税理士法人千葉会計

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法人税

2025年5月22日 (木)

企業数・営業収入・法人税が過去最高 国税庁 令和5年度会社標本調査

 国税庁はこのほど、令和5年度分の会社標本調査結果を公表した。

これによると、国内の全法人数は295万6,717社で、前年度から4万7,000社増加(+1.6%)。

これは平成24年度以降、11年連続の増加で過去最多。

利益を計上した法人は115万3,514社(+1.9%)で3年連続の増加、こちらも過去最多を記録。

一方で欠損法人も180万3,203社(+1.5%)と4年連続で増加しており、欠損法人の割合は61.0%と、依然として高水準にある。

 企業の売上に相当する営業収入金額は、1,760兆1,788億円(+2.2%)と3年連続で増加し、過去最高を記録。

企業のもうけを示す所得金額も91兆7,696億円(+14.7%)と4年連続で増加し、こちらも過去最高だった。

業種別では、「機械工業」や「小売業」「建設業」などが所得金額の増加額で上位に並び、特に「食料品製造業」は前年比+30.1%と高い伸びを示した。

これらの動向を反映して、法人税額も大幅に増加した。

令和5年度の法人税額は16兆3,976億円となり、前年度比で2兆1,533億円増(+15.1%)と大きく伸長。

これは企業の増益基調を背景とした納税額の拡大を表している。

また、所得税額控除や外国税額控除などの各種控除にも変化が見られ、外国税額控除は前年比+47.0%と顕著な増加を示した。

企業数・収益・納税額のいずれも高水準に達し企業活動が活発であったことがうかがえる一方、欠損法人の多さが依然として課題であり、日本経済の底力と二極化の側面が浮き彫りとなった。

2025年2月28日 (金)

令和7年度税制改正法案が国会提出 所得税の基礎控除引き上げなどが目玉

 令和7年度税制改正法案(所得税法等の一部を改正する法律案)が2月4日に閣議決定され、国会に提出された。

今回の税制改正法案には、物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整への対応として、所得税の基礎控除の額を最大48万円から最大58万円に10万円引上げることや、 給与所得控除の最低保障額を55万円から65万円に10万円引上げることなどが盛り込まれており、これらは令和7年分の所得税から適用される予定だ。

 法人課税では、成長意欲の高い中小企業の設備投資を促進し地域経済に好循環を生み出すため、中小企業経営強化税制の対象資産に建物が追加される(売上高100億円超を目指す中小企業が対象)。

また、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置として、令和8年4月1日以後に開始する事業年度について、法人税額から500万円を控除した額を課税標準とする税率4%の新たな付加税が創設される。

 消費課税では、外国人旅行者向け免税制度について、不正排除等の観点から、販売時に消費税を徴収し、事後的に消費税相当額を返金するリファンド方式に見直すことなどが盛り込まれている。

 施行日は令和7年4月1日の予定で、政府が公表した「法律案の概要」では、改正を通じて『「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を実現し、経済社会の構造変化等に対応する』としている。

2025年1月27日 (月)

法人税率の中小特例が見直し 年間所得10億円超は「税率17%」に

 令和7年度税制改正では、「中小企業に対する法人税の軽減税率」が大きく見直されることになった。

 現在、資本金1億円以下の中小企業の法人税率は、年800万円以下の所得⾦額について本則19%とされており、令和7年3⽉31⽇までの時限的な措置として、さらに15%に軽減されている(中小企業に対する法人税の軽減税率=租税特別措置)。

今回の改正では、この租税特別措置部分の対象から「所得金額が年10億円を超える事業年度」が除外される。

つまり、所得金額が年10億円を超える事業年度については、今後、年800万円以下の所得⾦額について、15%ではなく17%の税率で法人税が課されることになる。

 わが国では、世界的な法人税率の引下げ競争が展開される中、2010年代に、設備投資や雇用・賃上げの促進、立地競争力の強化を図るため、法人税率が23.2%まで引き下げられた。

しかし政府は「法人税率が設備投資や賃金に与える影響は限定的」「わが国の法人税改革が国内投資の増加に効果的でなかった」と明言するなど、法人税改革が失敗に終わったことを認めており、法人税については本格的な“上げトレンド”に入っている。

実際、今回の税制改正大綱にも「法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなど、メリハリのある法人税体系を構築していく」と記載されているため、今後の動向には注視が必要だ。

2024年12月24日 (火)

中小企業に対する法人税の軽減 制度の大幅な見直しに現実味

「中小企業に対する法人税の軽減税率」がピンチだ。

現在、資本金1億円以下の中小企業の法人税率は、年800万円以下の所得⾦額について本則19%とされており、令和7年3⽉31⽇までの時限的な措置として、さらに15%に軽減されている(租税特別措置)。

このうち租税特別措置に当たる部分は、平成20年に「⾦融不安や景気後退の影響を受けやすい中⼩・⼩規模企業について⼗分な資⾦繰り対策を実施する⼀⽅で、中⻑期的に⽇本経済の底⼒を成⻑に結び付ける取組を推進する」ため、中⼩企業の財務基盤の強化を⽬的として導⼊された。

 実はこの軽減税率には、創設当初、明確な政策目標が数値で設定されていた。

それは、①中⼩企業等の売上⾼が、⽣活対策以前(平成20年上期)の⽔準を持続的に達成すること、②中⼩企業等の資⾦繰りDIが、⽣活対策以前(平成20年上期)の⽔準を持続的に達成すること、③中⼩企業等の業況判断DIが、⽣活対策以前(平成20年上期)の⽔準を持続的に達成することの3点。

つまり、この3点が達成された場合には廃止することがあらかじめ想定されていた訳だ。

では現状はどうかというと、②③についてはすでに「達成済み」で、①のみが「未達」。

加えて、2023年度における中小企業の借入依存度は38.2%と、⼤企業と比較すると高く、財務基盤はいまだ脆弱だ。

これらのことから、軽減税率そのものは延長しつつも、すでに財務基盤が回復した企業を対象から除外することなどが検討されているようだ。 

2024年12月13日 (金)

国税庁 消費税還付申告への対応を公表 税務調査への協力などを呼びかけ

 国税庁は11月21日、同庁のHPに「消費税還付申告に関する国税当局の対応について」とする情報を公開した。

近年、消費税の仕組みを悪用し、実際に取引をしたように見せかけるなど虚偽の内容で申告書を提出し、消費税の還付を不正に受けようとする事案が多数発生していることから、同庁では消費税還付法人に対する調査を強化している。

同庁では令和3年7月から同4年6月までに、消費税還付申告法人に対して約4,300件の実地調査を実施しており、その追徴税額は約372 億円だった。

 また、特に悪質な不正受還付犯に対しては、査察調査を行った上で検察官に告発し、その刑事責任を追及している。

令和4年4月から同5年3月までに不正還付事案16件を告発しており、これらの事案で不正に還付を受けた(受けようとした)金額は合計で13億4,700万円にも上っている。

 不正還付の手口は様々だが、同庁が公表している「2023年国税庁レポート」では、不正還付の事例として「輸出物品販売場を営む法人が国内で仕入れた化粧品を外国人観光客に販売したように装い架空の課税仕入れ及び架空の輸出免税売上げを計上した事案」や、「複数の法人がパワーストーンの仕入れがあったように装い架空の課税仕入れを計上した事案」などが紹介されており、近年は「輸出物品販売場制度」を悪用した事案が増えているようだ。

 



2024年11月29日 (金)

22年度税金のムダ遣い580億円 税金の徴収漏れ約2億4千万円

 会計検査院は10月31日、2023年度決算検査報告を公表した。

 これによると、各省庁や政府関係機関などの税金のムダ遣いや不正支出、経理処理の不適切などを指摘したのは345件、648億6218万円(334件分)だった。

前年度に比べ、指摘件数は1件増加。指摘金額では前年度の約580億円を大幅に上回った。

 財務省に対しては、法令違反に当たる不当事項として、税金の徴収額の不足3億3602万円が指摘された。

検査の結果、65税務署において、納税者133人から税金を徴収するに当たり、徴収不足が137事項、3億3602万円(徴収過大はゼロ件)。

前年度は、55署において徴収不足が85事項、2億4085万円だったので、徴収不足は約7000万円増加したことになる。

昨年度、徴収過大は300万円だった。

 徴収が過不足だった137事項を税目別にみると、「法人税」が52事項で徴収不足が1億4581万円と最も多く、以下、「申告所得税」29事項、同8200万円、「相続・贈与税」25事項、同4420万円、「消費税」23事項、同5242万円、「地方法人税」4事項、同548万円などだった。

 これらの徴収過不足額については、会計検査院の指摘後、全て徴収決定・支払決定の処置がとられている。 

2024年11月22日 (金)

23年度法人所得、最高の85兆円 黒字申告割合36.2%で2年連続上昇

 今年6月末現在の法人数は前年から1.8%増の340万1千法人で、うち2023年度内に決算期を迎え今年7月末までに申告した法人は、同1.5%増の316万6千法人だったことが、国税庁がこのほど発表した2023事務年度の法人税等の申告事績で分かった。

その申告所得金額は同15.6%増の98兆2781億円、申告税額の総額も同16.7%増の17兆3924億円とともに4年連続で増加。

申告所得金額の総額は過去最高となった。

 法人の黒字申告件数は114万3千件(前年対比1.5%増)で、黒字申告割合は前年度を0.2ポイント下回る36.0%で、2014年度以降10年連続で30%台となった。

法人の黒字申告割合は、過去最高だった1973年度(65.4%)の半分前後の低い数字が1993年度から30年も続いており、法人の黒字申告割合は低水準が続いている。

黒字法人の申告1件あたりの所得金額は前年度比3.4%増の8597万9千円だった。

一方で、申告欠損金額は前年比10.5%減の15兆5926億円、赤字申告1件あたりの欠損金額も同12.1%減の767万2千円と、ともに減少。

ちなみに、申告欠損金額のピークは1999年度の33兆2791億円だったので、2023年度は約45%まで減少している。

申告所得金額が大幅に増加する一方、欠損金額も増加したことは、新型コロナ感染拡大の影響がやや薄まった中で、企業の業況が二極化していることがうかがえる。

2024年11月15日 (金)

政府内で進む「法人税改革」の議論 令和7年度改正が大きな転換点に?

 10月27日に衆議院議員選挙を控え、今年の税制改正の方向性がどのようになるのか非常に読み辛い状況だが、いくつか議論の俎上に載りそうな重要項目がある。

そのうちのひとつが「成長志向の法人税改革」だ。

わが国の法人税制は、長らく「課税ベースを広げ、税率を引き下げる」という方向性で改革が進められてきたものの、令和4年・同6年の税制改正大綱では「近年の累次の法人税改革は意図した成果を上げてこなかった」と断言されている。

また、石破茂総理や立憲民主党の野田佳彦代表が揃って法人税率の引き上げに言及していることから、政権交代の如何を問わず、政策の“転換点”となる可能性がある。

法人税関係ではこのほか、中小企業を優遇する様々な租税特別措置にメスが入る可能性が高まってきている。

政府税制調査会では現在、「法人税のEBPMに関する勉強会」を立ち上げ、「EBPM(Evidence-based Policy Making)=エビデンスに基づく政策立案」について熱心に議論を続けているところ。

根底には「租税特別措置は公平・中立・簡素という租税原則に反するのだから、効果が現れなければ速やかに廃止すべき」という考え方があり、法人税収を確保したい財務省の思惑も見え隠れする。

今回の令和7年度税制改正は企業、とりわけ中小企業にとって厳しい改正となる可能性が捨てきれないだろう。

2024年10月31日 (木)

国税庁が勧める「優良な電子帳簿」 過少申告加算税が5%に軽減される

 国税庁が「優良な電子帳簿」を勧めている。

電子帳簿等保存とは、税法上保存が必要な「帳簿」、「書類」をパソコン等で作成している場合、(1)システムの説明書やディスプレイ等を備え付けている、(2)税務職員からのデータの「ダウンロードの求め」に応じることができること、を満たせば、プリントアウトすることなく、電子データのまま保存することができるというもの。

いちいち「帳簿」や「書類」を印刷してファイリングする必要がない。

 それでは、「優良な電子帳簿」とは何かというと、税法上保存が必要な「帳簿」について、上記の(1)(2)の要件に加え、(3)訂正・削除・追加の履歴が残ること、(4)帳簿の相互関連性があること、(5)取引等の日付・金額・相手方に関する検索機能があること、を満たすものは優良な電子帳簿として、その帳簿に関連する過少申告があっても、過少申告加算税の割合が原則10%から5%に軽減されるというものだ。

 この措置の適用を受けるためには、あらかじめ(法定申告期限までに)届出書を提出していることや、その課税期間の最初から優良な電子帳簿として備付け・保存を行っていることが必要。

ただし、すべての帳簿について、要件を満たす必要なく、一定の帳簿に限定されている。

優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の5%軽減措置の対象となる帳簿の範囲は、「仕訳帳」、「総勘定元帳」、「その他必要な帳簿」に限定されている。



2024年10月 3日 (木)

23年度国税の滞納残高は9276億円 消費税の新規滞納増で4年連続増加

 国税庁が公表した2023年度租税滞納状況によると、今年3月末時点での法人税や消費税など国税の滞納残高が22年ぶりに増加した20年度から4年連続で増加したことが明らかになった。

 これは、新規滞納発生額全体の5割超を占める消費税の新規滞納発生が前年度比20.7%増と大きく増加したことなどが要因。

新規発生滞納額は前年度に比べ11.1%増の7997億円と2年ぶりに増加した。

 整理済額は7670億円(前年度比8.0%増)と新規発生滞納額を下回ったため、今年3月末時点での滞納残高は3.7%増の9276億円と4年連続で増加した。

ただし、今年3月までの1年間(2023年度)に発生した新規滞納額は、最も新規滞納発生額の多かった1992年度(1兆8903億円)の約42%まで減少している。

 また、2023年度の滞納発生割合(新規発生滞納額/徴収決定済額)は前年度から横ばいの1.0%と低水準で推移している。

滞納発生割合は、2020年度は過去最低の0.9%、23年度は1.0%で推移。

この結果、滞納残高はピークの1998年度(2兆8149億円)の約33%まで減少している。

 税目別にみると、消費税は、新規発生滞納額が前年度比20.7%増の4383億円と2年ぶりに増加し、税目別では19年連続で最多、全体の約55%を占める。

一方で、整理済額が4212億円と下回ったため、滞納残高は5.0%増の3580億円と、2年ぶりに増加した。

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