特例事業承継税制 令和9年12月末で終了へ
事業承継の際の贈与税・相続税の納税を猶予する「事業承継税制」は、平成30年度税制改正で抜本的に拡充され「特例事業承継税制」として生まれ変わった。
これにより、同税制の適用の前提となる認定申請の件数は、拡充前は年間400件程度だったところ、拡充後は年間約6,000件まで増加。
中小企業の事業承継対策のスタンダードとなりそうな勢いだが、先日公表された令和4年度税制改正大綱の中で、制度が一部見直されることが明らかになっている。
この特例事業承継税制の適用を受けるには、事前に「特例承継計画」を策定し、令和5年3月31日までに都道府県へ提出しておく必要があるが、この提出期限が令和6年3月31日まで1年間延長される。
この機会に中小企業の事業承継を押し進めたいということだろう。
ただ大綱には、特例事業承継税制について「令和9年12月末までの適用期限については今後とも延長を行わない」ことも併せて明記された。
すなわち、令和10年以降は、通常の事業承継税制しか使えなくなるというわけだ。
特例事業承継税制は、中小企業が発行したすべての株式について、その承継に係る相続税・贈与税の100%が納税猶予される制度。
一方、通常の事業承継税制では、対象となる株式は「総株式数の3分の2まで」で、猶予されるのは税額の「80%」。
つまり、無税で株式を承継することができなくなる。
そのため、事業承継を検討している中小企業では、早期に事業承継への取り組みをスタートし、本税制の活用について検討を行う必要があるだろう。
« 法人消費税調査、コロナで件数減 1件当たり追徴税額は約3倍増加 | トップページ | 2022年度与党税制改正大綱公表 賃上げ促進税制や住宅ローン減税 »
「相続・贈与・住宅・小規模宅地」カテゴリの記事
- 会計検査院が「特定検査」で指摘 類似業種比準方式は「低すぎる」(2025.01.06)
- 2024年基準地価、3年連続上昇 地方四市以外も32年ぶりに上昇(2024.10.25)
- 代表者が交代した企業は6.7万社 代表者の平均年齢が16.7歳若返る(2024.10.15)
- 2023年度物納申請はわずか25件 ここ7年間は百件割れの状況続く(2024.08.27)
- 路線価は+2.3%と3年連続上昇 日本一は39年連続で東京・銀座(2024.08.09)
「企業」カテゴリの記事
- 法人税率の中小特例が見直し 年間所得10億円超は「税率17%」に(2025.01.27)
- 厚労省、外国人雇用実態調査結果を公表 平均給与は月額26万7,700円(2025.01.24)
- 令和7年度税制改正大綱が公表 基礎控除は「10万円引き上げ」(2025.01.22)
- 中堅・中小企業の拠点投資が活発化 およそ5割が新設・拡張を計画(2025.01.10)
- 会計検査院が「特定検査」で指摘 類似業種比準方式は「低すぎる」(2025.01.06)
「税制改正」カテゴリの記事
- 外国人旅行者向け消費税免税制度 出国時に返金する「リファンド方式」へ(2025.02.04)
- 法人税率の中小特例が見直し 年間所得10億円超は「税率17%」に(2025.01.27)
- 中小企業に対する法人税の軽減 制度の大幅な見直しに現実味(2024.12.24)
- 政府の総合経済対策が閣議決定 103万円の壁解消に向け一歩前進(2024.12.10)
- どうなる退職金課税の見直し 今年も税制調査会が議論の俎上に(2024.12.06)
「法律」カテゴリの記事
- 法人税率の中小特例が見直し 年間所得10億円超は「税率17%」に(2025.01.27)
- 暗号資産取引に対する課税 分離課税の“対象入り”は暗礁に!?(2025.01.14)
- 与野党の意見が一致し改正が現実味 「富裕層に対する金融所得課税強化」(2024.11.12)
- 2023年度の査察、151件を摘発 検察庁に66.9%の101件を告発(2024.07.26)
- 社会保険の適用拡大への対応状況 対象者に「できるだけ適用」半数超(2024.07.15)
「中小企業」カテゴリの記事
- 法人税率の中小特例が見直し 年間所得10億円超は「税率17%」に(2025.01.27)
- 厚労省、外国人雇用実態調査結果を公表 平均給与は月額26万7,700円(2025.01.24)
- 令和7年度税制改正大綱が公表 基礎控除は「10万円引き上げ」(2025.01.22)
- 日本の時間当たり労働生産性 OECD加盟38ヵ国中29位(2025.01.17)
- 中堅・中小企業の拠点投資が活発化 およそ5割が新設・拡張を計画(2025.01.10)
「国税・法案・申告・e-tax」カテゴリの記事
- 法人税率の中小特例が見直し 年間所得10億円超は「税率17%」に(2025.01.27)
- 令和7年度税制改正大綱が公表 基礎控除は「10万円引き上げ」(2025.01.22)
- 暗号資産取引に対する課税 分離課税の“対象入り”は暗礁に!?(2025.01.14)
- 中小企業に対する法人税の軽減 制度の大幅な見直しに現実味(2024.12.24)
- 国税庁 消費税還付申告への対応を公表 税務調査への協力などを呼びかけ(2024.12.13)
「その他税制」カテゴリの記事
- 厚労省、外国人雇用実態調査結果を公表 平均給与は月額26万7,700円(2025.01.24)
- 令和7年度税制改正大綱が公表 基礎控除は「10万円引き上げ」(2025.01.22)
- 暗号資産取引に対する課税 分離課税の“対象入り”は暗礁に!?(2025.01.14)
- 中堅・中小企業の拠点投資が活発化 およそ5割が新設・拡張を計画(2025.01.10)
- 中小企業に対する法人税の軽減 制度の大幅な見直しに現実味(2024.12.24)
「事業承継」カテゴリの記事
- 全労働者に占める若年労働者割合 5年前に比べて3.6ポイント低下(2024.11.05)
- 代表者が交代した企業は6.7万社 代表者の平均年齢が16.7歳若返る(2024.10.15)
- 事業承継特例に関する実態調査 「利用・検討した」企業は26.4%(2024.04.01)
- 中小企業の3社に2社が人手不足 2024年度に賃上げ実施予定6割超(2024.03.15)
- 法人版事業承継税制等の見直し 承継計画の提出期限を2年延長(2024.02.22)
« 法人消費税調査、コロナで件数減 1件当たり追徴税額は約3倍増加 | トップページ | 2022年度与党税制改正大綱公表 賃上げ促進税制や住宅ローン減税 »
コメント