ちば会計

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株式・投資

2024年11月12日 (火)

与野党の意見が一致し改正が現実味 「富裕層に対する金融所得課税強化」

 わが国の所得税は累進税率を採用しており、4千万円超の所得には最大45%(地方税と合わせて55%)の税率がかかる一方、金融所得の税率は一律15.315%(地方税と合わせて20.315%)とされており、金融所得がどれだけ高くても税率が変わることはない。

課税の公平性の観点からいえば、所得が増えるにつれて負担率が上昇することが通常と考えられるものの、実態は大きく異なっているのである。

 財務省の調査によると、年間の総所得が250万円以下の人の所得税負担率は2.6%、500万円以下4.6%、1,000万円以下10.6%と、所得の増加に合わせて徐々に上昇し、1億円以下では27.9%となっている。

ここまでは順調に負担率が伸びているものの、その先は所得が増えても負担率が下がる一方。

そのため、負担率が逆転する総所得1億円のラインは「1億円の壁」と呼ばれている。

 昨年の税制改正の議論では、専門家からこの「1億円の壁」の是正を求める声が相次いだものの、実現には至らなかった。

だが、石破茂総理と立憲民主党の野田佳彦代表はいずれも「富裕層に対する金融所得課税の強化」に意欲を見せていることから、今年こそ改正が現実味を帯びてきている。

ただし、衆院選後に新政権が樹立すると、年内は残り2ヶ月ほど。明らかな「増税」で各方面からバッシングを受ける可能性もあるだけに「短期間で決め切れるか」という疑問も残る。

2024年10月18日 (金)

金融庁、2025年度税制改正要望 NISAの利便性向上を中心に

 金融庁は、2025年度税制改正に向けて、政府の目指す「資産所得倍増プラン」及び「資産運用立国」の実現のため、NISAの利便性向上等を中心とした改正要望を掲げた。

2024年1月から新しいNISAが開始され、2024年3月末時点でNISA口座数が約2323万口座、買付額は約41兆円となるなど、NISAは国民の安定的な資産形成の手段の一つとして受け入れられつつある。

国民の安定的な資産形成を引き続き支援していくため、NISAに関する手続きの更なる簡素化・合理化や対象商品(ETF)の要件の見直しなどに取り組み、利便性の向上を図る必要がある。

ETF(上場株式投資信託)は、投資信託よりも信託報酬が安い商品が多いほか、近年は銘柄数の増加や商品の多様化が進んでいる。

一方で、NISAにおける利用実績は極めて少ない状況にある。

そこで、つみたて投資枠に指数に連動しないアクティブ型のETFを対象に含め、更なる利用拡大を図る考えだ。

東証の規則改正により、2023年6月以降、インデックスへの連動を必要としないアクティブETFの上場が可能になった。

つみたて投資枠においてもアクティブETFが利用可能となるよう、要件を整備することを求める。

同時に、つみたて投資枠におけるETFの最低取引単位の見直しも要望した。

最低取引単位を見直すことで、ETFの取扱いのハードルが下がるため、多様な商品を提供可能になる。

2024年7月23日 (火)

日証協、ネット取引会員は35.6% ネット取引口座数は4546万口座

 日本証券業協会が発表した「インターネット取引に関する調査」結果によると、調査対象会員267社のうち、インターネット取引を行っている会員数は、3月末時点で95社(35.6%)と、2023年9月末の前回調査の93社と比べ2社の増加となった。

インターネット取引の口座数は、4546万口座と前回調査時から、339万口座(8.1%)増加。

このうち、有残高口座数は2771万口座と総口座数の61.0%(前回調査時61.3%)となっている。

 また、信用取引口座数も297万口座と、前回調査時から、35万口座(13.4%)増加している。このうち、有残高信用取引口座数は、信用取引口座数の51.3%に当たる152万口座だった。

 個人のインターネット取引の年代別口座数は、50歳代が951万口座(21.0%)と最多。

次いで40歳代の950万口座(21.0%)だった。

このうち、年代別有残高口座数は、50歳代が577万口座(20.9%)と最も多かった。

2023年10月から2024年3月までの6ヵ月間におけるインターネットを経由した株式等現物取引(上場投資信託(ETF)及び不動産投資信託(REIT)等を含む)の売買代金は、212兆9582億円、信用取引(同)の売買代金は、273兆579億円であり、合計で486兆161億円(前回調査比71.1%増)と大きく伸びた。

また、全会員の株式等委託取引の売買代金1367兆7442億円に占めるインターネット取引の売買代金の割合は、35.5%だった。

2024年7月18日 (木)

NISAの買付額、口座数増加 新NISA制度の始まりが要因

 金融庁が公表した「NISA口座の利用状況調査」結果によると、2024年3月末時点のNISAの累計買付額が昨年12月末時点から3ヵ月で17.4%増加の約41兆6044億円になり、NISA口座数は8.7%増の約2323万口座にのぼったことが明らかになった。

この伸びの背景には、今年1月から始まった新NISA制度をきっかけに、預貯金を投資に振り向ける動きが広がってきたことがある。

新制度は、制度を恒久化するとともに、運用益の非課税投資期間も無期限となった。

NISAの年間の投資枠を、投資信託を毎月積み立てる「つみたて型」については改正前の40万円の3倍の120万円に、また、国内外の上場株に幅広く投資できる一般NISAの機能を引き継いだ「成長投資枠」は同120万円の2倍の240万円にそれぞれ拡大された。合計で年360万円の投資枠を設け、貯蓄から投資の流れを促す。

 金融庁によると、3月末時点の新NISAの買付額は、「成長投資枠」が約5兆1355億円、「つみたて投資枠」が約1兆436億円の合計約6兆1791億円だった。

商品別の買付額の割合をみると、「投資信託」が56.7%を占めて最も高く、「上場株式」(40.2%)を上回った。

また、年代別にみると、「50歳代」が20.5%で最も高く、「40歳代」が20.0%、「60歳代」が18.9%のほか、「30歳代」も16.0%と幅広い年齢層に買い付けられている。

2024年3月 4日 (月)

国外財産調書、1.2万件、5.7兆円 提出件数・総財産額とも過去最多

 国外財産の保有が増加傾向にあるなか、国外財産に係る所得税や相続税の課税の適正化が喫緊の課題となっていることから、納税者本人から国外財産の保有について申告を求める仕組みとして、2012年度税制改正において国外財産調書の提出制度が創設され、2014年1月から施行された(初回の調書は2013年分)。

国税庁はこのほど、国外財産調書制度創設後10年目となる2022年分の国外財産調書の提出状況を公表した。

 2022年分(2022年12月31日時点の国外財産の保有状況を記載した)国外財産調書は、昨年6月30日を期限に提出されているが、提出件数は前年比3.2%増の1万2494件で9年連続増加、その総財産額は同1.5%増の5兆7222億円で、提出件数・総財産額とも過去最多となった。

局別では、「東京局」7900件(構成比63.2%)、「大阪局」1867件(同14.9%)、「名古屋局」861件(同6.9%)の順に多く、この都市局3局で8割半ばを占めた。

 総財産額でみると、「東京局」は4兆3549億円にのぼり、全体の76.1%を占め、東京・大阪(12.2%)・名古屋(3.9%)の3局で9割強を占める。

また、財産の種類別総額では、「有価証券」が60.4%を占める3兆4569億円で最多、「預貯金」7775億円(構成比13.6%)、「建物」4842億円(同8.5%)、「貸付金」1754億円(同3.1%)、「土地」1568億円(同2.7%)のほか、「それ以外の財産」が6713億円(同11.7%)となっている。

2024年2月20日 (火)

投資信託保有口座、課税口座55% 「つみたてNISA」口座が増加

 投資信託協会が、全国の20歳~79歳の男女個人2万人を対象に2023年9月に実施した「投資信託に関するアンケート調査」結果によると、投資信託を保有している口座は、課税口座(特定口座・一般口座)が55.0%(前年比▲8.5ポイント)、つみたてNISAが 42.6%(同10.6ポイント増)、一般NISAが33.7%(同▲4.4ポイント)、iDeCo 16.1%(同0.6ポイント増)となった。

つみたてNISAでの保有は全ての年代で前年より増加。

 投資信託の現在保有層の投資信託の積立投資(つみたてNISAに限らない)の利用状況をみると、「利用している」が64.6%、「利用していない」が35.4%で、「利用している」が前年に比べ7.2ポイント増えた。

 20代、30代は「利用している」がそれぞれ82.5%、82.4%と80%を超えており、3070代の全ての世代で「利用している」が昨年より増加している(20代のみが▲3.5ポイント減)。

 投資信託の購入意識をみると、投資信託の優れている点(複数回答)については、投資信託の現在保有層・保有経験層は「少額でも分散投資ができる」が52.5%、「積立投資ができる」が32.6%、「専門知識や時間がなくても投資ができる」が 32.2%の順で回答が多い。

これに対し、保有未経験層は「わからない・特にない」が56.9%で、保有未経験層に対し、投資信託の機能や特徴をいかに伝えていくかが課題となっている。

2023年9月25日 (月)

iDeCoの加入者が300万人を突破! 来年は拠出限度額の引上げも予定

 厚生労働省は、iDeCoの加入者が7月末で300万人を突破したと公表した。

2002年1月に制度が施行されて以来、iDeCoの加入者は順調に増加してきた。

2017年1月の加入者範囲の拡大を契機に急増し、2018年8月末には100万人を、2021年5月末には200万人を超えた。

2022年5月の加入者範囲のさらなる拡大、同年10月の企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和を受け、本年7月末時点で約302.6万人となり、300万人を突破した。

 2024年12月からは、DB等の他制度に加入している人(公務員含む)のiDeCoの拠出限度額の引上げも予定されている。

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、自分で決めた額(掛金)を拠出して積み立てていき、自分で選んだ運用商品(定期預金、保険商品、投資信託)で掛金を運用し、60歳以降に受け取る、老後の資金を準備する年金だ。

公的年金にプラスできる「もう一つの年金」で、大きな税制優遇が特徴だ。

 2024年12月からは、企業型DC、iDeCoの拠出限度額について、全てのDB等の他制度の掛金相当額を一律月額2.75万円と評価している点を見直し、加入者がそれぞれ加入しているDB等の他制度ごとの掛金相当額を反映することで、公平できめ細かな算定方式に改善を図る。

他制度掛金相当額とは、DB等の他制度ごとにその給付水準から企業型DCと比較可能な形で評価したもので、複数のDB等の他制度に加入の場合はその合算となる。



2023年9月 1日 (金)

タワマン節税抑止の通達案公表 従来の評価額に評価乖離率で補正

 国税庁は、マンションの相続税評価額が実勢価格の平均4割程度にとどまることから、その評価額の低さを利用したマンション節税、いわゆる「タワマン節税」を抑止するため、評価額の算定ルールを見直す通達案を公表した。

新たな算定ルールは、2024年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価に適用する。

通達案は、まず、一室の区分所有権等に係る敷地利用権の価額は、「自用地としての価額」に、一定の補正率を乗じて計算した価額を、その「自用地としての価額」とみなして評価することとする。

 具体的には、「築年数」、「総階数指数」、「所在階」、「敷地持分狭小度」の4指数に基づいて評価乖離率を求め、1を乖離率で除した評価水準が0.6未満の場合、従来の評価額に評価乖離率と0.6を掛けて補正し、評価水準が1を超える場合、従来の評価額に評価乖離率のみを掛けて補正する。

区分所有者が、一棟の区分所有建物に存する全ての専有部分、一棟の区分所有建物の敷地のいずれも単独で所有している場合は、「補正率」は1を下限とする。

 次に、一室の区分所有権等に係る区分所有権の価額については、「自用家屋としての価額」に、上記と同様の補正率を乗じて計算した価額をその「自用家屋としての価額」とみなして評価する。

 なお、国税庁では、これらの居住用の区分所有財産の評価について、納税者が簡易に計算するためのツールを用意する予定としている。

2023年8月16日 (水)

「タワマン節税」防止に見直し案 実勢価格の60%へ評価額を引上げ

 国税庁はこのほど、マンションの相続税評価額の適正化を検討していた有識者会議の見直し案を公表した。

この背景には、マンションの評価額が実勢価格の平均4割程度にとどまることから、その評価額の低さを利用したいわゆる「マンション節税」や「タワマン節税」が広がっていたことがある。

 現行の相続等で取得した財産の時価(マンション(一室)の評価額)は、不動産鑑定価格や売却価格が通常不明であることから、建物(区分所有建物)の固定資産評価額と路線価等から計算した敷地の価額の合計額としている。

しかし、建物の市場価格は、建物の総階数やマンション一室の所在階、築年数が考慮されており、これらの反映が不十分だと、評価額が市場価格に比べて低くなるケースがある。

 また、マンション一室を所有するための敷地利用権は、共有持分で按分した面積に平米単価を乗じて評価されるが、この面積は一般的に高層マンションほどより細分化され狭小となるため、このように敷地持分が狭小なケースは立地条件の良好な場所でも、評価額が市場価格に比べて低くなる。

 そこで、見直し案では、相続税評価額が市場価格と乖離する要因となっている「築年数」、「総階数(総階数指数)」、「所在階」、「敷地持分狭小度」の4つの指数に基づいて、統計的手法により乖離率を予測し、その結果、評価額が市場価格理論値の「60%」(一戸建ての評価の現状を踏まえたもの)に達しない場合は「60%」に達するまで評価額を補正する。

 



2023年8月 2日 (水)

TOB成立後上場廃止での株式 譲渡所得の申告漏れが目立つ

 国税庁は、株式公開買い付け(TOB)の成立で上場廃止となった株式に関し、譲渡所得の申告漏れが目立つことから、注意を喚起している。

TOB成立後、上場廃止となった株式をTOBによる買付者などに買い取られた場合に譲渡益が生じたときには、所得税の申告が必要になる。

 TOBは近年、上場企業に対するM&Aの手法として一般化している。

国税庁は、TOBの買付総額が高額なものもあり、上場廃止後の株式譲渡に係る申告漏れの増加が懸念されたことから、TOBに応じなかった株主379人を対象に抽出調査した結果、約半数にあたる199人から申告漏れが見つかり、その申告漏れ所得金額は4億7495万円、追徴税額は7258万円で、申告漏れ1件当たりの追徴税額は36万円だった。

申告漏れが把握された事例の中には、1億8216万円と2億円近い多額の譲渡益が生じていたにもかかわらず、無申告となっていたものが含まれており、追徴税額3151万円が課されている。

 この申告漏れの背景にあるのは、株式を管理する口座が変わること。

投資家の多くは、上場株式との取引を対象とする「源泉徴収ありの特定口座」を使っており、同口座は証券会社が売買損益や税額を計算して口座から天引きするため、投資家は自分で確定申告する必要がない。

しかし、TOB成立で上場廃止となった企業の株式は、投資家自らが売買損益や税額を計算する「一般口座」での取引となり、利益が生じれば申告する必要がある。

 



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