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2015年2月 3日 (火)

確定申告で医療費控除を受けるには

1.医療費控除を受けるには確定申告が必要です。

  医療費控除を受けるには確定申告をしなければなりません。(年末調整では控除は受けられません。)
昨年1年間の医療費の領収書等を集計して、翌年の確定申告書提出時期(通常2/16~3/15:曜日の関係で前後します)に提出しなければなりません。
                        
                        
2.医療費控除とは?

  医療費控除とは、本人や家族(生計をとものする配偶者やその他の親族)のために支払った1年間の医療費が一定の金額を越えた場合に、確定申告することで税金の還付もしくは軽減を受けることができる制度です。
  その年の所得から、支払った一年間の医療費の額をそのまま差し引くのではなく、一年間の医療費から保険などの補てん金(ある場合)と10万円(総所得金額が200万円未満の人は所得の5%)を差引いた金額を医療費控除額として総所得金額から差し引きます。
 *保険などの補てん金には次のようなものがあります
  …生命保険等の入院給付金、健康保険の高額療養費、出産育児一時金
  *なお、補てん金を差引く場合はその対象となった疾病等の治療費から差引くのみで、差引き残が出てもほかの治療費から差引く必要はありません
                        
                        
3.医療費控除の対象となる医療費とは?

  医療費控除の対象となる医療費とは、支払った医療費のうち治療などのために使った通常必要となるものが対象となります。(その病状に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額(消費税等が含まれる場合は含んだ金額)でその年に支払われたものとされます。所基通73-3~7他)
                        
                        
【医療費控除の対象となる医療費の例】
                        
①医師、歯科医師に支払った医療費
                        
②治療、療養に必要な医療費の購入費用
                        
③病気やケガなどで病院等に運ばれた際の費用
                        
④通院等のために通常必要な交通費
 (電車やバス等は対象となりますが、自家用車で通院する場合のガソリン代・駐車場の料金等は含まれません)
                        
⑤保健師や看護師、付添婦などに支払った療養上の世話を受けるための費用
                        
⑥助産師による分べんの介助料
                        
⑦介護保険制度の下で提供された一定のサービスの自己負担額
                        
⑧治療のために按摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師などに支払った施術費
                        
⑨入院の際の部屋代や食事代、治療等に直接必要な医療用器具等(コルセット等)の購入費
 (ただし、入院のための日常生活用品の購入費用は含まれません)
                        
⑩6ヶ月以上寝たきりの場合などのおむつ代(原則医師の証明書が必要) 
                        
⑪医師等による診療や治療を受けるために直接必要な、義手、義足、松葉杖、義歯、補聴器などの購入費用 など
                        
                        
4.医療費控除の対象になるもの(一例)

①生計を一にする社会人の子供のために支払った医療費も対象になる
 「生計を一にする」とは、扶養や同居が要件となるのではなく、同じ生活共同体で日常生活の糧をともにしていることです。
生計を一にしていれば次のような場合も、その医療費を支払った人が医療費控除を受けられます。
 1)共働きの夫婦で夫が配偶者控除の対象とならない妻の医療費を支払った。
 2)父親が社会人の子供の医療費を支払った。

②レーシック手術の費用は対象になる
   眼科医による視力回復のためのレーシック手術(視力回復レーザー手術)や角膜矯正療法(オルソケラトロジー治療)の費用は医療費控除の対象になります。(角膜矯正療法による、特殊なコンタクトレンズの購入費用も医療費控除の対象となります。) (所令207、所基通73-3)
                        
                        
5.医療費控除の対象にならないもの(一例:医師の指示によるものなど条件によって対象になるものもあります)

①メガネの購入費用
  近視や遠視などのために日常生活の必要性に基づき購入されるものは、視力を回復させる治療の対価ではないので、医療費控除の対象とはなりません。しかし、斜視、白内障、緑内障などで手術後の機能回復のために短期間装用するものや、幼児の未発達視力を向上させるために装着を要するための眼鏡などで、治療のために必要な眼鏡として医師の指示で装用するものは、医師による治療の一環として直接必要な費用なので、医療費控除の対象となります。

②人間ドック・健康診断の費用
 人間ドックや健康診断の費用は、疾病の治療を行うものではないので、原則として医療費控除の対象とはなりません。
   しかしその診断の結果、疾病等が発見されて引き続き治療を行った場合は、その健康診断等は治療に先立って行われる診察と同様に考えることができるので、その健康診断等のための費用も医療費控除の対象になります。(所基通73-4)

③インフルエンザ予防接種の費用は対象にならない
  インフルエンザの予防接種は、病気の治療ではなく、あくまでも予防であるため医療費控除の対象にはなりません。 (インフルエンザに感染した場合の医療機関での診察費用は医療費控除の対象になります)

④自家用車による通院のためのガソリン代等は対象にならない
   通院のための交通費(電車やバス等)は医療費控除の対象になりますが、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金などは対象にはなりません。

⑤健康サプリメントや栄養ドリンクの購入費用は対象にならない
   健康サプリメントや栄養ドリンク、ビタミン剤などの病気予防や健康増進のための医薬品の購入代金は、治療目的ではないので医療費控除の対象にはなりません。

⑥美容目的のための歯列矯正は、医療費控除の対象にはなりません。ただし発育段階にある子供の成長を阻害しないために行う不正咬合の歯列矯正の費用は対象になります。
                        
                        
6.その他
                        
①以前に医療費を支払っていて申告を忘れていたという場合、医療費控除は5年前までさかのぼって申告することができます。(更正の請求)

②12月に治療を受けたが、支払や口座引き落とし、クレジットの決済が1月になったという場合は、1月の年の医療費控除として申告することになります。

③領収書は確定申告書に添付するか、提出の際に提示する必要があります。この場合は5年間保存しなければなりません。
   電子申告で“第三者作成書類の添付省略”をする場合も同様で5年間保存です。
                        
e-Taxを利用して所得税の確定申告書を提出する場合の「源泉徴収票」や「医療費の領収書」などの第三者作成書類の添付省略の制度

(参考)
所得控除(国税庁→税について調べる→質疑応答事例→所得税)
所得税確定申告書作成コーナー(平成26年分)
申告書に添付・提示する書類

 

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