ちば会計

2024年11月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
無料ブログはココログ

国税・法案・申告・e-tax

2024年11月22日 (金)

23年度法人所得、最高の85兆円 黒字申告割合36.2%で2年連続上昇

 今年6月末現在の法人数は前年から1.8%増の340万1千法人で、うち2023年度内に決算期を迎え今年7月末までに申告した法人は、同1.5%増の316万6千法人だったことが、国税庁がこのほど発表した2023事務年度の法人税等の申告事績で分かった。

その申告所得金額は同15.6%増の98兆2781億円、申告税額の総額も同16.7%増の17兆3924億円とともに4年連続で増加。

申告所得金額の総額は過去最高となった。

 法人の黒字申告件数は114万3千件(前年対比1.5%増)で、黒字申告割合は前年度を0.2ポイント下回る36.0%で、2014年度以降10年連続で30%台となった。

法人の黒字申告割合は、過去最高だった1973年度(65.4%)の半分前後の低い数字が1993年度から30年も続いており、法人の黒字申告割合は低水準が続いている。

黒字法人の申告1件あたりの所得金額は前年度比3.4%増の8597万9千円だった。

一方で、申告欠損金額は前年比10.5%減の15兆5926億円、赤字申告1件あたりの欠損金額も同12.1%減の767万2千円と、ともに減少。

ちなみに、申告欠損金額のピークは1999年度の33兆2791億円だったので、2023年度は約45%まで減少している。

申告所得金額が大幅に増加する一方、欠損金額も増加したことは、新型コロナ感染拡大の影響がやや薄まった中で、企業の業況が二極化していることがうかがえる。

2024年11月15日 (金)

政府内で進む「法人税改革」の議論 令和7年度改正が大きな転換点に?

 10月27日に衆議院議員選挙を控え、今年の税制改正の方向性がどのようになるのか非常に読み辛い状況だが、いくつか議論の俎上に載りそうな重要項目がある。

そのうちのひとつが「成長志向の法人税改革」だ。

わが国の法人税制は、長らく「課税ベースを広げ、税率を引き下げる」という方向性で改革が進められてきたものの、令和4年・同6年の税制改正大綱では「近年の累次の法人税改革は意図した成果を上げてこなかった」と断言されている。

また、石破茂総理や立憲民主党の野田佳彦代表が揃って法人税率の引き上げに言及していることから、政権交代の如何を問わず、政策の“転換点”となる可能性がある。

法人税関係ではこのほか、中小企業を優遇する様々な租税特別措置にメスが入る可能性が高まってきている。

政府税制調査会では現在、「法人税のEBPMに関する勉強会」を立ち上げ、「EBPM(Evidence-based Policy Making)=エビデンスに基づく政策立案」について熱心に議論を続けているところ。

根底には「租税特別措置は公平・中立・簡素という租税原則に反するのだから、効果が現れなければ速やかに廃止すべき」という考え方があり、法人税収を確保したい財務省の思惑も見え隠れする。

今回の令和7年度税制改正は企業、とりわけ中小企業にとって厳しい改正となる可能性が捨てきれないだろう。

2024年11月12日 (火)

与野党の意見が一致し改正が現実味 「富裕層に対する金融所得課税強化」

 わが国の所得税は累進税率を採用しており、4千万円超の所得には最大45%(地方税と合わせて55%)の税率がかかる一方、金融所得の税率は一律15.315%(地方税と合わせて20.315%)とされており、金融所得がどれだけ高くても税率が変わることはない。

課税の公平性の観点からいえば、所得が増えるにつれて負担率が上昇することが通常と考えられるものの、実態は大きく異なっているのである。

 財務省の調査によると、年間の総所得が250万円以下の人の所得税負担率は2.6%、500万円以下4.6%、1,000万円以下10.6%と、所得の増加に合わせて徐々に上昇し、1億円以下では27.9%となっている。

ここまでは順調に負担率が伸びているものの、その先は所得が増えても負担率が下がる一方。

そのため、負担率が逆転する総所得1億円のラインは「1億円の壁」と呼ばれている。

 昨年の税制改正の議論では、専門家からこの「1億円の壁」の是正を求める声が相次いだものの、実現には至らなかった。

だが、石破茂総理と立憲民主党の野田佳彦代表はいずれも「富裕層に対する金融所得課税の強化」に意欲を見せていることから、今年こそ改正が現実味を帯びてきている。

ただし、衆院選後に新政権が樹立すると、年内は残り2ヶ月ほど。明らかな「増税」で各方面からバッシングを受ける可能性もあるだけに「短期間で決め切れるか」という疑問も残る。

2024年10月31日 (木)

国税庁が勧める「優良な電子帳簿」 過少申告加算税が5%に軽減される

 国税庁が「優良な電子帳簿」を勧めている。

電子帳簿等保存とは、税法上保存が必要な「帳簿」、「書類」をパソコン等で作成している場合、(1)システムの説明書やディスプレイ等を備え付けている、(2)税務職員からのデータの「ダウンロードの求め」に応じることができること、を満たせば、プリントアウトすることなく、電子データのまま保存することができるというもの。

いちいち「帳簿」や「書類」を印刷してファイリングする必要がない。

 それでは、「優良な電子帳簿」とは何かというと、税法上保存が必要な「帳簿」について、上記の(1)(2)の要件に加え、(3)訂正・削除・追加の履歴が残ること、(4)帳簿の相互関連性があること、(5)取引等の日付・金額・相手方に関する検索機能があること、を満たすものは優良な電子帳簿として、その帳簿に関連する過少申告があっても、過少申告加算税の割合が原則10%から5%に軽減されるというものだ。

 この措置の適用を受けるためには、あらかじめ(法定申告期限までに)届出書を提出していることや、その課税期間の最初から優良な電子帳簿として備付け・保存を行っていることが必要。

ただし、すべての帳簿について、要件を満たす必要なく、一定の帳簿に限定されている。

優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の5%軽減措置の対象となる帳簿の範囲は、「仕訳帳」、「総勘定元帳」、「その他必要な帳簿」に限定されている。



2024年10月11日 (金)

免税事業者のインボイス登録状況は BtoB中心事業者の73.3%が登録

 日本商工会議所・東京商工会議所が発表した「中小企業におけるインボイス制度、電子帳簿保存法、バックオフィス業務の実態調査」結果(有効回答数3149者)によると、インボイス発行事業者への登録状況は、制度導入前、免税事業者だった事業者のうち、BtoB中心事業者では73.3%(「本則課税転換」22.6%、「簡易課税転換」50.7%)、BtoC中心事業者では24.9%(同9.5%、15.4%)がインボイス発行事業者登録を行っている。

 約26%のBtoB中心事業者がインボイス登録を行わなかったが、その主な理由(複数回答)は、「新たな事務負担が発生」(57.1%)、「新たな税負担が発生」(47.1%)が多くを占め、「取引先からの要請がなかった」も34.3%あった。

また、インボイス登録を行わなかった免税事業者のうち、BtoB中心事業者の64.0%が今後登録を検討、BtoC中心事業者の約7割(69.5%)が今後も申請を行わない意向を示している。

 免税事業者からインボイス登録(課税転換)した事業者の状況は、「減収」が54.9%。「変わらない」が41.3%で「増収」はわずか3.8%だった。

 また、免税事業者がインボイス登録した場合、納税額を売上税額の2割に軽減する特例措置(2026年9月末で終了予定)があるが、事業者の85.5%が2割特例を適用し、2割特例を適用した事業者の85.2%が「スムーズに消費税申告できた」と回答した。

2024年10月 8日 (火)

上半期の輸入差止件数が過去最多 1日平均99件、4008点を差し止め

 2024年上半期の全国の税関における偽ブランド品などの知的財産侵害物品の輸入差止件数が1万8153件で、前年同期と比べて16.2%増と2年連続で増加し、過去最多を更新したことを、財務省が公表した。

 輸入差止点数は72万9549点で同5.6%増加し、2年連続で60万点を超えている。

これは、1日平均で99件、4008点の知的財産侵害物品の輸入を差し止めていることになる。

 仕出国(地域)別にみると、輸入差止件数は、「中国」が1万4704件(構成比81.0%、前年同期比15.7%増)で、引き続き高水準にある。

次いで、「ベトナム」が1621件(前年同期比34.7%増)、「マレーシア」が566件(同1564.7%増)、「韓国」が488件(同46.5%増)。

輸入差止点数でも、「中国」が63万6977点(構成比87.3%、同0.8%増)と、件数、点数ともに中国を仕出しとするものの構成比が依然高くなっている。

 知的財産別にみると、輸入差止件数は、偽ブランド品などの「商標権侵害物品」が1万7334件(構成比94.5%、前年同期比15.2%増)で引き続き大半を占め、次いで、偽キャラクターグッズなどの「著作権侵害物品」が685件(前年同期比82.2%増)。輸入差止点数についても、「商標権侵害物品」が25万8527点(構成比35.4%、同▲4.3%減)と最も多く、次いで「特許権侵害物品」が23万561点(同2681.9%増)と増加した。

2024年10月 3日 (木)

23年度国税の滞納残高は9276億円 消費税の新規滞納増で4年連続増加

 国税庁が公表した2023年度租税滞納状況によると、今年3月末時点での法人税や消費税など国税の滞納残高が22年ぶりに増加した20年度から4年連続で増加したことが明らかになった。

 これは、新規滞納発生額全体の5割超を占める消費税の新規滞納発生が前年度比20.7%増と大きく増加したことなどが要因。

新規発生滞納額は前年度に比べ11.1%増の7997億円と2年ぶりに増加した。

 整理済額は7670億円(前年度比8.0%増)と新規発生滞納額を下回ったため、今年3月末時点での滞納残高は3.7%増の9276億円と4年連続で増加した。

ただし、今年3月までの1年間(2023年度)に発生した新規滞納額は、最も新規滞納発生額の多かった1992年度(1兆8903億円)の約42%まで減少している。

 また、2023年度の滞納発生割合(新規発生滞納額/徴収決定済額)は前年度から横ばいの1.0%と低水準で推移している。

滞納発生割合は、2020年度は過去最低の0.9%、23年度は1.0%で推移。

この結果、滞納残高はピークの1998年度(2兆8149億円)の約33%まで減少している。

 税目別にみると、消費税は、新規発生滞納額が前年度比20.7%増の4383億円と2年ぶりに増加し、税目別では19年連続で最多、全体の約55%を占める。

一方で、整理済額が4212億円と下回ったため、滞納残高は5.0%増の3580億円と、2年ぶりに増加した。

2024年9月25日 (水)

国の借金、6月末時点で過去最高 3月末から13兆円増の1311兆円

 財務省が公表した、2024年6月末時点での国債や借入金などを合計した「国の借金」は、2024年3月末から13兆8805億円増えて過去最高の1311兆421億円となった。

2024年度の税収総額は約70兆円と8年連続で過去最高を更新する見通しだが、高齢化による社会保障費の膨張に加え、物価高対応、持続的で構造的な賃上げ実現などの財政支出があるため、新規国債発行で歳入不足を賄う予定だ。

国の借金は膨張が止まらない。

6月末の国の借金は、今年3月末に比べ、国債は約3兆円増の約1160.1兆円で全体の約89%を占め、うち普通国債(建設国債、赤字国債等)は約1059.6兆円と過去最大だった今年3月末からさらに約5.9兆円増えた。

その内訳は、長期国債(10年以上)が約8.6兆円増の約817兆円、中期国債(2年から5年)が約2.7兆円増の約197.2兆円と増加したが、短期国債(1年以下)は約5.4兆円減の約45.3兆円と減少した。

この「国の借金」約1311兆円は、2024年度一般会計予算の歳出総額112兆5717億円の約11.6倍、同年度税収見込み額69兆6080億円の約18.8倍にあたる。

年収500万円のサラリーマンが9400万円の借金を抱えている勘定だ。

また、わが国の今年7月1日時点での推計人口1億2396万人(総務省統計局の概算値)で割ると、国民1人当たりの借金は、2024年3月末時点の約1046万円から約1058万円に増加する。

2024年9月17日 (火)

ふるさと納税の寄附件数過去最高 寄附額1.1兆円と初の1兆円超え

 2023年度のふるさと納税の寄附件数が約5895万件(対前年度比13.7%増)、その寄附額は約1兆1175億円(同15.8%増)と、ともに前年度を大幅に上回り過去最高を更新したことが、総務省が公表した「ふるさと納税に関する現況調査」結果で明らかになった。

ふるさと納税は、自分の生まれた故郷だけでなく、応援したいどの都道府県・市区町村にも寄附ができ、寄附金は税金の還付・控除が受けられる。

 ふるさと納税は、災害被災地の支援を目的とした寄附などが増えたことから、寄附件数は過去最高を更新し、寄附額は初めて1兆円を超えて4年連続で過去最高を記録している。

 ふるさと納税に係る住民税控除の適用状況を都道府県別にみると、相変わらず「東京都」が断然トップとなった。

「東京都」の住民の控除適用者数は約186万人で、その住民税控除額は約1899億円にのぼる。

次いで、「神奈川県」が約97万人で控除額は約796億円、「大阪府」が約84万人で控除額は約614億円と続き、大都市部から地方部への税流出という傾向が裏付けられるものとなっている。

都市部の住民が地方に寄附すると地方財政は潤うが、一方で本来徴収できたはずの住民税が減る都市財政は苦しくなり不満が高まることになる。

市区町村別での寄附受入額をみると、トップは「宮崎県都城市」で約194億円、次いで「北海道紋別市」約192億円、「大阪府泉佐野市」約175億円、「北海道白糠町」約168億円と続いた。

2024年9月10日 (火)

政府、PBが黒字に転換との試算 25年度に初めて8千億円の黒字に

 政府は7月29日、経済財政諮問会議において、中長期の経済財政に関する試算を示し、財政健全化の指標として重視する国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)が、政府が目標とする2025年度に初めて8000億円程度の黒字に転換するとの試算を明らかにした。

 企業の好業績や物価高を背景に税収が増えることに加え、大規模経済対策が一巡して歳出改革が進み、収支が改善されると見込んでいる。

 今年1月に示された試算では、2025年度のPBは、ベースラインで4.5兆円の赤字、より高い成長率が前提の成長実現ケースでも3.0兆円の赤字だった。

だが、2023年度の実績見込み31.9兆円の赤字が、2024年度に19.7兆円の赤字となり、その試算値が今回上方修正されて、2025年度については、黒字額が名目GTPの+0.1%程度に相当する8000億円程度となるとの試算が示された。

 試算は、経済の中長期的な展望として、TFP(全要素生産性:資本と労働の増加によらない付加価値の増加を表す)上昇率が直近の景気循環の平均並みで将来にわたって推移する想定の「過去投影ケース」とTFP上昇率が過去40年平均程度まで高まる想定の「成長移行ケース」、TFP上昇率がデフレ状況に入る前の期間の平均程度まで高まる想定の「高成長実現ケース」の3つのケースを示して試算した。

いずれのケースでも今回試算した2033年度までPB黒字化が続くと予測している。

より以前の記事一覧