ちば会計

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税制改正

2023年11月 3日 (金)

「タワマン節税」抑止の通達公表 新算定ルールは来年1月から適用

 国税庁はこのほど、いわゆる「タワマン節税」を抑止するため、評価額の新算定ルールを定めた通達を公表した。

新たな算定ルールは、2024年1月1日以後の相続、遺贈又は贈与から適用される。

 相続税・贈与税における財産の価額は、相続税法の規定により、「財産の取得の時における時価」とされており、その評価方法については、相続税法の時価主義の下、より適正なものとなるよう見直しを行っている中で、居住用の区分所有財産(いわゆるマンション)の「相続税評価額」は、「時価(市場売買価格)」との大きな乖離が生じているケースも確認されている。

 そこで、居住用の区分所有財産の評価を新設して評価することとされた。

 まず、一室の区分所有権等に係る敷地利用権の価額は、「自用地としての価額」に、一定の区分所有補正率を乗じて計算した価額を、その「自用地としての価額」とみなして評価することとする。

 具体的には、「築年数」、「総階数指数」、「所在階」、「敷地持分狭小度」の4指数に基づいて評価乖離率を求め、1を乖離率で除した評価水準が0.6未満の場合、従来の評価額に評価乖離率と0.6を掛けて補正し、評価水準が1を超える場合、従来の評価額に評価乖離率のみを掛けて補正。

区分所有者が、一棟の区分所有建物に存する全ての専有部分、一棟の区分所有建物の敷地のいずれも単独で所有している場合は、「区分所有補正率」は1を下限とする。

 

2023年10月25日 (水)

AIが自動回答、チャットボット 10月から年末調整の相談を開始

 チャットボット(税務職員ふたば)は、個人の質問に対し、AI(人工知能)が自動回答するもの。

国税庁はこのほど、そのチャットボットの年末調整に関する相談の対応が始まったと発表した。

同庁は、個人の国税に関する相談は、チャットボットを気軽に利用するよう呼びかけている。

チャットボットは、質問したいことをメニューから選択するか、自由に文字入力すればAIが自動回答する。

土日、夜間でも、24時間利用できる。

 チャットボットは、年末調整に関する相談(2023年分)、所得税の確定申告に関する相談(2022年分)、消費税の確定申告に関する相談(2022年分)、インボイス制度に関する相談、に対応している。

 今回開始された年末調整の相談では、従業員が年末調整の各種申告書を作成する際に問合せが多い事項に対応している。

 例えば、年末調整の各種申告書の内容、書き方、添付する書類に関することがある。

 さらに、年末調整で適用される控除に関することや、2023年分の税制改正に関すること、マイナポータル連携などによる年末調整の手続きの電子化に関する質問、転職をした場合や育児休業を取得した場合など、その人の状況に応じて行う年末調整の手続きに関すること、年末調整のながれ(年税額の計算)や過不足額の精算に関する質問、などに対応しており、税務署の相談室に電話等で相談しなくても、手軽に回答が得られる。



2023年9月 1日 (金)

タワマン節税抑止の通達案公表 従来の評価額に評価乖離率で補正

 国税庁は、マンションの相続税評価額が実勢価格の平均4割程度にとどまることから、その評価額の低さを利用したマンション節税、いわゆる「タワマン節税」を抑止するため、評価額の算定ルールを見直す通達案を公表した。

新たな算定ルールは、2024年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価に適用する。

通達案は、まず、一室の区分所有権等に係る敷地利用権の価額は、「自用地としての価額」に、一定の補正率を乗じて計算した価額を、その「自用地としての価額」とみなして評価することとする。

 具体的には、「築年数」、「総階数指数」、「所在階」、「敷地持分狭小度」の4指数に基づいて評価乖離率を求め、1を乖離率で除した評価水準が0.6未満の場合、従来の評価額に評価乖離率と0.6を掛けて補正し、評価水準が1を超える場合、従来の評価額に評価乖離率のみを掛けて補正する。

区分所有者が、一棟の区分所有建物に存する全ての専有部分、一棟の区分所有建物の敷地のいずれも単独で所有している場合は、「補正率」は1を下限とする。

 次に、一室の区分所有権等に係る区分所有権の価額については、「自用家屋としての価額」に、上記と同様の補正率を乗じて計算した価額をその「自用家屋としての価額」とみなして評価する。

 なお、国税庁では、これらの居住用の区分所有財産の評価について、納税者が簡易に計算するためのツールを用意する予定としている。

2023年8月16日 (水)

「タワマン節税」防止に見直し案 実勢価格の60%へ評価額を引上げ

 国税庁はこのほど、マンションの相続税評価額の適正化を検討していた有識者会議の見直し案を公表した。

この背景には、マンションの評価額が実勢価格の平均4割程度にとどまることから、その評価額の低さを利用したいわゆる「マンション節税」や「タワマン節税」が広がっていたことがある。

 現行の相続等で取得した財産の時価(マンション(一室)の評価額)は、不動産鑑定価格や売却価格が通常不明であることから、建物(区分所有建物)の固定資産評価額と路線価等から計算した敷地の価額の合計額としている。

しかし、建物の市場価格は、建物の総階数やマンション一室の所在階、築年数が考慮されており、これらの反映が不十分だと、評価額が市場価格に比べて低くなるケースがある。

 また、マンション一室を所有するための敷地利用権は、共有持分で按分した面積に平米単価を乗じて評価されるが、この面積は一般的に高層マンションほどより細分化され狭小となるため、このように敷地持分が狭小なケースは立地条件の良好な場所でも、評価額が市場価格に比べて低くなる。

 そこで、見直し案では、相続税評価額が市場価格と乖離する要因となっている「築年数」、「総階数(総階数指数)」、「所在階」、「敷地持分狭小度」の4つの指数に基づいて、統計的手法により乖離率を予測し、その結果、評価額が市場価格理論値の「60%」(一戸建ての評価の現状を踏まえたもの)に達しない場合は「60%」に達するまで評価額を補正する。

 



2023年4月26日 (水)

23年度税制改正法案が可決成立 NISAの抜本的拡充・恒久化

 2023年度税制改正における所得税法等の一部を改正する法律案及び地方税法等の一部を改正する法律案が3月28日、参院本会議で賛成多数で可決、成立した。

両法律案は、一部を除き、2023年4月1日から施行する。

所得税法等の一部を改正する法律案は、家計の資産を貯蓄から投資へと積極的に振り向け、資産所得倍増につなげるため、NISAの抜本的拡充・恒久化を行うとともに、スタートアップ・エコシステムを抜本的に強化する。

 個人所得課税では、NISA制度の抜本的拡充・恒久化として、年間投資上限額を拡充(「つみたて投資枠」:120万円、「成長投資枠」:240万円)し、一生涯にわたる非課税限度額(1800万円)を設定(うち「成長投資枠」は、1200万円)、非課税保有期間を無期限化する。

スタートアップへの再投資に係る非課税措置を創設し、保有株式の譲渡益を元手に創業した場合に、出資分につき株式譲渡益に課税しない制度(上限20億円)とする。

 そのほか、極めて高い水準の所得について最低限の負担を求める措置を導入。

基準所得金額から3.3億円を控除した金額に、22.5%の税率を乗じた金額が基準所得税額を超過した差額の追加的な申告納税を求める。

 資産課税では、資産移転の時期の選択により中立的な税制を構築するため、相続時精算課税の基礎控除を創設、暦年課税における相続前贈与の加算期間を延長する。



2023年3月22日 (水)

税制改正法案は衆院から参院へ 可決後、7項目の附帯決議付す

 2023年度税制改正法案である「所得税法等の一部改正法案」及び「地方税法等の一部改正法案」の両案が2月28日、衆議院の財務金融委員会及び総務委員会での可決後、本会議に上程され、ともに自民・公明などの賛成多数で原案どおり可決されて参議院に送られている。

 今後両案は、参議院の財政金融委員会及び総務委員会で審議が行われ、3月31日の年度末までには可決・成立する見込み。

 国税関係の「所得税法等の一部改正法案」は、NISAの抜本的拡充・恒久化、資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築、インボイス制度(適格請求書等保存方式)の円滑な実施に向けて課税事業者となる事業者の負担を軽減する緩和措置などが盛り込まれ、2月3日に閣議決定後、衆議院に送付。

その後、財務金融委員会で2月10日から28日までの間に4日間審議が行われた。

 委員会では法案の可決後、「NISA制度の抜本的拡充に当たっては、制度の適切な広報・周知により利用の促進を図るとともに、長期的かつ小規模な投資による資産所得の形成支援という趣旨を逸脱した利用、例えば、短期の回転売買などを抑制するための対策を講ずること」や、「インボイス制度実施に当たっては、同制度に対してなお慎重な意見があることを踏まえ、免税事業者の取引からの排除や廃業という深刻な事態が生じないよう最大限の配慮を行うこと」など7項目の附帯決議が付された。



2023年2月 9日 (木)

30億円超の富裕層への課税強化 “1億円の壁”是正は今後の課題

 2023年度税制改正の焦点の一つとして、いわゆる“1億円の壁”の是正があった。

政府税制調査会の会合でも、総所得1億円を境に税負担率が下がる「1億円の壁」と呼ばれる問題の是正を求める声が相次いだ。

通常、所得課税は累進税率を採っており、4千万円超の部分には最大45%(地方税と合わせて55%)の税率がかかる一方、金融所得は一律15.315%(地方税と合わせて20.315%)と、金融所得がどれだけ高くても負担税率は同じだ。

 1億円を超える大きな収入は、株式売却益などから発生する割合が大きいことから、トータルでの納税額が低くなる。

1億円を超えると税負担率が減少し始めるため、富裕層は株式売却益や上場株式からの配当に係る金融所得を増やそうとする。

申告納税者の税負担率は、所得1億円の人は約30%、100億円の人は約20%だが、今の金融所得課税は“金持ち優遇”の制度になっているとの批判が根強かった。

 そこで、金融所得課税を見直し、所得が30億円を超えるような富裕層に対し課税強化する。

合計所得金額から3.3億円を差し引いたうえで22.5%の税率をかけた金額で計算し、これが通常税額を上回る場合に差額を徴収する。

所得が30億円を超える200~300人が対象となる見込みで、所得50億円のケースでは2~3%負担が増えると想定している。

2025年から適用する。

 結局、大富裕層への課税強化とはなったが、「1億円の壁」是正はならず、今後の課題となった。



2023年2月 1日 (水)

暦年課税や精算課税など見直し 生前贈与加算を7年以内に延長

 2023年度税制改正において、生前贈与でも相続でもニーズに即した資産移転が行われるよう、相続・贈与に係る税負担を一定にしていくため、「資産移転の時期の選択に、より中立的な税制」構築のための見直しが行われる。

 具体的には、相続財産に加算される生前贈与の加算期間を死亡前7年以内に延長することや、暦年課税との選択制として導入された相続時精算課税制度に求められる煩雑な税申告を、110万円まで申告不要とする。

 暦年課税は、1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額110万円を控除した残額に累進税率を適用するが、相続開始前の駆け込み贈与による租税回避を防止するため、相続開始前「3年以内」に被相続人から取得した贈与財産を相続財産に加算して課税することとされている。

この生前贈与の加算期間を死亡前「7年以内」に延長する。延長した4年間に受けた贈与は総額100万円まで相続財産に加算しない。

 相続時精算課税制度は、累積2500万円の非課税枠を設け、超えた部分に一律20%を課す仕組みだが、適用を受けるためにはまず税務署に届け出る必要がある。

現行は数万円などの少額でも贈与を受ければ申告する必要があり、制度の利用が低迷する要因となっていた。

そこで、2023年度税制改正では、年110万円まで申告不要とし、税務署への届け出などの手間を軽減して制度の使い勝手をよくする。

 



2022年9月23日 (金)

金融庁、2023年度税制改正要望 NISAの抜本的拡充等が中心

 金融庁は、2023年度税制改正要望において、岸田政権が掲げる「資産所得倍増プラン」を促す改正要望として、少額投資非課税制度(NISA)の恒久化や非課税保有期間の無期限化、年間投資枠の拡大などの抜本的拡充を中心に、資産形成促進に関する費用に係る法人税の税額控除の導入などを盛り込んだ。

 NISAの抜本的拡充では、制度の恒久化とともに、非課税保有期間(現行:一般NISA5年間、つみたてNISA20年間)の無期限化、年間投資枠(同120万円、40万円)を拡大し、弾力的な積立を可能にすること、非課税限度額(同600万円、800万円)の拡大(簿価残高に限度額を設定)、長期・積立・分散投資によるつみたてNISAを基本としつつ、一般NISAの機能を引き継ぐ「成長投資枠(仮称)」の導入を求めた。

また、つみたてNISAの対象年齢(現行20歳以上、2023年以降は18歳以上)を未成年者まで拡大することを要望した。

 資産形成促進に関する費用に係る法人税の税額控除の導入は、今後、企業による従業員の資産形成に関する取組みを促進していくことが重要として、その取組みを促す観点から、資産形成促進に関する費用(例えば、企業が行う金融経済教育に関する費用)の一定割合について、法人税の税額控除を導入することや、職場つみたてNISA奨励金が「賃上げ促進税制」の対象となる旨を明確化することなどを求めている。

2022年8月 8日 (月)

帳簿の提出がない場合等の整備 過少申告加算税等の加重措置

 2022年度税制改正では、納税環境の整備の一環として、帳簿の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重措置が整備されている。
 
 過少申告加算税制度及び無申告加算税制度について、一定の帳簿の提出がない場合又は記載すべき事項のうち収入金額の記載が不十分である場合には、申告漏れ等に係る法人税等の5%又は10%に相当する金額が加算される。適用時期は2024年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税からとなる。
 
 納税者が、一定の帳簿に記載すべき事項に関し所得税や法人税、消費税に係る修正申告書や期限後申告書の提出、更正や決定があった時前に、国税庁等の職員から帳簿の提示又は提出を求められ、かつ、(1)帳簿を提示等しなかった場合や収入金額等の記載が「著しく」不十分な場合、(2)収入金額等の記載が不十分な場合には、過少申告加算税又は無申告加算税について法人税等の5%又は10%に相当する金額が加算される。
 
 具体的には、国税職員から帳簿の提示等をもとめられ、かつ(1)か(2)の場合のいずれかに該当するときは、その帳簿に記載すべき事項に関し生じた申告漏れ等に課される過少申告加算税の額又は無申告加算税の額については、通常課される過少申告加算税の額又は無申告加算税の額にその申告漏れ等に係る所得税や法人税、消費税の10%((2)に掲げる場合に該当する場合には、5%)に相当する金額を加算した金額とするとされている。

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