税理士法人千葉会計

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税制改正

2025年2月28日 (金)

令和7年度税制改正法案が国会提出 所得税の基礎控除引き上げなどが目玉

 令和7年度税制改正法案(所得税法等の一部を改正する法律案)が2月4日に閣議決定され、国会に提出された。

今回の税制改正法案には、物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整への対応として、所得税の基礎控除の額を最大48万円から最大58万円に10万円引上げることや、 給与所得控除の最低保障額を55万円から65万円に10万円引上げることなどが盛り込まれており、これらは令和7年分の所得税から適用される予定だ。

 法人課税では、成長意欲の高い中小企業の設備投資を促進し地域経済に好循環を生み出すため、中小企業経営強化税制の対象資産に建物が追加される(売上高100億円超を目指す中小企業が対象)。

また、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置として、令和8年4月1日以後に開始する事業年度について、法人税額から500万円を控除した額を課税標準とする税率4%の新たな付加税が創設される。

 消費課税では、外国人旅行者向け免税制度について、不正排除等の観点から、販売時に消費税を徴収し、事後的に消費税相当額を返金するリファンド方式に見直すことなどが盛り込まれている。

 施行日は令和7年4月1日の予定で、政府が公表した「法律案の概要」では、改正を通じて『「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を実現し、経済社会の構造変化等に対応する』としている。

2025年2月 4日 (火)

外国人旅行者向け消費税免税制度 出国時に返金する「リファンド方式」へ

 外国人旅行者が、いわゆる免税店で土産品等を購入した場合に、その消費税が免除される「外国人旅行者向け消費税免税制度」。

この制度は、土産品等を国外へ持ち帰ることは、実質的に輸出と同じであることから設けられている制度だ。

 近年、訪日外国人の増加に伴い、この免税制度を不正利用するケースが相次いでいる。

金地金や高額なブランドバックなどを免税で購入し、それを国内で「税込価格」で販売すると、消費税相当分がそのまま利益になってしまうためだ。

このように免税店で購入した商品を国外に持ち出さない場合、通常は税関で消費税が徴収されることがルールとされている。

ところが、会計検査院は令和5年度決算報告の中で、令和4年度に合計9名、総額34億円の消費税が税関で徴収されていなかっ

たことを指摘しており、不正利用を防止するための制度改正が急がれていた。

そこで今回の改正では、商品販売時に消費税を免税とするのではなく、出国時に持ち出しが確認された場合にのみ消費税を返金する「リファンド方式」へと見直されることとされた。

本改正に伴って、免税購入対象者は、購入した免税対象物品について、出国時にパスポートを提示して税関長の確認を受けることとされ、確認を受けた免税対象物品は必ず国外に持ち出すことなどが義務付けられる。

不正防止に大きく貢献することが期待される一方、旺盛なインバウンド需要に水を差す形にならないか懸念される。

2025年1月27日 (月)

法人税率の中小特例が見直し 年間所得10億円超は「税率17%」に

 令和7年度税制改正では、「中小企業に対する法人税の軽減税率」が大きく見直されることになった。

 現在、資本金1億円以下の中小企業の法人税率は、年800万円以下の所得⾦額について本則19%とされており、令和7年3⽉31⽇までの時限的な措置として、さらに15%に軽減されている(中小企業に対する法人税の軽減税率=租税特別措置)。

今回の改正では、この租税特別措置部分の対象から「所得金額が年10億円を超える事業年度」が除外される。

つまり、所得金額が年10億円を超える事業年度については、今後、年800万円以下の所得⾦額について、15%ではなく17%の税率で法人税が課されることになる。

 わが国では、世界的な法人税率の引下げ競争が展開される中、2010年代に、設備投資や雇用・賃上げの促進、立地競争力の強化を図るため、法人税率が23.2%まで引き下げられた。

しかし政府は「法人税率が設備投資や賃金に与える影響は限定的」「わが国の法人税改革が国内投資の増加に効果的でなかった」と明言するなど、法人税改革が失敗に終わったことを認めており、法人税については本格的な“上げトレンド”に入っている。

実際、今回の税制改正大綱にも「法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなど、メリハリのある法人税体系を構築していく」と記載されているため、今後の動向には注視が必要だ。

2024年12月24日 (火)

中小企業に対する法人税の軽減 制度の大幅な見直しに現実味

「中小企業に対する法人税の軽減税率」がピンチだ。

現在、資本金1億円以下の中小企業の法人税率は、年800万円以下の所得⾦額について本則19%とされており、令和7年3⽉31⽇までの時限的な措置として、さらに15%に軽減されている(租税特別措置)。

このうち租税特別措置に当たる部分は、平成20年に「⾦融不安や景気後退の影響を受けやすい中⼩・⼩規模企業について⼗分な資⾦繰り対策を実施する⼀⽅で、中⻑期的に⽇本経済の底⼒を成⻑に結び付ける取組を推進する」ため、中⼩企業の財務基盤の強化を⽬的として導⼊された。

 実はこの軽減税率には、創設当初、明確な政策目標が数値で設定されていた。

それは、①中⼩企業等の売上⾼が、⽣活対策以前(平成20年上期)の⽔準を持続的に達成すること、②中⼩企業等の資⾦繰りDIが、⽣活対策以前(平成20年上期)の⽔準を持続的に達成すること、③中⼩企業等の業況判断DIが、⽣活対策以前(平成20年上期)の⽔準を持続的に達成することの3点。

つまり、この3点が達成された場合には廃止することがあらかじめ想定されていた訳だ。

では現状はどうかというと、②③についてはすでに「達成済み」で、①のみが「未達」。

加えて、2023年度における中小企業の借入依存度は38.2%と、⼤企業と比較すると高く、財務基盤はいまだ脆弱だ。

これらのことから、軽減税率そのものは延長しつつも、すでに財務基盤が回復した企業を対象から除外することなどが検討されているようだ。 

2024年12月10日 (火)

政府の総合経済対策が閣議決定 103万円の壁解消に向け一歩前進

 11月22日に「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」が閣議決定された。

今回の経済対策は①日本経済・地方経済の成長、②物価高の克服、③国民の安心・安全の確保という3つの柱で構成されている。

①については、石破総理が掲げる「2020年代に(最低賃金)全国平均1,500円」という目標があらためて強調され、この達成に向けた施策として、令和4年度補正予算で措置された「事業環境変化対応型支援事業費補助金」や、令和6年度税制改正で拡充された「賃上げ促進税制」などの活用を促進することなどが挙げられている。

②については「物価高の影響を受ける低所得者世帯への支援」として住民税非課税世帯一世帯当たり3万円の給付が盛り込まれた。

住民税非課税世帯のうち、子育て世帯については子ども一人当たり2万円を加算される。

また、国民民主党が改正を迫っている「103万円の壁」については、「令和7年度税制改正の中で議論し引き上げる」と明記されたものの、上げ幅については今後の税制改正論議の中で決定されることになる。

③については「発災時に快適なトイレ、プライバシーを守るパーティション、簡易ベッド、温かい食事を速やかに提供できるよう、必要な資機材の備蓄を推進し、キッチンカー、トレーラーハウス、トイレカー等の登録制度を創設する」ことなど、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づく取組を推進することが明記された。

2024年12月 6日 (金)

どうなる退職金課税の見直し 今年も税制調査会が議論の俎上に

 11月も中盤に差し掛かり、税制改正をめぐる議論が大詰めだ。

今年は、先の衆院選で影響力を増した国民民主党が「103万円の壁」の是正を要求しているため、そちらばかりが注目されているが、その裏で政府と財務省は、今年も退職金課税の見直し=縮小を狙っている。

過去の税制改正大綱や政府税制調査会の資料には「退職金や私的年金の給付に係る課税について、給付が一時金払いか年金払いかによって税制上の取扱いが異なり、給付のあり方に中立的ではないといった指摘がある」「退職金課税については、現行の勤続20年を境に1年当たりの控除額が急増する仕組みや勤務年数が短期間でも退職金に係る所得の2分の1にしか課税されないという仕組みを見直し、全体として多様な就労選択に中立的な制度とすることが求められている」といった文言がたびたび登場し、この時期になると改正論が毎年のように噴き上がる、もはや恒例行事のようなもの。

 ただ、ここ数年は与党自民党が支持率を落としたことや、昨年は「増税内閣」といった批判を気にした結果、直前で見送られてきた経緯がある。

退職金課税の縮小は、納税者のライフプランや相続問題、中小企業の事業承継にも影響する大きな改正となるだけに、令和7年度税制改正で実現するのか、その動向を注視しておく必要があるだろう。



2024年11月15日 (金)

政府内で進む「法人税改革」の議論 令和7年度改正が大きな転換点に?

 10月27日に衆議院議員選挙を控え、今年の税制改正の方向性がどのようになるのか非常に読み辛い状況だが、いくつか議論の俎上に載りそうな重要項目がある。

そのうちのひとつが「成長志向の法人税改革」だ。

わが国の法人税制は、長らく「課税ベースを広げ、税率を引き下げる」という方向性で改革が進められてきたものの、令和4年・同6年の税制改正大綱では「近年の累次の法人税改革は意図した成果を上げてこなかった」と断言されている。

また、石破茂総理や立憲民主党の野田佳彦代表が揃って法人税率の引き上げに言及していることから、政権交代の如何を問わず、政策の“転換点”となる可能性がある。

法人税関係ではこのほか、中小企業を優遇する様々な租税特別措置にメスが入る可能性が高まってきている。

政府税制調査会では現在、「法人税のEBPMに関する勉強会」を立ち上げ、「EBPM(Evidence-based Policy Making)=エビデンスに基づく政策立案」について熱心に議論を続けているところ。

根底には「租税特別措置は公平・中立・簡素という租税原則に反するのだから、効果が現れなければ速やかに廃止すべき」という考え方があり、法人税収を確保したい財務省の思惑も見え隠れする。

今回の令和7年度税制改正は企業、とりわけ中小企業にとって厳しい改正となる可能性が捨てきれないだろう。

2024年11月12日 (火)

与野党の意見が一致し改正が現実味 「富裕層に対する金融所得課税強化」

 わが国の所得税は累進税率を採用しており、4千万円超の所得には最大45%(地方税と合わせて55%)の税率がかかる一方、金融所得の税率は一律15.315%(地方税と合わせて20.315%)とされており、金融所得がどれだけ高くても税率が変わることはない。

課税の公平性の観点からいえば、所得が増えるにつれて負担率が上昇することが通常と考えられるものの、実態は大きく異なっているのである。

 財務省の調査によると、年間の総所得が250万円以下の人の所得税負担率は2.6%、500万円以下4.6%、1,000万円以下10.6%と、所得の増加に合わせて徐々に上昇し、1億円以下では27.9%となっている。

ここまでは順調に負担率が伸びているものの、その先は所得が増えても負担率が下がる一方。

そのため、負担率が逆転する総所得1億円のラインは「1億円の壁」と呼ばれている。

 昨年の税制改正の議論では、専門家からこの「1億円の壁」の是正を求める声が相次いだものの、実現には至らなかった。

だが、石破茂総理と立憲民主党の野田佳彦代表はいずれも「富裕層に対する金融所得課税の強化」に意欲を見せていることから、今年こそ改正が現実味を帯びてきている。

ただし、衆院選後に新政権が樹立すると、年内は残り2ヶ月ほど。明らかな「増税」で各方面からバッシングを受ける可能性もあるだけに「短期間で決め切れるか」という疑問も残る。

2024年6月24日 (月)

中小企業倒産防止共済制度を見直し 節税目的の不適切な利用を抑制

 中小企業倒産防止共済制度は、取引先企業が倒産した場合、積み立てた掛金総額の10倍の範囲内(最高8000万円)で回収困難な売掛債権等の額以内の共済金の「貸付け」が受けられ、その掛金は損金(必要経費)算入できるものだが、短期間で解約・再加入を繰り返す節税目的の利用が多いことから、2024年度税制改正において、本年10月以後、一定の場合には掛金の損金算入ができないこととする見直しが行われている。

 同共済制度の掛金は会社等の法人の場合は税法上の損金、個人事業の場合は事業所得の必要経費に算入できる。

この特例が、2024年10月1日以降に共済契約を解約し、再度共済契約を締結(再加入)する場合には、解除の日から同日以降2年を経過する日までの間に支出する掛金については、損金(法人)、必要経費(個人)算入できないことにされた。

改正の背景には、中小企業倒産防止共済制度の不適切な利用がある。

 中小企業庁によると、2011年10月に掛金積立限度額を増額(320万円→800万円)して以降、共済金貸付の発生は減少傾向にあるにもかかわらず、加入が急増。

解約手当金の支給率が100%となる、加入後3年目、4年目に解約が多くなるが、近年その傾向が特に顕著になっているという。

加入者へのアンケートによると、約2割~3割が節税目的による加入と推定されるとして、中企庁は制度の不適切な利用への対応を求めていた。

2024年6月17日 (月)

6月から実施される定額減税 給与明細に減税額明記を義務付け

 2024年度税制改正の柱の一つである所得税・個人住民税の定額減税は6月から実施されるが、政府は企業に所得税の減税額を給与明細に明記することを義務付ける。

手取り額が増えたことを実感してもらう狙いがある。

給与を支払う企業や地方自治体にとっては一定の負担が生じるが、政府は理解と協力を求めている。減税額明記の義務付けは、関連する法律の施行規則を3月に改正済み。

 定額減税は、納税者(合計所得金額1805万円超(給与収入のみの場合、給与収入2000万円超に相当)の高額所得者については対象外とする)及び配偶者を含めた扶養家族1人につき、2024年分の所得税3万円、2024年度分の個人住民税1万円の減税を行うこととし、2024年6月以降の源泉徴収・特別徴収等、実務上できる限り速やかに実施する。

例えば、夫婦と子供2人の4人世帯であれば計16万円が減税される。

 会社員などの給与所得者であれば、2024年6月1日以降最初に支払いを受ける給与等(賞与を含む)から、源泉徴収されるべき所得税の額から特別控除相当額を控除するが、控除しきれない分は翌月以降に繰り越して順次控除する。

個人住民税は、2024年6月分は特別徴収をせず、特別控除の額を控除した後の個人住民税の額の11分の1の額を7月から2025年5月まで11ヵ月間、均等に減税分を引いた税額を毎月徴収する。

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