ちば会計

2023年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
無料ブログはココログ

税制改正

2023年2月 9日 (木)

30億円超の富裕層への課税強化 “1億円の壁”是正は今後の課題

 2023年度税制改正の焦点の一つとして、いわゆる“1億円の壁”の是正があった。

政府税制調査会の会合でも、総所得1億円を境に税負担率が下がる「1億円の壁」と呼ばれる問題の是正を求める声が相次いだ。

通常、所得課税は累進税率を採っており、4千万円超の部分には最大45%(地方税と合わせて55%)の税率がかかる一方、金融所得は一律15.315%(地方税と合わせて20.315%)と、金融所得がどれだけ高くても負担税率は同じだ。

 1億円を超える大きな収入は、株式売却益などから発生する割合が大きいことから、トータルでの納税額が低くなる。

1億円を超えると税負担率が減少し始めるため、富裕層は株式売却益や上場株式からの配当に係る金融所得を増やそうとする。

申告納税者の税負担率は、所得1億円の人は約30%、100億円の人は約20%だが、今の金融所得課税は“金持ち優遇”の制度になっているとの批判が根強かった。

 そこで、金融所得課税を見直し、所得が30億円を超えるような富裕層に対し課税強化する。

合計所得金額から3.3億円を差し引いたうえで22.5%の税率をかけた金額で計算し、これが通常税額を上回る場合に差額を徴収する。

所得が30億円を超える200~300人が対象となる見込みで、所得50億円のケースでは2~3%負担が増えると想定している。

2025年から適用する。

 結局、大富裕層への課税強化とはなったが、「1億円の壁」是正はならず、今後の課題となった。



2023年2月 1日 (水)

暦年課税や精算課税など見直し 生前贈与加算を7年以内に延長

 2023年度税制改正において、生前贈与でも相続でもニーズに即した資産移転が行われるよう、相続・贈与に係る税負担を一定にしていくため、「資産移転の時期の選択に、より中立的な税制」構築のための見直しが行われる。

 具体的には、相続財産に加算される生前贈与の加算期間を死亡前7年以内に延長することや、暦年課税との選択制として導入された相続時精算課税制度に求められる煩雑な税申告を、110万円まで申告不要とする。

 暦年課税は、1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額110万円を控除した残額に累進税率を適用するが、相続開始前の駆け込み贈与による租税回避を防止するため、相続開始前「3年以内」に被相続人から取得した贈与財産を相続財産に加算して課税することとされている。

この生前贈与の加算期間を死亡前「7年以内」に延長する。延長した4年間に受けた贈与は総額100万円まで相続財産に加算しない。

 相続時精算課税制度は、累積2500万円の非課税枠を設け、超えた部分に一律20%を課す仕組みだが、適用を受けるためにはまず税務署に届け出る必要がある。

現行は数万円などの少額でも贈与を受ければ申告する必要があり、制度の利用が低迷する要因となっていた。

そこで、2023年度税制改正では、年110万円まで申告不要とし、税務署への届け出などの手間を軽減して制度の使い勝手をよくする。

 



2022年9月23日 (金)

金融庁、2023年度税制改正要望 NISAの抜本的拡充等が中心

 金融庁は、2023年度税制改正要望において、岸田政権が掲げる「資産所得倍増プラン」を促す改正要望として、少額投資非課税制度(NISA)の恒久化や非課税保有期間の無期限化、年間投資枠の拡大などの抜本的拡充を中心に、資産形成促進に関する費用に係る法人税の税額控除の導入などを盛り込んだ。

 NISAの抜本的拡充では、制度の恒久化とともに、非課税保有期間(現行:一般NISA5年間、つみたてNISA20年間)の無期限化、年間投資枠(同120万円、40万円)を拡大し、弾力的な積立を可能にすること、非課税限度額(同600万円、800万円)の拡大(簿価残高に限度額を設定)、長期・積立・分散投資によるつみたてNISAを基本としつつ、一般NISAの機能を引き継ぐ「成長投資枠(仮称)」の導入を求めた。

また、つみたてNISAの対象年齢(現行20歳以上、2023年以降は18歳以上)を未成年者まで拡大することを要望した。

 資産形成促進に関する費用に係る法人税の税額控除の導入は、今後、企業による従業員の資産形成に関する取組みを促進していくことが重要として、その取組みを促す観点から、資産形成促進に関する費用(例えば、企業が行う金融経済教育に関する費用)の一定割合について、法人税の税額控除を導入することや、職場つみたてNISA奨励金が「賃上げ促進税制」の対象となる旨を明確化することなどを求めている。

2022年8月 8日 (月)

帳簿の提出がない場合等の整備 過少申告加算税等の加重措置

 2022年度税制改正では、納税環境の整備の一環として、帳簿の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重措置が整備されている。
 
 過少申告加算税制度及び無申告加算税制度について、一定の帳簿の提出がない場合又は記載すべき事項のうち収入金額の記載が不十分である場合には、申告漏れ等に係る法人税等の5%又は10%に相当する金額が加算される。適用時期は2024年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税からとなる。
 
 納税者が、一定の帳簿に記載すべき事項に関し所得税や法人税、消費税に係る修正申告書や期限後申告書の提出、更正や決定があった時前に、国税庁等の職員から帳簿の提示又は提出を求められ、かつ、(1)帳簿を提示等しなかった場合や収入金額等の記載が「著しく」不十分な場合、(2)収入金額等の記載が不十分な場合には、過少申告加算税又は無申告加算税について法人税等の5%又は10%に相当する金額が加算される。
 
 具体的には、国税職員から帳簿の提示等をもとめられ、かつ(1)か(2)の場合のいずれかに該当するときは、その帳簿に記載すべき事項に関し生じた申告漏れ等に課される過少申告加算税の額又は無申告加算税の額については、通常課される過少申告加算税の額又は無申告加算税の額にその申告漏れ等に係る所得税や法人税、消費税の10%((2)に掲げる場合に該当する場合には、5%)に相当する金額を加算した金額とするとされている。

2022年7月15日 (金)

住宅取得等資金の贈与の見直し 新非課税制度は適用期限2年延長

 父母や祖父母など直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税措置は、2022年度税制改正において見直されたが、国税庁ではこれを受けて、新非課税制度の周知を図っている。

見直しは、適用期限が2023年12月31日まで2年延長され、受贈者ごとの非課税限度額は、受贈者が新非課税制度の適用を受けようとする住宅用の家屋の種類に応じた金額とされる。

 具体的には、住宅取得等資金の贈与を受けて新築等をした住宅用家屋の区分に応じ、(1)耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋は1000万円、(2)それ以外の住宅用家屋は500万円とされる。

 新非課税制度は、贈与税の申告書の提出期間内に贈与税の申告書及び一定の添付書類を提出した場合に限り、その適用を受けることができる。

また、新非課税制度適用後の残額には、暦年課税にあっては基礎控除(110万円)を適用することができ、また、相続時精算課税にあっては特別控除(2500万円)を適用することができる。

受贈者等の要件では、贈与を受けた年の1月1日において18歳以上(2022年3月31日以前の贈与の場合は、20歳以上)や、贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2000万円以下(新築等をした住宅用家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満である場合は1000万円以下)、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすることなどがある。

2022年4月15日 (金)

2022年度税制改正法が可決成立 賃上げに係る税制措置の拡充等

 2022年度税制改正法である国税の所得税法等一部改正法と地方税法等一部改正法は、ともに3月22日に開かれた参議院本会議で可決、成立した。

 主な改正をみると、国税関係では、控除率を0.7%(改正前1%)、適用対象者の所得要件を2000万円(改正前3000万円)以下にする等の見直しを行った上で、住宅ローン控除制度の適用期限を2025年末まで4年延長する。

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置は、非課税限度額を最大1000万円(改正前1500万円)に引き下げた上で2023年末まで2年延長する。

 賃上げ税制を拡充し、大企業等では継続雇用者(改正前:新規雇用者)の給与総額を一定割合以上増加させた企業に対して、雇用者全体の給与総額の対前年度増加額の最大30%(改正前:最大20%)を税額控除できる制度(2年間の時限措置)にし、中小企業では雇用者全体の給与総額を一定割合以上増加させた企業に対して、控除率を最大40%(改正前:最大25%)に引き上げた上で、適用期限を2024年3月末まで1年延長する。

 所得税及び法人税の税務調査で証拠書類を提示せずに簿外経費を主張する納税者等への対応策として、必要経費不算入・損金不算入の措置が講じられる。

 一方、地方税関係では、土地に係る固定資産税等の負担調整措置について、2022年度に限り、商業地等に係る課税標準額の上昇幅を評価額の2.5%(改正前5%)とする。

2022年2月14日 (月)

少額減価資産の取得価額の特例 対象資産から貸付資産を除外

 少額減価資産の取得価額の損金算入制度は多くの企業が適用する特例の一つだが、2022年度税制改正において見直される。

減価償却資産は、通常、法定耐用年数に基づいて計算した減価償却費を損金算入することとなるが、使用期間が1年未満又は取得価額が10万円未満の少額の減価償却資産は、事業の用に供した年度に取得価額の全額を損金算入することができる。

 税制改正大綱には、「少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度について、対象資産から、取得価額が 10 万円未満の減価償却資産のうち貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用に供したものを除外する(所得税についても同様となる)」との見直しが明記された。

改正後は、貸付けの用に供したものは、取得価額の全額を損金算入することができなくなり、通常の減価償却により損金算入することとなる。

 見直しの背景には、1単位当たり10万円未満で購入可能な工事現場などで使用される足場材料やドローン、LED照明などを大量購入し、それらの資産を貸付けの用に供することで投下資金を数年かけて回収し、実質的に課税の繰延べを図る節税対策が近年増加傾向にあることがある。

 一括償却資産の損金算入制度(減価償却資産の取得価額20万円未満)や中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(同30万円未満)についても同様の取扱いとなる。

2022年1月24日 (月)

企業への賃上げ促進税制の見直し中小企業の税額控除率は最大40%

 2022年度税制改正の目玉の一つは企業の積極的な賃上げを促すための措置。
  
今回の税制改正では、雇用者全体の給与総額の増額分を法人税額から差し引く控除率が、大企業で最大30%(現行20%)、中小企業で最大40%(同25%)に引き上げられる。
  
大企業の人材確保促進税制は、前年度からの継続雇用者の給与総額で判断する。
  
前年度から3%以上増やせば、継続雇用者給与等支給増加額の15%を法人税額から差し引く。
  
増加割合が4%以上のときは10%上乗せし25%。さらに、教育訓練費を前年度から20%以上増やせば、税額控除率に5%加算し、この結果、大企業の控除率は最大30%となる。
  
ただし、控除税額は当期の法人税額の20%が上限となる。
  
中小企業における所得拡大促進税制は、青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件を満たした上で、前年度より給与等の支給額を1.5%以上増加させた場合、その増加額の15%を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度。
  
中小企業は、継続雇用者だけでなく新規雇用者も含む雇用者全体の給与総額が前年度より2.5%以上の場合は、税額控除率に15%を加算し30%。
  
さらに、教育訓練費を10%以上増やすと、控除率に10%が加算され、中小企業の控除率は最大40%となる。
  
なお、教育訓練費の上乗せ措置の適用を受ける場合には、大企業と同様、教育訓練費の明細を記載した書類の保存(現行:確定申告書等への添付)が必要とされる。
  

2022年1月 5日 (水)

上場株式の配当所得に課税強化 個人住民税や社会保険料に影響

 令和4年度税制改正大綱では賃上げ税制や住宅ローン控除が目立っているが、その裏で課税強化とも取れる改正が行われる。

「上場株式等の配当所得等に係る課税方式」と記載された項目がそれだ。

    

 現行制度では、上場株式等に係る配当所得等については①総合課税方式、②申告不要方式、③申告分離課税方式の3つの課税方式があり、納税義務者が所得税の確定申告及び個人住民税の申告を行うことにより、所得税と個人住民税において異なる課税方式を選択することができる。

   

 そのため、例えば年金生活をしながら株の配当を受けている人は、所得税については配当も含めて総合課税で低い税率を選択、住民税については、これを合算せずに申告不要とする。 

申告不要とした所得は合計所得金額には含まれないため住民税が減少するだけでなく、住民税額をベースに計算される国民健康保険料などの金額も抑えることができるのだ。

低~中所得者が投資を行った場合の負担を軽減する手法として期待されてきた一方、「所得税の所得と個人住民税の所得が一致しないのは問題」として、令和2年2月25日の衆議院予算委員会でも議題として取り上げられていた。

   

 こうした指摘を受けて、今回の改正では所得税の課税方式と個人住民税の課税方式が一致するよう改正が行われることになった。

大綱には「個人住民税において、特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額に係る所得の課税方式を所得税と一致させることとする」と記載されており、所得税と個人住民税において異なる課税方式を選択することそのものを制限すると予想される。

 

2021年12月24日 (金)

2022年度与党税制改正大綱公表 賃上げ促進税制や住宅ローン減税

 自民・公明両党は12月10日、2022年度の与党税制改正大綱を決定し公表した。

来年度の税制改正は、「成長と分配の好循環の実現」、「経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し」等の観点からとりまとめ、賃上げを積極的に行う企業を対象にした賃上げ促進税制(所得拡大促進税制)の拡充などを盛り込んだ。

個人所得課税についても住宅ローン減税を延長した。

評価額の見直しの年となる固定資産税については、商業地のみを軽減する。


 賃上げ促進税制について、中小企業における所得拡大促進税制は、青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件を満たした上で、前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度。

雇用者全体の給与総額の増額分を法人税額から差し引く控除率が、大企業で最大30%(現行20%)、中小企業で最大40%(同25%)に引き上げられる。

 個人所得課税では、住宅ローン減税について、2025年12月末まで4年間特例を延長するが、ローン残高の1%を所得税等から差し引く控除率を0.7%に縮小する。

控除率を引き下げたのは、低金利が続くなかで住宅購入者の減税額がローンの支払利息額を上回る“逆ざや”が生じているとの会計検査院の指摘を是正する狙いがある。

新築の減税期間は原則10年間を13年間に延ばすが、所得要件は2000万円以下(現行3000万円以下)に引き下げる。

 

より以前の記事一覧