税理士法人千葉会計

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事業承継

2025年9月19日 (金)

デジタル時代の遺言制度に向けて 法制審議会が中間試案を公表

 下法務省の法制審議会民法(遺言関係)部会が、「民法(遺言関係)等の改正に関する中間試案」を取りまとめた。

 今回の試案は、デジタル社会の進展や高齢化の加速を背景に、遺言制度をより使いやすくし、遺言者の意思を確実に実現することを目的としている。

従来の自筆証書遺言や公正証書遺言などに加え、PCやスマートフォンを利用した電磁的記録による新たな遺言方式の導入が検討されており、その具体案として三つの方式が提示されている。

 第一の甲案は、遺言を電磁的記録で作成し、本人が全文を朗読して録音・録画する方式。証人を要する案と要さない案があり、後者では本人確認機能を備えたアプリの利用が想定される。

第二の乙案は、遺言を電磁的記録として作成し、公的機関に保管する方式で、申請時に全文を朗読する。第三の丙案は、プリントアウトした書面を公的機関に保管する方式。

乙案・丙案については家庭裁判所の検認を不要とする方向も示されている。

 また、自筆証書遺言に関しては、財産目録について自書を不要とする現行制度を維持し、さらに範囲を広げない方針が示された。一方で、押印要件については不要とする案と、現行維持案の両論が検討対象となっている。

 全体として、中間試案は偽造・変造の防止といった真正性確保を維持しつつ、デジタル技術を踏まえた利用しやすさと柔軟性を高める内容となっている。

2025年8月27日 (水)

経産省 中小M&A市場改革プラン検討 トラブル防止に向けた対策の方向性示す

 経済産業省はこのほど、中小M&A市場改革プランの中間試案を公表した。

これは、近年増加する中小M&Aの件数に伴い顕在化した「不適切な譲り受け側によるM&Aトラブル」に対応し、市場の健全な発展と信頼性向上を図るためのものである。

具体的には、経営困難な譲り渡し側の中小企業に対し、譲り受け側がM&A後に資金を引き抜き、かつ経営者保証が解除されないまま負債を残して連絡を絶つという事案が指摘されており、これは中小M&Aへの信頼を失墜させるものと認識されている。

この背景には、中小M&A市場の急速な拡大に伴い、M&A支援機関の支援の質が不十分であるという声も存在した。

これに対して、今後の施策の方向性としては、譲り渡し側の不安解消が重要な課題とされており、特に「M&A時の経営者保証解除に関する実務慣行の定着」が強く求められている。

M&A支援機関と金融機関がガイドラインの趣旨に沿った対応を徹底し、クロージング前に金融機関からの意向表明を得る、またはクロージング時に融資の借り換えを行うといった実務の浸透を最大限図るべきとしている。

加えて、M&A後に経営者保証が解除されない等の情報について、業界内で共有する仕組みの運用も開始されており、市場全体の取り組みとして浸透が図られている状況である。

これらの多角的な取り組みにより、中小M&A市場におけるトラブルの再発防止と信頼性回復、そして市場の健全な発展を目指すことなどが示されている。

2025年7月 3日 (木)

M&Aアドバイザーの信頼性向上へ 中小企業庁が資格制度創設を検討

 中小企業庁がM&Aに関する資格制度の創設を検討している。

同庁が公表した資料「中小M&A市場の改革に向けた方向性について」によると、この資格制度は、M&Aアドバイザー個人の知識・スキルを向上させ、質の高いアドバイザーを可視化することを目的としている。

現状、M&A市場には未熟な支援機関も多く、知識・能力に乏しいアドバイザーが交渉や手続きのミスを招き、結果としてM&Aが不成立となったり、成約後にトラブルが生じたりするケースが少なくない。

こうした問題を解消するため、同庁は2025年4月に「スキルマップ」を公表し、M&Aアドバイザーに求められる知識・スキルや倫理・行動規範を体系的に整理した。

このスキルマップを踏まえ、具体的には中小M&Aアドバイザー試験(仮称)の創設を民間ベース

で進める方向で検討が進んでいる。試験範囲はM&Aスキームや進め方、財務・税務、企業価値評価、デューデリジェンス、契約に関する法務、行動規範・倫理など幅広く、M&Aの実務を担う上で必須となる知識を問う内容が想定されている。

試験形式は選択式・短答式で50問程度、M&A支援に必要な知識を確認するものとなる見込みだ。

資格保有者には、倫理規程の遵守や定期的な講習の受講が義務付けられ、違反があれば資格の取消や氏名公表といった厳格な措置も検討されている。

また、資格取得者はデータベース上で氏名が公表され、依頼者が信頼できるアドバイザーを選びやすくなる仕組みも整備される予定だ。

2025年2月13日 (木)

事業承継税制の役員就任要件「3年」から「贈与の直前」へ改正

 非上場株式等に係る贈与税の納税猶予(事業承継税制)を活用するには、後継者が、自社株式を贈与する日まで3年以上に渡って会社の役員である必要がある(いわゆる役員就任要件)。

ところが、自社株式の贈与にかかる贈与税が100%納税猶予される、いわゆる「特例版事業承継税制」の適用期限は2027年12月31日とされていることから、現行制度下では、2024年12月31日までに後継者が役員に就任していなければ同税制を適用することができない。

 適用期限が2年以上も先であるにもかかわらず、これから事業承継に取り組む企業では適用を受けられないということだ。

この制度は「中小企業の事業承継を促す」ことを目的として創設されたが、このままでは制度本来の目的を果たすことができないため、令和7年度税制改正ではこの役員就任要件が大きく緩和されることになった。

具体的には、後継者が「贈与の日まで引き続き3年以上役員等であること」とされている要件が、「贈与の直前において役員等であること」に見直される。

今回の改正により多くの企業が同税制を活用することが期待されるが、その適用を受けるには、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けた旨を記載した「特例承継計画」を作成し、2026年3月31日までに、会社の主たる事務所が所在する都道府県まで提出する必要がある。

こちらは間もなく提出期限の1年前を迎えるため、事業承継を考えている企業は早めに動き出す必要がある。

2024年11月 5日 (火)

全労働者に占める若年労働者割合 5年前に比べて3.6ポイント低下

 厚生労働省が、5人以上の常用労働者を雇用する事業所を対象に2023年10月1日現在の状況で実施した「2023年若年者雇用実態調査」結果(有効回答数7867事業所)によると、2023年10月1日現在で、15~34歳の若年労働者が就業している事業所の割合は73.6%となっており、その内訳は「若年正社員がいる」事業所が62.0%、「正社員以外の若年労働者がいる」事業所が34.4%となっている。

 全労働者に占める若年労働者の割合は23.7%となっており、5年前の2018年の前回調査(27.3%)からは3.6ポイント低下した。

「若年正社員がいる」事業所割合を産業別にみると、「金融業,保険業」が86.6%と最も高く、次いで「電気・ガス・熱供給・水道業」79.0%。

 一方、「正社員以外の若年労働者がいる」事業所の割合は「宿泊業,飲食サービス業」が 60.4%と最も高く、次いで「教育,学習支援業」が 49.7%となっている。

 過去1年間(2022年10月~2023年9月)に正社員として採用された若年労働者がいた事業所の割合は33.4%、正社員以外の労働者として採用された若年労働者がいた事業所は19.8%。

産業別にみると、正社員では「金融業、保険業」(56.2%)、「情報通信業」(53.1%)の順で、正社員以外では「宿泊業、飲食サービス業」(34.1%)、「教育、学習支援業」(32.7%)の順で高くなっている。

2024年10月15日 (火)

代表者が交代した企業は6.7万社 代表者の平均年齢が16.7歳若返る

 東京商工リサーチが発表した2024年「代表者交代調査」結果によると、2023年から2024年に代表者が交代した企業は、全国で6万6862社だった。

これは、東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースに登録された約157万社の4.2%に当たる。

代表者の交代前の平均年齢は71.1歳だったが、交代後は54.4歳と一気に16.7歳の若返りが進んだ。

 代表者交代の社数は、2014年から2019年は約21万社だったが、2019年から2024年は約26万社に増えており、代表者交代の時期に差し掛かっている企業が増加している。

円滑な事業承継には十分な準備期間が必要で、代表者交代の判断は50歳代が一つのターニングポイントかもしれない。

ただ、代表者交代のタイミングは企業個別の事情もある。

代表者の年齢を視野に入れ、適切な交代時期を探ることも、スムーズな事業承継に欠かせない。

 代表者交代が判明した6万6862社を地区別でみると、最多が「関東」の36.9%、「近畿」13.7%、「中部」12.5%、「九州」10.6%と続き、最少は「四国」の3.0%だった。

交代社数は企業数が多いエリアに比例する結果となった。

全企業に対する代表者交代率は、最高が「北陸」の4.58%で、次いで、「関東」4.55%、「北海道」4.49%、「東北」4.27%の4地区が全国平均(4.24%)を上回った。

一方、交代率の最低は、「四国」の3.55%だった。

2024年4月 1日 (月)

事業承継特例に関する実態調査 「利用・検討した」企業は26.4%

 東京商工会議所が発表した「中小企業の事業承継に関する実態調査」結果(有効回答数1661社)によると、中小企業の事業承継の現状は、後継者(候補含む)がいる企業は約5割(53.5%)だったが、これらの企業の26.4%が法人版事業承継税制特例措置を「利用・検討したことがある」ことが分かった。

内訳は、「事業承継税制の適用を受けている」が3.1%、「特例承認計画を提出したが、猶予はまだ受けていない」が4.4%など。

 一方で、「事業承継税制を知らない」と回答した企業が4割(39.6%)あった。

これらの企業の事業承継の課題(複数回答)は、「借入金・債務保証の引継ぎ」が39.9%で最も多く、次いで「後継者への株式の移転」(34.7%)、「自社株の評価額の高さ」(16.1%)などが続いた。

自社株評価の実施状況をみると、「事業承継税制を知らない」企業の42.8%が「評価したことがない」と回答している。

また、後継者(候補含む)がいて、特例承認計画の提出を検討中の企業(11.7%)においても、「特例承認計画を提出する目途がついていない」企業が55.2%と半数を超えた。

 これらの企業が税制を検討する中での制度上の障壁(複数回答)は、「適用期限(2027年12月)までに事業承継が完了できない」が30.2%、自社の障壁では、「後継者候補はいるが、経営者としての人材育成が終わっていない」が53.5%でともに最多だった。

2024年3月15日 (金)

中小企業の3社に2社が人手不足 2024年度に賃上げ実施予定6割超

 東京商工会議所及び日本商工会議所が発表した「中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査」(有効回答数2988社)によると、人手が「不足している」と回答した企業は65.6%で、3社に2社が人手不足の厳しい状況が続いている。

業種別にみると、「建設業」(78.9%)、「運輸業」(77.3%)、「介護・看護業」(76.9%)で8割近く、最も低い製造業(57.8%)でも約6割となり、あらゆる業種で人手不足の状況にある。

人手不足への対応方法(複数回答)は、「採用活動の強化(非正規社員含む)」(81.1%)が8割を超えて最多。

生産年齢人口が減少するなか、採用だけでなく省力化や多様な人材の活躍などの取組が求められるが、「事業のスリム化、ムダの排除、外注の活用」(39.1%)や、「女性・高齢者・外国人材など多様な人材の活躍推進」(37.3%)は4割弱にとどまり、「デジタル・機械・ロボットの活用」(26.6%)はさらに低く、3割に満たない。

2024年度に「賃上げを実施予定」とする企業は61.3%と6割超。

昨年度から3.1ポイント増と、賃上げに取り組む企業は着実に増加。

うち、「業績の改善がみられないが、賃上げを実施予定(防衛的な賃上げ)」は60.3%と、依然6割が「防衛的賃上げ」を実施。従業員規模別では、5人以下の企業では、「賃上げ実施予定」は32.7%と3割強にとどまり、「賃上げを見送る予定(引下げ予定を含む)」が16.8%と2割近くとなった。

2024年2月22日 (木)

法人版事業承継税制等の見直し 承継計画の提出期限を2年延長

 2024年度税制改正では、法人版事業承継税制における特例承継計画の提出期限が2026年3月末まで2年間、また、個人版事業承継税制における個人事業承継計画の提出期限についても2年間それぞれ延長される。

 法人版事業承継税制は、2018年度税制改正において、2018年1月から10年間の特例措置として、2024年3月末までに特例承継計画の提出がなされた事業承継について抜本的拡充を行われている。

 具体的には、10年間の措置として、納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の3分の2まで)の撤廃や、納税猶予割合の引上げ(80%から100%)等がされた特例措置が創設された。

 2024年度税制改正では、この特例措置について、コロナの影響が長期化したことを踏まえ、会社の後継者や承継時までの経営見通し等を記載した「特例承継計画」の提出期限が2026年3月末まで2年延長される。

 この特例措置は、日本経済の基盤である中小企業の円滑な世代交代を通じた生産性向上が待ったなしの課題であるために事業承継を集中的に進める観点の下、贈与・相続時の税負担が生じない制度とするなど、極めて異例の時限措置としていることを踏まえ、2027年12 月末までの適用期限については今後とも延長を行わない。

あわせて、個人版事業承継税制における個人事業承継計画の提出期限についても2年延長される。

2024年1月26日 (金)

小企業の雇用に関する調査結果 従業員過不足DIは3年連続上昇

 日本政策金融公庫が取引先企業を対象に昨年9月中旬に実施した「小企業の雇用に関する調査」結果(有効回答数6502社)によると、現在の従業員数が最近の営業状況と比べて「不足」と回答した企業割合は38.5%と、前回調査(2022年7~9月期)から2.6ポイント上昇した。

一方、「過剰」は6.8%と、同1.9ポイント低下。

従業員過不足DI(「不足」-「過剰」企業割合)は、同4.6ポイント上昇し、31.8となった。上昇は3年連続。

 従業員過不足DIを業種別にみると、卸売業を除くすべての業種で上昇。「不足」割合は、「運輸業」が59.4%と最も高く、次いで「建設業」(57.7%)、「情報通信業」(55.1%)の順。

また、従業員数が1年前と比べて「増加」と回答した企業割合は11.4%と、前回調査における今後の方針(25.8%)を下回った。

業種別にみると、「運輸業」が20.3%と最も高く、次いで「情報通信業」(19.4%)、「飲食店・宿泊業」(14.3%)の順となっている。

 従業員数の増加理由(3つまで回答)は、「将来の人手不足への備え」と回答した企業割合が63.1%と最も高く、「受注・販売が増加」(34.7%)、「技能継承のため(従業員の高齢化への対応)」(31.1%)の順。

従業員数の減少理由(同)は、「転職者の補充人員を募集したが採用できず」と回答した企業割合が43.2%と最も高く、次いで「受注・販売が減少」(39.5%)、「受注・販売が減少見込み」(19.8%)の順となっている。

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