ちば会計

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税制改正

2022年1月 5日 (水)

上場株式の配当所得に課税強化 個人住民税や社会保険料に影響

 令和4年度税制改正大綱では賃上げ税制や住宅ローン控除が目立っているが、その裏で課税強化とも取れる改正が行われる。

「上場株式等の配当所得等に係る課税方式」と記載された項目がそれだ。

    

 現行制度では、上場株式等に係る配当所得等については①総合課税方式、②申告不要方式、③申告分離課税方式の3つの課税方式があり、納税義務者が所得税の確定申告及び個人住民税の申告を行うことにより、所得税と個人住民税において異なる課税方式を選択することができる。

   

 そのため、例えば年金生活をしながら株の配当を受けている人は、所得税については配当も含めて総合課税で低い税率を選択、住民税については、これを合算せずに申告不要とする。 

申告不要とした所得は合計所得金額には含まれないため住民税が減少するだけでなく、住民税額をベースに計算される国民健康保険料などの金額も抑えることができるのだ。

低~中所得者が投資を行った場合の負担を軽減する手法として期待されてきた一方、「所得税の所得と個人住民税の所得が一致しないのは問題」として、令和2年2月25日の衆議院予算委員会でも議題として取り上げられていた。

   

 こうした指摘を受けて、今回の改正では所得税の課税方式と個人住民税の課税方式が一致するよう改正が行われることになった。

大綱には「個人住民税において、特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額に係る所得の課税方式を所得税と一致させることとする」と記載されており、所得税と個人住民税において異なる課税方式を選択することそのものを制限すると予想される。

 

2021年12月24日 (金)

2022年度与党税制改正大綱公表 賃上げ促進税制や住宅ローン減税

 自民・公明両党は12月10日、2022年度の与党税制改正大綱を決定し公表した。

来年度の税制改正は、「成長と分配の好循環の実現」、「経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し」等の観点からとりまとめ、賃上げを積極的に行う企業を対象にした賃上げ促進税制(所得拡大促進税制)の拡充などを盛り込んだ。

個人所得課税についても住宅ローン減税を延長した。

評価額の見直しの年となる固定資産税については、商業地のみを軽減する。


 賃上げ促進税制について、中小企業における所得拡大促進税制は、青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件を満たした上で、前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度。

雇用者全体の給与総額の増額分を法人税額から差し引く控除率が、大企業で最大30%(現行20%)、中小企業で最大40%(同25%)に引き上げられる。

 個人所得課税では、住宅ローン減税について、2025年12月末まで4年間特例を延長するが、ローン残高の1%を所得税等から差し引く控除率を0.7%に縮小する。

控除率を引き下げたのは、低金利が続くなかで住宅購入者の減税額がローンの支払利息額を上回る“逆ざや”が生じているとの会計検査院の指摘を是正する狙いがある。

新築の減税期間は原則10年間を13年間に延ばすが、所得要件は2000万円以下(現行3000万円以下)に引き下げる。

 

2021年12月22日 (水)

特例事業承継税制 令和9年12月末で終了へ

 事業承継の際の贈与税・相続税の納税を猶予する「事業承継税制」は、平成30年度税制改正で抜本的に拡充され「特例事業承継税制」として生まれ変わった。

これにより、同税制の適用の前提となる認定申請の件数は、拡充前は年間400件程度だったところ、拡充後は年間約6,000件まで増加。

中小企業の事業承継対策のスタンダードとなりそうな勢いだが、先日公表された令和4年度税制改正大綱の中で、制度が一部見直されることが明らかになっている。

 この特例事業承継税制の適用を受けるには、事前に「特例承継計画」を策定し、令和5年3月31日までに都道府県へ提出しておく必要があるが、この提出期限が令和6年3月31日まで1年間延長される。

この機会に中小企業の事業承継を押し進めたいということだろう。

 ただ大綱には、特例事業承継税制について「令和9年12月末までの適用期限については今後とも延長を行わない」ことも併せて明記された。

すなわち、令和10年以降は、通常の事業承継税制しか使えなくなるというわけだ。

 特例事業承継税制は、中小企業が発行したすべての株式について、その承継に係る相続税・贈与税の100%が納税猶予される制度。

一方、通常の事業承継税制では、対象となる株式は「総株式数の3分の2まで」で、猶予されるのは税額の「80%」。

つまり、無税で株式を承継することができなくなる。

そのため、事業承継を検討している中小企業では、早期に事業承継への取り組みをスタートし、本税制の活用について検討を行う必要があるだろう。

2021年12月20日 (月)

令和4年度税制改正大綱が公表 今年も節税スキームにメス

  12月10日に令和4年度の税制改正大綱が公表された。

事前に報道されていた通り「賃上げ税制の拡充」や「住宅ローン減税の控除率引き下げ」などが盛り込まれたが、その影でひとつの節税スキームにメスが入ったことが話題となっている。

「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」に関する見直しがそれだ。

  近年、建設用の足場やドローン等を購入し少額減価償却資産として一括償却しつつ、それをリースに出すことでリース料収入を得る節税手法が一部で活用されている。

  例えば建設用足場の場合、多くは購入価格が一口100万円で、契約期間終了までの間にこれを上回るよう契約期間やリース料が設定されている。

このとき、当然ながらリース料収入には法人税が課税され、契約終了後に足場を売却すれば、その売却収入にも課税があるがトータルとして手元のキャッシュが増加する仕組みになっている。

建設用足場やドローン等の販売会社が、こうした手法を“決算対策”として営業活動を行い、結果として広く活用されてきたことがこの改正に繋がったと推測される。

 気になる改正の内容だが、税制改正大綱の中には「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、対象資産から貸付け(主要な事業として行われるものを除く。)の用に供した資産を除外した上、その適用期限を2年延長する」と記載されている。

同特例の対象から「貸付けの用に供した資産」が除外されるため、この手法は完全に終焉を迎えたと言えるだろう。

2021年11月24日 (水)

「金融所得への課税強化」は先送り 令和4年度税制改正の展望は?

11月も後半に差し掛かり、そろそろ税制改正の話題が聞こえてくる時期。
令和4年度税制改正では、どのような改正が行われることになるだろうか。

    
 岸田文雄首相が自民党代表選挙の公約にも掲げた「金融所得への課税強化」は、自民党税制調査会での議論を経て、令和4年度改正では正式に見送られることがすでに決まっている。

     

 また、新しい資本主義の実現に向けた政策の柱とされている「賃上げ税制」だが、すでに大企業向けには、一定以上の賃上げや設備投資、教育訓練費を増額した場合に、給与増加額の最大20%が税額控除される制度があり、中小企業向けには、給与総額が前年度より1.5以上増加した場合に、最大で給与増加額の25%が税額控除される(25%控除には、前年比2.5%以上の賃上げが要件)制度がある。

    
ただ、企業の黒字申告割合(=法人税を納めている企業の割合)が全体の30%台と低調ないま、賃上げの効果を疑問視する声は根強い。

また、黒字企業は中小企業よりも大企業に多いことから、相対的に大企業優遇の税制であることも指摘されており、どのような改正が行われるのか注目される。
    

 昨年の税制改正論議の中で注目を集めたのが、「相続税・贈与税の課税方式の見直し」だ。
土壇場で当時の甘利政調会長が“ぶち上げた”テーマで、資産家や税理士業界や金融業界で話題を呼んだ。
相続発生前の一定期間に贈与された金額を相続財産に加算する方式が有力と見られているが、そもそも手直しが入るのかも不明。
党税調、政府税調のいずれも、これについて議論をしている様子は見えてこない。

2021年11月 1日 (月)

土地・建物の相続登記の義務化 2024年からスタートする予定

 改正民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)が本年4月に成立し、不動産(土地・建物)の相続登記が義務化される。

 所有者が亡くなったのに相続登記がされないと、登記簿を見ても持ち主が分からず、復旧・復興事業等や取引が進められないという問題が起きている。

この「所有者不明土地問題」の発生を予防する観点から、その主要な発生原因である相続登記の未了や住所変更登記等の未了に対応するため、不動産登記法が改正された。

  

 相続登記の申請の義務化は、2024年からスタートする予定で、具体的な時期は今後決められる。

また、スタートから3年間の猶予期間がある。新制度では、正当な理由がないのに、不動産の相続を知ってから3年以内に相続登記の申請をしないと、
10万円以下の過料の罰則の対象となる可能性がある。例えば、関係者が多くて必要な資料を集めることが難しい場合などは、罰則の対象にはならない。

  

 制度がスタートした後、不動産を相続する場合に、相続人の間で遺産分割の話合いが整ったときには、その結果を踏まえた登記をすることになる。

  

 話合いが難航した場合は、ひとまず、簡易な申請義務履行手段として新たに作られた「相続人申告登記」の手続きをとることで、義務を果たすこともできる。

この手続きは、自分が相続人であると申告して、それを示す戸籍を出せば、一人で行うことができる。

 

2021年9月21日 (火)

各省庁の税制改正要望が公表!実現可能性の高い要望はどれ?

 8月31日に各省庁の税制改正要望が公表された。そこで今回は、税制改正要望の中で実現可能性が高く、かつ減税に繋がりそうな項目をいくつかご紹介したい。

       
 「実現可能性が高い」という意味で有力なのが、経済産業省、総務省が要望する新設項目「経済環境等の変化に対応するための中小企業のデジタル化の促進に資する税制上の所要の措置」。

      
これは、令和3年6月18日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」を踏まえたもので、「地方における中小企業も含めて非対面型ビジネスモデルへの変革や新産業モデルを創出する」ことを政策目標に掲げている。詳しい制度設計は未定だが、一定のデジタル投資を行った中小企業に対し国税、地方税の両面から税負担の軽減を行うというもの。

      
 同じく経済産業省の「コロナ禍等を踏まえた法人版・個人版事業承継税制に関する検討」という項目も興味深い。事業承継制については、平成30年度改正で特例制度が創設され、ここ数年は利用が大幅に増加したところ。 しかし、新型コロナ禍により売上を落とした企業ほど事業承継を後ろ倒ししているという状況を受け、円滑な事業承継を促すための改正、すなわち要件の緩和や、煩雑な手続きの見直しなどが行われると予想される。

         
 また、金融庁の「金融商品に係る損益通算範囲の拡大」も実現可能性は高いと見る。同庁では平成17年より「損益通算の範囲をデリバティブ取引・預貯金等にまで拡大すること」を要望してきたが、ことごとく弾かれてきた。

      
昨年7月には金融デリバティブの総合取引所が創設され、デリバティブが一般的な金融商品として取引されるインフラが整ったことで「いよいよ改正が濃厚」と目されたが、「租税回避の恐れがある」という理由から最終段階で見送られた経緯があり、動向が注目される。

 

2021年8月24日 (火)

「暦年課税」の見直し案が浮上!相続扱いが現行3年以内から拡大

2015年に相続税の基礎控除額が引き下げられ課税強化されて以降、相続対策として「暦年贈与」と「相続時精算課税」の生前贈与が活用されている。

 
しかし、ここにきて税務専門家の間で注目されているのは「暦年贈与」の見直しだ。
「暦年贈与」は、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかからないことから、多くの納税者が相続対策として利用している。

 
暦年課税にメスを入れる意向を示したのは与党の2021年度税制改正大綱だったが、見直しの方向性としては、一つは暦年贈与を廃止し相続時精算課税制度のみを残す方法か、もう一つは暦年課税を存続させるが、実態は相続税に近づける方法が考えられる。

 
暦年贈与の突然の廃止は国民の影響が大きいことから、可能性が高いのは、暦年課税を相続税に近づける方法だろう。

 
具体的には、現在暦年課税の相続扱いは3年以内だが、これを10年以内あるいは15年以内などに拡大するというものだ。

 
実際、参考にするという諸外国ではより長い期間の贈与を課税対象としており、イギリスは死亡前以前7年間、フランスは15年間、アメリカに至っては生前贈与すべてに相続税を課している。

 
来年以降の税制改正では、こういった諸外国の制度を参考に、相続扱いにする期間を長くすることによって、資産移転の時期に中立的な税制を構築するとともに、実質相続税と贈与税を一体化する方向で議論する可能性が高くなっている。

 

2021年8月10日 (火)

デリバティブ取引を損益通算対象に租税回避防止に時価評価課税導入を

 金融庁の「金融所得課税の一体化に関する研究会」が7月7日に公表した論点整理では、有価証券市場デリバティブ取引を損益通算の対象にすること及び租税回避防止策として時価評価課税の導入の検討を、2022年度税制改正要望として盛り込んだ。

  
デリバティブ取引は、株式や債券、通貨、外国為替などの金融商品から派生した商品の取引の総称で、代表的なものとして先物取引、オプション取引、スワップ取引がある。

  
 論点整理では、損益通算の対象をデリバティブ取引全体とすることが望ましいとしたうえで、市場デリバティブ取引については、金融機関や税務当局の実務において問題が発生する可能性が低いとして、先ずは、有価証券市場デリバティブ取引を損益通算の対象にすることが適切とした。

  
デリバティブ取引を損益通算の対象に含めた場合の租税回避行為として想定されるのが、デリバティブ取引の「売り」と「買い」を両建てし、損失があるポジションのみ実現損として損益通算することで課税の繰延べを可能とする方法だ。

  
 これを防ぐのが、実現損だけでなく含み益に対しても課税される時価評価課税の導入。

  
たとえば、取得価格1万円の資産の価値が2万円に上がった場合、売却しなければ利益は実現しないため評価は取得時の1万円のままだが、時価評価課税では売却しなくても2万円となり含み益である1万円に課税されることになる。

 

2021年7月20日 (火)

コロナ禍で脚光を浴びる「電子契約」 契約の省力化、印紙税の節税などメリット多数

 ペーパーレス化、脱ハンコといったデジタル化を促す新しい技術が多くリリースされているが、その中心に位置づけられるのが電子契約。

 

その歴史は古く、2000年には電子署名法が制定され、電子契約の基盤はこの当時から作られていた。伝統的な「ハンコ文化」が障害となり普及しなかったが、コロナ禍でこれが花開いた形だ。

 

 ところで、電子契約は紙を用いないため署名・押印がない。代わりに用いられるのが、電子データによって署名を行う「電子署名」である。

 

ハンコによる押印の場合、本人しか持っていないハンコ(印章)を使い、そのハンコを使用しないと作れない書面上の印を押した跡(印影)を作成する。これにより、文書が本人によって作成されたことを確認する仕組みだ。

 

電子署名の場合も、本人しか持っていない物を使い、その物でないと作成できないものを作成するというのは同じだが、これを電子的に実現することになる。

 

電子署名における「本人しか持っていない物」は「秘密鍵=署名する本人だけが知っている暗号鍵」と呼ばれ、この秘密鍵と電子契約書を「電子署名作成プログラム」に投入し暗号化することで、他人には作成できない電子署名を作成するのである。

 

 紙の契約書の場合、印刷代や契約書を相手方に送付するための郵送費等だけでなく、これらの作業を行う人件費もかかる。

 

電子契約の場合にはこうした費用が不要で、作業工数も大幅に減るため人件費の削減にも繋がる。また、電子契約で作成した文書については、明文化された規定はないものの、印紙の貼付が不要とされる。

 

 新型コロナウイルスの影響でテレワークやリモートワークといった働き方が普及したいま、一躍脚光を浴びることとなった電子契約。会社のDXの一歩として導入を検討してみてはいかがだろうか。

 

 

 

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