「マイナンバー取扱い」の社内への通知と準備
10月以降、マイナンバーが国民一人ひとりに通知されます。その前(9月中)に、社内に周知し、また来年(平成28年1月)施行前に準備しておきたい事項があります。
1.9月中に全従業員に伝えること
マイナンバーの通知が開始される10月までに、全従業員(パート.アルバイト等を含む)に次のことを伝えてる必要があります。
①平成27年10月以降、住民票記載の住所にマイナンバーが記載された「通知カード」が簡易書留で届くこと。
※同封されているもの
・マイナンバーの「通知カード」
・「個人番号カード」の申請書と返信用封筒
・マイナンバーの説明書類
②源泉徴収や社会保険関係の事務のために、会社から従業員にマイナンバーの提供を求めること。
③「通知書カード」や「個人番号カード」は、家族の分を含め、紛失しないよう大切に保管すること
④自分や家族のマイナンバーを法令で必要となる事務以外で他人に知らせないこと。
2.自社のマイナンバールールを決める
企業は、税や社会保険の事務手続きにおいてマイナンバーを取り扱うことになります。
マイナンバーへの対応について、情報漏えいや不正利用を防止するため、社内での取り扱いルールを決め、従業員に周知しましょう。具体的には、次のような対応が必要になります。
①マイナンバーの取扱担当者(総務・経理担当等)を決定し、管理責任者(社長等)に報告する体制を整えます。
②マイナンバーを取り扱う業務を把握しマイナンバーの取得方法などを決めます。
③マイナンバーが、記載された書面や入力された給与システムなどには、取扱担当者以外が、触れることのないようにします(業務に関係のない従業員の眼に触れないこと)
④マイナンバーを書面で収集した場合には、施錠可能なキャビネットに保管します(鍵の管理者を決めること)
⑤法令で定められた目的以外で「通知カード」「個人番号カード」のコピーやマイナンバーのメモをとらないこと(マイナンバーを法令で定められた事務以外で取得することはできません)
⑥マイナンバーが記載された書面を机の上に放置したり(置き忘れ)、ゴミ箱に捨てたりしないこと(ルールに基づいて廃棄する)
⑦給与計算システムなどの業務システムは、利用権限(ユーザIDやパスワード)を設定します。
⑧インターネットに繋がっているパソコンで作業を行う場合は、ウィルス対策ソフトを導入し、自動更新機能を活用し、常に最新状態にしておきます。
⑨マイナンバーの入力作業などを行うパソコンについて、情報漏えい(のぞき見)の防止のために設置場所などを工夫します。
・人の出入りが少ない場所で使用する。
・作業場所を間仕切り等で区分する。
⑩マイナンバーは、法令で定められた利用目的以外で保管しないこと(マイナンバーの記載が必要な書類には、法定保存期間があるものがあります。
(税)扶養控除(異動)申告書→提出期限の属する年の翌年の1月10日の翌日から7年間
(税)退職所得の受給に関する申告書→提出期限の属する年の翌年の1月10日の翌日から7年間
(社保)雇用保険関係書類→退職した日から4年間
(社保)労災保険関係書類→退職した日から3年間
(社保)健康保険・厚生年金保険に関する書類→退職した日から2年間
⑪マイナンバーが記載された書面、入力されたデータの廃棄方法を決めておきます。
・パソコン等で入力されたものは、その情報を削除する。
・書面に記載されたものは、読み取れないようにマスキングしたり、シュレッダー等で断裁する。
・廃棄(断裁)した事実の記録、データ削除時の操作ログを残す。
以上のようなルールを、業務マニュアル社内規定に盛り込み、従業員に周知してください。
最初から、いきなり高度な取扱いルールを作ることは難しいので、実際に運用しながら、少しずつ内容を充実・強化させていくとよいでしょう。
3.マイナンバー対応点検チェックリスト
自社のマイナンバー制度対応のため、準備の状況を点検してみましょう。
□①マイナンバー事務取扱担当者・責任者を決めましたか?
□②マイナンバーを取り扱う業務(源泉徴収票作成、健康保険、厚生年金保険届出等)を把握できていますか?
□③業務こどに、マイナンバーを取得する時期や方法、本人確認の方法を決めましたか?
□④マイナンバーが記載された書類の保管方法(施錠可能なキャビネット等)を決めましたか?
□⑤マイナンバーが記載された書類の廃棄方法を決めましたか?
□⑥マイナンバーの利用目的や禁止事項を全従業員(パート、アルバイト等を含む)に説明し、周知しましたか?
□⑦利用している計算ソフトが、マイナンバーを暗号化して保存する機能があるなど、安全管理に対応しているか確認しましたか?
4.マイナンバーに関する法律の規制等
マイナンバーは他の個人情報よりも厳重な取り扱いが番号法(行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)等で求められてします。主な規制内容は下図の通りです。
(1)番号法で定められた規制の内容(事業者の規模の大小を問わず、これらの規制が課されます)
①利用の規制(番号法9条)
番号法に定められた利用目的以外で、マイナンバーを利用することを禁止。
②提供の制限(番号法19条)
番号法に定められた利用目的以外で、マイナンバーを他者に提供することを禁止。
③収集、保管の制限(番号法20条・28条)
番号法に定められた利用目的以外で、マイナンバーを収集・保管することを禁止。番号法で定められた業務を処理するための必要な限度を超えて特定個人情報ファイル(マイナンバーを含んだ個人情報のデータベースなど)を作成することも禁止。
④安全管理措置(番号法12条)
マイナンバーの漏えい、滅失または毀損の防止その他の適切な管理のために必要な措置をとることが必要。
(2)特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)
民間事業者が番号法に適切に準拠して特定個人情報(マイナンバーを含む個人情報)を取り扱うための指針や、安全管理措置の実施方法を示したガイドラインです。「特定個人情報保護委員会」という国の機関が告示。ガイドラインの具体的な内容や、ガイドラインの内容を理解するための関連資料は、特定個人情報保護委員会ウェブサイト(http://www.ppc.go.jp)で公表されています。
5.廃棄の方法
マイナンバーは、法令で定められた用途で利用する場合に限り、保管が認められてします。このため、マイナンバーを使用する業務が終了したら、可能な限り速やかに(随時もしくは定期的に)、復元不可能な方法で廃棄する必要があります。
(1)廃棄すべき時期
・法令で保管期限が定められた書類:その保管期限後
・報酬等の支払先などからマイナンバーを書面で取得した場合:法定調書の提出後
(2):継続的に法定調書等を作成・提出する支払先等の場合
不動産の使用料など、支払が複数年にわたり継続的に法定調書を作成する支払先については、契約が継続している間は、マイナンバーを保管することができると解されます。
参考hp:
1.マイナンバー 社会保障・税番号制度(内閣官房)
2.社会保障・税番号制度<マイナンバー>について(国税庁)
3.国税の番号制度に関する情報(国税庁)
4.特定個人情報の適正な取扱に関するガイドライン(特定個人情報保護委員会)
5.民間事業者における取扱に関するQ&A(内閣官房)
6.ガイドライン(事業社編)に関するQ&A(特定個人情報保護委員会)
7.番号法(マイナンバー法)等の改正履歴(内閣官房)
8.政府公報オンライン・マイナンバー特集ページ(内閣府大臣官房政府広報室)
9.マイナちゃん市長表敬訪問(2015年7月17日)(塩竈市)