。

 例えば、行政機関の職員が個人情報ファイルを漏えいした場合、行政機関等個人情報保護法では「2年以下の懲役または100万円以下の罰金」ですが、番号法では「4年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはその両方」を科すことができると規定されています。

6)個人情報の分散管理

 マイナンバーによって、各行政機関が持っている情報を一か所の機関にまとめる一元管理は行われません。従来通り、年金情報は日本年金機構、税情報は国税庁といったように分散管理が行われます。

例えば、先日の日本年金機構による情報流出事件のような場合、日本年金機構の持つ情報だけが流出し、芋づる式の情報漏えいが起こらないしくみにしています。

7)システムへの接続制限

 行政機関同士の間で情報をやりとりするときも、マイナンバーを直接使わないようにしたり、システムにアクセスできる人を制限したり、通信する場合は暗号化を行います。

参考hp:
1.マイナンバー 社会保障・税番号制度(内閣官房)

2.社会保障・税番号制度<マイナンバー>について(国税庁)

3.国税の番号制度に関する情報(国税庁)

4.特定個人情報の適正な取扱に関するガイドライン(特定個人情報保護委員会)

5.民間事業者における取扱に関するQ&A(内閣官房)

6.ガイドライン(事業社編)に関するQ&A(特定個人情報保護委員会)

7.番号法(マイナンバー法)等の改正履歴
(内閣官房)

8.政府公報オンライン・マイナンバー特集ページ(内閣府大臣官房政府広報室)

9.マイナちゃん市長表敬訪問(2015年7月17日)(塩竈市)

 

 

マイナンバー制度の目的と個人の利便性

 マイナンバー制度は平成28年1月から開始されますが、制度の目的など基本的なことが、まだ国民各層によく浸透していないようです。しかし、従業員からマイナンバーを提供してもらうことになるため、一人ひとりの従業員にもマイナンバーの目的を理解してもらう必要があります。

1.今なぜ、マイナンバーなのか?

 わが国では、年金や健康保険、税金、住民票、雇用保険などに付された個人を特定する情報や番号等は、それを管轄する機関ごとにバラバラに付番、管理されているため、一つの情報の変更や修正が行われても、その他の機関に反映されないなどの不備があり、また過去には「消えた年金記録」のような不祥事も発生しました。

 このような問題が起きないよう、社会保障と税に関する同一の個人情報を結びつける社会基盤(インフラ)としてマイナンバー制度が導入されます。

2.国民にとってのどのような利便性があるのか?

 マイナンバーによって、国や自治体等は、年金や健康保険、税金に関する個人情報の名寄せなどの効率化が可能になり、国民にとっても利便性の向上が図られます。

(1)社会保障、税などの手続きを簡素化

 マイナンバーを活用することで、各行政機関同士、あるいは行政機関内部においての情報連携が正確.迅速に行われるため、各種の申請に必要な所得証明書や住民票等の添付書類等が省略できるようになります(平成29年以降順次)

(2)社会保障・税などの適正・公平化を図る

 年金などの給付漏れや誤り、不正受給、社会保険の加入漏れや保険料の徴収漏れ、所得の過少申告、税の不正還付等の防止が図られます。

 また、各人に制度改定や各種給付の案内なとが直接届くようになります。

(3)災害時の行政支援への活用

 災害時における、被災者台帳、要援護者リスト等の作成や、銀行預金の引き出し、保険会社の保険金支払い等の本人確認にも活用されます。

3.マイナンバー制度のスケジュール

(1)平成27年10月から

 日本在住の全国民(赤ちゃんからお年寄りまで)にマイナンバーが割り当てられ、市区町村から簡易書留で世帯ごと(4人家族なら4人分)に通知カードが送られます。紛失などに注意しましょう(マイナンバーは原則として一生変わりません)

(2)平成28年1月から

 平成28年1月から、社会保障(年金、健康保険・介護保険、労働保険等)と税(国税・地方税 )の分野でマイナンバーの利用が始まります。

 民間企業は、源泉徴収票や社会保険の届出書類の作成にあたり、従業員等からマイナンバーの提供を受ける必要があります。

 国民は、市区町村へ申請すれば、「個人番号カード」(顔写真付きICカード)を受け取ることができます。

※個人番号カードの機能
 ・身分証明書になる
 ・健康保険証などの機能(検討中)
 ・図書館カードや印鑑登録証に利用
 ・各証明書をコンビニで交付 など

(3)平成29年1月から

 ネット上に個人用サイト「マイナポータル」が開設され、自宅用のパソコンから、行政機関が持つ自分の個人情報の内容や自分の年金や社会保険給付の状況などを確認することが可能になります。

 また、マイナポータルを通じて、引っ越しなどの手続きを一度で済ませられるなどのサービスも検討されています。

 さらに、平成30年以降をめどに、医療情報、戸籍、預金口座への活用が検討されています。

4.制度開始までに企業が対応すべきこととは

 各企業は、規模の大小に関わらず、健康保険や厚生年金、源泉徴収の手続きや法定調書の提出にあたり、従業員等のマイナンバーを使うことになります。

 マイナンバーは、その取扱いにあたり、関係者以外の閲覧禁止や流失防止などの安全管理に厳しい規制があるため、制度開始までに、人事給与計算システムのチェックや対応が必要になります

補足1.制度の概要

 マイナンバーの利用にあたっての社内体制、システム対応、規程作成などの具体的な対応についての情報はもちろん必要ですが、広く世間一般から見ると、そもそも「何のための制度なのか?」「国民の暮らしや社会がどう変わるのか?」といった点への理解が浸透していないようです。

 また、マイナンバーのような番号制度は、過去にも何度か導入が検討されましたが、プライバシーへの不安などから国民の反対に遭い、実現に至らなかったという歴史があります。そのため、年配の経営者や従業員の間には、マイナンバー制度への不安をお持ちの方も少なくないと思われます。

 企業は、社会保険や税の事務手続きにおいて、従業員からマイナンバーを提供してもらう必要があり、その事務をスムーズに進めるためにも、経営者や経理担当者だけでなく広く従業員に制度そのものの目的などを正しく理解してもらうことも必要になってきます。

補足2.制度の導入までの経緯

 1960年代後半(昭和40年頃)には、コンピュータ化の進展に伴い、各省庁、各手続こどにバラバラに付番、管理されていたコードを統一化して、行政の効率化を図るための「国民総背番号制度」が検討されました。

 1980年(昭和55年)には、少額貯蓄非課税制度(マル優)の不正利用を防止するために、利用者に納税者番号を付した「グリーンカード」の取得を義務付ける方法が考えられました。

 しかし、いずれも、国家による個人のプライバシー侵害などをおそれる国民の強い反対などもあって実現には至りませんでした。

 2003年(平成15年)には、行政サービスの向上と行政事務の合理化を目的に、住民基本台帳をもとに本人確認ができる全国共通のシステムとして、「住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)」が稼働しました。

これは、住民一人ひとりに特定の番号(住民票コード)を付して、本人確認を容易にしようとするものです。

しかし、過去の「国民総背番号制度」「グリーンカード」の反省から、その利用場面が限定されてしまい、広く社会で使われる番号制度にはなりませんでした。

 このように、過去、国民から反発のあった番号制度ですが、2007年(平成19年)記憶にも新しい「消えた年金記録問題」が転機になります。

この件により、年金納付や社会保険関係の給付の記録は、各人こどに唯一のコード番号によって管理しない限り、現在の戸籍制度、漢字表記では確実なマッチングができないことが明確になりました。

 また、2008年(平成20年)に最高裁において、住基ネットは「プライバシーを侵害するものではない」との合憲判決が出されたことも制度導入の追い風になりました。

補足3.導入の目的とねらい

(1)行政側のメリット

 国民および企業等が、社会保障、税に関する各種手続きに本人及び従業員等のマイナンバーを記載することで、行政機関等が保有、管理する各種の個人情報にマイナンバーが付番されることになります。

 これにより、行政機関等が保有、管理する個人情報同士を、マイナンバーを使って検索したり、紐付したりすることが可能になります。

(2)国民のメリット

 行政機関等への各種手当の申請や、所得税等の確定申告にあたり、他の行政機関等が発行した証明書(住民票の写し、所得証明書等)を添付書類として提出することがよくあります。

マイナンバーが導入されると、ネットワーク経由で、行政機関同士が情報を要求、提供することができるようになり、このような証明書の提出(添付)が不要になります。

 例えば、平成27年度税制改正において、所得税確定申告で住宅ローン減税を適用する場合に、従来は「住民票の写し」を添付する必要がありましたが、平成29年1月以降の申告から廃止されます。

 

参考hp:
1.マイナンバー 社会保障・税番号制度(内閣官房)

2.社会保障・税番号制度<マイナンバー>について(国税庁)

3.国税の番号制度に関する情報(国税庁)

4.特定個人情報の適正な取扱に関するガイドライン(特定個人情報保護委員会)

5.民間事業者における取扱に関するQ&A(内閣官房)

6.ガイドライン(事業社編)に関するQ&A(特定個人情報保護委員会)

7.番号法(マイナンバー法)等の改正履歴
(内閣官房)

8.政府公報オンライン・マイナンバー特集ページ(内閣府大臣官房政府広報室)

9.マイナちゃん市長表敬訪問(2015年7月17日)(塩竈市)

 

 

2015年6月30日 (火)

税務・社会保険のマイナンバーの事務

平成28年1月から、マイナンバー制度が始まります。マイナンバー制度は、住民票を有するすべての人(個人)に対して、一つのマイナンバーを付し企業等に対しては法人番号を付して共通の社会基盤として番号を活用することにより、「公平・公正な社会の実現」「国民の利便性の向上」「行政の効率化」を目的として導入されます。

具体的には、平成27年10月から、住民票の住所宛に、マイナンバーが記載された「通知カード」が郵送されます。

(1)民間企業もマイナンバーを扱います
 会社は、従業員の健康保険・厚生年金の加入手続きを行ったり、従業員の給料から源泉徴収を行って税金を納めたりしています。
また、外部の方に講演や原稿の執筆を依頼し、報酬を支払う場合、報酬から税金の源泉徴収を行い、支払調書を作成しています。
マイナンバー制度が開始されると、会社は、これらの書類にマイナンバーを記載する必要があります。そのため、会社では、次のような対応が必要になります。

(2)従業員等からマイナンバーの提供を受ける
 従業員(その扶養家族を含む)から、マイナンバーを記載した扶養控除等(異動)申告書を提出してもらうなど、マイナンバーを提示してもらい、本人確認を行う必要があります。同様に、外部の方からも支払調書などの作成のためにマイナンバーを提示してもらい、本人確認を行います。
 なお、従業員には、正社員だけでなく、パート・アルバイトも含まれます。

(3)マイナンバーを記載、提供する
 会社は、源泉徴収票や支払調書、社会保険の資格届などの作成にあたり、従業員等から提供されたマイナンバーを記載します。
 会計事務所などに源泉徴収票等の作成・提出を委託している場合は、マイナンバーを提供します。

(4)マイナンバーの保管管理を徹底する
 従業員等から提供されたマイナンバーは、書類作成に備え、書面やデータ等により収集.保管することができます。ただし、マイナンバーを利用する目的以外の収集.保管はできません。
 保管期間が過ぎたなど、利用する可能性がなくなったマイナンバーは廃棄します。マイナンバーの漏えい、滅失.毀損等には罰則規定がありますので、厳重な管理が求められます。

(5)制度開始までに準備が必要なこと
 マイナンバー制度が始まるまでに、各企業では、次のような準備が必要になります。
 ①人事・給与などのシステムの導入や改修
 ②従業員への研修や社内規定の作成
 ③個人情報の安全管理措置の検討

(6)従業員に周知しておくこと
①㍻27年10月から、マイナンバーが記載された「通知カード」が簡易書留で届くこと
 「通知カード」は、住所宛(住民票に記載の住所)に簡易書留で届きます。住所変更をしている場合は、必ず新住所を市町村に届け出ておいてください。
②届いた「通知書カード」を絶対に紛失しないこと
 「通知書カード」は、勤務先等へのマイナンバーの提供時の本人確認のために必要なものであり、また「個人番号カード」の交付を受けるために必要なものですから、絶対に紛失しないように管理してください。「個人番号カード」は、㍻28年1月以降、各市町村で申請手続きをして発行してもらうことができます。
③マイナンバーは他人に教えないこと
 社会保障や税の手続きで行政機関や勤務先に提示する以外は、「通知カード」に記載されたマイナンバーを絶対に他人に教えないでください。
④「扶養控除等(異動)申告書」などの提出の際、マイナンバーの記載が必要になること
 平成28年1月以降、税務や社会保険関係の書類を会社に提出する際には、従業員本人とその扶養家族のマイナンバーを記載する必要があります。
 
(7)通知カードと個人番号カードの違い
①平成27年10月から、全国民に簡易書留で郵送されます。顔写真ではなく、身分証明書としては使用できません。
「個人番号カード」を受けるまでの間、行政機関等の窓口で、マイナンバーの提供を求められた際に、他の本人確認書類とともに利用可能です。
②表面に氏名、住所等とともに顔写真が表示され、マイナンバーは裏面に記載されます。これらの情報はICチップに記録されます。平成28年1月以降、希望者に発行されます(その際、通知カード、住民基本台帳カードを返納します)。
身分証明書として使用することができます。

参考HP:
社会保障・税番号制度<マイナンバー>(国税庁)

2014年10月24日 (金)

不動産を購入した時の税務上の扱い

 不動産を購入した時には売買代金以外にさまざまな費用が発生します。その中には取得原価(資産計上)にしなければいけないものや、経費にしてもよいものなどがあります。以下にまとめてみました。

区分 個人の場合 法人の場合
①登録免許税・不動産取得税 経費or取得価額 経費or取得価額
②司法書士報酬 経費or取得価額 経費or取得価額
③印紙税 経費 経費
④仲介手数料 取得価額 取得価額
⑤立ち退き料 取得価額 取得価額
⑥固定資産税 取得価額 取得価額
⑦土地とともに取得した建物の取り壊し費用 土地の取得価額 土地の取得価額

2014年9月 2日 (火)

現金の取扱いについて(現金管理の基本)

 小売業などの現金商売では、日々、レジ現金の出し入れが頻繁に行われるため、つい現金の取扱いがルーズになりがちです。レジの現金管理の基本が守られているか確認しましょう。

1.レジの現金は売上代金と釣り銭の支払いに限定する

  レジの現金は、お客様からいただく代金の入金とお客様への釣り銭の支払いに限定し、それ以外はレジから出し入れしないようにします。少額の経費の精算などは、レジのお金ではなく金庫内の小口現金で行います。

2.毎日の開店前は、釣り銭だけを入れておくようにする

  開店前は、レジの中にはあらかじめ金額・金種を設定した釣り銭だけを入れておき、余分なお金は入れないようにします。

3.毎日の閉店後は入金額を確認する

  閉店後は、実際の現金残高とレジの入金額が合っているか確認します。合っていない場合は、原因を解明します。

4.売上代金は、専用の預金口座をつくって全額預け入れる

  閉店後のレジ内の現金は、翌日の釣り銭を残し、原則、毎日ATMや夜間金庫で預金口座に預け入れるようにします。
  
  なおこの場合の預金口座を売上代金の預入専用にしておくと営業日ごとの売上が通帳等でも把握できます

5.レジの現金管理のチエックリスト

 □①レジの中の現金は金種ごとに分けて、常に整理しているか。

 □②早番と遅番が引継を行うときは、双方の立会の下でレジの現金を確認しているか。

 □③閉店後などにレジの金額を確認するときは2人以上で行っているか。

 □④特に現金売上が多額な場合、2人以上で預け入れに行くようにしているか。

 □⑤社長(または店長など)は定期的にレジの現金管理をチエックし、ルーズな部分があれば厳しく指導しているか。

 □⑥自社独自の管理方法が実施されているかチエックしたか。

6.金庫内の小口現金管理の基本

 (1)経費や仕入代金などの支払いは少額の取引に限定し金庫の小口現金で行う
  金庫の小口現金で支払うものは、例えば新聞代や玄関マットのレンタル料など毎月継続的に発生する少額取引や社員が立替払いした少額費用の精算(※)などに限定します。
  また、1件当たりの支払限度額(例:5,000円)も事前に決めておき、多額の支払いは、原則として銀行振込にします。
  公共料金(電気・ガス・水道)は自動振替に、仕入代金は原則的に銀行振込にします。
  (※)社員が立替払いした費用等の精算は、毎日ではなく1週間あるいは1か月ごとに行うようにしましょう。

 (2)金庫の小口現金の上限額を定め超過した分は即日預け入れる
  例えば、金庫内の現金の出納締め後の残高を10万円と決めておき、予定外の入金等があり残高上限の10万円を超えるときは、超過分をその日のうちに預金に預け入れます。

 (3)レジの現金で金庫内の小口現金の不足分の補充を行わない
  原則的には、金庫内の現金の不足分の補充をレジの現金で行わないようにします。

 

2014年8月 1日 (金)

復興特別法人税の1年前倒し廃止(26年税制改正)

 平成26年3月31日に公布された所得税法等の一部を改正する法律(以下「平成26年改正法」)により復興特別法人税制度が改正されました。

 平成26年改正法により、復興特別法人税の課税の対象となる事業年度(以下「課税事業年度」)は、「平成24年4月1日から平成26年3月31日(改正前:平成27年3月31日)までの期間(指定期間)内に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後2年(改正前:3年)を経過する日までの期間内の日の属する事業年度」とされました。これにより、復興特別法人税の課税期間が1年短縮されました。

したがって、平成26年4月1日以後に開始する事業年度については、原則として、課税事業年度にはなりません。

(注)1 平成26年4月1日以後に開始する事業年度であっても、事業年度変更などにより、その事業年度に、指定期間内に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後2年を経過する日までの期間内の日が含まれることとなる場合には、課税事業年度となります。

 

復興特別法人税の改正の概要(国税庁)

2014年6月21日 (土)

不動産所得の収入計上時期

 不動産を賃貸したことにより収受する家賃、地代、更新料などは、その金額を不動産所得の総収入金額に算入することとなりますが、その収入に計上すべき時期は、原則として次のとおりです。

 1 地代・家賃、共益費などは、その支払方法についての契約内容により原則として次のようになります。

(1) 契約や慣習などにより支払日が定められている場合は、その定められた支払日

(2) 支払日が定められていない場合は、実際に支払を受けた日
 ただし、請求があったときに支払うべきものと定められているものは、その請求の日

(3) 賃貸借契約の存否の係争等(未払賃貸料の請求に関する係争を除きます。)に係る判決、和解等により不動産の所有者等が受け取ることになった係争期間中の賃貸料相当額については、その判決、和解等のあった日

(注) 賃貸料の額に関する係争がある場合に、賃貸料の弁済のために供託された金額については、(1)又は(2)に掲げる日

 2 上記以外のもの

 家屋又は土地を賃貸することにより一時に受け取る権利金や礼金は、貸し付ける資産の引渡しを必要とするものは引渡しのあった日、引渡しを必要としないものについては、契約の効力発生の日の収入に計上します。
 このほか、名義書換料、承諾料、頭金などの名目で受け取るものについても同様です。
 また、敷金や保証金は本来は預り金ですから、受け取っても収入にはなりませんが、返還を要しないものは、返還を要しないことが確定した日にその金額を収入に計上する必要があります。

(所法36、所基通36-5~7)

国税庁タックスアンサー

No.1376 不動産所得の収入計上時期

 

 

2014年5月 6日 (火)

入社時の社会保険・雇用保険の事務手続き

 社員が入社すると、健康保険・厚生年金保険や雇用保険の手続きが必要です。以下の届出書類を作成し、所轄の「年金事務所」「ハローワーク」に提出しましょう。

①健康保険・厚生年金の手続き →年金事務所

提出書類】
 1.健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
 2.健康保険被扶養者(異動)届 (注1)被扶養者がいる場合
 3.国民年金第3号被保険者資格取得届(被扶養者が配偶者の場合)(注1)被扶養者がいる場合

【必要な書類等】
 1.年金手帳
 2.在学証明書、住民税の非課税証明書など(被扶養者が配偶者以外の場合)

【提出期限】
 1.入社日(資格取得日)から5日以内(第3号被保険者資格取得届は14日以内)

【提出先】
 1.会社所在地を管轄する年金事務所(または加入している健康保険組合、厚生年金基金)

(注1)社員の配偶者等が被扶養者になれる収入要件は、同居で次の①、②いづれにも該当する場合
(1)配偶者等の年間収入が130万円未満(60歳以上75歳未満の人や一定の障害者は180万円未満)
(2)被保険者(社員本人)の年間収入の2分の1未満



②雇用保険の手続き →ハローワーク

【提出書類】
 1.雇用保険被保険者資格取得届

【必要な書類等】
 1.前職の雇用保険被保険者証

【提出期限】
 1.入社日(資格取得日)の属する月の翌月10日まで

【提出先】
 1.会社所在地を管轄するハローワーク

(注)65歳以上の人で、新たに採用される人等は対象になりません。

 

 

 

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