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2011年12月 1日 (木)

◆◆言葉に騙されない!(債務者区分と不良債権)◆◆vol.11

 11月17日(金)に「上手なお金の借り方」(主催㈱青雲様 共催当社)というセミナーの講師をさせて頂き、主に、この「FP Report」でお伝えしている内容を柱として、“情報の共有”を目的にお話しさせて頂きました。大変多くの方々に参加頂き、この場をお借りして、御礼させて頂きます。

 今回は、そのセミナーでもお話致しましたが、ぜひ、皆様にも気をつけて頂きたい点をご紹介したいと思います。金融庁では以下の2つの事を公表しておりますので、ご紹介致します。皆様はどうご理解されますか?

① 震災の影響による赤字・延滞を「一過性」のものと判断できる場合には、債務者区分の引き下げを行わなくても良い

② 返済条件緩和など条件変更を行う際に、改善計画書が無くても、最長1年以内に策定出来る見込みがある場合には、不良債権とはなりません(金融円滑化法)

 前者は「債務者区分の引き下げを行わなくてもよい」、そして、後者は「不良債権とはなりません」ということです。一般の方々からすれば「つまり、債務者に有利なんでしょ!?」と思われるのではないでしょうか?全く違います・・・それでは説明を。

― 債務者区分と不良債権 ―

 銀行では、皆様から決算書を頂くと概ねこの様な流れで、皆様を評価します。

 まずは①自己査定:目的は銀行の資産である「貸出金」のリスクを把握し、銀行の決算時に償却・引当をするためです。つまり、貸出金のリスクを把握するために、債務者の状況を調査する訳です。それも、決算書を全て実態ベースに書き換えて行います。(BSは実態、PLは特殊要因の加減算)

 次に②債務者区分の判定:自己査定の結果、会社毎に、債務者区分を5段階で決めます。

 次に③不良債権の判定:債務者区分を元に、その保全状況等を加味し、貸出金を概ね4つの資産に分類し、不良債権を判定します。

 最後に④格付:決算状況による定量判定、業界動
向、後継者、経営資質等による定性判定の両面により判定し、債務者区分と整合性をとり決定します。

 まず①ですが「債務者区分の引き下げ」について公表しているものです。前述した順番を参考にすると、①自己査定をした結果、例えば、本来、債務者区分が“要注意先”の判定になるが、震災等で、一定の要件に該当する場合は、債務者区分を“正常先”として良い、ということです。これは皆様に対する評価上、有利な話になります。

 問題は②です。「不良債権とはなりません」という文言。これも前述した順番を参考にすると、①自己査定をした結果、債務者区分が決まりました、その債務者区分で計算した結果、一定の要件に該当する場合は、本来“不良債権”になるものを“不良債権としなくても良い”という話です。つまり、債務者区分については悪いままです。そして④をもう一度読んでください、債務者区分が悪いままであれば、それと整合性が必要な格付も悪いままなのです。そうです「不良債権とはなりません」という話は、皆様には一切関係ない話です。言葉の通り、「不良債権」とは銀行側の話なのです。

 金融庁のパンフレットを読んでください。「条件変更等の履歴があること“のみを”理由に新規融資を拒絶しないように監督します」とあります。そもそも、条件変更をしても、皆様への評価が変わらないのであれば、この様な文言が必要でしょうか?この文言が入れてあるのは、皆様への評価が下がるからこそ、Q&Aで掲載しているのです。

 そして、この言い回しです。“のみを理由に”という金融庁の表現、融資を断る際、謝絶された経験がある方は記憶にあると思いますが、謝絶確定の場合、ほとんどの銀行は、具体的な謝絶理由は言ってくれません。おそらく「総合的に判断して・・・」という表現がほとんどだと思います。

 私も色々なセミナーを受講する機会がありますが、ほとんどのセミナーが、この様な区別をすることなく、行われており、皆さんに誤解を与えるのではと?心配致します。

 
 不安定な時代が続きます。そして、これからも金融庁等から、この様な改正が出てくると思いますが、決して、拡大解釈、誤解等の無いように対応しましょう。

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