ちば会計

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2024年12月

2024年12月27日 (金)

新規開業、女性の割合が過去最高 開業費用の平均値は985万円

 経営者の開業時の年齢は、「40歳代」が37.4%と最も高く、次いで「30歳代」が28.6%と、両年代が開業の担い手となっていることが、日本政策金融公庫が発表した「2024年度新規開業実態調査」結果(有効回答数1990社)で分かった。

全体の平均は43.6歳で、前回調査と比べて0.1歳“若返った”。

調査は、同公庫が2023年4月から同年9月にかけて融資した企業のうち、融資時点で開業1年以内の企業を対象に実施したもの。

 開業者に占める女性の割合は、前年から0.7ポイント増の25.5%となり、1991年度の調査開始以来最も高くなった。

開業業種については、「サービス業」が29.2%で最も多く、次いで「医療、福祉」(15.7%)、「飲食店、宿泊業」(14.5%)

などが続いた。

なお、前回調査では3番目に多かった「小売業」が大幅に数値を落としている(11.9%→10.8%)。

 開業時の平均従業者数は2.9人で、前回調査同様、3人を下回っている。

調査時点(8月)の平均従業者数は3.8人で、開業時からの増加数は1.0人だった。

開業費用の分布をみると、「250万円未満」(20.1%)と「250万~500万円未満」(21.0%)で4割以上を占めている。

また、「500万~1000万円未満」の割合は30.7%で、前回調査時より上昇した。

開業費用の平均値は985万円、中央値は580万円となっており、長期的にみると少額化の傾向にあるようだ。

2024年12月24日 (火)

中小企業に対する法人税の軽減 制度の大幅な見直しに現実味

「中小企業に対する法人税の軽減税率」がピンチだ。

現在、資本金1億円以下の中小企業の法人税率は、年800万円以下の所得⾦額について本則19%とされており、令和7年3⽉31⽇までの時限的な措置として、さらに15%に軽減されている(租税特別措置)。

このうち租税特別措置に当たる部分は、平成20年に「⾦融不安や景気後退の影響を受けやすい中⼩・⼩規模企業について⼗分な資⾦繰り対策を実施する⼀⽅で、中⻑期的に⽇本経済の底⼒を成⻑に結び付ける取組を推進する」ため、中⼩企業の財務基盤の強化を⽬的として導⼊された。

 実はこの軽減税率には、創設当初、明確な政策目標が数値で設定されていた。

それは、①中⼩企業等の売上⾼が、⽣活対策以前(平成20年上期)の⽔準を持続的に達成すること、②中⼩企業等の資⾦繰りDIが、⽣活対策以前(平成20年上期)の⽔準を持続的に達成すること、③中⼩企業等の業況判断DIが、⽣活対策以前(平成20年上期)の⽔準を持続的に達成することの3点。

つまり、この3点が達成された場合には廃止することがあらかじめ想定されていた訳だ。

では現状はどうかというと、②③についてはすでに「達成済み」で、①のみが「未達」。

加えて、2023年度における中小企業の借入依存度は38.2%と、⼤企業と比較すると高く、財務基盤はいまだ脆弱だ。

これらのことから、軽減税率そのものは延長しつつも、すでに財務基盤が回復した企業を対象から除外することなどが検討されているようだ。 

2024年12月17日 (火)

広がりつつある価格転嫁の裾野 「発注企業からの申入れ」は28.3%に

 経済産業省はこのほど、「価格交渉促進月間(2024年9月)フォローアップ調査」の調査結果を公表した。

これによると、前回調査(2024年3月)「発注側企業から申し入れがあり、価格交渉が行われた」割合は、前回調査(2024年3月)から約2ポイント増の28.3%。

また、「価格交渉が行われた」割合も前回から約1ポイント増の86.4%だった。

一方で、「価格交渉が行われなかった」割合は、前回の14.8%から13.6%に減少している。

発注企業からの申し入れは浸透しつつあるものの、引き続き、受注企業の意に反して交渉が行われないケースが存在しているようだ。

こうした現状について経産省は「引き続き、労務費指針の徹底等による価格交渉・転嫁への機運醸成が重要」とコメントしている。

 今回の調査では、2023年11月に「労務費指針(労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針)」が策定・公表されたことを踏まえ、「労務費について価格交渉ができたか」についても調査を行っている。

それによると、価格交渉が行われた企業(54.9%)のうち70.4%が労務費についても交渉を実施(前回68.9%)している一方で、7.6%の企業が「労務費が上昇し、価格交渉を希望したが出来なかった」と回答している(前回8.8%)。

前回よりは減少したものの、依然として1割弱が労務費を価格転嫁できていないことから、経産省は、公正取引委員会等と連携し、労務費指針を周知・徹底していく方針だ。

 

2024年12月13日 (金)

国税庁 消費税還付申告への対応を公表 税務調査への協力などを呼びかけ

 国税庁は11月21日、同庁のHPに「消費税還付申告に関する国税当局の対応について」とする情報を公開した。

近年、消費税の仕組みを悪用し、実際に取引をしたように見せかけるなど虚偽の内容で申告書を提出し、消費税の還付を不正に受けようとする事案が多数発生していることから、同庁では消費税還付法人に対する調査を強化している。

同庁では令和3年7月から同4年6月までに、消費税還付申告法人に対して約4,300件の実地調査を実施しており、その追徴税額は約372 億円だった。

 また、特に悪質な不正受還付犯に対しては、査察調査を行った上で検察官に告発し、その刑事責任を追及している。

令和4年4月から同5年3月までに不正還付事案16件を告発しており、これらの事案で不正に還付を受けた(受けようとした)金額は合計で13億4,700万円にも上っている。

 不正還付の手口は様々だが、同庁が公表している「2023年国税庁レポート」では、不正還付の事例として「輸出物品販売場を営む法人が国内で仕入れた化粧品を外国人観光客に販売したように装い架空の課税仕入れ及び架空の輸出免税売上げを計上した事案」や、「複数の法人がパワーストーンの仕入れがあったように装い架空の課税仕入れを計上した事案」などが紹介されており、近年は「輸出物品販売場制度」を悪用した事案が増えているようだ。

 



2024年12月10日 (火)

政府の総合経済対策が閣議決定 103万円の壁解消に向け一歩前進

 11月22日に「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」が閣議決定された。

今回の経済対策は①日本経済・地方経済の成長、②物価高の克服、③国民の安心・安全の確保という3つの柱で構成されている。

①については、石破総理が掲げる「2020年代に(最低賃金)全国平均1,500円」という目標があらためて強調され、この達成に向けた施策として、令和4年度補正予算で措置された「事業環境変化対応型支援事業費補助金」や、令和6年度税制改正で拡充された「賃上げ促進税制」などの活用を促進することなどが挙げられている。

②については「物価高の影響を受ける低所得者世帯への支援」として住民税非課税世帯一世帯当たり3万円の給付が盛り込まれた。

住民税非課税世帯のうち、子育て世帯については子ども一人当たり2万円を加算される。

また、国民民主党が改正を迫っている「103万円の壁」については、「令和7年度税制改正の中で議論し引き上げる」と明記されたものの、上げ幅については今後の税制改正論議の中で決定されることになる。

③については「発災時に快適なトイレ、プライバシーを守るパーティション、簡易ベッド、温かい食事を速やかに提供できるよう、必要な資機材の備蓄を推進し、キッチンカー、トレーラーハウス、トイレカー等の登録制度を創設する」ことなど、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づく取組を推進することが明記された。

2024年12月 6日 (金)

どうなる退職金課税の見直し 今年も税制調査会が議論の俎上に

 11月も中盤に差し掛かり、税制改正をめぐる議論が大詰めだ。

今年は、先の衆院選で影響力を増した国民民主党が「103万円の壁」の是正を要求しているため、そちらばかりが注目されているが、その裏で政府と財務省は、今年も退職金課税の見直し=縮小を狙っている。

過去の税制改正大綱や政府税制調査会の資料には「退職金や私的年金の給付に係る課税について、給付が一時金払いか年金払いかによって税制上の取扱いが異なり、給付のあり方に中立的ではないといった指摘がある」「退職金課税については、現行の勤続20年を境に1年当たりの控除額が急増する仕組みや勤務年数が短期間でも退職金に係る所得の2分の1にしか課税されないという仕組みを見直し、全体として多様な就労選択に中立的な制度とすることが求められている」といった文言がたびたび登場し、この時期になると改正論が毎年のように噴き上がる、もはや恒例行事のようなもの。

 ただ、ここ数年は与党自民党が支持率を落としたことや、昨年は「増税内閣」といった批判を気にした結果、直前で見送られてきた経緯がある。

退職金課税の縮小は、納税者のライフプランや相続問題、中小企業の事業承継にも影響する大きな改正となるだけに、令和7年度税制改正で実現するのか、その動向を注視しておく必要があるだろう。



2024年12月 3日 (火)

「フリーランス保護法」が施行 フリーランス取引の適正化など義務化

 11月1日に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」が施行された。

内閣官房等が令和3年に共同で実施した「フリーランス実態調査」によると、フリーランスの約4割が報酬不払い、支払遅延などのトラブルを経験しており、同じく約4割が記載の不十分な発注書しか受け取っていないか、そもそも発注書を受領していないことが分かっている。

一般に「個人」であるフリーランスは、「組織」である発注事業者よりも弱い立場に置かれやすい。

そのため本法では、発注事業者に対して「フリーランスの就業環境の整備」や「取引の適正化」などを義務付けている。

「フリーランスの就業環境の整備」として、具体的には①給付の内容、報酬の額等を書⾯⼜は電磁的⽅法により明⽰すること、②特定受託事業者の給付を受領した⽇から60⽇以内の報酬⽀払期⽇を設定し、⽀払うことなどを定めているほか、「責めに帰すべき事由のない報酬の減額や返品」など7つの行為を禁止している。

また、「取引の適正化」としては、①募集広告に虚偽の表⽰等を行わないこと、②募集広告の内容は正確かつ最新の内容に保つこと、③育児介護等と両⽴して業務を⾏えるよう、申出に応じて必要な配慮をすること、④(発注担当者による)ハラスメント⾏為に係る相談対応等必要な体制整備等の措置を講じること、⑤継続的業務委託を中途解除する場合には、中途解除⽇等の30⽇前までに予告を行うことなどを義務付けている。

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