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2011年10月18日 (火)

仕入税額控除と課税売上高5億円

 平成23年度税制改正により、課税売上高が5億円を超える事業者にとっては、消費税の仕入税額控除に係る"95%のルール"が適用できなくなる。ただし、課税売上高5億円以下の事業者であっても「対岸の火事」では済まないケースもある。

 平成23年度税制改正では、課税売上割合が95%以上の場合に課税仕入に係る消費税額の全額控除を認める制度が㍻24年4月1日以降の開始事業年度から、課税売上高が5億円以下の事業者に限定された。(消法30)

特に注意を要するのは、売上高5億円前後の事業者で、期中において5億円を超えるかどうかの判断が微妙なケースだ。

 例えば、毎年の課税売上高4億円程度の事業者が、ヒット商品の登場など予想を上回る要因で決算を締めた後に課税売上高5億円超が確定するような場合には、事前の体制整備を進めていなければ、個別対応方式か一括比例配分方式のいずれの方法とするか、仕入税額控除の計算における実務対応が手遅れになりかねない。大企業が新設した子会社などが該当する場合もあろう。

 また、通常の課税売上高が1億円の事業者であっても、建物等の遊休資産を4億円超で売却する場合には、課税期間における課税売上高は5億円超となるケースもあり、従来どおり消費税額の全額を仕入税額控除することができなくなる事態も生じるので、95%ルールに関する対応に備える必要がある。

 さらに、課税売上高が5億円未満でも、その後の税務調査等によって課税売上高の計上漏れが見つかり、5億円超となった場合には、仕入税額控除の計算方法を修正しなければならなくなる。

 課税売上高5億円を超えるかどうかは、あくまで課税期間で判断するという点に留意されたい。くれぐれも㍻23年度改正で見直された事業者免税点制度の特定期間(前期の上半期)や、基準期間(2期前)で判断するのではないので気をつけたい(消法9の2 №3170参照)

週刊税務通信 No.3183より

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