ちば会計

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その他税制

2024年10月 3日 (木)

23年度国税の滞納残高は9276億円 消費税の新規滞納増で4年連続増加

 国税庁が公表した2023年度租税滞納状況によると、今年3月末時点での法人税や消費税など国税の滞納残高が22年ぶりに増加した20年度から4年連続で増加したことが明らかになった。

 これは、新規滞納発生額全体の5割超を占める消費税の新規滞納発生が前年度比20.7%増と大きく増加したことなどが要因。

新規発生滞納額は前年度に比べ11.1%増の7997億円と2年ぶりに増加した。

 整理済額は7670億円(前年度比8.0%増)と新規発生滞納額を下回ったため、今年3月末時点での滞納残高は3.7%増の9276億円と4年連続で増加した。

ただし、今年3月までの1年間(2023年度)に発生した新規滞納額は、最も新規滞納発生額の多かった1992年度(1兆8903億円)の約42%まで減少している。

 また、2023年度の滞納発生割合(新規発生滞納額/徴収決定済額)は前年度から横ばいの1.0%と低水準で推移している。

滞納発生割合は、2020年度は過去最低の0.9%、23年度は1.0%で推移。

この結果、滞納残高はピークの1998年度(2兆8149億円)の約33%まで減少している。

 税目別にみると、消費税は、新規発生滞納額が前年度比20.7%増の4383億円と2年ぶりに増加し、税目別では19年連続で最多、全体の約55%を占める。

一方で、整理済額が4212億円と下回ったため、滞納残高は5.0%増の3580億円と、2年ぶりに増加した。

2024年9月17日 (火)

ふるさと納税の寄附件数過去最高 寄附額1.1兆円と初の1兆円超え

 2023年度のふるさと納税の寄附件数が約5895万件(対前年度比13.7%増)、その寄附額は約1兆1175億円(同15.8%増)と、ともに前年度を大幅に上回り過去最高を更新したことが、総務省が公表した「ふるさと納税に関する現況調査」結果で明らかになった。

ふるさと納税は、自分の生まれた故郷だけでなく、応援したいどの都道府県・市区町村にも寄附ができ、寄附金は税金の還付・控除が受けられる。

 ふるさと納税は、災害被災地の支援を目的とした寄附などが増えたことから、寄附件数は過去最高を更新し、寄附額は初めて1兆円を超えて4年連続で過去最高を記録している。

 ふるさと納税に係る住民税控除の適用状況を都道府県別にみると、相変わらず「東京都」が断然トップとなった。

「東京都」の住民の控除適用者数は約186万人で、その住民税控除額は約1899億円にのぼる。

次いで、「神奈川県」が約97万人で控除額は約796億円、「大阪府」が約84万人で控除額は約614億円と続き、大都市部から地方部への税流出という傾向が裏付けられるものとなっている。

都市部の住民が地方に寄附すると地方財政は潤うが、一方で本来徴収できたはずの住民税が減る都市財政は苦しくなり不満が高まることになる。

市区町村別での寄附受入額をみると、トップは「宮崎県都城市」で約194億円、次いで「北海道紋別市」約192億円、「大阪府泉佐野市」約175億円、「北海道白糠町」約168億円と続いた。

2024年9月 2日 (月)

交付税不交付団体は3年連続増加 名古屋市など6市町増の83団体に

 総務省は7月23日、2024年度の地方交付税(普通交付税)不交付団体は前年度より6団体多い83団体(道府県分1=東京都のみ、市町村分82)となり、3年連続で増加したことを公表した。

 82市町村のうち、群馬県明和町、埼玉県朝霞市、千葉県君津市、東京都小平市、同昭島市、愛知県名古屋市の6市町が新たに不交付団体になった。

逆に前年度不交付団体から2024年度は交付団体になった団体はない。

 地方交付税は、地方公共団体間の財源の不均衡を調整するため、地方法人税の全額と国税の一定割合を国が地方に再配分するもの。

このため、不交付団体は財政が豊かともいえる。

2007年に142あった不交付団体は、リーマンショック後の2009年には95団体、2010年には42団体に急減。

これを底に以後徐々に増えてきた。

2024年度は83団体に増え、その結果、交付団体は46道府県、1636市町村の計1682団体となった。

決定した2024年度普通交付税の額は、道府県分が9兆2325億円(対前年度比0.3%増)、市町村分が8兆3145億円(同3.3%増)の総額17兆5470億円(同1.7%増)にのぼる。

都道府県別にみると、「北海道」が6278億1600万円で最も多く、次いで、「兵庫県」(3485億4000万円)、「大阪府」(3309億1800万円)、「福岡県」(3010億6500万円)と続いている。

不交付の東京都を除くと、最少は「愛知県」の1236億800万円だった。

2024年8月21日 (水)

23年度税収は4年連続過去最高額 見込みを2.6兆円上回る72兆円に

 財務省が公表した2023年度一般会計税収の予算額と決算額(概数)によると、2023年度の税収は72兆761億円にのぼり、4年連続で過去最高額となったことが分かった。

税収は、2022年度決算額の71兆1373億円を1.3%(9388億円)上回り、2年連続で70兆円を突破した。

2023年度補正後予算額は2022年度を下回る69兆6110億円を見込んでいたが、企業の好業績や物価高を背景に、2兆4651億円上回る税収となった。

 2023年度決算額(概数)の税収を税目別にみると、「所得税」は、源泉所得税が18兆15億円、申告所得税が4兆514億円の計22兆530億円で、2022年度決算額からは▲2.1%(4687億円)減少したが、2023年度補正後予算額の想定からは7580億円上回った。

この背景には、企業の賃上げの動きの広がりで、給与所得が増え、源泉所得税が想定の17兆4200億円から5815億円上回ったことがある。

 また、「法人税」は15兆8606億円となり、2022年度決算額から6.2%(9208億円)増加。2023年度補正後予算額からは1兆1986億円上回り、1991年度(16.5兆円)以来の高水準となり、全体の税収を押し上げた。

 「消費税」は、2022年度決算額からは0.1%(130億円)増と微増ながら、想定額を1003億円上回り、過去最高額となった。

年度前半に還付金が増えたことなどが減収要因となったが、国内消費は堅調に推移し税収増となった。

2024年7月12日 (金)

消費税の申告件数が約9割増加 2割特例適用の申告者は73万人

 国税庁が公表した2023年分の所得税、消費税及び贈与税の確定申告状況によると、2023年10月から開始されたインボイス制度の導入に伴い、2023年分の個人事業者の消費税の申告件数が、197万2千件(対前年比86.9%増)と、前年分から91万7千件、約9割増と大幅に増加したことが分かった。

 また、申告納税額についても、6850億円(同9.1%増)となっており、前年分から増加している。

 インボイス制度は、適用税率や消費税額を明記したインボイスが仕入税額控除の際に必要とされる消費税の新しい税額控除方式。

2023年中にインボイス発行事業者になった者は197万6千人で、そのうち期限内の申告者数は約9割に当たる174万4千人だった。

 また、免税事業者からインボイス発行事業者になった者は104万8千人であり、そのうち期限内の申告者数は87万5千人。全体の申告件数や納税額を押し上げた。

 申告したインボイス発行事業者174万4千人の内訳をみると、インボイス制度開始前から課税事業者だった者が86万9千人で、免税事業者からインボイス発行事業者になった者は87万5千人。

このうち、いわゆる2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)を適用した申告者数は8割強の73万4千人だった。

2024年6月24日 (月)

中小企業倒産防止共済制度を見直し 節税目的の不適切な利用を抑制

 中小企業倒産防止共済制度は、取引先企業が倒産した場合、積み立てた掛金総額の10倍の範囲内(最高8000万円)で回収困難な売掛債権等の額以内の共済金の「貸付け」が受けられ、その掛金は損金(必要経費)算入できるものだが、短期間で解約・再加入を繰り返す節税目的の利用が多いことから、2024年度税制改正において、本年10月以後、一定の場合には掛金の損金算入ができないこととする見直しが行われている。

 同共済制度の掛金は会社等の法人の場合は税法上の損金、個人事業の場合は事業所得の必要経費に算入できる。

この特例が、2024年10月1日以降に共済契約を解約し、再度共済契約を締結(再加入)する場合には、解除の日から同日以降2年を経過する日までの間に支出する掛金については、損金(法人)、必要経費(個人)算入できないことにされた。

改正の背景には、中小企業倒産防止共済制度の不適切な利用がある。

 中小企業庁によると、2011年10月に掛金積立限度額を増額(320万円→800万円)して以降、共済金貸付の発生は減少傾向にあるにもかかわらず、加入が急増。

解約手当金の支給率が100%となる、加入後3年目、4年目に解約が多くなるが、近年その傾向が特に顕著になっているという。

加入者へのアンケートによると、約2割~3割が節税目的による加入と推定されるとして、中企庁は制度の不適切な利用への対応を求めていた。

2024年6月17日 (月)

6月から実施される定額減税 給与明細に減税額明記を義務付け

 2024年度税制改正の柱の一つである所得税・個人住民税の定額減税は6月から実施されるが、政府は企業に所得税の減税額を給与明細に明記することを義務付ける。

手取り額が増えたことを実感してもらう狙いがある。

給与を支払う企業や地方自治体にとっては一定の負担が生じるが、政府は理解と協力を求めている。減税額明記の義務付けは、関連する法律の施行規則を3月に改正済み。

 定額減税は、納税者(合計所得金額1805万円超(給与収入のみの場合、給与収入2000万円超に相当)の高額所得者については対象外とする)及び配偶者を含めた扶養家族1人につき、2024年分の所得税3万円、2024年度分の個人住民税1万円の減税を行うこととし、2024年6月以降の源泉徴収・特別徴収等、実務上できる限り速やかに実施する。

例えば、夫婦と子供2人の4人世帯であれば計16万円が減税される。

 会社員などの給与所得者であれば、2024年6月1日以降最初に支払いを受ける給与等(賞与を含む)から、源泉徴収されるべき所得税の額から特別控除相当額を控除するが、控除しきれない分は翌月以降に繰り越して順次控除する。

個人住民税は、2024年6月分は特別徴収をせず、特別控除の額を控除した後の個人住民税の額の11分の1の額を7月から2025年5月まで11ヵ月間、均等に減税分を引いた税額を毎月徴収する。

2024年5月10日 (金)

一般会計予算成立で財政報告公表 24年度予算規模112兆5717億円

 財務省は、2024年度予算が3月28日に成立したことを受けて、2024年度財政法第46条に基づく国民への財政報告を公表した。

それによると、2024年度一般会計予算の規模は、2023年度当初予算額に対して1兆8095億円(1.6%)減の112兆5717億円となる。

うち一般歳出の規模は、2023年度当初予算額に対して4兆9554億円(6.8%)減の67兆7764億円となっている。

また、2024年度経済見通しによる国民総生産(名目)は、2023年度実績見込みに比べて3.0%程度増の615.3兆円となる。

 一般会計歳出予算の主要経費別内訳をみると、「社会保障関係費」が37兆7193億円(伸び率2.3%増)で全体の33.5%を占めて最も多く、次いで、「国債費」27兆90億円(同7.0%増、構成比24.0%)、「地方交付税交付金等」17兆7863億円(同8.5%増、同15.8%)、防衛力強化資金繰入(3兆3806億円)を除く「防衛関係費」7兆9172億円(同16.6%増、同7.0%)などが続いている。

 一方、一般会計歳入予算は、租税及び印紙収入が、税制改正前による場合、2023年度補正後予算額に対して2兆3570億円増の71兆9680億円と見込まれるが、個人所得課税(▲2兆3600億円)や法人課税(▲2兆3050億円)などの税制改正を行うこととしている結果、2023年度補正後予算額に対して30億円減の69兆6080億円になる見込み。

また、その他収入は、同1兆8035億円(19.4%)減の7兆5147億円になると見込まれている。

2024年4月11日 (木)

「再生支援の総合的対策」の策定 コロナ資金繰り支援6月末に延長

 経済産業省は、民間ゼロゼロ融資の返済が4月に本格化することに加え、保証付融資の増大や再生支援のニーズの高まりを踏まえ、中小企業支援を一層強化すべく、金融庁・財務省とも連携の上、「再生支援の総合的対策」を策定した。

民間ゼロゼロ融資の返済開始の最後のピーク(2024年4月)の資金繰りに万全を期すため、3月末までだったコロナ資金繰り支援を6月末まで延長する。

具体的には、(1)コロナセーフティネット保証4号(100%保証、借換目的のみ)、コロナ借換保証(100%保証の融資は100%保証で借換)を本年6月末まで延長、(2)日本政策金融公庫等のコロナ特別貸付については、現行制度を6月末まで延長し、7月以降は、災害貸付金利を適用(特例金利(▲0.5%)を廃止)し、特別貸付制度は継続(期限あり)、(3)日本政策金融公庫等のコロナ資本性劣後ローンを6月末まで延長する。

また、保証付融資の増大や再生支援等のニーズの高まりを踏まえて支援を強化する。

なお、本年7月以降は、例えば、日本政策金融公庫等のコロナ特別貸付の金利引下げ幅を縮減するなど、コロナ前の支援水準に戻しつつ、経営改善・再生支援に重点を置いた資金繰り支援を基本とする。

 信用保証協会においては、信用保証協会向けの総合的監督指針を改正するとともに、中小企業活性化協議会、事業承継・引継ぎ支援センターとの連携推進等により、信用保証協会による支援を強化する。

2024年4月 1日 (月)

事業承継特例に関する実態調査 「利用・検討した」企業は26.4%

 東京商工会議所が発表した「中小企業の事業承継に関する実態調査」結果(有効回答数1661社)によると、中小企業の事業承継の現状は、後継者(候補含む)がいる企業は約5割(53.5%)だったが、これらの企業の26.4%が法人版事業承継税制特例措置を「利用・検討したことがある」ことが分かった。

内訳は、「事業承継税制の適用を受けている」が3.1%、「特例承認計画を提出したが、猶予はまだ受けていない」が4.4%など。

 一方で、「事業承継税制を知らない」と回答した企業が4割(39.6%)あった。

これらの企業の事業承継の課題(複数回答)は、「借入金・債務保証の引継ぎ」が39.9%で最も多く、次いで「後継者への株式の移転」(34.7%)、「自社株の評価額の高さ」(16.1%)などが続いた。

自社株評価の実施状況をみると、「事業承継税制を知らない」企業の42.8%が「評価したことがない」と回答している。

また、後継者(候補含む)がいて、特例承認計画の提出を検討中の企業(11.7%)においても、「特例承認計画を提出する目途がついていない」企業が55.2%と半数を超えた。

 これらの企業が税制を検討する中での制度上の障壁(複数回答)は、「適用期限(2027年12月)までに事業承継が完了できない」が30.2%、自社の障壁では、「後継者候補はいるが、経営者としての人材育成が終わっていない」が53.5%でともに最多だった。

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