ちば会計

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税務調査 他

2023年9月 1日 (金)

タワマン節税抑止の通達案公表 従来の評価額に評価乖離率で補正

 国税庁は、マンションの相続税評価額が実勢価格の平均4割程度にとどまることから、その評価額の低さを利用したマンション節税、いわゆる「タワマン節税」を抑止するため、評価額の算定ルールを見直す通達案を公表した。

新たな算定ルールは、2024年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価に適用する。

通達案は、まず、一室の区分所有権等に係る敷地利用権の価額は、「自用地としての価額」に、一定の補正率を乗じて計算した価額を、その「自用地としての価額」とみなして評価することとする。

 具体的には、「築年数」、「総階数指数」、「所在階」、「敷地持分狭小度」の4指数に基づいて評価乖離率を求め、1を乖離率で除した評価水準が0.6未満の場合、従来の評価額に評価乖離率と0.6を掛けて補正し、評価水準が1を超える場合、従来の評価額に評価乖離率のみを掛けて補正する。

区分所有者が、一棟の区分所有建物に存する全ての専有部分、一棟の区分所有建物の敷地のいずれも単独で所有している場合は、「補正率」は1を下限とする。

 次に、一室の区分所有権等に係る区分所有権の価額については、「自用家屋としての価額」に、上記と同様の補正率を乗じて計算した価額をその「自用家屋としての価額」とみなして評価する。

 なお、国税庁では、これらの居住用の区分所有財産の評価について、納税者が簡易に計算するためのツールを用意する予定としている。

2023年8月 2日 (水)

TOB成立後上場廃止での株式 譲渡所得の申告漏れが目立つ

 国税庁は、株式公開買い付け(TOB)の成立で上場廃止となった株式に関し、譲渡所得の申告漏れが目立つことから、注意を喚起している。

TOB成立後、上場廃止となった株式をTOBによる買付者などに買い取られた場合に譲渡益が生じたときには、所得税の申告が必要になる。

 TOBは近年、上場企業に対するM&Aの手法として一般化している。

国税庁は、TOBの買付総額が高額なものもあり、上場廃止後の株式譲渡に係る申告漏れの増加が懸念されたことから、TOBに応じなかった株主379人を対象に抽出調査した結果、約半数にあたる199人から申告漏れが見つかり、その申告漏れ所得金額は4億7495万円、追徴税額は7258万円で、申告漏れ1件当たりの追徴税額は36万円だった。

申告漏れが把握された事例の中には、1億8216万円と2億円近い多額の譲渡益が生じていたにもかかわらず、無申告となっていたものが含まれており、追徴税額3151万円が課されている。

 この申告漏れの背景にあるのは、株式を管理する口座が変わること。

投資家の多くは、上場株式との取引を対象とする「源泉徴収ありの特定口座」を使っており、同口座は証券会社が売買損益や税額を計算して口座から天引きするため、投資家は自分で確定申告する必要がない。

しかし、TOB成立で上場廃止となった企業の株式は、投資家自らが売買損益や税額を計算する「一般口座」での取引となり、利益が生じれば申告する必要がある。

 



2023年7月25日 (火)

再調査の請求・審査請求・訴訟 納税者救済・勝訴割合は減少

 国税庁が公表した今年3月までの1年間(2022年度)の税務署等に対する再調査の請求の発生件数は、申告所得税等(48.5%増の536件)などが大きく増加したことから、全体では前年度から37.0%増の1533件となった。

処理件数は、「取下げ等」161件、「却下」124件、「棄却」1023件、「一部取消」45件、「全部取消」18件の合計1371件(前年度比14.4%増)。

納税者の主張が一部でも認められたのは計63件となり、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度から▲2.3ポイントの4.6%だった。

 また、国税不服審判所への審査請求の発生件数は、消費税等(43.9%増の1235件)などほとんどの税目が増加したことから、全体では前年度から22.2%増の3034件となった。

処理件数は、「取下げ」286件、「却下」385件、「棄却」2263件、「一部取消」153件、「全部取消」72件の合計3159件(前年度比38.4%増)だった。

納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は同▲5.9ポイントの7.1%となった。

 一方、訴訟となった発生件数は、法人税(▲7.1%の39件)や消費税(▲32.0%の17件)、徴収関係(▲51.4%の17件)など多くの税目が減少したことから、全体では前年度を▲8.5%下回る173件だった。

訴訟の終結件数は、「取下げ等」13件、「却下」9件、「棄却」154件、「国の一部敗訴」4件、「国の全部敗訴」6件の合計186件(前年度比▲6.5%)。国側の敗訴(納税者勝訴)割合は同▲1.1ポイントの5.4%となった。

2023年7月14日 (金)

22年度査察、着手件数は145件 告発件数103件で告発率74.1%

 いわゆるマルサと呼ばれる査察は、脱税でも特に大口・悪質なものが強制調査され検察当局に告発されて刑事罰の対象となる。

国税庁が公表した2022年度査察白書によると、同年度に査察で摘発した脱税事件は前年度より30件多い139件で、その脱税総額は前年度を約25%上回る約128億円だった。

今年3月までの1年間(2022年度)に、全国の国税局が査察に着手した件数は145件と、前年度(116件)を29件上回った。

 継続事案を含む139件(前年度103件)を処理(検察庁への告発の可否を最終的に判断)し、うち74.1%に当たる103件(同75件)を検察庁に告発。この告発率74.1%は前年度を1.3ポイント上回り、2006年度以来の高水準だった。

 2022度は、消費税の輸出免税制度を利用した消費税不正受還付事案を16件、自己の所得を秘匿し申告を行わない無申告ほ脱事案を15件、国際事案を25件、それぞれ告発している。

 近年、査察における大型事案は減少傾向にあり、2022年度の脱税総額127億6000万円は、ピークの1988年度(約714億円)の約18%にまで減少している。

1件当たり平均の脱税額は9200万円で、ここ5年は1億円を下回っている。告発分の脱税総額は前年度を64.9%上回る100億1900万円だったが、前年度は統計が残る1972年度以降、過去最少だった。

告発分1件当たり平均の脱税額は9700万円となっている。

 



2023年5月22日 (月)

調査課所管法人の申告内容の誤り 1位は外国税額控除等に関する誤り

国税庁は、調査課所管法人における申告内容の誤りが多い事例を公表した。

これは、2022事務年度に実地調査以外で把握したものを集計し、誤りが多い順にその状況を取りまとめたもの。

最も誤りが多かったのは、外国税額控除等に関する誤り。別表六(二)の「その他の国外源泉所得に係る当期利益又は当期欠損の額」欄の金額が、税引後の金額になっていなかった、外国法人税に該当しない税を記載していた、などの誤りが目立ったという。

次いで誤りが多かったのは、法人税額及び地方法人税額の計算に関する誤り。

別表一の「中間申告分の法人税額」欄及び「中間申告分の地方法人税額」欄に、中間申告分の税額を正しく記載していなかった、事業年度終了時における資本金又は出資金額が1億円超であるにもかかわらず、年800万円以下の所得について、軽減税率を適用していた、などの誤りが多かったという。

3番目に誤りが多かったのは、所得金額の計算・利益積立金額等の計算に関する誤り。

貸借対照表の任意引当金等の金額が、別表五(一)の④欄(差引翌期首現在利益積立金額)の金額と一致していなかった、前事業年度以前に所得金額に加算した有価証券等の評価損の額について、当事業年度に売却等の減算事由が生じたものを減算していなかった、などの誤りが多かったという。

2022年12月14日 (水)

2021事務年度法人税調査を公表 申告漏れ所得金額6028億円把握

 国税庁が公表した法人税等の調査事績によると、今年6月までの1年間(2021事務年度)に、あらゆる資料情報と提出された申告書等の分析・検討を行った結果、大口・悪質な不正計算等が想定される法人など、調査必要度の高い法人4万1千件(前事務年度比63.2%増)を実地調査した。

その結果、申告漏れ所得金額は6028億円(同14.0%増)、法人税と消費税の追徴税額は2307億円(同19.2%増)だった。

 申告内容に誤り等が想定される納税者に対しては、“簡易な接触”を活用し、自発的な申告内容等の見直し要請を6万7千件(前事務年度比▲2.0%)実施。

その結果、申告漏れ所得金額は88億円(同16.6%増)、追徴税額は104億円(同67.5%増)だった。

簡易な接触とは、税務署において書面や電話による連絡や来署依頼による面接により、納税者に対して自発的な申告内容の見直しなどを要請するもの。

 新型コロナウイルスの影響を受けつつも、調査件数、申告漏れ所得金額、追徴税額が増加するなか、実地調査1件当たりの追徴税額は570万1千円(前年度比▲27.0%)となった。

 また、源泉所得税については、実地調査の件数は4万8千件で、源泉所得税等の非違があった件数は1万5千件、追徴税額は228億円。

簡易な接触の件数は12万9千件で、追徴税額は78億円となっている。

2022年8月 8日 (月)

帳簿の提出がない場合等の整備 過少申告加算税等の加重措置

 2022年度税制改正では、納税環境の整備の一環として、帳簿の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重措置が整備されている。
 
 過少申告加算税制度及び無申告加算税制度について、一定の帳簿の提出がない場合又は記載すべき事項のうち収入金額の記載が不十分である場合には、申告漏れ等に係る法人税等の5%又は10%に相当する金額が加算される。適用時期は2024年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税からとなる。
 
 納税者が、一定の帳簿に記載すべき事項に関し所得税や法人税、消費税に係る修正申告書や期限後申告書の提出、更正や決定があった時前に、国税庁等の職員から帳簿の提示又は提出を求められ、かつ、(1)帳簿を提示等しなかった場合や収入金額等の記載が「著しく」不十分な場合、(2)収入金額等の記載が不十分な場合には、過少申告加算税又は無申告加算税について法人税等の5%又は10%に相当する金額が加算される。
 
 具体的には、国税職員から帳簿の提示等をもとめられ、かつ(1)か(2)の場合のいずれかに該当するときは、その帳簿に記載すべき事項に関し生じた申告漏れ等に課される過少申告加算税の額又は無申告加算税の額については、通常課される過少申告加算税の額又は無申告加算税の額にその申告漏れ等に係る所得税や法人税、消費税の10%((2)に掲げる場合に該当する場合には、5%)に相当する金額を加算した金額とするとされている。

2022年7月27日 (水)

審査の請求での救済割合が大幅増 再調査の請求・訴訟のそれは減少

 納税者が国税当局の処分に不満がある場合は、税務署等に対する再調査の請求や国税不服審判所に対する審査請求という行政上の救済制度と、訴訟を起こして裁判所に処分の是正を求める司法上の制度がある。

 国税庁・国税不服審判所が公表した再調査の請求や審査請求、訴訟の概要によると、再調査の請求の発生件数は、全体では前年度から11.9%増の1119件となった。

処理件数は、「取下げ等」283件、「却下」57件、「棄却」775件、「一部取消」80件、「全部取消」3件の合計1198件(前年度比19.9%増)。

納税者の主張が一部でも認められたのは計83件となり、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度(10.0%)から▲3.1ポイントの6.9%だった。

 また、国税不服審判所への審査請求の発生件数は、全体では前年度から9.9%増の2458件。

処理件数は、「取下げ」294件、「却下」73件、「棄却」1539件、「一部取消」137件、「全部取消」160件の合計2282件(前年度比▲2.0%)だった。

納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は同3.0ポイント増の13.0%となった。

 一方、訴訟となった発生件数は、全体では前年度を13.3%上回る187件だった。

訴訟の終結件数は、「取下げ等」11件、「却下」17件、「棄却」158件、「国の一部敗訴」6件、「国の全部敗訴」7件の合計199件(前年度比10.6%増)。

国側の敗訴(納税者勝訴)割合は同▲1.3ポイントの6.5%となった。

2022年7月22日 (金)

21年度査察、摘発件数は103件 告発分脱税総額は最少の61億円

 いわゆるマルサと呼ばれる査察は、脱税でも特に大口・悪質なものが強制調査され検察当局に告発されて刑事罰の対象となる。

 国税庁が公表した2021年度査察白書によると、同年度に査察で摘発した脱税事件は前年度より10件少ない103件で、その脱税総額は前年度を12.8%上回る約102億円だった。

今年3月までの1年間(2021年度)に、全国の国税局が査察に着手した件数は116件と、前年度(111件)を5件上回った。

 継続事案を含む103件(前年度113件)を処理(検察庁への告発の可否を最終的に判断)し、うち72.8%に当たる75件(同83件)を検察庁に告発。

この告発率72.8%は前年度を0.8ポイント下回ったが、昨年度に引き続き高水準だった。

 2021年度は、消費税の輸出免税制度を利用した消費税不正受還付事案を9件、自己の所得を秘匿し申告を行わない無申告ほ脱事案を16件、国際事案を17件、それぞれ告発している。

 近年、査察における大型事案は減少傾向にあり、2021年度の脱税総額102億1200万円は、ピークの1988年度(約714億円)の約14%にまで減少している。

1件当たり平均の脱税額は9900万円で、ここ5年は1億円を下回っている。

 告発分の脱税総額は前年度を12.3%下回る60億7400万円となり、統計が残る1972年度以降、過去最少となった。告発分1件当たり平均の脱税額は8100万円となっている。

2022年2月16日 (水)

不適切な会計・経理の開示企業 開示社数は7年連続50件以上

 東京商工リサーチがこのほど発表した「不適切な会計・経理の開示をした企業の実態調査」結果によると、2021年に「不適切な会計・経理」を開示した上場企業は、51社(前年比▲15.0%)だった。

集計を開始した2008年以降、2019年に過去最多の70社を記録したが、その後は2年連続で減少、2021年は約3割(▲27.1%)下回った。
だが、開示社数は2015年から7年連続で50件以上を維持している。

 2021年も新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言が3回発令され、企業だけでなく業績や財務内容などの適正をチェックする監査法人、公認会計士も在宅勤務を強いられた。

2021年は不適切会計の開示社数は減少したが、コンプライアンス(法令順守)、コーポレートガバナンス(企業統治)の観点から、不適切会計のチェックに向けた業務フローの確認の必要性は変わらない。

 内容別では、最多は経理や会計処理ミスなどの「誤り」で24件(構成比47.1%)。
次いで、「架空売上の計上」や「水増し発注」などの「粉飾」が15件(同29.4%)だった。
また、子会社・関係会社の役員、従業員の「着服横領」は12件(同23.5%)だった。

 発生当事者別では、最多は「会社」と「子会社・関係会社」の20社(構成比39.2%)だった。

「会社」では会計処理手続きなどの誤りが目立ち、「子会社・関係会社」では売上原価の過少計上や架空取引など、見せかけの売上増や利益捻出のための不正経理が目立った。

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