ちば会計

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その他税制

2025年1月24日 (金)

厚労省、外国人雇用実態調査結果を公表 平均給与は月額26万7,700円

 厚生労働省はこのほど、「令和5年外国人雇用実態調査」の結果を取りまとめて公表した。

 この調査は、外国人労働者を雇用する事業所における外国人労働者の雇用形態、賃金等の雇用管理の状況、入職経路、前職に関する事項等について明らかにすることを目的として、2024年に初めて実施されたもの。

 これによると、雇用保険の被保険者数が5人以上の事業所に勤務する外国人労働者の数は約160万人で、「月間きまって支給する現金給与額」は26万7,700円。

実労働時間は、所定内実労働時間155.8時間、超過実労働時間19.8時間だった。

 外国人労働者を雇用する理由は「労働力不足の解消・緩和のため」が64.8%と最も高く、「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して(56.8%)」、「事業所の国際化、多様性の向上を図るため(18.5%)」、「日本人にはない知識、技術の活用を期待して(16.5%)」と続く。

 また、外国人労働者の雇用に関する課題は、「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」44.8%で最多、「在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑(25.4%)」、「在留資格によっては在留期間の上限がある(22.2%)」、「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある(19.6%)」などが上位を占めた。

外国人労働者の国籍・地域をみると、ベトナムが29.8%と最も多く、次いで中国(香港、マカオ含む)が15.9%、フィリピンが10.0%となっている。

2025年1月22日 (水)

令和7年度税制改正大綱が公表 基礎控除は「10万円引き上げ」

 自民・公明両党は12月20日、令和7年度の税制改正大綱を取りまとめ、同日午後に閣議決定された。

 今回の目玉は、直前まで“大揉め”となった「103万円の壁」の解消について。

所得税の基礎控除額が10万円引き上げられるほか、給与所得控除の最低保障額が、現行の55万円から65万円まで引き上げられる。

また、新たな控除の仕組みとして「特定親族特別控除(仮称)」が導入される。

これは、19歳から22歳までの大学生年代の子の合計所得金額が85万円(給与収入150万円に相当)までは、親が特定扶養控除と同額(63万円)の所得控除を受けられ、合計所得金額が85万円を超えた場合でも、親が受けられる控除の額が段階的に逓減するというもの。

特に飲食業、小売業、サービス業などでは、パートやアルバイトの人手不足が深刻化していることから、大学生アルバイトによる収入調整を抑制することが狙いだ。

 基礎控除が全ての納税者に対して恩恵がある一方、給与所得控除の「10万円引き上げ」は、給与収入が1,625,000円未満の人にしか適用されない。

つまり、一般的なサラリーマンには適用されず、実質的には基礎控除が10万円増えただけ。

「物価高騰に苦しむ国民の手取りを増やす」と盛り上がったものの、政府・与党の抵抗もあり、減税という意味では少し物足りない改正となった。

ただし、自民党、公明党、国民民主党による三党協議が引き続き行われる予定であり、最終的にどのような制度になるか注視しておく必要がある。

 

2025年1月14日 (火)

暗号資産取引に対する課税 分離課税の“対象入り”は暗礁に!?

 暗号資産の譲渡による所得は、現行制度では原則として雑所得に該当し、他の金融商品が20%の申告分離課税の対象となる一方、暗号資産取引は申告分離課税の対象から除外されている。

こうした課税方法について、暗号資産交換業者等の業界団体である日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)や日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)では、以前より「20%の申告分離課税の対象とすること」「損失については翌年以降3年間、暗号資産に係る所得金額から繰越控除ができること」などを要望してきた(暗号資産デリバティブ取引も含む)。

 こうした業界団体による活発な動きを受けて、令和6年度税制改正では、発行者以外の第三者が継続保有する暗号資産について、一定の要件の下、期末時価評価課税の対象外とする見直しが行われたばかり。

 こうした流れもあり、いよいよ本丸である「申告分離課税の対象入りが実現するか」と話題になっていたが、石破総理は12月3日に行われた代表質問の中で「投資家保護規制が整備されている株式や投資信託のように暗号資産への投資を国が推奨することが妥当なのか、申告分離課税を適用することに国民の理解が得られるのか、などの課題があり、丁寧な検討が必要である」と答弁し、慎重な姿勢を示している。

令和7年度税制改正で申告分離課税の対象となる道はほぼ途絶えたと言える状況だが、引き続き動向を見守りたい。

2025年1月10日 (金)

中堅・中小企業の拠点投資が活発化 およそ5割が新設・拡張を計画

 日本商工会議所が行った「地域経済を牽引する中堅・中小企業における投資動向調査」の結果によると、過去5年間で、およそ6割(56.7%)の中堅・中小企業が拠点新設等の投資を実施していることが分かった。

 また、今後5年間で拠点の新設や拡張・移転を計画している企業の割合は約5割(計画している:23.5%、検討中:23.6%

)にのぼり、中堅・中小企業は高い投資意欲を有していることが推察される。

 投資額について見ていくと、投資額が10億円を超える企業の割合は、過去5年間が24.6%だったのに対し、今後5年間では30.3%と増加する見通し。

従業員数300人超の企業に限ると、今後5年間で10億円超の投資を行う企業が5割を超えており、会社の規模が大きくなるほど大型投資の割合が増加する傾向が顕著に表れている。

 拠点投資を行った背景については、「需要増への対応」が56.6%、「既存拠点の老朽化への対応」が36.2%、「新たな産業分野等への進出・事業拡大」が35.1%だった。

このうち、「新たな産業分野等への進出・事業拡大」の具体的な投資分野を見てみると、「自動車・船舶関連(自動運転、EVPHV)」が19.9%、「AIチップ・半導体関連」が19.1%、「医療・ヘルスケア・バイオ」が18.4%、「ロボット関連」が16.2%と、成長分野への投資が活発であることがわかる。

また、インバウンドを含む観光需要の拡大に伴い、観光関連(12.5%)の投資も活発であるようだ。

2024年12月24日 (火)

中小企業に対する法人税の軽減 制度の大幅な見直しに現実味

「中小企業に対する法人税の軽減税率」がピンチだ。

現在、資本金1億円以下の中小企業の法人税率は、年800万円以下の所得⾦額について本則19%とされており、令和7年3⽉31⽇までの時限的な措置として、さらに15%に軽減されている(租税特別措置)。

このうち租税特別措置に当たる部分は、平成20年に「⾦融不安や景気後退の影響を受けやすい中⼩・⼩規模企業について⼗分な資⾦繰り対策を実施する⼀⽅で、中⻑期的に⽇本経済の底⼒を成⻑に結び付ける取組を推進する」ため、中⼩企業の財務基盤の強化を⽬的として導⼊された。

 実はこの軽減税率には、創設当初、明確な政策目標が数値で設定されていた。

それは、①中⼩企業等の売上⾼が、⽣活対策以前(平成20年上期)の⽔準を持続的に達成すること、②中⼩企業等の資⾦繰りDIが、⽣活対策以前(平成20年上期)の⽔準を持続的に達成すること、③中⼩企業等の業況判断DIが、⽣活対策以前(平成20年上期)の⽔準を持続的に達成することの3点。

つまり、この3点が達成された場合には廃止することがあらかじめ想定されていた訳だ。

では現状はどうかというと、②③についてはすでに「達成済み」で、①のみが「未達」。

加えて、2023年度における中小企業の借入依存度は38.2%と、⼤企業と比較すると高く、財務基盤はいまだ脆弱だ。

これらのことから、軽減税率そのものは延長しつつも、すでに財務基盤が回復した企業を対象から除外することなどが検討されているようだ。 

2024年12月17日 (火)

広がりつつある価格転嫁の裾野 「発注企業からの申入れ」は28.3%に

 経済産業省はこのほど、「価格交渉促進月間(2024年9月)フォローアップ調査」の調査結果を公表した。

これによると、前回調査(2024年3月)「発注側企業から申し入れがあり、価格交渉が行われた」割合は、前回調査(2024年3月)から約2ポイント増の28.3%。

また、「価格交渉が行われた」割合も前回から約1ポイント増の86.4%だった。

一方で、「価格交渉が行われなかった」割合は、前回の14.8%から13.6%に減少している。

発注企業からの申し入れは浸透しつつあるものの、引き続き、受注企業の意に反して交渉が行われないケースが存在しているようだ。

こうした現状について経産省は「引き続き、労務費指針の徹底等による価格交渉・転嫁への機運醸成が重要」とコメントしている。

 今回の調査では、2023年11月に「労務費指針(労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針)」が策定・公表されたことを踏まえ、「労務費について価格交渉ができたか」についても調査を行っている。

それによると、価格交渉が行われた企業(54.9%)のうち70.4%が労務費についても交渉を実施(前回68.9%)している一方で、7.6%の企業が「労務費が上昇し、価格交渉を希望したが出来なかった」と回答している(前回8.8%)。

前回よりは減少したものの、依然として1割弱が労務費を価格転嫁できていないことから、経産省は、公正取引委員会等と連携し、労務費指針を周知・徹底していく方針だ。

 

2024年12月13日 (金)

国税庁 消費税還付申告への対応を公表 税務調査への協力などを呼びかけ

 国税庁は11月21日、同庁のHPに「消費税還付申告に関する国税当局の対応について」とする情報を公開した。

近年、消費税の仕組みを悪用し、実際に取引をしたように見せかけるなど虚偽の内容で申告書を提出し、消費税の還付を不正に受けようとする事案が多数発生していることから、同庁では消費税還付法人に対する調査を強化している。

同庁では令和3年7月から同4年6月までに、消費税還付申告法人に対して約4,300件の実地調査を実施しており、その追徴税額は約372 億円だった。

 また、特に悪質な不正受還付犯に対しては、査察調査を行った上で検察官に告発し、その刑事責任を追及している。

令和4年4月から同5年3月までに不正還付事案16件を告発しており、これらの事案で不正に還付を受けた(受けようとした)金額は合計で13億4,700万円にも上っている。

 不正還付の手口は様々だが、同庁が公表している「2023年国税庁レポート」では、不正還付の事例として「輸出物品販売場を営む法人が国内で仕入れた化粧品を外国人観光客に販売したように装い架空の課税仕入れ及び架空の輸出免税売上げを計上した事案」や、「複数の法人がパワーストーンの仕入れがあったように装い架空の課税仕入れを計上した事案」などが紹介されており、近年は「輸出物品販売場制度」を悪用した事案が増えているようだ。

 



2024年12月 6日 (金)

どうなる退職金課税の見直し 今年も税制調査会が議論の俎上に

 11月も中盤に差し掛かり、税制改正をめぐる議論が大詰めだ。

今年は、先の衆院選で影響力を増した国民民主党が「103万円の壁」の是正を要求しているため、そちらばかりが注目されているが、その裏で政府と財務省は、今年も退職金課税の見直し=縮小を狙っている。

過去の税制改正大綱や政府税制調査会の資料には「退職金や私的年金の給付に係る課税について、給付が一時金払いか年金払いかによって税制上の取扱いが異なり、給付のあり方に中立的ではないといった指摘がある」「退職金課税については、現行の勤続20年を境に1年当たりの控除額が急増する仕組みや勤務年数が短期間でも退職金に係る所得の2分の1にしか課税されないという仕組みを見直し、全体として多様な就労選択に中立的な制度とすることが求められている」といった文言がたびたび登場し、この時期になると改正論が毎年のように噴き上がる、もはや恒例行事のようなもの。

 ただ、ここ数年は与党自民党が支持率を落としたことや、昨年は「増税内閣」といった批判を気にした結果、直前で見送られてきた経緯がある。

退職金課税の縮小は、納税者のライフプランや相続問題、中小企業の事業承継にも影響する大きな改正となるだけに、令和7年度税制改正で実現するのか、その動向を注視しておく必要があるだろう。



2024年12月 3日 (火)

「フリーランス保護法」が施行 フリーランス取引の適正化など義務化

 11月1日に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」が施行された。

内閣官房等が令和3年に共同で実施した「フリーランス実態調査」によると、フリーランスの約4割が報酬不払い、支払遅延などのトラブルを経験しており、同じく約4割が記載の不十分な発注書しか受け取っていないか、そもそも発注書を受領していないことが分かっている。

一般に「個人」であるフリーランスは、「組織」である発注事業者よりも弱い立場に置かれやすい。

そのため本法では、発注事業者に対して「フリーランスの就業環境の整備」や「取引の適正化」などを義務付けている。

「フリーランスの就業環境の整備」として、具体的には①給付の内容、報酬の額等を書⾯⼜は電磁的⽅法により明⽰すること、②特定受託事業者の給付を受領した⽇から60⽇以内の報酬⽀払期⽇を設定し、⽀払うことなどを定めているほか、「責めに帰すべき事由のない報酬の減額や返品」など7つの行為を禁止している。

また、「取引の適正化」としては、①募集広告に虚偽の表⽰等を行わないこと、②募集広告の内容は正確かつ最新の内容に保つこと、③育児介護等と両⽴して業務を⾏えるよう、申出に応じて必要な配慮をすること、④(発注担当者による)ハラスメント⾏為に係る相談対応等必要な体制整備等の措置を講じること、⑤継続的業務委託を中途解除する場合には、中途解除⽇等の30⽇前までに予告を行うことなどを義務付けている。

2024年11月29日 (金)

22年度税金のムダ遣い580億円 税金の徴収漏れ約2億4千万円

 会計検査院は10月31日、2023年度決算検査報告を公表した。

 これによると、各省庁や政府関係機関などの税金のムダ遣いや不正支出、経理処理の不適切などを指摘したのは345件、648億6218万円(334件分)だった。

前年度に比べ、指摘件数は1件増加。指摘金額では前年度の約580億円を大幅に上回った。

 財務省に対しては、法令違反に当たる不当事項として、税金の徴収額の不足3億3602万円が指摘された。

検査の結果、65税務署において、納税者133人から税金を徴収するに当たり、徴収不足が137事項、3億3602万円(徴収過大はゼロ件)。

前年度は、55署において徴収不足が85事項、2億4085万円だったので、徴収不足は約7000万円増加したことになる。

昨年度、徴収過大は300万円だった。

 徴収が過不足だった137事項を税目別にみると、「法人税」が52事項で徴収不足が1億4581万円と最も多く、以下、「申告所得税」29事項、同8200万円、「相続・贈与税」25事項、同4420万円、「消費税」23事項、同5242万円、「地方法人税」4事項、同548万円などだった。

 これらの徴収過不足額については、会計検査院の指摘後、全て徴収決定・支払決定の処置がとられている。 

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