令和4年度税制改正大綱が公表 今年も節税スキームにメス
12月10日に令和4年度の税制改正大綱が公表された。
事前に報道されていた通り「賃上げ税制の拡充」や「住宅ローン減税の控除率引き下げ」などが盛り込まれたが、その影でひとつの節税スキームにメスが入ったことが話題となっている。
「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」に関する見直しがそれだ。
近年、建設用の足場やドローン等を購入し少額減価償却資産として一括償却しつつ、それをリースに出すことでリース料収入を得る節税手法が一部で活用されている。
例えば建設用足場の場合、多くは購入価格が一口100万円で、契約期間終了までの間にこれを上回るよう契約期間やリース料が設定されている。
このとき、当然ながらリース料収入には法人税が課税され、契約終了後に足場を売却すれば、その売却収入にも課税があるが、トータルとして手元のキャッシュが増加する仕組みになっている。
建設用足場やドローン等の販売会社が、こうした手法を“決算対策”として営業活動を行い、結果として広く活用されてきたことがこの改正に繋がったと推測される。
気になる改正の内容だが、税制改正大綱の中には「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、対象資産から貸付け(主要な事業として行われるものを除く。)の用に供した資産を除外した上、その適用期限を2年延長する」と記載されている。
同特例の対象から「貸付けの用に供した資産」が除外されるため、この手法は完全に終焉を迎えたと言えるだろう。
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