わずか9カ月間の実施で景気対策効果には疑問符「キャッシュレス・消費者還元事業」の真の狙いは?
国税庁は、相続税申告書への被相続人のマイナンバー(個人番号)記載の取扱いを見直し、2016年10月1日以降に提出する相続税申告書から、被相続人のマイナンバーの記載を不要にすることを公表した。
従来は、2016年1月1日以降に相続又は遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を含む)により取得する財産に係る相続税の申告書には、被相続人のマイナンバーの記載が求められていた。
しかし、相続人等の納税者からは、「故人から相続開始後にマイナンバーの提供を受けることはできないため、相続税申告書への記載は困難」、「相続開始前に相続税の申告のために、あらかじめマイナンバーの提供を受けておくことは、親族間であっても抵抗がある」といった趣旨の納税者等の意見をもあり、国税庁は、関係省庁との協議・検討を重ねた結果、被相続人のマイナンバー記載等に関する困難性や、生前にマイナンバーの提供を受けることへの抵抗感、安全管理措置等の負担を考慮し、10月以降はマイナンバー記載を不要とする取扱いに変更したもの。
この変更に伴い、すでに同庁のホームページに掲載されている相続税の申告書は、被相続人の個人番号欄に斜線が引かれ、記載ができない様式に変更されている。また、すでに提出された相続税申告書に被相続人のマイナンバーが記載されている場合には、税務署でマイナンバー部分をマスキングするとしており、納税者が改めて新様式の相続税申告書を再提出する必要はない。
今年1月からマイナンバー制度がスタートした。企業では、その対応のため、既存のコンピュータソフトウェアを見直すところも少なくない。
見直しでは、(1)単なるマイナンバー対応としてのみ各々のソフトをバージョンアップする、又は(2)これを機に業務用ソフトウェアを別会社の新品のソフトウェアに買い換える、といった方法が考えられるが、これらの2つの方法では税務処理が違ってくる。
マイナンバー制度における番号法では法人に対して「安全管理措置義務」を課し、この措置を講じないと安全措置管理義務違反となり、従来のソフト(特に給与計算ソフトや年末調整システム、確定申告システムなど)では、その使用に制限がかかることにもなる。
そのため、既存のソフトウェアをマイナンバー制度に対応させるための支出費用は、既存のソフトウェアの効用を維持するための修正等に係る費用とみることができる。
したがって、上記(1)のマイナンバー対応としてのみ各々のソフトをバージョンアップする費用は「修繕費」として処理することができると考えられる。対して、(2)の別会社の新品のソフトウェアに買い換えるケースでは、新規資産の取得となるため、原則資産計上する必要があり、耐用年数も「ソフトウェア」の「その他のもの」として5年で均等償却することになる。
これらの対応は、例えば消費税率が8%から10%に引き上げられるときも同様の考え方ができる。
労働問題の研究機関である一般財団・労務行政研究所が、人事と経営の双方の最新課題を「緊急調査『企業のマイナンバー対応状況アンケート』」で明らかにした。
調査はWEBで集計は417社(1社1人)。関心が高いのが安全管理措置と社員の「副業」の扱い。
▼副業禁止84%、発覚時「処分あり」68%マイナンバー導入で所得が捕捉しやすくなり、「副業」の発覚も増えるとされる。
しかし副業発覚はマイナンバー制度が直接原因ではなく、本業と副業の給与から算出された住民税額が自治体から勤務先に通知され、住民税額が同じ給料を支払っている他の社員より高い場合、勤務先はその社員に副収入があると気づき、発覚する。
ただし、どこでどのように収入を得たのか所得増の原因まで知らされるわけではなく、勤務先は、あくまで副収入がある事実を知る。
就業規則に「副業禁止規定がある」は83.5%。副業禁止規定のある348社に対し副業が発覚した際の対処は、「極端な事案にだけ対処する」が35.3%で最多、「厳格に対処する」が32.2%と僅差。「検討中」は13.2%だった。
「極端な事案にだけ対処する」と「厳格に対処する」の両者を合わせると67.5%となり、約7割の企業で懲戒処分がなされる可能性が高い。実務面の課題は、41.2%が「組織的・人的・物理的・技術的などの安全管理措置」と負担を挙げた。
なぜマイナンバーの通知カードの配達が、12月20日まで配達最終日を引っ張ってしまったのか。
直接関係する5機関がそろって負の連鎖に陥ったからだ。市区町村がカード作成代行機構(新組織)に情報伝達の遅れを出したのが始まり。
続いて国立印刷局→郵便局と玉突きが始まった。この制度への関心の薄さ、引いては持続可能性の危うさを予感させるとの批判も出てきた。
国民が十分に納得する前宣伝の時間的な余裕もなかったし11月中にという縛りはきつかった。
そのドタバタ劇の隙間を突かれた形なのは、消費生活センターが新手のマイカード便乗(電話や訪問による詐欺的な不審行為)への対応で10、11月には急増、12月も余震は治まっていないことだ。
12月には「お金を支払わないと通知カードが白紙で届くと言われ3万円を支払った」という近畿地方の男性の事例。
また女性2人が来訪し、言葉巧みにマイナンバーの通知カードが入った封筒ごと持ち去られた兵庫県の女性の事例、など。両名とも60歳代半ば。
そこで消費生活センターは「マイナンバー発送で行政機関を名乗る者が自宅を訪問したり、電話をかけたりすることはありません。
カードのセキュリティ対策に関して、代金を請求されることもなくカードの取得は無料です」と“火消し”に躍起となった。
政府は、最も遅い地域は千葉県四街道市だという。
平成28年1月から始まるマイナンバー制度の開始時期が迫ってきた。しかし国民に今ひとつ切迫感がないのも事実。新制度準備期間や周知期間も必要で開始ま で何段階かのスケジュールが組まれている。
そこで企業経営者がマイナンバー制度への対応と、内容をどこまで把握しているか、帝国データバンクが今年10月下旬に調査した結果を参考にしてみよう。
同制度(「税と社会保障の共通番号」)の予定はこれまで2015年10月5日からは個人対象のマイナンバー、10月22日からは法人番号が通知され来年1月から社会保障や税、災害対策の分野での番号の利用が始まる。
企業は2016年以降、税や社会保障の手続きで制度への対応が求められ、従業員と家族のマイナンバーの収集・管理など多様な準備に追われる。
この制度について「内容も含めて知っている」という企業は75.0%。従業員数が「5人以下」の企業では5割台。制度への対応を完了した(あるいは進めている)企業は7割超。対応の進捗率も平均47.6%となっている。ただし、対応を完了した企業は6.4%と1割を下回る。
同制度のコスト負担額は1社当たり約61万円という。対応が徐々に進むにつれ、費用面での不安も低下している。しかし法人番号を活用する「予定がある」企業は2.8%。「検討中」(20. 8%)と合わせても2割程度にとどまった。
自民党の税制調査会は幹部会合で11月以降、来年度の税制改正議論開始に備え、いの一番に軽減税率の議論を進めることを確認した。
榊原経団連会長は「(軽減税率を導入すると決めたら)中小事業者に合う制度設計を望む」と事務負担増を恐れる。三村日本商工会議所会長は「女性の働きたい意志を尊重した税・社会保険制度に関する提言」をまとめた。
主旨は「日本が今後とも持続的な成長を遂げていくためには、女性や高齢者を含む多様な人材の活躍推進が不可欠。
とりわけ女性は諸外国に比して就業率が低く働きたくても働けない様々な制約が存在する」と訴え、女性の活躍推進を制約する要因の一つとして指摘されている、いわゆる「103万円・130万円の壁」問題、①配偶者控除の見直し、②社会保険制度の見直し、③企業による扶養手当見直しの3点。
しかし結論から言えば「時期が悪い」。参議院選挙と消費増税が目前の安倍政権。①―③改正までの時間と余裕が削がれ集中審議ができない見込み。軽減税率導入、マイナンバーカードを巡り、政府、宮沢税調会長、それに公明党、財務省の中で“新人・宮沢会長”の舵取りが注目される。宮沢会長「与党間調整急ぐ」。麻生大臣「協力はする」。
女性の働きたい意志を尊重した税制を画餅に終わせてはならない。
日本商工会議所は、女性の活躍推進を制約する要因の一つとして指摘されているいわゆる「103万円・130万円の壁」と称される税制・社会保険上の阻害要因を最大限解消するための提言を発表した。
まず、現行の所得控除制度(基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除)は、累進税率の下では高所得世帯ほど税負担が軽減されており、多くの子育て世帯が含まれる低所得者世帯(年収300~400万円)には税負担の軽減効果が小さい。
そのため、配偶者控除については、見直しに当たって、基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除を一本化し、所得額によらず税負担の軽減額が一定となる税額控除制度への移行を求めた。
次に、社会保険制度の見直しを提言。社会保険(厚生年金、健康保険)の保険料負担によって急激な手取り額の減少が生じる「130万円の壁」の最大限解消のため、世帯単位で見た手取り額の減少幅を縮小するための保険料負担の段階的減額など、制度改正や政策的措置の総合的検討を要望した。
また、企業による扶養手当の見直しを提言。約5割の企業が103万円、2割の企業が130万円を基準として扶養手当を支給しており、世帯単位での手取り額の逆転に拍車をかけていると指摘。
これも社会保険と同様、なだらかな支給に変えていくなどの検討が必要であり、政府はそうした企業の取組みを後押しするインセンティブの付与を検討すべきとしている。
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