M&Aアドバイザーの信頼性向上へ 中小企業庁が資格制度創設を検討
中小企業庁がM&Aに関する資格制度の創設を検討している。
同庁が公表した資料「中小M&A市場の改革に向けた方向性について」によると、この資格制度は、M&Aアドバイザー個人の知識・スキルを向上させ、質の高いアドバイザーを可視化することを目的としている。
現状、M&A市場には未熟な支援機関も多く、知識・能力に乏しいアドバイザーが交渉や手続きのミスを招き、結果としてM&Aが不成立となったり、成約後にトラブルが生じたりするケースが少なくない。
こうした問題を解消するため、同庁は2025年4月に「スキルマップ」を公表し、M&Aアドバイザーに求められる知識・スキルや倫理・行動規範を体系的に整理した。
このスキルマップを踏まえ、具体的には中小M&Aアドバイザー試験(仮称)の創設を民間ベース
で進める方向で検討が進んでいる。試験範囲はM&Aスキームや進め方、財務・税務、企業価値評価、デューデリジェンス、契約に関する法務、行動規範・倫理など幅広く、M&Aの実務を担う上で必須となる知識を問う内容が想定されている。
試験形式は選択式・短答式で50問程度、M&A支援に必要な知識を確認するものとなる見込みだ。
資格保有者には、倫理規程の遵守や定期的な講習の受講が義務付けられ、違反があれば資格の取消や氏名公表といった厳格な措置も検討されている。
また、資格取得者はデータベース上で氏名が公表され、依頼者が信頼できるアドバイザーを選びやすくなる仕組みも整備される予定だ。