ちば会計

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その他税制

2023年9月11日 (月)

国の借金、約1276兆円と過去最大 国民1人当たり約1025万円に増加

 財務省が公表した、2023年6月末時点での国債や借入金などを合計した「国の借金」は、過去最大だった2023年3月末から5兆8165億円増えて1276兆3155億円となった。

2023年度の税収総額は約69兆円と5年連続で過去最高を更新する見通しだが、高齢化による社会保障費の膨張に加え、新型コロナ対策や物価高対応の財政支出などがあるため、約35.6兆円の新規国債発行で歳入不足を賄う予定だ。

国の借金は膨張が止まらない。

 6月末の国の借金は、3月末に比べ、国債は▲約2.3兆円の約1134.1兆円で全体の約89%を占め、うち普通国債(建設国債、赤字国債等)は▲約0.5兆円の約1026.6兆円と過去最大だった3月末からは微減となった。

その内訳は、長期国債(10年以上)が約7.7兆円増の約785.9兆円、中期国債(2年から5年)も約3.4兆円増の約186.9兆円と増加したが、短期国債(1年以下)が▲約11.5兆円の約53.8兆円と減少して全体を押し下げた。

 この「国の借金」約1276.3兆円は、2023年度一般会計予算の歳出総額114兆3812億円の約11倍、同年度税収見込み額69兆4400億円の約18.4倍にあたる。

年収500万円のサラリーマンが9200万円の借金を抱えている勘定だ。

 また、わが国の今年7月1日時点での推計人口1億2456万人(総務省統計局の概算値)で割ると、国民1人当たりの借金は、2023年3月末時点の約1021万円から約1025万円に増加している。

2023年9月 1日 (金)

タワマン節税抑止の通達案公表 従来の評価額に評価乖離率で補正

 国税庁は、マンションの相続税評価額が実勢価格の平均4割程度にとどまることから、その評価額の低さを利用したマンション節税、いわゆる「タワマン節税」を抑止するため、評価額の算定ルールを見直す通達案を公表した。

新たな算定ルールは、2024年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価に適用する。

通達案は、まず、一室の区分所有権等に係る敷地利用権の価額は、「自用地としての価額」に、一定の補正率を乗じて計算した価額を、その「自用地としての価額」とみなして評価することとする。

 具体的には、「築年数」、「総階数指数」、「所在階」、「敷地持分狭小度」の4指数に基づいて評価乖離率を求め、1を乖離率で除した評価水準が0.6未満の場合、従来の評価額に評価乖離率と0.6を掛けて補正し、評価水準が1を超える場合、従来の評価額に評価乖離率のみを掛けて補正する。

区分所有者が、一棟の区分所有建物に存する全ての専有部分、一棟の区分所有建物の敷地のいずれも単独で所有している場合は、「補正率」は1を下限とする。

 次に、一室の区分所有権等に係る区分所有権の価額については、「自用家屋としての価額」に、上記と同様の補正率を乗じて計算した価額をその「自用家屋としての価額」とみなして評価する。

 なお、国税庁では、これらの居住用の区分所有財産の評価について、納税者が簡易に計算するためのツールを用意する予定としている。

2023年8月24日 (木)

空き家税の導入を目指す京都市 事業用の非居住住宅等は課税免除

 空き家等の既存住宅の流通・利活用の促進が全国的な課題となっているなか、京都市では、自治体独自の法定外普通税として、「非居住住宅利活用促進税(空き家税)」の導入に向けた取組みを進めている。

空き家や別荘などの居住者のない住宅の存在は、京都市に居住を希望する人への住宅の供給を妨げるとともに、防災上、防犯上または生活環境上多くの問題を生じさせ、地域コミュニティの活力を低下させる原因の一つになっている。

 非居住住宅利活用促進税は、京都市の市街化区域内に所在する非居住住宅に対し、その所有者に家屋価値割額及び立地床面積割額の合算額によって課すこととする。

住民票の有無にかかわらず、居住実態の有無によって生活の本拠を判断する。

ただし、事業用の非居住住宅や、それ以外で賃貸または売却予定の非居住住宅に対しては課税を免除する。

 具体的には、(1)事業の用に供しているもの、または1年以内に事業の用に供することを予定しているもの、(2)賃貸または売却を予定しているもの(事業用を除く、ただし、1年を経過しても契約に至らなかったものは除く)、(3)固定資産税において非課税または課税免除とされているもの、(4)景観重要建造物その他歴史的な価値を有する建築物として別に定めるもの、などは非居住住宅利活用促進税を課さないこととする。

 施行期日は、市規則で定める日(2026年1月1日以後の日を予定)としている。

2023年8月16日 (水)

「タワマン節税」防止に見直し案 実勢価格の60%へ評価額を引上げ

 国税庁はこのほど、マンションの相続税評価額の適正化を検討していた有識者会議の見直し案を公表した。

この背景には、マンションの評価額が実勢価格の平均4割程度にとどまることから、その評価額の低さを利用したいわゆる「マンション節税」や「タワマン節税」が広がっていたことがある。

 現行の相続等で取得した財産の時価(マンション(一室)の評価額)は、不動産鑑定価格や売却価格が通常不明であることから、建物(区分所有建物)の固定資産評価額と路線価等から計算した敷地の価額の合計額としている。

しかし、建物の市場価格は、建物の総階数やマンション一室の所在階、築年数が考慮されており、これらの反映が不十分だと、評価額が市場価格に比べて低くなるケースがある。

 また、マンション一室を所有するための敷地利用権は、共有持分で按分した面積に平米単価を乗じて評価されるが、この面積は一般的に高層マンションほどより細分化され狭小となるため、このように敷地持分が狭小なケースは立地条件の良好な場所でも、評価額が市場価格に比べて低くなる。

 そこで、見直し案では、相続税評価額が市場価格と乖離する要因となっている「築年数」、「総階数(総階数指数)」、「所在階」、「敷地持分狭小度」の4つの指数に基づいて、統計的手法により乖離率を予測し、その結果、評価額が市場価格理論値の「60%」(一戸建ての評価の現状を踏まえたもの)に達しない場合は「60%」に達するまで評価額を補正する。

 



2023年8月 2日 (水)

TOB成立後上場廃止での株式 譲渡所得の申告漏れが目立つ

 国税庁は、株式公開買い付け(TOB)の成立で上場廃止となった株式に関し、譲渡所得の申告漏れが目立つことから、注意を喚起している。

TOB成立後、上場廃止となった株式をTOBによる買付者などに買い取られた場合に譲渡益が生じたときには、所得税の申告が必要になる。

 TOBは近年、上場企業に対するM&Aの手法として一般化している。

国税庁は、TOBの買付総額が高額なものもあり、上場廃止後の株式譲渡に係る申告漏れの増加が懸念されたことから、TOBに応じなかった株主379人を対象に抽出調査した結果、約半数にあたる199人から申告漏れが見つかり、その申告漏れ所得金額は4億7495万円、追徴税額は7258万円で、申告漏れ1件当たりの追徴税額は36万円だった。

申告漏れが把握された事例の中には、1億8216万円と2億円近い多額の譲渡益が生じていたにもかかわらず、無申告となっていたものが含まれており、追徴税額3151万円が課されている。

 この申告漏れの背景にあるのは、株式を管理する口座が変わること。

投資家の多くは、上場株式との取引を対象とする「源泉徴収ありの特定口座」を使っており、同口座は証券会社が売買損益や税額を計算して口座から天引きするため、投資家は自分で確定申告する必要がない。

しかし、TOB成立で上場廃止となった企業の株式は、投資家自らが売買損益や税額を計算する「一般口座」での取引となり、利益が生じれば申告する必要がある。

 



2023年7月25日 (火)

再調査の請求・審査請求・訴訟 納税者救済・勝訴割合は減少

 国税庁が公表した今年3月までの1年間(2022年度)の税務署等に対する再調査の請求の発生件数は、申告所得税等(48.5%増の536件)などが大きく増加したことから、全体では前年度から37.0%増の1533件となった。

処理件数は、「取下げ等」161件、「却下」124件、「棄却」1023件、「一部取消」45件、「全部取消」18件の合計1371件(前年度比14.4%増)。

納税者の主張が一部でも認められたのは計63件となり、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度から▲2.3ポイントの4.6%だった。

 また、国税不服審判所への審査請求の発生件数は、消費税等(43.9%増の1235件)などほとんどの税目が増加したことから、全体では前年度から22.2%増の3034件となった。

処理件数は、「取下げ」286件、「却下」385件、「棄却」2263件、「一部取消」153件、「全部取消」72件の合計3159件(前年度比38.4%増)だった。

納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は同▲5.9ポイントの7.1%となった。

 一方、訴訟となった発生件数は、法人税(▲7.1%の39件)や消費税(▲32.0%の17件)、徴収関係(▲51.4%の17件)など多くの税目が減少したことから、全体では前年度を▲8.5%下回る173件だった。

訴訟の終結件数は、「取下げ等」13件、「却下」9件、「棄却」154件、「国の一部敗訴」4件、「国の全部敗訴」6件の合計186件(前年度比▲6.5%)。国側の敗訴(納税者勝訴)割合は同▲1.1ポイントの5.4%となった。

2023年7月14日 (金)

22年度査察、着手件数は145件 告発件数103件で告発率74.1%

 いわゆるマルサと呼ばれる査察は、脱税でも特に大口・悪質なものが強制調査され検察当局に告発されて刑事罰の対象となる。

国税庁が公表した2022年度査察白書によると、同年度に査察で摘発した脱税事件は前年度より30件多い139件で、その脱税総額は前年度を約25%上回る約128億円だった。

今年3月までの1年間(2022年度)に、全国の国税局が査察に着手した件数は145件と、前年度(116件)を29件上回った。

 継続事案を含む139件(前年度103件)を処理(検察庁への告発の可否を最終的に判断)し、うち74.1%に当たる103件(同75件)を検察庁に告発。この告発率74.1%は前年度を1.3ポイント上回り、2006年度以来の高水準だった。

 2022度は、消費税の輸出免税制度を利用した消費税不正受還付事案を16件、自己の所得を秘匿し申告を行わない無申告ほ脱事案を15件、国際事案を25件、それぞれ告発している。

 近年、査察における大型事案は減少傾向にあり、2022年度の脱税総額127億6000万円は、ピークの1988年度(約714億円)の約18%にまで減少している。

1件当たり平均の脱税額は9200万円で、ここ5年は1億円を下回っている。告発分の脱税総額は前年度を64.9%上回る100億1900万円だったが、前年度は統計が残る1972年度以降、過去最少だった。

告発分1件当たり平均の脱税額は9700万円となっている。

 



2023年6月30日 (金)

独禁法違反、排除措置命令を8件 課徴金、過去最高の1019.9億円

 公正取引委員会が発表した2022年度における独占禁止法違反事件の処理状況によると、同年度においては、独占禁止法違反行為について、延べ29名の事業者に対して、違反企業に再発防止などを義務付ける排除措置命令を8件行った。

前年度は、現行制度が導入された2006年以降、最少の3件だったが、5件増加した。

 排除措置命令8件の内訳は、価格カルテル1件、その他のカルテル3件、入札談合4件。

また、独禁法違反被疑行為について、4名の事業者に対して、3件の確約計画の認定を行った。

いずれも不公正な取引方法(再販売価格の拘束1件、その他の拘束・排他条件付取引1件、競争者に対する取引妨害1件)となっている。

 確約計画の認定とは、確約手続きに係る通知を受けた事業者から申請された確約計画を公取委が認定するという、独禁法に基づく行政処分。

 公取委は、認定した確約計画に従って確約計画が実施されていないなどの場合には、その認定を取り消し、確約手続きに係る通知を行う前の調査を再開することとなる。

また、その他の拘束・排他条件付取引とは、再販売価格の拘束以外の拘束・排他条件付取引を指す。

 課徴金納付命令の状況は、延べ21名の事業者に対し、過去最高の総額1019億8909万円の課徴金納付命令を行った。

一事業者当たりの課徴金額の平均は48億5662万円だった。

2023年6月15日 (木)

国別報告書の自動的情報交換実施 4月現在で対象国88ヵ国に増加

 租税条約に基づく自動的情報交換の対象国が着々と増加している。

租税条約等に基づく情報交換は、納税者の取引などの税に関する情報を税務当局間で互いに提供する仕組み。

経済取引の国際化が進むなか、国税庁では、租税条約等に基づく外国税務当局との情報交換を通じて、国際的な脱税や租税回避の把握・防止に取り組んでいる。

 租税条約に基づく情報交換には、自動的情報交換、自発的情報交換、要請に基づく情報交換の3つの類型があり、国税庁は今回、国別報告書の自動的情報交換の実施対象国を更新し、最新データとして公表した。

国別報告書には、多国籍企業グループの事業が行われる国・地域ごとの収入金額や納付税額の配分状況等に関する情報が含まれ、各国の税務当局ではこれを移転価格リスク評価に使用している。

 国税庁が今回更新した「日本との間における国別報告書の自動的情報交換の実施対象国・地域」によると、2023年4月1日現在における国別報告書の自動的情報交換の実施対象は88の国・地域。

前回の更新(2022年9月)からイスラエルとタイの2ヵ国が追加されている。

 自動的情報交換の対象にはこのほか、非居住者の金融口座情報(氏名・住所・口座残高など)、法定調書情報などがあり、情報交換事績もこれらの類型に分けてまとめられている。

なお、租税条約を締結している国・地域は、5月1日現在で84条約等、153ヵ国・地域にのぼる。



2023年6月 8日 (木)

3月末時点の国の借金過去最大 普通国債の増加が全体を押上げ

 財務省が公表した、2023年3月末時点での国債や借入金などを合計した「国の借金」は、過去最大だった2022年12月末から13兆4999億円増えて1270兆4990億円となった。

 2023年度の税収総額は約69兆円と4年連続で過去最高を更新する見通しだが、高齢化による社会費の膨張に加え、防衛費の増加などの歳出の拡大に追い付かず、約35.6兆円の新規国債発行で歳入不足を賄う。

国の財政は厳しい状況が続きそうだ。

 3月末の国の借金は、12月末に比べ、国債は約20.9兆円増の約1136.4兆円で全体の約89%を占め、うち普通国債(建設国債、赤字国債等)は約21.3兆円増の約1027.1兆円と過去最大となった。

その内訳は、長期国債(10年以上)が約7.9兆円増の約778.3兆円、中期国債(2年から5年)が約0.9兆円増の約183.5兆円、短期国債(1年以下)も約12.5兆円増の約65.3兆円と軒並み増加して全体を押し上げた。

 この「国の借金」約1270.5兆円は、2023年度一般会計予算の歳出総額114兆3812億円の約11倍、同年度税収見込み額69兆4400億円の約18.3倍にあたる。

年収500万円のサラリーマンが9150万円の借金を抱えている勘定だ。

 また、わが国の今年4月1日時点での推計人口1億2447万人(総務省統計局の概算値)で割ると、国民1人当たりの借金は、2022年12月末時点の約1006万円から約1021万円に増加している。

 

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