株の配当所得 大口株主の判定基準が改正「同族会社と合計で3%以上」なら総合課税に
通常の個人株主が上場株式等の配当を受けた場合、配当を受け取る際に20.315%が源泉徴収された上で、①申告不要制度、②申告分離課税を選択して確定申告を行う、③総合課税(配当控除後の税率は最大で49.44%)で確定申告を行う――という3つの課税方式が選択できる(上場株式等に係る配当所得等の課税の特例)。
一方、持株割合が3%以上である大口株主は、投資目的で株式を保有しているのではなく、事業に参画する目的で株式を保有していると考えられることから、その支払いを受けた配当については、事業所得とのバランスを踏まえて総合課税の対象とされている。
ところが、大口株主を判定するための持株割合は「個人の持株割合」のみで判定するため、自身が議決権の過半数を保有し支配している法人に株式を持たせることによって、実質的に3%以上の持株割合を確保しているにもかかわらず、大口株主に該当せず総合課税を回避することができる。
会計検査院は以前よりこれを問題視しており、令和2年度の決算検査報告の中で「適用範囲について、様々な視点からより適切なものとなるよう検討を行っていくことが肝要」と指摘していた。
そこで今回の改正では、「上場株式等に係る配当所得等の課税の特例」について、持株割合3%未満の個人株主であっても、同族会社と合計で3%以上となる場合は総合課税の対象となるよう改正が行われる。
« 電子帳簿保存、2年間の猶予措置 2023年末まで書面保存も認める | トップページ | 少額減価資産の取得価額の特例 対象資産から貸付資産を除外 »
「確定申告」カテゴリの記事
- 会計検査院が「特定検査」で指摘 類似業種比準方式は「低すぎる」(2025.01.06)
- 中小企業に対する法人税の軽減 制度の大幅な見直しに現実味(2024.12.24)
- 国税庁 消費税還付申告への対応を公表 税務調査への協力などを呼びかけ(2024.12.13)
- 日本公庫の創業融資が前年比1.1倍 働き方の選択肢として「創業」が定着(2024.11.26)
- 23年度法人所得、最高の85兆円 黒字申告割合36.2%で2年連続上昇(2024.11.22)
「株式・投資」カテゴリの記事
- 暗号資産取引に対する課税 分離課税の“対象入り”は暗礁に!?(2025.01.14)
- 中堅・中小企業の拠点投資が活発化 およそ5割が新設・拡張を計画(2025.01.10)
- 会計検査院が「特定検査」で指摘 類似業種比準方式は「低すぎる」(2025.01.06)
- 与野党の意見が一致し改正が現実味 「富裕層に対する金融所得課税強化」(2024.11.12)
- 金融庁、2025年度税制改正要望 NISAの利便性向上を中心に(2024.10.18)
「その他税制」カテゴリの記事
- 暗号資産取引に対する課税 分離課税の“対象入り”は暗礁に!?(2025.01.14)
- 中堅・中小企業の拠点投資が活発化 およそ5割が新設・拡張を計画(2025.01.10)
- 中小企業に対する法人税の軽減 制度の大幅な見直しに現実味(2024.12.24)
- 広がりつつある価格転嫁の裾野 「発注企業からの申入れ」は28.3%に(2024.12.17)
- 国税庁 消費税還付申告への対応を公表 税務調査への協力などを呼びかけ(2024.12.13)
« 電子帳簿保存、2年間の猶予措置 2023年末まで書面保存も認める | トップページ | 少額減価資産の取得価額の特例 対象資産から貸付資産を除外 »
コメント