パートの約6割が「年収の壁」意識 年収を一定額以下に抑える就業調整
主に有配偶パート女性において、自ら社会保険料を支払うことなどによる手取り収入の減少を避けるため、年収が一定額以下になるよう就業時間や日数を減らす「就業調整」を行っている人は少なくない。
野村総合研究所は2022年からいわゆる「年収の壁」問題や「就業調整」の実態把握を目的にした調査を行っている。
今回の調査は、パート・アルバイトとして働く、配偶者のいる全国の20~69歳の女性(「有配偶パート女性」)2060人を対象に実施した。
調査結果によると、有配偶パート女性のうち61.5%が、「年収の壁(その金額を超えると社会保険料の負担額が増えるなどして、手取り収入の減少が生じる境目)」を意識し、自身の年収を一定額以下に抑えるために、就業時間や日数を「調整している」と回答した。
また、「就業調整」をしている有配偶パート女性に「昨年と比べて時給が上がったか」を聞いたところ、60.6%が「昨年と比べて時給が上がった」と回答。
そのうち「時給上昇を理由にさらに就業調整をした」と回答した人は51.3%、「まだしていないが、今後する予定」と回答した人は23.3%だった。
「就業調整」をしている有配偶パート女性で「昨年と比べて時給が上がった」とする人の7割以上(74.6%)で、時給上昇が「さらなる就業調整」につながっている様子がうかがえる。