ちば会計

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法人税

2024年10月31日 (木)

国税庁が勧める「優良な電子帳簿」 過少申告加算税が5%に軽減される

 国税庁が「優良な電子帳簿」を勧めている。

電子帳簿等保存とは、税法上保存が必要な「帳簿」、「書類」をパソコン等で作成している場合、(1)システムの説明書やディスプレイ等を備え付けている、(2)税務職員からのデータの「ダウンロードの求め」に応じることができること、を満たせば、プリントアウトすることなく、電子データのまま保存することができるというもの。

いちいち「帳簿」や「書類」を印刷してファイリングする必要がない。

 それでは、「優良な電子帳簿」とは何かというと、税法上保存が必要な「帳簿」について、上記の(1)(2)の要件に加え、(3)訂正・削除・追加の履歴が残ること、(4)帳簿の相互関連性があること、(5)取引等の日付・金額・相手方に関する検索機能があること、を満たすものは優良な電子帳簿として、その帳簿に関連する過少申告があっても、過少申告加算税の割合が原則10%から5%に軽減されるというものだ。

 この措置の適用を受けるためには、あらかじめ(法定申告期限までに)届出書を提出していることや、その課税期間の最初から優良な電子帳簿として備付け・保存を行っていることが必要。

ただし、すべての帳簿について、要件を満たす必要なく、一定の帳簿に限定されている。

優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の5%軽減措置の対象となる帳簿の範囲は、「仕訳帳」、「総勘定元帳」、「その他必要な帳簿」に限定されている。



2024年10月 3日 (木)

23年度国税の滞納残高は9276億円 消費税の新規滞納増で4年連続増加

 国税庁が公表した2023年度租税滞納状況によると、今年3月末時点での法人税や消費税など国税の滞納残高が22年ぶりに増加した20年度から4年連続で増加したことが明らかになった。

 これは、新規滞納発生額全体の5割超を占める消費税の新規滞納発生が前年度比20.7%増と大きく増加したことなどが要因。

新規発生滞納額は前年度に比べ11.1%増の7997億円と2年ぶりに増加した。

 整理済額は7670億円(前年度比8.0%増)と新規発生滞納額を下回ったため、今年3月末時点での滞納残高は3.7%増の9276億円と4年連続で増加した。

ただし、今年3月までの1年間(2023年度)に発生した新規滞納額は、最も新規滞納発生額の多かった1992年度(1兆8903億円)の約42%まで減少している。

 また、2023年度の滞納発生割合(新規発生滞納額/徴収決定済額)は前年度から横ばいの1.0%と低水準で推移している。

滞納発生割合は、2020年度は過去最低の0.9%、23年度は1.0%で推移。

この結果、滞納残高はピークの1998年度(2兆8149億円)の約33%まで減少している。

 税目別にみると、消費税は、新規発生滞納額が前年度比20.7%増の4383億円と2年ぶりに増加し、税目別では19年連続で最多、全体の約55%を占める。

一方で、整理済額が4212億円と下回ったため、滞納残高は5.0%増の3580億円と、2年ぶりに増加した。

2024年8月21日 (水)

23年度税収は4年連続過去最高額 見込みを2.6兆円上回る72兆円に

 財務省が公表した2023年度一般会計税収の予算額と決算額(概数)によると、2023年度の税収は72兆761億円にのぼり、4年連続で過去最高額となったことが分かった。

税収は、2022年度決算額の71兆1373億円を1.3%(9388億円)上回り、2年連続で70兆円を突破した。

2023年度補正後予算額は2022年度を下回る69兆6110億円を見込んでいたが、企業の好業績や物価高を背景に、2兆4651億円上回る税収となった。

 2023年度決算額(概数)の税収を税目別にみると、「所得税」は、源泉所得税が18兆15億円、申告所得税が4兆514億円の計22兆530億円で、2022年度決算額からは▲2.1%(4687億円)減少したが、2023年度補正後予算額の想定からは7580億円上回った。

この背景には、企業の賃上げの動きの広がりで、給与所得が増え、源泉所得税が想定の17兆4200億円から5815億円上回ったことがある。

 また、「法人税」は15兆8606億円となり、2022年度決算額から6.2%(9208億円)増加。2023年度補正後予算額からは1兆1986億円上回り、1991年度(16.5兆円)以来の高水準となり、全体の税収を押し上げた。

 「消費税」は、2022年度決算額からは0.1%(130億円)増と微増ながら、想定額を1003億円上回り、過去最高額となった。

年度前半に還付金が増えたことなどが減収要因となったが、国内消費は堅調に推移し税収増となった。

2024年6月24日 (月)

中小企業倒産防止共済制度を見直し 節税目的の不適切な利用を抑制

 中小企業倒産防止共済制度は、取引先企業が倒産した場合、積み立てた掛金総額の10倍の範囲内(最高8000万円)で回収困難な売掛債権等の額以内の共済金の「貸付け」が受けられ、その掛金は損金(必要経費)算入できるものだが、短期間で解約・再加入を繰り返す節税目的の利用が多いことから、2024年度税制改正において、本年10月以後、一定の場合には掛金の損金算入ができないこととする見直しが行われている。

 同共済制度の掛金は会社等の法人の場合は税法上の損金、個人事業の場合は事業所得の必要経費に算入できる。

この特例が、2024年10月1日以降に共済契約を解約し、再度共済契約を締結(再加入)する場合には、解除の日から同日以降2年を経過する日までの間に支出する掛金については、損金(法人)、必要経費(個人)算入できないことにされた。

改正の背景には、中小企業倒産防止共済制度の不適切な利用がある。

 中小企業庁によると、2011年10月に掛金積立限度額を増額(320万円→800万円)して以降、共済金貸付の発生は減少傾向にあるにもかかわらず、加入が急増。

解約手当金の支給率が100%となる、加入後3年目、4年目に解約が多くなるが、近年その傾向が特に顕著になっているという。

加入者へのアンケートによると、約2割~3割が節税目的による加入と推定されるとして、中企庁は制度の不適切な利用への対応を求めていた。

2024年5月 2日 (木)

2024年度税制改正法案が成立!所得税の定額減税の実施など

 2024年度税制改正における所得税法等の一部改正法案及び地方税法等の一部改正法案が3月28日、参院本会議で賛成多数で可決、成立した。

両法律案は、一部を除き、2024年4月1日から施行する。

所得税法等の一部を改正する法律案は、賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和し、物価上昇を上回る持続的な賃上げが行われる経済の実現を目指す観点から、所得税の定額減税の実施や、賃上げ促進税制の強化等を行う。

 個人所得課税では、所得税の定額減税がある。

居住者の2024年分の所得税額から、居住者並びに配偶者及び扶養親族1人につき3万円を控除するが、合計所得金額1805万円以下の場合のみ対象となる。

ストックオプション税制の利便性向上を図り、スタートアップが付与したものについて、年間権利行使価額の限度額を最大3600万円に引き上げる。

住宅ローン控除を拡充する(2024年分につき子育て世帯の借入限度額上乗せ等)。

 法人課税では、賃上げ促進税制を強化する。

従来の大企業向けの措置について、税額控除率の上乗せ措置等を見直し、適用期限を3年延長。

中堅企業向けの新たな措置を創設。

中小企業向けの措置について、5年間の繰越控除制度を創設し、適用期限を3年延長。

教育訓練費に係る税額控除率の上乗せ措置についての適用要件を緩和。

子育てとの両立支援や女性活躍支援に積極的な企業への税額控除率の上乗せ措置を創設する。

2024年4月23日 (火)

4月から始まる自動ダイレクト!法定納期限当日は納税額制限に注意

 国税庁が自動ダイレクトの開始をPRしている。

自動ダイレクトとは、e-Taxの申告等データを送信する画面で「自動ダイレクトを利用する」旨の項目が表示されるので、チェックを入れて送信すると、申告等データの送信と併せてダイレクト納付の手続きができる機能だ。

自動ダイレクトを利用すると、口座引落日は各申告手続きの法定納期限となり、法定納期限に自動ダイレクトの手続きをした場合は、その翌取引日に口座引落しされる。

 自動ダイレクトは、2024年4月1日以降、法定納期限が到来する申告手続き、法定納期限内に申告手続きをする場合、のすべての条件に該当する場合に利用できる。

また、利用に当たって、法定納期限当日に自動ダイレクトの手続きをした場合は、納税額に制限があるので注意が必要だ。

例えば、法定納期限当日に申告手続きをする日が2024年4月1日から2026年3月31日までは納税額が1000万円以下の制限がある。

 ダイレクト納付を利用した予納については、ダイレクト納付の利用者であれば、確定申告により納付することが見込まれる金額について、その課税期間中に、あらかじめ納付日と納付金額等をダイレクト納付画面により登録しておけば、登録した納付日に預貯金口座から振替により納付(予納)ができる。

納付日や納付金額が複数登録できるので、定期的に均等額を納付することや、収入に応じた任意のタイミングでの納付ができる。

2023年12月20日 (水)

法人6万2千件を実地調査 申告漏れ所得7801億円を把握

 国税庁が公表した法人税等の調査事績によると、今年6月までの1年間(2022事務年度)に、あらゆる資料情報と提出された申告書等の分析・検討を行った結果、大口・悪質な不正計算等が想定される法人など、調査必要度の高い法人6万2千件(前事務年度比52.3%増)を実地調査した。

その結果、申告漏れ所得金額は7801億円(同29.4%増)、法人税と消費税の追徴税額は3225億円(同39.8%増)だった。

 申告内容に誤り等が想定される納税者に対しては、“簡易な接触”を活用し、自発的な申告内容等の見直し要請を6万6千件(前事務年度比▲0.7%)実施。

その結果、申告漏れ所得金額は78億円(同▲11.2%)、追徴税額は71億円(同▲32.0%)だった。

簡易な接触とは、税務署において書面や電話による連絡や来署依頼による面接により、納税者に対して自発的な申告内容の見直しなどを要請するもの。

 新型コロナウイルスの影響がやや緩和され、調査件数、申告漏れ所得金額、追徴税額が増加するなか、実地調査1件当たりの追徴税額は524万1千円(前年度比▲8.1%)となった。

 また、源泉所得税については、実地調査の件数は7万2千件で、源泉所得税等の非違があった件数は2万2千件、追徴税額は338億円。

簡易な接触の件数は13万件で、追徴税額は76億円となっている。

2023年12月12日 (火)

効率的・効果的な所得税調査実施 追徴税額は過去最高の1368億円

 国税庁が公表した「2022事務年度の所得税等調査」結果によると、今年6月までの1年間の所得税調査は、前事務年度に比べ6.3%増の約63万8千件行われた。

そのうち33万8千件から25.5%増の9041億円の申告漏れ所得を見つけた。

その追徴税額は29.3%増の1368億円と過去最高額を更新した。

 実地調査における特別調査・一般調査は、前事務年度に比べ48.5%増の3万6千件を実施、うち3万1千件から34.1%増の総額5204億円の申告漏れ所得を見つけ、26.1%増の980億円を追徴。

件数では全体の5.6%に過ぎないが、申告漏れ所得金額は全体の57.6%を占めた。

 また、実地調査に含まれる着眼調査は、前事務年度比43.8%増の1万1千件行われ、うち7千件から23.4%増の390億円の申告漏れを見つけ、35億円を追徴。

一方、簡易な接触は、4.1%増の59万2千件行われ、うち30万件から14.8%増の3448億円の申告漏れを見つけ353億円を追徴した。

 実地調査トータルでは、前事務年度比47.4%増の4万6千件の調査を行い、うち3万8千件から33.3%増の5594億円の申告漏れを見つけ、1015億円を追徴。

つまり、実地調査件数は全体の7.3%と1割にも満たないが、申告漏れ所得全体の6割強(61.9%)を把握しており、高額・悪質な事案を優先して深度ある調査を的確に実施する一方、短期間で申告漏れ所得等の把握を行う効率的・効果的な所得税調査が実施されていることが裏付けられた。

2023年12月 5日 (火)

令和6年度税制改正の議論が大詰め 中小企業への影響は?

 自民党の税制調査会が税制改正大綱の策定に向け本格的な議論に入った。

相続・贈与税制の大改正が盛り込まれた前年度と比べると小粒な改正になると予想されるものの、意外と中小企業に影響しそうな改正もありそうなので注意しておきたい。

一番の目玉となるのは、岸田首相肝入りの「所得税の定額減税」だろう。

「来年6月に一人当たり4万円(所得税3万円、住民税1万円)を差し引く」とのことだが、現時点で制度設計は不明。

「6月の給与支給時に所得税・住民税から4万円を差し引く」とすれば、金額によっては“引ききれない”という可能性もある。

過去に定額減税を行ったケースがあるためそれに準ずる形になると予想されるが、どのような制度になるか注目しておきたい。

16〜18歳の扶養親族を持つ人が受けられる38万円の控除については、政府が今年6月にまとめた「こども未来戦略方針」で児童手当の対象を16〜18歳に拡大することをすでに決定しているため、制度間の整合性の観点から廃止は既定路線だ。

それから「外形標準課税の適用拡大」。

外形標準課税は資本金が1億円を超える企業が対象だが、資本金を資本剰余金に振り替えることで課税対象から逃れる動きがあり、政府としてはこれに対応する狙いがある。

「資本金1億円超」の適用要件を「資本金と資本剰余金の合計額」に改める案が有力視されてきたが、これでは一部の中小企業への影響が懸念されることから、「資本金と資本剰余金の合計額が50兆円超」という案が浮上している。

2023年11月27日 (月)

22年度税金のムダ遣い580億円 税金の徴収漏れ約2億4千万円

 会計検査院がこのほど公表した2022年度決算検査報告によると、各省庁や政府関係機関などの税金のムダ遣いや不正支出、経理処理の不適切などを指摘したのは344件、580億2214万円(327件分)だった。

前年度に比べ、指摘件数は34件増加。前年度に引き続き、新型コロナ感染防止への対応として、検査官による実地検査が検査対象機関に配慮する中で、指摘件数は増加し、指摘金額では前年度の約455億円を大幅に上回った。

 財務省に対しては、法令違反に当たる不当事項として、税金の徴収額の過不足2億4085万円(うち過大300万円)が指摘された。

検査の結果、55税務署において、納税者84人から税金を徴収するに当たり、徴収不足が85事項、2億3785万円、徴収過大が1事項、300万円。前年度は、46署において徴収不足が72事項、1億6062万円だったので、徴収不足は約8000万円増加したことになる。昨年度、徴収過大は154万円だった。

徴収が過不足だった86事項を税目別にみると、「法人税」が46事項で徴収不足が1億3627万円と最も多く、以下、「申告所得税」22事項、同7100万円、「消費税」13事項(うち過大1事項)、同2377万円、「相続・贈与税」3事項、同415万円、「源泉所得税」1事項、同194万円などだった。

これらの徴収過不足額については、会計検査院の指摘後、全て徴収決定・支払決定の処置がとられている。

 



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