上場株式の配当所得に課税強化 個人住民税や社会保険料に影響
令和4年度税制改正大綱では賃上げ税制や住宅ローン控除が目立っているが、その裏で課税強化とも取れる改正が行われる。
「上場株式等の配当所得等に係る課税方式」と記載された項目がそれだ。
現行制度では、上場株式等に係る配当所得等については①総合課税方式、②申告不要方式、③申告分離課税方式の3つの課税方式があり、納税義務者が所得税の確定申告及び個人住民税の申告を行うことにより、所得税と個人住民税において異なる課税方式を選択することができる。
そのため、例えば年金生活をしながら株の配当を受けている人は、所得税については配当も含めて総合課税で低い税率を選択、住民税については、これを合算せずに申告不要とする。
申告不要とした所得は合計所得金額には含まれないため住民税が減少するだけでなく、住民税額をベースに計算される国民健康保険料などの金額も抑えることができるのだ。
低~中所得者が投資を行った場合の負担を軽減する手法として期待されてきた一方、「所得税の所得と個人住民税の所得が一致しないのは問題」として、令和2年2月25日の衆議院予算委員会でも議題として取り上げられていた。
こうした指摘を受けて、今回の改正では所得税の課税方式と個人住民税の課税方式が一致するよう改正が行われることになった。
大綱には「個人住民税において、特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額に係る所得の課税方式を所得税と一致させることとする」と記載されており、所得税と個人住民税において異なる課税方式を選択することそのものを制限すると予想される。
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