ちば会計

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生き方 社会

2020年9月10日 (木)

年間1兆円以上規模の「アルムナイ経済圏」 意外な実態から見えるマーケティングの本質

 パーソル総合研究所が公表した、企業のアルムナイに関する調査結果が興味深い。

 

アルムナイとは離職者のこと。同所は離職者と元在籍企業、元同僚が行う経済的取引の範囲を「アルムナイ経済圏」と定義。その規模が年間1兆1,500億円にのぼると試算した。

 

しかも、元在籍企業と良好な関係を築いている離職者は「ポジティブな評判を広めやすく」、元在籍企業との「取引・利用が起こりやすい」という。

 

 離職者が元在籍企業に対してネガティブな感情を持つのは当たり前だと思う向きもある。しかし、終身雇用が崩壊した現在、転職はもはやスタンダードなキャリアアップ手法であり、離職者を資産と考える動きも目立つ。

 

たとえば三菱商事や三井物産は、アルムナイコミュニティの形成に力を注いでおり、アクセンチュアは「アルムナイ採用」と銘打った再雇用を推進している。これらの取り組みは、とりわけ出産・育児を経て改めて働こうとする女性と親和性が高いことは言うまでもない。

 

 マーケティングの観点でいえば、自社のことをよく知る彼らは良質な口コミを生み出せるポテンシャルを持った存在。いつ社員が離職者になってもいいよう、日頃からコミュニケーションを深めることが「アルムナイ経済圏」を生かすことにつながる。

 

だとすれば、顔も知らない不特定多数にいきなり施策を打つよりも、まずは社員からコンバージョンを獲得できるよう務めるべきではないか。そうすれば、「アルムナイ経済圏」を構築できるだけでなく、マーケティング施策の練度も上がっていくだろう。

 

 

2020年9月 4日 (金)

「紙の通帳」有料化に見る銀行の凋落 フィンテックに駆逐される日は近い?

 みずほ銀行が、来年1月から紙の通帳の発行手数料を新設する。

 

1冊につき税込み1,100円という価格の多寡はともかく、「通帳の有料化」という従来にない施策は、大きく2つの意味を持つ。

 

 1つは「紙とハンコ文化」からの脱却。同行は、紙の通帳の有料化と同時にWeb通帳サービスを開始。他行も同様の動きを見せており、三井住友銀行やりそな銀行は、Web通帳への切り替えで現金やポイントを進呈するキャンペーンを展開している。

 

 もう1つは、経営に対する危機感が強まっているということ。

 

顧客に忌避感を抱かせるような施策を打った背景には、通帳にかかる印紙税負担がある。1冊あたり年間200円かかるため、銀行業界全体での負担額は年間約640億円。Webに移行できれば相当なコスト削減になる。

 

また、「通帳レス」からデジタル化への道筋をつけ、ATMや支店の統廃合につなげれば経営のスリム化も実現できよう。

 

 とはいえ、コロナ禍により、現金を持ち歩いて現物を購入するという生活様式が変わりつつある今、顧客は「やってくる」ものではなく「呼び込む」ものへと変化した。

 

しかし、「紙の通帳有料化」という施策からは、「金を融通してやっている」感覚が透けて見える。

 

世界を動かしているプラットフォーマーに共通しているのは、顧客中心のスタンスとデータドリブンな取り組み。手数料という施策しか打てない銀行の姿勢はそれとは正反対。

近い将来、顧客志向でサービス領域を拡大しつつあるフィンテック勢に取って代わられる可能性もゼロではない。

 

 

 

2020年8月27日 (木)

「70歳雇用」が努力義務となる意味 マネジメントも福利厚生もニューノーマルに

 今年3月に成立した改正高年齢雇用安定法(2021年4月施行)には、継続雇用制度が盛り込まれた。高齢者の働く機会が確保された意味と、企業がどのような対応を余儀なくされるか考えてみたい。

 

 まず、高齢者の就業機会が確保されることで、人手不足の解消効果が期待できる。人口減少が加速度的に進み、生産年齢人口も減少し続けているのだから、75歳以上に近づく人口のボリュームゾーンから労働力を生み出さなければならないのは自明の理だ。

 

家電量販店大手のノジマが、最長80歳まで雇用延長を決め話題となったが、インパクト狙いではなく危機感の発露からの施策なのではないだろうか。

 

 一方、高齢者に労働力が偏ることで、これまでにない問題が生じる可能性がある。たとえば、「年上の部下」は今でも珍しい存在ではないが、部署内でマネジメント職以外の全員が65歳以上になることもあり得る。

 

そうなると「高齢者マネジメント」に特化した研修プログラムをマネジメント人材向けに実施する必要も出てくる。

 

そして、福利厚生面ではメディカルヘルスケアのより一層の充実が求められる。健康診断の内容も、従来と同一というわけにはいかない。がんを抱えながら働く人材も珍しくなくなるだろうから、多職種の医療ネットワークとの緊密な連携も必要になるかもしれない。

 

 問題は、これらが遠い未来の話ではないということ。採用戦略も大切だが、同時にマネジメント職の研修や、医療面での福利厚生の充実を図れるかどうかが、企業の持続可能性を左右するのではないか。

 

 

 

2020年7月28日 (火)

国連がメンタルヘルス対策の必要性を提言 テレワークでの効果的なマネジメント方法を検証

 国連は5月に「COVID-19およびメンタルヘルス対策の必要性」と題した政策提言を発表。コロナ禍の影響により、メンタルヘルス上の問題の「数と深刻度」が長期的に増える可能性が高いと警告した。

 

 7月下旬現在、日本国内で再び新規感染者が多数出ていることを踏まえると、この国連の指摘は重い。毎日顔を合わせることで変化に気づくことができたが、テレワークではそれが困難になるからだ。

 

 では、どう対策すべきか。手っ取り早いのは、定期的にオンラインミーティングを行うこと。上司と部下が1対1で行う「1on1ミーティング」は、コミュニケーションを深められるものの、近すぎるというデメリットもある。

 

本音を引き出すならば、「2on1」や「2on2」など複数が参加するほうが、メンタルケアという点では適している。

 

 上司が判断するのではなく、客観的なデータを計測する方法もある。生体センサー事業を展開するWINフロンティアは、スマホのカメラで指先の皮膚の色変化から脈拍を計測し、感情やストレス、疲労、集中度を推測するアプリを開発。

 

音声感情解析AIを開発しているEmpathは、喜怒哀楽と気分の浮き沈みをリアルタイム判定するサービスを生み出した。

 

 こうした最先端技術が、メンタルケアにどれだけ貢献するかは未知数だ。しかし、少なくともテレワークの中で、従業員を放置せず常にフォローする姿勢を見せることにはつながる。

 

その姿勢を折に触れて社内外に見せていくことで、従業員のエンゲージメント向上に寄与するのは間違いない。

 

 

「ギグワーカー」の急増から見えるものは? コロナ後を見据えた人材確保の好機到来か

 インターネット経由で単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」が急増している。

 

コロナ禍に伴う雇用環境の悪化を背景に、主要4社を中心とする仲介サイトの上半期新規登録者は100万人に達する見込み。一方、決して「ギグワーカー」の賃金は高いとはいえない。

 

ウーバーイーツの配達員は、完全歩合制のため時給が最低賃金を下回ることも。それでいて事故のリスクもあり、休業補償もない。個人事業主として業務委託契約を締結した形なので当然だが、働き手にとってはリスキーな状況である。

 

 米カリフォルニア州では「ギグワーカー」を保護する法律が今年1月に施行され、一定基準をクリアすれば同州の最低賃金、残業代などが保証されるほか、病気休暇、失業手当などを受けられるように。

 

 一方、日本ではコロナ禍を機に議論が始まったものの、社会保障費の抑制が政府の命題となっている以上、劇的な改善は期待できない。

 

そもそも企業側から見れば、「ギグワーカー」は戦力ではあるが、社会保険料負担を増やしてまで、短時間のタスクへの見返りを用意するのは厳しい。

 

むしろ、正規雇用し、より大きな戦力とする方が相互にメリットがある。地方を始め人口減少の進むエリアでは、人材確保が企業の持続可能性を保つための最重要課題。

 

五輪メダリストですら「ギグワーカー」となっているいま、優秀な人材が働き場所を探している可能性が高い。コロナショックで「そんな余裕はない」と考える向きもあるが、そんな状況だからこそ想定以上の成果が得られる可能性は十分にある。

 

 

2020年6月10日 (水)

withコロナのマーケに欠かせないウェビナー コスト面以外にも期待できるメリットとは

 新型コロナウイルスの感染拡大により、人が集まるイベントの開催が難しくなった。そこで注目されているのが、オンラインで行う「ウェビナー」だ。

 

 ウェビナーは、会場を用意する必要がないため、会場費、受付を含めた運営スタッフの人件費、会場までの交通費も削減できる。

 

また、オフラインのセミナーは人数を集め成約までつなげないと損益分岐点に達しないが、ウェビナーならばそこまでシビアになる必要がない。もちろん、大人数の集客に成功したとしても、少人数で柔軟に運営できる。

 

 また、エリアに縛られず集客できるため、これまで縁のなかった層にアプローチできる。MAツールと併用することで、参加者へのアフターフォローも容易。

 

多くのウェビナーツールに搭載されているアンケート機能やチャット機能を活用することで、従来以上に質の高いコミュニケーションも実現できる。

 

 消費財などを取り扱う場合、オフラインでは“体験”を提供できないと思うかもしれないが、その場合は事前に商品サンプルを参加者に送ればいい。

 

ワイン大手のメルシャンは、4月にメディア向けの商品発表会をウェビナーで実施。事前に参加者へ商品を送付し、試飲してもらいながら商品特性の説明や質疑応答を行った。

 

参加したメディア側も、商品の情報を一方的に受けるだけでなく、同時に他社製品と比較できるため、充実した取材が可能となる。

 

“withコロナ時代”の新たなマーケティング手法であるウェビナーは、マーケ戦略に選択肢として検討に値するのではないだろうか。

 

 

 

2020年5月 2日 (土)

自転車通勤のメリットと、労働生産性の向上やメンタルケア

 新型コロナウイルスの拡大は、意外なところに影響を与えている。「自転車通勤」が広がりつつあるというのだ。

 

東京・町田市は自転車への通勤手段変更を認め、臨時の自転車置場も確保。民間にもこの動きは広がっており、自転車販売のあさひは3月の既存店売上高を伸ばした(前年同月比19%増)。

 

 一過性のトレンドにも見える自転車通勤。実はこの数年で自転車を取り巻く状況は大きく変化している。最大の転換点は2017年5月の自転車活用推進法の施行だ。

 

翌2018年には自転車活用推進計画が閣議決定され、国をあげて自転車通勤が推進されるようになり、2019年5月には「自転車通勤導入に関する手引き」が公表された。この手引には、自転車通勤のメリットとして、労働生産性の向上やメンタルケアにつながるというエビデンスまで掲載されている点が実に興味深い。

 

実際、適度な運動をほぼ毎日できることは間違いないし、新型コロナウイルスの感染リスクがなかったとしても、満員電車に揺られるより気分がいいだろう。

 

 もちろん、自転車通勤を導入するには、自転車置き場だけでなく、ロッカーやシャワーなどを設備するなどの配慮も求められる。そうした負担に応えるため、国土交通省は4月3日に「自転車通勤推進企業」の認証制度をスタートさせている。

 

多様な通勤手段を認めて従業員満足度をアップさせることができるうえに、ほぼノーコストで健康経営への取り組みを大きくアピールできるチャンスなので、興味のある企業はチャレンジしてみてはどうだろうか。

 

 

 

 

2020年4月 3日 (金)

コロナショックなのに金価格が乱高下! 歴史的な需給逼迫で「安全資産」としての価値は?

 新型コロナウイルスのパンデミックは、金融市場を混乱に陥れた。こうした事態になると注目されるのが安全資産だ。

 

とりわけ金は、株価下落時に価格上昇しやすい。実際、新型コロナウイルスの脅威が大きくなり始めた2月末時点で、1グラム6,000円近くまで上昇。しかし、パンデミックの様相を呈してからは下落し、5,000円を割り込む瞬間も。不安心理が高まり現金化の流れが強まったことが要因と考えられる。

 

それが如実に表れているのが、恐怖指数とも呼ばれるVIX。20以上で「不安が高まった」とされるが、金価格が5,000円を割り込んだ3月18日には85.47をマーク。

 

リーマン・ショックに連鎖して起こった2008年10月の世界金融危機のときが89.53で、それ以外でもっとも高かったのは50台だから、まさにパニック状態だったことがわかる。

 

 一方、世界各国が出入国や移動制限を実施する中で、金を取り巻く状況は変わってきた。航空便が大幅に減少したことで、国際的な現物取引のルートがなくなり金の精製施設が閉鎖されてしまったのだ。

 

BMOキャピタル・マーケッツの金属デリバティブ取引責任者は「過去数十年、戦争や金融危機、自然災害でもなかった事態」とコメントしている。

 

 金の精製がストップすれば、自ずと金価格も上昇する。投資と考えれば買わない手はないが、裏を返せば高リスクな商品になってしまったことを意味する。

 

結局、「安全が保証される資産」はないということなのだ。「卵は一つのかごに盛るな」という投資の格言は、一層重みを増すことになるだろう。

 

 

 

 

20年の公示地価は5年連続上昇 全国的に広がる地価の回復傾向

 国土交通省が公表した2020年1月1日時点の地価公示によると、商業・工業・住宅の全用途(全国)で1.4%のプラス(前年1.2%上昇)と5年連続で上昇したことが分かった。

 

 住宅地は0.8%(同0.6%)、商業地は3.1%(同2.8%)上昇。地方圏の地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)以外のその他地域でも、全用途平均・商業地が1992年以来28年ぶりに上昇に転じ、全国的に地価の回復傾向が広がっている。

 

 地方圏は、住宅地が前年比0.5%上昇(前年0.2%上昇)で2年連続の上昇。商業地(1.5%上昇)・工業地(1.1%上昇)は3年連続の上昇となり、上昇基調を強めている。

 

地方圏のうち、地方四市では5.9%上昇と7年連続の上昇となり、上昇幅も6年連続で拡大。地方四市を除くその他の地域においても、全用途平均・商業地が28年ぶりに上昇に転じ、住宅地は0.0%と1996年から続いた下落から横ばいとなった。

 

 国交省では、地価上昇の背景として、景気回復、雇用・所得環境の改善、低金利環境の下で、(1)交通利便性等に優れた地域を中心に住宅需要が堅調、

 

(2)オフィス市場の活況、観光客増加による店舗・ホテル需要の高まりや再開発等の進展を背景に需要が堅調であること、を挙げた。

 

住宅地については、低金利環境の継続や住宅取得支援施策等による需要の下支え効果もあって、交通利便性や住環境の優れた地域を中心に需要が堅調としている。

 

 

 

 

2020年3月26日 (木)

テレワーク時代の社内コミュニケーションに役立つ! 人事マネジメントにも活用できる「社内通貨」

 暗号資産と聞けば、投機の対象と思いがち。しかし、その基礎技術であるブロックチェーンは、人事マネジメントにも役立てることができる。最近、さまざまな企業で導入している「社内通貨」がそれだ。

 

 たとえば、半導体製造装置メーカーのディスコは、社内通貨で仕事の対価を定量化。あらゆる業務や備品などの社内サービスを社内通貨で値付けすることで、モチベーション向上やスキルアップを促している。

 

さらに、各自の人件費相当額を支出として計上する仕組みとしているため、時短勤務のしやすさや残業抑制の推進にもつながっているという。

 

 社内コミュニケーションを円滑化する手段として活用しているのが、クラウドソリューションやマーケティング支援を展開するオロ。

 

面と向かって言いにくい感謝の気持ちを伝える手段として社内通貨を社内で流通させている。貯まった通貨はMacBook Airなどのアイテムに交換できる仕組みだ。オロの取り組みが興味深いのは、誰が誰に送ったのかわからないこと。

 

しかし、コメントは添えなければならない。つまり、忖度や遠慮のない“むきだしの思い”が伝えられるというわけである。喜びとやりがいが積み上がるとともに、「感謝される仕事」をするモチベーションにもなるだろう。

 

 テレワークで対面が少なくなっても社内コミュニケーションが深められるばかりか、人事マネジメントの深化も見込める社内通貨。多少のコストが必要なのはデメリットだが、組織力の向上を目指すならば、検討する価値はあるのではないか。

 

 

 

 

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