「後継者問題」が急速に改善へ 22年後継者不在率、初の60%割れ
日本企業の「後継者問題」が急速に改善へと向かっている。
帝国データバンクが発表した「全国企業後継者不在率動向2022年調査」結果によると、後継者が「いない・未定」とした企業が 15.4万社にのぼった。
この結果、全国の後継者不在率は57.2%となり、コロナ前の2019年からは8.0ポイント、2021年からも4.3ポイント低下し、5年連続で不在率が低下。
また、調査を開始した2011年以降、後継者不在率は初めて60%を下回った。
コロナ禍という未曽有の危機のなかで、コロナ関連融資の借り入れも含め、自社事業の将来性に改めて向き合った中小企業は多いとされる。
こうしたなか、地域金融機関をはじめ事業承継の相談窓口が全国に普及したほか、第三者へのM&Aや事業譲渡、ファンドを経由した経営再建併用の事業承継など、プル・プッシュ型を問わず事業承継メニューが全国的に整ったことも、後継者問題解決・改善の前進に大きく寄与した。
先代経営者との関係性(就任経緯別)をみると、2022年の事業承継は「同族承継」により引き継いだ割合が34.0%に達し、全項目中最も高かった。
しかし、前年からは4.7ポイントの低下となり、親族間の事業承継割合は急減。
一方、血縁関係によらない役員などを登用した「内部昇格」が33.9%で、前年から2.5ポイント増加した。
また、買収や出向を中心にした「M&Aほか」の割合が20.3%と、調査開始以降で初めて20%を超えた。