ちば会計

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社会保険・労務

2025年1月31日 (金)

内閣府が令和7年度の経済見通しを公表 実質成長率は1.2%程度の見込み

 内閣府はこのほど「令和7年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」を公表した。

これによると、令和7年度は「物価上昇が落ち着く中、個人消費等の内需が増加し、実質成長率は1.2%程度、名目成長率は2.7%程度」となる見込み。

 現在、わが国の物価は緩やかな上昇基調にある一方、賃金の上昇が物価上昇に追いついておらず、実質賃金は前年比マイナスを続けている。

物価上昇が国民の家計を圧迫している状況だが、消費者物価(総合)について本レポートでは「原材料価格など輸入コスト上昇の影響は一巡するものの、賃金上昇に伴う国内物価の緩やかな上昇が見込まれる」ことから、上昇率は2.0%程度となると予測している。

また、GDPの3%程度を占める民間住宅投資については「総合経済対策の政策効果が下支えとなるものの、資材価格が高い水準で推移する中、実質値は減少する」としており、対前年度比0.3%程度の減少を予測。

住宅投資は、建設・不動産業・鉄鋼・非鉄金属など多数の産業に関わり、経済全体に波及する生産誘発効果が大きいだけに、景気回復への懸念材料となる。

総じてわが国の経済は「回復する」との見方を示す一方で、懸念されるのが、長らく続く人材難だ。

労働力人口がおおむね横ばいとなる中、経済の緩やかな成長に伴い労働需給は引き締まり、完全失業率が低下することを予想している。人材難が解消に向かう見込みはなく、いっそう厳しくなる見通しのようだ。

2025年1月17日 (金)

日本の時間当たり労働生産性 OECD加盟38ヵ国中29位

  OECDデータに基づく2023年の日本の時間当たり労働生産性(就業1時間当たり付加価値額)は56.8ドル(5,379円/購買力平価(PPP)換算)となったことが、日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較」で分かった。

  日本の労働生産性は、米国(96.7ドル)の55%程度の水準に相当し、主要先進7ヵ国でみると、データが取得可能な1970年以降、最下位の状況が続いている。

これは、ポーランド(57.5ドル)やエストニア(56.5ドル)とほぼ同水準で、OECD加盟38カ国中29位。2022年には31位まで落ち込んでいたものの、今回は2ランクアップとなった。

 また、就業者一人当たりでみた2023年の日本の労働生産性は9万2,663ドル(877万円/購買力平価(PPP)換算)で、ハンガリー(9万2,992ドル/880万円)やスロバキア(9万2,834ドル/879万円)といった東欧諸国とほぼ同じ水準。

残念ながら西欧諸国で同水準の国はなく、最も近接するポルトガル(10万3,813ドル/983万円)でも日本より10%以上生産性が高い。

順位は、1970年以降で最も低いOECD加盟38カ国中32位だった。

コロナ禍前水準と比較した日本の労働生産性は103.3%で、米国(同107.6%)にこそ先行されているものの、英国(同102.2%)やドイツ(同101.3%)、フランス(同97.6%)を上回っている。

2024年12月10日 (火)

政府の総合経済対策が閣議決定 103万円の壁解消に向け一歩前進

 11月22日に「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」が閣議決定された。

今回の経済対策は①日本経済・地方経済の成長、②物価高の克服、③国民の安心・安全の確保という3つの柱で構成されている。

①については、石破総理が掲げる「2020年代に(最低賃金)全国平均1,500円」という目標があらためて強調され、この達成に向けた施策として、令和4年度補正予算で措置された「事業環境変化対応型支援事業費補助金」や、令和6年度税制改正で拡充された「賃上げ促進税制」などの活用を促進することなどが挙げられている。

②については「物価高の影響を受ける低所得者世帯への支援」として住民税非課税世帯一世帯当たり3万円の給付が盛り込まれた。

住民税非課税世帯のうち、子育て世帯については子ども一人当たり2万円を加算される。

また、国民民主党が改正を迫っている「103万円の壁」については、「令和7年度税制改正の中で議論し引き上げる」と明記されたものの、上げ幅については今後の税制改正論議の中で決定されることになる。

③については「発災時に快適なトイレ、プライバシーを守るパーティション、簡易ベッド、温かい食事を速やかに提供できるよう、必要な資機材の備蓄を推進し、キッチンカー、トレーラーハウス、トイレカー等の登録制度を創設する」ことなど、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づく取組を推進することが明記された。

2024年10月28日 (月)

パートの約6割が「年収の壁」意識 年収を一定額以下に抑える就業調整

 主に有配偶パート女性において、自ら社会保険料を支払うことなどによる手取り収入の減少を避けるため、年収が一定額以下になるよう就業時間や日数を減らす「就業調整」を行っている人は少なくない。

野村総合研究所は2022年からいわゆる「年収の壁」問題や「就業調整」の実態把握を目的にした調査を行っている。

今回の調査は、パート・アルバイトとして働く、配偶者のいる全国の20~69歳の女性(「有配偶パート女性」)2060人を対象に実施した。

 調査結果によると、有配偶パート女性のうち61.5%が、「年収の壁(その金額を超えると社会保険料の負担額が増えるなどして、手取り収入の減少が生じる境目)」を意識し、自身の年収を一定額以下に抑えるために、就業時間や日数を「調整している」と回答した。

 また、「就業調整」をしている有配偶パート女性に「昨年と比べて時給が上がったか」を聞いたところ、60.6%が「昨年と比べて時給が上がった」と回答。

そのうち「時給上昇を理由にさらに就業調整をした」と回答した人は51.3%、「まだしていないが、今後する予定」と回答した人は23.3%だった。

「就業調整」をしている有配偶パート女性で「昨年と比べて時給が上がった」とする人の7割以上(74.6%)で、時給上昇が「さらなる就業調整」につながっている様子がうかがえる。



2024年10月15日 (火)

代表者が交代した企業は6.7万社 代表者の平均年齢が16.7歳若返る

 東京商工リサーチが発表した2024年「代表者交代調査」結果によると、2023年から2024年に代表者が交代した企業は、全国で6万6862社だった。

これは、東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースに登録された約157万社の4.2%に当たる。

代表者の交代前の平均年齢は71.1歳だったが、交代後は54.4歳と一気に16.7歳の若返りが進んだ。

 代表者交代の社数は、2014年から2019年は約21万社だったが、2019年から2024年は約26万社に増えており、代表者交代の時期に差し掛かっている企業が増加している。

円滑な事業承継には十分な準備期間が必要で、代表者交代の判断は50歳代が一つのターニングポイントかもしれない。

ただ、代表者交代のタイミングは企業個別の事情もある。

代表者の年齢を視野に入れ、適切な交代時期を探ることも、スムーズな事業承継に欠かせない。

 代表者交代が判明した6万6862社を地区別でみると、最多が「関東」の36.9%、「近畿」13.7%、「中部」12.5%、「九州」10.6%と続き、最少は「四国」の3.0%だった。

交代社数は企業数が多いエリアに比例する結果となった。

全企業に対する代表者交代率は、最高が「北陸」の4.58%で、次いで、「関東」4.55%、「北海道」4.49%、「東北」4.27%の4地区が全国平均(4.24%)を上回った。

一方、交代率の最低は、「四国」の3.55%だった。

2024年8月30日 (金)

「65歳までの雇用確保の義務化」 35歳以上ミドルの認知度は約6割

 エン・ジャパンが、運営する『ミドルの転職』上で35歳以上のユーザーを対象に実施した「65歳までの雇用確保の義務化に関する意識調査」結果(有効回答数3059人)によると、2025年4月から、継続雇用を希望する“65歳までの雇用確保”が、全企業に“義務化”されることについて、59%が「知っている」(「よく知っている」14%、「概要だけ知っている」45%)と回答したことが分かった。

 続けて、70歳までの雇用確保が企業の努力義務化することについては、47%が「知っている」(「よく知っている」11%、「概要だけ知っている」36%)と回答。

いずれも年代が上がるごとに認知度が高まることが分かった。

また、「65歳・70歳までの雇用確保」など、働く意欲がある高年齢者が働きやすい環境整備を国が進めていることの賛否は、88%が「賛成」(「賛成」48%、「どちらかといえば賛成」40%)と回答した。

自分自身が、何歳まで働きたいと思うかについては、「66歳~70歳まで」が35%で最多、次いで「61歳~65歳まで」が29%で続くが、「71歳以上」も24%いる。

「61歳以降も働きたい」との回答者の理由(複数回答)は、上位が「健康・体力維持のため」、「年金だけでは生活できないから」(いずれも15%)だった。

また、高年齢者として働くことへの不安(複数回答)は、「自身の健康、体力がもつか」(20%)が最多だった。

2024年7月15日 (月)

社会保険の適用拡大への対応状況 対象者に「できるだけ適用」半数超

 労働政策研究・研修機構が発表した「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」結果(有効回答数8697社)によると、2022年10月より適用拡大対象となった企業で要件を満たす短時間労働者が「いる」場合(回答630社)に、新たに厚生年金・健康保険が適用されるのに伴う対象者との調整は、「できるだけ適用する」が 55.1%、「どちらかといえば適用する」7.6%で、「中立(短時間労働者の意向にまかせる)」34.3%となった。

 また、2024年10月より適用拡大される見通しとなっている企業で、要件を満たす短時間労働者(対象者)が「いる」場合(回答540社)に、新たに厚生年金・健康保険が適用されるのに伴い、対象者と概ねどのような方針で調整を行うかについては、「できるだけ適用する」が 28.1%、「どちらかといえば適用する」12.0%で、「中立(短時間労働者の意向にまかせる)」22.4%などとなった。

 一方、「働き方に関するアンケート調査」結果(有効回答数1万人)によると、2022年10月より適用拡大対象となった企業に勤務する短時間労働者(回答1163人)の自身の働き方や社会保険の適用状況の変化は「厚生年金・健康保険が適用され、かつ手取り収入が維持できるよう、所定労働時間を延長した」(6.4%)と「所定労働時間はそのまま、厚生年金・健康保険が適用された」(14.5%)が合計21.0%だった。

2024年7月 5日 (金)

下請法違反での勧告件数は13件 下請への返還金額37億円は高水準

 公正取引委員会が公表した下請取引の運用状況によると、2923年度の下請法違反行為に対する勧告件数は13件(2022年度6件)だった。

 勧告の対象となった違反行為類型の内訳は「下請代金の減額」が6件、「返品」が2件、「買いたたき」が1件、「購入等強制」が3件、「不当な経済上の利益の提供要請」が4件、「やり直し等」が1件。また、2023年度の指導件数は8268件(同8665件)だった。

 下請事業者が被った不利益の原状回復の状況(2023年度)をみると、下請事業者が被った不利益について、親事業者174社から、下請事業者6122社に対し、下請代金の減額分の返還等、総額37億2789万円相当の原状回復が行われた。

統計で比較可能な2008年度以降、2012年度の約57億円に次いで過去2番目に多い金額で11年ぶりの高水準。

2022年度の返還額は11億3465万円だった。

 公取委は、公取委が調査に着手する前に、違反行為を自発的に申し出、かつ、下請事業者に与えた不利益を回復するために必要な措置等、自発的な改善措置を採っているなどの事由が認められる事案については、親事業者の法令遵守を促す観点から、勧告するまでの必要はないものとして取り扱うこととし、この旨を公表している。

 2023年度においては、上記のような親事業者からの違反行為の自発的な申出は39件だった。

2024年6月10日 (月)

24年大手企業の賃上げ率5.58% 1991年以来、33年ぶりの高水準

 日本経団連が発表した「2024年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果」の第1回集計によると、大手企業の定期賞与とベースアップを合わせた賃上げ率は2023年実績を1.70ポイント上回る5.58%となった。

 同調査は、原則、東証一部上場企業、従業員500人以上の主要22業種大手244社を対象に実施。

最終集計は、21業種151社(61.9%)で妥結しているが、このうち平均金額不明などの62社を除いた89社の回答を集計したもの。

 調査結果によると、賃上げ幅は2023年実績から6358円上昇して1万9480円となり、比較可能な1976年以降で最も高い水準。

賃上げ率5.58%は1991年の5.6%以来、約33年ぶりの高水準となった。

この背景には、新型コロナウイルス禍が落ち着いてきたことから経済が正常に戻り、企業の業績が全体的に堅調なことに加え、人材の確保・定着という観点から賃金を引き上げた企業が増えたことなどが大きな要因となったことがある。

製造業・非製造業別にみると、製造業(77社)平均は、妥結金額が1万9920円、賃上げ率が5.85%で、2023年実績と比べ、金額で7252円増、賃上げ率で2.02ポイント上昇とともに増加。

また、非製造業(12社)平均は、妥結金額が1万8168円、賃上げ率が4.85%で、2023年実績と比べ、金額で3594円増、賃上げ率で0.85ポイント上昇と、製造業、非製造業ともに大きく増加した。

2024年4月30日 (火)

一般労働者の平均賃金31.8万円 女性は過去最高の26万2600円

 フルタイムで働く一般労働者の平均賃金は、男女計で前年比2.1%増の31万8300円(平均43.9歳、勤続12.4年)で、過去最高となったことが、厚生労働省がこのほど発表した「2023年賃金構造基本統計調査」結果(有効回答数4万8651事業所)で分かった。

同調査は、10人以上の常用労働者を雇用する民間事業所を対象に、2023年6月分の賃金等(賞与、期末手当等特別給与額については2022年1年間)を調べたもの。

 平均賃金を男女別にみると、男性は前年比2.6%増の35万900円(平均44.6歳、勤続13.8年)、女性は同1.4%増の26万2600円(同42.6歳、9.9年)となり、女性は10年連続で過去最高を更新し、フルタイムで働く女性の待遇改善が進んだ。

この結果、男女間賃金格差(男性の賃金を100)は、74.8(前年75.7)で、0.9ポイント差が縮まっており、比較可能な1976年(昭和51年)調査以降で過去最少となっている。

 一般労働者のうち、雇用期間の定めのない者について、役職別の賃金をみると、男性では、「部長級」が60万4100円(年齢52.9歳、勤続年数22.8年)、「課長級」が50万700円(同49.2歳、21.2年)、「係長級」が38万2300円(同45.5歳、18.0年)、女性では、「部長級」が52万1000円(同52.4歳、19.5年)、「課長級」が43万800円(同49.4歳、19.3年)、「係長級」が33万5900円(同45.4歳、16.6年)となっている。

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