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2012年9月 7日 (金)

貸倒れ処理の税務上の注意事項

1.税務上の貸倒れが認められる要件とは

税務上、債権等の貸倒れ処理が認められる要件として、「法律上の貸倒れ」「事実上の貸倒れ」「形式上の貸倒れ」の3つがあります。

「法律上の貸倒れ」とは・・・民事再生法や債権者集会などの私的整理による
                債権カットなどです。
「事実上の貸倒れ」とは・・・回収先の債務超過や行方不明などで回収できない
                ことが明らかな場合などです。
「形式上の貸倒れ」とは・・・取引停止後、1年以上弁済されていない場合などが
                これに当たります。

以上の3つの要件のいずれかに該当すれば税務上も貸倒れ処理が認められることになります。ただし、事実に基づきその要件を満たしているかどうかを、自社で判断しなければならないこともある為、慎重な処理が求められます。

後日、税務調査において、会社が行った貸倒れ処理が、「時期尚早」と判断されたり、寄附金に該当するなどとして、否認されると法人税や消費税などの修正申告を行うことになります。

また、債権者が税務上の貸倒れと認められる状況になった場合には、タイムリーに貸倒れ処理を行う必要があり、意図的に先延ばしたりすることは、利益操作とみなされるので、注意が必要です。

2.揃えておきたい資料とは

税務上、貸倒れ処理が認められるためには、会社が自ら回収先が支払不能であることの証明を行わなければならない場合があります。その為、回収に努力したこと、回収不能と判断した経緯などを説明できる資料を揃えておきましょう。

3.税務上の貸倒れ処理の要件とは

分類 要件 処理事業年度 注意点
法律上の
貸倒れ
・会社更生法、民事再生
 法などによる債権カット
・債権者集会などによる
 私的整理で、合理的な
 基準に基づき行われた
 債権カット
・債務超過状態の回収
 先に内容証明郵便など
 で通知した債権放棄
・認可決定等、切捨
 て額の決定があっ
 た日
・書面で通知した日
・法律的に債権が消滅するので決算書
 に「貸倒損失」を計上(損金処理)しな
 くても損金算入が可能
・債権放棄については回収先が債務
 超過状態であることが必要。安易な
 債権放棄は寄附金認定される。
事実上の
貸倒れ
・回収先が債務超過、廃
 業、死亡、行方不明など
 でその全額を回収出来
 ないことが明らか
・会社が回収不能が
 明らかであると判
 断した日
・回収できないことを会社の意思として
 示す必要があるため損金経理が必
 要債権等の全額を貸倒れ処理する
 ことが必要
・担保物がある場合は担保物処分後
形式上の
貸倒れ
・回収先の信用状況が
 悪化したため、取引を停
 止したが、停止日又は
 最後の弁済日(いずれか
 遅い日)から1年以上弁
 済がされていない
・回収先が遠方で回収額
 より回収費用が上回って
 しまう
・1年以上経過した
 日
・「取引を停止した」ことが必要
・担保物がある場合は適用できない
・売掛債権に限定して認められる
・トラブル債権についての適用はでき
 ない
・損金経理が必要
・売掛債権の備忘価額を残すことが
 必要

 

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