30億円超の富裕層への課税強化 “1億円の壁”是正は今後の課題
2023年度税制改正の焦点の一つとして、いわゆる“1億円の壁”の是正があった。
政府税制調査会の会合でも、総所得1億円を境に税負担率が下がる「1億円の壁」と呼ばれる問題の是正を求める声が相次いだ。
通常、所得課税は累進税率を採っており、4千万円超の部分には最大45%(地方税と合わせて55%)の税率がかかる一方、金融所得は一律15.315%(地方税と合わせて20.315%)と、金融所得がどれだけ高くても負担税率は同じだ。
1億円を超える大きな収入は、株式売却益などから発生する割合が大きいことから、トータルでの納税額が低くなる。
1億円を超えると税負担率が減少し始めるため、富裕層は株式売却益や上場株式からの配当に係る金融所得を増やそうとする。
申告納税者の税負担率は、所得1億円の人は約30%、100億円の人は約20%だが、今の金融所得課税は“金持ち優遇”の制度になっているとの批判が根強かった。
そこで、金融所得課税を見直し、所得が30億円を超えるような富裕層に対し課税強化する。
合計所得金額から3.3億円を差し引いたうえで22.5%の税率をかけた金額で計算し、これが通常税額を上回る場合に差額を徴収する。
所得が30億円を超える200~300人が対象となる見込みで、所得50億円のケースでは2~3%負担が増えると想定している。
2025年から適用する。
結局、大富裕層への課税強化とはなったが、「1億円の壁」是正はならず、今後の課題となった。
« コスト100円上昇で転嫁39.9円 上昇分の6割は企業負担の現状 | トップページ | 2022年1~4人事業所の勤労統計 現金給与額は1.6%増の20.3万円 »
「税制改正」カテゴリの記事
- 中小企業倒産防止共済制度を見直し 節税目的の不適切な利用を抑制(2024.06.24)
- 6月から実施される定額減税 給与明細に減税額明記を義務付け(2024.06.17)
- 税務署の内部事務のセンター化 内部事務を専担部署で集約処理(2024.06.05)
- 2024年度税制改正法案が成立!所得税の定額減税の実施など(2024.05.02)
- 少額減価償却資産特例を2年延長 常時使用従業員数300人超を除外(2024.03.19)
「国税・法案・申告・e-tax」カテゴリの記事
- 国税庁が勧める「優良な電子帳簿」 過少申告加算税が5%に軽減される(2024.10.31)
- 免税事業者のインボイス登録状況は BtoB中心事業者の73.3%が登録(2024.10.11)
- 上半期の輸入差止件数が過去最多 1日平均99件、4008点を差し止め(2024.10.08)
- 23年度国税の滞納残高は9276億円 消費税の新規滞納増で4年連続増加(2024.10.03)
- 国の借金、6月末時点で過去最高 3月末から13兆円増の1311兆円(2024.09.25)
「所得税」カテゴリの記事
- 23年度国税の滞納残高は9276億円 消費税の新規滞納増で4年連続増加(2024.10.03)
- ふるさと納税の寄附件数過去最高 寄附額1.1兆円と初の1兆円超え(2024.09.17)
- 23年度税収は4年連続過去最高額 見込みを2.6兆円上回る72兆円に(2024.08.21)
- 6月から実施される定額減税 給与明細に減税額明記を義務付け(2024.06.17)
- 2024年度税制改正法案が成立!所得税の定額減税の実施など(2024.05.02)
「景気・世論・日本人」カテゴリの記事
- 2024年基準地価、3年連続上昇 地方四市以外も32年ぶりに上昇(2024.10.25)
- 金融庁、2025年度税制改正要望 NISAの利便性向上を中心に(2024.10.18)
- 23年度国税の滞納残高は9276億円 消費税の新規滞納増で4年連続増加(2024.10.03)
- 7月のテレワーク実施率は22.6% 「情報通信業」が56.2%で最上位(2024.09.30)
- 国の借金、6月末時点で過去最高 3月末から13兆円増の1311兆円(2024.09.25)
「確定申告」カテゴリの記事
- 国税庁が勧める「優良な電子帳簿」 過少申告加算税が5%に軽減される(2024.10.31)
- 免税事業者のインボイス登録状況は BtoB中心事業者の73.3%が登録(2024.10.11)
- 23年度国税の滞納残高は9276億円 消費税の新規滞納増で4年連続増加(2024.10.03)
- 23年度税収は4年連続過去最高額 見込みを2.6兆円上回る72兆円に(2024.08.21)
- 2023年度の査察、151件を摘発 検察庁に66.9%の101件を告発(2024.07.26)
「株式・投資」カテゴリの記事
- 金融庁、2025年度税制改正要望 NISAの利便性向上を中心に(2024.10.18)
- 日証協、ネット取引会員は35.6% ネット取引口座数は4546万口座(2024.07.23)
- NISAの買付額、口座数増加 新NISA制度の始まりが要因(2024.07.18)
- 国外財産調書、1.2万件、5.7兆円 提出件数・総財産額とも過去最多(2024.03.04)
- 投資信託保有口座、課税口座55% 「つみたてNISA」口座が増加(2024.02.20)
「その他税制」カテゴリの記事
- 免税事業者のインボイス登録状況は BtoB中心事業者の73.3%が登録(2024.10.11)
- 上半期の輸入差止件数が過去最多 1日平均99件、4008点を差し止め(2024.10.08)
- 23年度国税の滞納残高は9276億円 消費税の新規滞納増で4年連続増加(2024.10.03)
- ふるさと納税の寄附件数過去最高 寄附額1.1兆円と初の1兆円超え(2024.09.17)
- 交付税不交付団体は3年連続増加 名古屋市など6市町増の83団体に(2024.09.02)
« コスト100円上昇で転嫁39.9円 上昇分の6割は企業負担の現状 | トップページ | 2022年1~4人事業所の勤労統計 現金給与額は1.6%増の20.3万円 »
コメント