ちば会計

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確定申告

2023年2月 9日 (木)

30億円超の富裕層への課税強化 “1億円の壁”是正は今後の課題

 2023年度税制改正の焦点の一つとして、いわゆる“1億円の壁”の是正があった。

政府税制調査会の会合でも、総所得1億円を境に税負担率が下がる「1億円の壁」と呼ばれる問題の是正を求める声が相次いだ。

通常、所得課税は累進税率を採っており、4千万円超の部分には最大45%(地方税と合わせて55%)の税率がかかる一方、金融所得は一律15.315%(地方税と合わせて20.315%)と、金融所得がどれだけ高くても負担税率は同じだ。

 1億円を超える大きな収入は、株式売却益などから発生する割合が大きいことから、トータルでの納税額が低くなる。

1億円を超えると税負担率が減少し始めるため、富裕層は株式売却益や上場株式からの配当に係る金融所得を増やそうとする。

申告納税者の税負担率は、所得1億円の人は約30%、100億円の人は約20%だが、今の金融所得課税は“金持ち優遇”の制度になっているとの批判が根強かった。

 そこで、金融所得課税を見直し、所得が30億円を超えるような富裕層に対し課税強化する。

合計所得金額から3.3億円を差し引いたうえで22.5%の税率をかけた金額で計算し、これが通常税額を上回る場合に差額を徴収する。

所得が30億円を超える200~300人が対象となる見込みで、所得50億円のケースでは2~3%負担が増えると想定している。

2025年から適用する。

 結局、大富裕層への課税強化とはなったが、「1億円の壁」是正はならず、今後の課題となった。



2023年2月 1日 (水)

暦年課税や精算課税など見直し 生前贈与加算を7年以内に延長

 2023年度税制改正において、生前贈与でも相続でもニーズに即した資産移転が行われるよう、相続・贈与に係る税負担を一定にしていくため、「資産移転の時期の選択に、より中立的な税制」構築のための見直しが行われる。

 具体的には、相続財産に加算される生前贈与の加算期間を死亡前7年以内に延長することや、暦年課税との選択制として導入された相続時精算課税制度に求められる煩雑な税申告を、110万円まで申告不要とする。

 暦年課税は、1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額110万円を控除した残額に累進税率を適用するが、相続開始前の駆け込み贈与による租税回避を防止するため、相続開始前「3年以内」に被相続人から取得した贈与財産を相続財産に加算して課税することとされている。

この生前贈与の加算期間を死亡前「7年以内」に延長する。延長した4年間に受けた贈与は総額100万円まで相続財産に加算しない。

 相続時精算課税制度は、累積2500万円の非課税枠を設け、超えた部分に一律20%を課す仕組みだが、適用を受けるためにはまず税務署に届け出る必要がある。

現行は数万円などの少額でも贈与を受ければ申告する必要があり、制度の利用が低迷する要因となっていた。

そこで、2023年度税制改正では、年110万円まで申告不要とし、税務署への届け出などの手間を軽減して制度の使い勝手をよくする。

 



2023年1月10日 (火)

2021年分相続税の申告状況公表 課税割合15年以降最高の9.3%

 国税庁が公表した2021年分相続税の申告状況によると、2021年中(2021年1月1日~12月31日)に亡くなった人(被相続人)は、過去最高だった2019年(138万1093人)を上回る143万9856人だった。

このうち相続税の課税対象被相続人数は、前年比11.6%増の13万4275人で、課税割合は9.3%(2020年分8.8%)だった。

今回の対象は、2022年10月31日までに提出された相続税額のある申告書に基づき集計している。

課税割合9.3%は、前年より0.5ポイント増加し、2015年の相続税の基礎控除引下げ以降では最も高く、初めて9%台に入り、相続で税金がかかるのは100人に9人という状況となった。

 また、相続財産価額から被相続人の債務や葬儀費用などを差し引き、相続開始前3年以内の生前贈与等を加算した相続税の課税価格は、18兆5774億円で前年比13.3%増加し、税額は2兆4421億円で同16.8%増加した。

 被相続人1人当たりでみると、課税価格が前年比1.6%増の1億3835万円(相続税額のない申告書に係る価格は5106万円)と微増となったが、税額は1819万円で同4.7%増加した。

 相続財産額の構成比は、「現金・預貯金等」が34.0%、「土地」が33.2%とともに3割強を占め、「有価証券」が16.4%、退職金や生命保険などが含まれている「その他」が11.3%、「家屋」が5.1%の順となっている。



2022年11月15日 (火)

税金徴収漏れ約1億6千万円指摘 46税務署にて徴収不足が72事項

 会計検査院が公表した2021年度決算検査報告によると、各省庁や政府関係機関などの税金のムダ遣いや不正支出、経理処理の不適切などを指摘したのは310件、約455億2351万円(297件分)だった。

前年度に比べ、指摘件数は100件増加。

前年度に引き続き、新型コロナ感染防止への対応として、検査官による実地検査が検査対象機関に配慮する中で、指摘件数は増加したが、指摘金額では前年度の約2108億円を大幅に下回った。

 財務省に対しては、法令違反に当たる不当事項として、税金の徴収額の過不足1億6216万円(うち過大154万円)が指摘された。

検査の結果、46税務署において、納税者69人から税金を徴収するに当たり、徴収不足が72事項、1億6062万円、徴収過大が2事項、154万円。

前年度は、42署において徴収不足が52事項、1億5492万円だったので、徴収不足はほぼ横ばいだったことになる。

昨年度、徴収過大はなかった。

 徴収が過不足だった74事項を税目別にみると、「法人税」が28事項(うち過大1事項)で徴収不足が8129万円(同▲96万円)と最も多く、以下、「申告所得税」22事項、同4922万円、「消費税」13事項、同2240万円、「相続・贈与税」7事項(同1事項)、同459万円(同▲58万円)、「源泉所得税」2事項、同171万円などだった。

 これらの徴収過不足額は、会計検査院の指摘後、全て徴収決定・支払決定の処置がとられている。

2022年9月 9日 (金)

21年度の滞納残高は2年連続増加 消費税の新規発生が17年連続最多

 国税庁がこのほど公表した2021年度租税滞納状況によると、今年3月末時点での法人税や消費税など国税の滞納残高が22年ぶりに増加した昨年度に引き続き増加したことが明らかになった。

これは、新型コロナウイルス感染症の経済対策で特例猶予制度が適用され、滞納の新規発生が抑えられていた分が、猶予期限を過ぎて上積みされたことなどが要因。

新規発生滞納額は前年度に比べ27.2%増の7527億円と2年連続で増加した。

 その上、整理済額が6956億円(前年度比34.2%増)と新規発生滞納額を下回ったため、今年3月末時点での滞納残高は6.9%増の8857億円と2年連続で増加した。

ただし、今年3月までの1年間(2021年度)に発生した新規滞納額は、最も新規滞納発生額の多かった1992年度(1兆8903億円)の約40%まで減少。

 また、2021年度の滞納発生割合(新規発生滞納額/徴収決定済額)は前年度比0.2ポイント増の1.1%と低水準で推移。

滞納発生割合は、前年度の2020年度は国税庁発足以来、最も低い割合の0.9%だった。

 この結果、滞納残高はピークの1998年度(2兆8149億円)の約31%まで減少している。

税目別にみると、消費税は、新規発生滞納額が前年度比15.7%増の3997億円と2年連続で増加し、税目別では17年連続で最多、全体の約53%を占める。

一方で、整理済額が3692億円と下回ったため、滞納残高は9.4%増の3551億円と、2年連続で増加した。

2022年9月 1日 (木)

e-Tax利用件数は順調に増加 申告では5.6%増加の約454万件

 2021年度のe-Taxの利用合計件数は約4243万件で前年度に比べて6.9%増加したことが、国税庁が公表した2021年度におけるe-Tax(国税電子申告・納税システム)の利用状況で分かった。このうち、申告におけるe-Taxの利用件数は約454万件で同5.6%増加した。

 項目別の申告関係の利用件数は、「所得税」1529万1265件(前年対比7.5%増)、「法人税」256万8391件(同5.9%増)、「消費税(法人)」183万7153件(同5.0%増)、「消費税(個人)」92万3382件(同2.9%増)、「印紙税」9万3839件(同5.7%増)、「酒税」4万165件(同6.0%増)と、e-Tax利用率は順調に増加。また、2019年10月からe-Taxがスタートし、利用件数の公表が今回で2回目となる相続税は4万4,035件(前年対比92.7%増)でほぼ倍増となった。

この結果、申告関係全体では、前年度に比べて5.6%増の453万9548件となった。

 申告関係以外の主要手続きでは、「給与所得の源泉徴収票等(6手続き)」が264万6971件(前年対比6.4%増)と増加したが、「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」436万8892件(同▲28.4%)などが減少し、これらの合計では前年度に比べて▲18.2%の723万9438件となった。

そのほか、上記以外の「申請・届出等手続き」は前年度から26.3%増の1439万4790件と大幅に伸びた。

以上の結果、全体でのe-Taxの利用件数の合計は同6.9%増の4243万2458件と順調に増加している。

2022年8月23日 (火)

電話相談センターの相談557万件 うち所得税が最多の281.8万件

 国税庁では、国税に関する制度や法令等の解釈・適用についての質問・相談を、全国の国税局に設置する「電話相談センター」で受け付けるとともに、ホームページ上でよくある税の質問に対する一般的な回答を掲載した「タックスアンサー」による情報提供を行っている。

 このうち今年3月までの1年間(2021年度)に「電話相談センター」で受け付けた相談件数は、557万件と前年度に比べて4.3%減少していることが分かった。

 税目別の相談件数をみると、「所得税」が281.8万件(前年度303.0万件)と全体の半数以上を占めて最も多く、次いで、「資産税」103.1万件(同93.0万件)、「消費税等」27.8万件(同31.7万件)、「法人税」22.6万件(同20.6万件)、「その他」122.3万件(133.3万件)となっている。

前年度と比べると所得税が7.3%減と減少しているが、逆に資産税は10.9%増加して100万件を超えた。

 一方、タックスアンサーの利用件数は、8908万件で前年度の7875万件から13.1%増と二ケタの伸びを示した。

項目別の上位5位をみると、「所得税の税率」が多も多い293.8万件で、「医療費を支払ったとき(医療費控除)」251.7万件、「印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」209.2万件、「給与所得控除」191.8万件、「直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税」164.2万件が続いた。

2022年8月 8日 (月)

帳簿の提出がない場合等の整備 過少申告加算税等の加重措置

 2022年度税制改正では、納税環境の整備の一環として、帳簿の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重措置が整備されている。
 
 過少申告加算税制度及び無申告加算税制度について、一定の帳簿の提出がない場合又は記載すべき事項のうち収入金額の記載が不十分である場合には、申告漏れ等に係る法人税等の5%又は10%に相当する金額が加算される。適用時期は2024年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税からとなる。
 
 納税者が、一定の帳簿に記載すべき事項に関し所得税や法人税、消費税に係る修正申告書や期限後申告書の提出、更正や決定があった時前に、国税庁等の職員から帳簿の提示又は提出を求められ、かつ、(1)帳簿を提示等しなかった場合や収入金額等の記載が「著しく」不十分な場合、(2)収入金額等の記載が不十分な場合には、過少申告加算税又は無申告加算税について法人税等の5%又は10%に相当する金額が加算される。
 
 具体的には、国税職員から帳簿の提示等をもとめられ、かつ(1)か(2)の場合のいずれかに該当するときは、その帳簿に記載すべき事項に関し生じた申告漏れ等に課される過少申告加算税の額又は無申告加算税の額については、通常課される過少申告加算税の額又は無申告加算税の額にその申告漏れ等に係る所得税や法人税、消費税の10%((2)に掲げる場合に該当する場合には、5%)に相当する金額を加算した金額とするとされている。

2022年8月 4日 (木)

2021年度物納申請はわずか63件 件数はピーク時のわずか0.5%

 国の税金は金銭による納付が原則だが、相続税は、財産課税という性格上、延納によっても金銭納付が難しい理由がある場合は、一定の相続財産による物納が認められている。

 国税庁がまとめた2021年度相続税の物納申請状況等によると、今年3月までの1年間の物納申請件数はわずか63件で前年度から▲3.1%(2件)減少、金額も75億円で同▲10.7%(9億円)減少と、件数、金額ともにやや減少した。

 物納申請件数は、バブル崩壊後の1990年度以降、地価の下落や土地取引の停滞などを反映して著しく増加した。

それまで年間400~500件程度に過ぎなかったものが、バブル期の地価急騰及びその後の地価急落で、路線価が地価を上回る逆転現象が起こり、土地取引の減少から土地を売ろうにも売れず、1990年度に1238件、1991年度に3871件、そして1992年度には1万2千件台まで急増した。

 しかしその後は、事前に相続税額を試算して納税準備をするなど相続開始前から納税対策を行う納税者が増えたことなどから、1999年度以降は年々減少している。

2021年度も減少となったが、ここ10年間は1989年度(515件)以来の1千件割れが続いている。

 2021年度の申請件数はピーク時1992年度(1万2778件)のわずか0.5%、金額でも同じくピーク時1992年度(1兆5645億円)の0.5%にまで減少している。

 

2022年6月 3日 (金)

相続財産譲渡での取得費加算特例 特例の適用を受けるための要件は

 相続財産を何らかの理由で手放すことは少なくないが、この時に発生した譲渡益には所得税がかかり、負担となってしまう。
そこで、相続または遺贈により取得した土地、建物、株式などの財産を、一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算できる「取得費加算の特例」がある。

この特例は譲渡所得のみに適用がある特例なので、株式等の譲渡による事業所得及び雑所得については、適用できない。

 特例の適用を受ければ譲渡所得から差し引ける金額が増えることになるので、所得税の節税につながる。

特例の適用を受けるための要件は、(1)相続や遺贈により財産を取得した者であること、(2)その財産を取得した人に相続税が課税されていること、(3)その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していることで、これらの要件の全てを満たす必要がある。

 取得費に加算する相続税額は、「その者の相続税額×その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の価額÷(その者の相続税の課税価格+その者の債務控除額)」の算式で計算した金額。

ただし、その金額がこの特例を適用しないで計算した譲渡益(土地、建物、株式などを売った金額から取得費、譲渡費用を差し引いて計算する)の金額を超える場合は、その譲渡益相当額となる。

譲渡した財産ごとに計算する。

 

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