ちば会計

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2021年11月

2021年11月24日 (水)

適格請求書発行事業者の申請開始 初月10月の登録数は4万6496件

 国税庁はこのほど、ホームページ上の「インボイス制度 適格請求書発行事業者公表サイト」に、登録申請初月となる10月分の登録適格請求書発行事業者を掲載し、申請状況を公表した。

  
 インボイス制度とは「適格請求書等保存方式」のこと。
複数税率に対応した仕入税額控除の方式として導入されるもので、仕入税額控除の要件として、原則、適格請求書発行事業者から交付を受けた適格請求書(インボイス)の保存が必要になる。

   
 消費税の適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)の適用開始日は約2年後の2023年10月1日からとなっているが、適用を受けるためには事前に国税庁へ適格請求書発行事業者の登録申請を納税地の税務署長に行い、税務署による審査を経て「適格請求書発行事業者登録簿」に氏名又は名称、登録番号等が登録される必要があり、この登録申請が先月10月1日から開始された。

  

 申請手続きを行った事業者については、必要な審査を経て、適格請求書発行事業者として登録され次第公表サイトに掲載される。
国税庁の軽減税率・インボイス制度対応室によると、10月1日から10月末現在(8月決算法人の申告期限である11月1日提出分まで集計)の登録申請件数は約10万3千件と10万件を超えている。
一方、審査の結果、登録された件数は4万6496件となっている。
 

 今後の登録事業者の掲載について国税庁では、月末時点の登録件数を翌月に掲載する。

「金融所得への課税強化」は先送り 令和4年度税制改正の展望は?

11月も後半に差し掛かり、そろそろ税制改正の話題が聞こえてくる時期。
令和4年度税制改正では、どのような改正が行われることになるだろうか。

    
 岸田文雄首相が自民党代表選挙の公約にも掲げた「金融所得への課税強化」は、自民党税制調査会での議論を経て、令和4年度改正では正式に見送られることがすでに決まっている。

     

 また、新しい資本主義の実現に向けた政策の柱とされている「賃上げ税制」だが、すでに大企業向けには、一定以上の賃上げや設備投資、教育訓練費を増額した場合に、給与増加額の最大20%が税額控除される制度があり、中小企業向けには、給与総額が前年度より1.5以上増加した場合に、最大で給与増加額の25%が税額控除される(25%控除には、前年比2.5%以上の賃上げが要件)制度がある。

    
ただ、企業の黒字申告割合(=法人税を納めている企業の割合)が全体の30%台と低調ないま、賃上げの効果を疑問視する声は根強い。

また、黒字企業は中小企業よりも大企業に多いことから、相対的に大企業優遇の税制であることも指摘されており、どのような改正が行われるのか注目される。
    

 昨年の税制改正論議の中で注目を集めたのが、「相続税・贈与税の課税方式の見直し」だ。
土壇場で当時の甘利政調会長が“ぶち上げた”テーマで、資産家や税理士業界や金融業界で話題を呼んだ。
相続発生前の一定期間に贈与された金額を相続財産に加算する方式が有力と見られているが、そもそも手直しが入るのかも不明。
党税調、政府税調のいずれも、これについて議論をしている様子は見えてこない。

2021年11月15日 (月)

黒字申告割合が10年ぶりに下落 黒字・赤字法人の“二極化”進む

 今年6月末現在の法人数は前年から1.7%増の322万法人で、うち2020年度内に決算期を迎え今年7月末までに申告した法人は、同2.0%増の301万法人だったことが、国税庁がこのほど発表した2020事務年度の法人税等の申告事績で分かった。
その申告所得金額は同7.9%増の70兆1301億円、申告税額の総額も同4.9%増の12兆1220億円とともに2年ぶりに増加した。

   

 法人の黒字申告件数は105万3千件(前年対比1.0%増)で、黒字申告割合は前年度を0.3ポイント下回る35.0%で、10年ぶりに下落に転じたが、2014年度以降7年連続で30%台となった。
もっとも、法人の黒字申告割合は、過去最高だった1973年度(65.4%)の半分前後の低い数字が1993年度から28年も続いており、法人の黒字申告割合は低水準が続いている。
黒字法人の申告1件あたりの所得金額は前年度比6.8%増の6662万8千円だった。

   

 一方で、申告欠損金額は同60.1%増の23兆7219億円、赤字申告1件あたりの欠損金額も同56.1%増の1212万1千円と、ともに大幅増加した。
ちなみに、申告欠損金額のピークは1999年度の33兆2791億円だったので、2020年度は約71%まで減少している。

  

 申告所得金額が増加する一方、欠損金額も増加したのは、新型コロナ感染拡大の影響により、黒字企業と赤字企業の“二極化”が進んだ結果とみられている。

 

加熱するクラウドファンディング市場 PJ成功の肝は「サイトの見極め」にアリ

 2000年代に米国で誕生した資金調達の新しい仕組みであるクラウドファンディング。
日本でも、2011年に「CAMPFIRE」「READYFOR」の2つが立ち上がったことで、徐々に広まりつつある。
矢野経済研究所の調査によれば、2020年度の国内クラウドファンディング市場規模は約1841億円で、前年から17.6%も増加している。

    
また、クラウドファンディングサイトもまさに“乱立”といった様相で、少し探しただけでも20以上がヒットするほどの過熱ぶりである。ただ、これほどサイトが増えると、どのサイトが最善なのか非常に判断に迷うところだ。

  

 現在、プロジェクトの成功率が最も高いと言われているのが「Makuake」。
前払いで集めた代金を元手に製品を開発し、支援者に完成した製品・サービスを提供する「購入型」と呼ばれる形式で、サイバーエージェントグループの「株式会社Makuake」が運営している。メディアへの露出が多いことが強みだが、手数料は20%と最高水準。

  
また、前出の「CAMPFIRE」も同じく購入型で出資者数が多く、プロジェクトの成功件数では国内最大級。
手数料は17%と「Makuake」より低いのが強み。変わり種では、起案者が女性限定の購入型サイト「Kanatta」や、アート、音楽、写真、ゲーム、映画、書籍などの創作活動を支援する「MotionGallery」など、とにかく多種多様なサイトが存在している。
それぞれのサービスやプランを比較した上で、目的に合ったサイトを選択することが何より重要だ。

    

 コロナ禍で一層注目を浴びているクラウドファンディングだが、目標金額を達成できず、資金調達ができないリスクが少なからずある。また、掲載ページの制作や継続的な情報発信・活動報告を行う必要があるなど、手間がかかることも事実。

    
純粋な資金調達を目的に活用することは「割に合わない」という意見もあるが、それでもなお「活動をしっかりと理解した上で、支援してくれる人」を獲得できる機会としては、とても魅力的な場であることは間違いないだろう。

 

2021年11月 8日 (月)

役員に対する退職金の現物支給 現物の適正な評価額の把握に注意

 現物支給とは、会社が従業員に支給する報酬について、現金の代わりに「もの」を渡す方法だ。

 

従業員に支払う報酬は、経費の性質を持つものを除いて現金で支払う原則があるので、退職金の現物支給はできない。

しかし、役員への報酬は現金以外で支給することもできる。役員に対しても現金で支払うケースは多いが、現物支給のほうが、現金支給に比べて多くの資産を得られる可能性がある。

 

 退職金の現物支給で用いられる代表的な方法には生命保険、不動産、自動車などがあるが、例えば不動産は、帳簿上の価格よりも低い評価額での現物支給で法人税を抑えることができる。

一方で、注意点も少なくない。退職金の現物支給では、現物の適正な評価額を必ず把握しておく必要がある。

不動産や自動車の適正な評価額は、帳簿に記載された減価償却後の金額ではなく、実際の市場で取引されている金額となる。

 

 役員に、退職金として会社所有の不動産を支給する場合の注意点は、まず、その不動産の時価を算定すること。

例えば、帳簿価格は2000万円、時価は3000万円の場合、帳簿価格と時価との差額1000万円の譲渡益が会社側で計上される。

 

 そして退職金として3000万円が損金に計上され、結果的には帳簿価格と同じ2000万円が会社の損失となる。

そして、退職金を受け取るほうは、あくまで3000万円の退職金を受け取ったことになるので、それに応じた所得税や住民税を納付することになる。

 

原材料の不足、価格高騰でサプライチェーンの多様化、分散化の必要性が浮き彫りに

 アフターコロナに向かって経済再開の動きが加速する中、原材料の不足や価格高騰が生じて多方面に悪影響を及ぼしている。

半導体は、昨年後半に感染防止のため生産工場の多くが閉鎖したほか、コロナ禍で企業のデジタル投資が加速したことによる需要増の影響を受け、今年の上半期頃から大きく不足。

9月にはトヨタが自動車の生産台数を減産するほどまでに影響が広まっている。

また、木材や鉄鉱石、アルミニウム等の建材についても、先行して経済が回復したアメリカや中国で需要が大きく拡大したことから深刻な不足、価格高騰に陥っている。

 

 こうした原材料不足や価格の高騰は、中小企業ほど影響が大きいのは言うまでもない。

原材料の供給がストップすれば生産ができないし、下請け企業であれば、価格上昇分を商品に転嫁できず経営状況を圧迫してしまいかねない。

今こそ、サプライチェーンの多様化、分散化を進めていく必要があるだろう。

 

 政府もこうした問題の解決に向けて「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」、いわゆる「サプライチェーン補助金」の事業を行っている。この補助金は、企業が生産拠点の集中度が高い製品(=半導体関連、航空機関連、車載用電池関連、レアメタル関連、ディスプレイなど)の供給途絶リスクを解消するため、新たな生産・物流拠点を整備した場合に最大で費用の3分の2(中小企業の場合。大企業の場合は最大2分の1まで。補助上限100億円)の補助を受けられるというもの。

同補助金には、半導体等の生産に必要な「部品」を手がける中小企業を支援する「中小企業特例」もあるが、こちらは補助上限5億円で、補助率は3分の2以内だ。

 

 同補助金はすでに第2次公募が終了しているが、今後も公募が行われると予想される(スケジュールは未定)。

サプライチェーンの多様化については、JETROなどでも費用助成を行っているので、何らかの対策を考えている企業では各種補助金の動向にも注意しておきたい。

2021年11月 1日 (月)

土地・建物の相続登記の義務化 2024年からスタートする予定

 改正民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)が本年4月に成立し、不動産(土地・建物)の相続登記が義務化される。

 所有者が亡くなったのに相続登記がされないと、登記簿を見ても持ち主が分からず、復旧・復興事業等や取引が進められないという問題が起きている。

この「所有者不明土地問題」の発生を予防する観点から、その主要な発生原因である相続登記の未了や住所変更登記等の未了に対応するため、不動産登記法が改正された。

  

 相続登記の申請の義務化は、2024年からスタートする予定で、具体的な時期は今後決められる。

また、スタートから3年間の猶予期間がある。新制度では、正当な理由がないのに、不動産の相続を知ってから3年以内に相続登記の申請をしないと、
10万円以下の過料の罰則の対象となる可能性がある。例えば、関係者が多くて必要な資料を集めることが難しい場合などは、罰則の対象にはならない。

  

 制度がスタートした後、不動産を相続する場合に、相続人の間で遺産分割の話合いが整ったときには、その結果を踏まえた登記をすることになる。

  

 話合いが難航した場合は、ひとまず、簡易な申請義務履行手段として新たに作られた「相続人申告登記」の手続きをとることで、義務を果たすこともできる。

この手続きは、自分が相続人であると申告して、それを示す戸籍を出せば、一人で行うことができる。

 

住宅取得等資金贈与の非課税措置 要件緩和も適用期限は延長されず

 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税措置は、2015年1月1日から2021年12月31日までの間に、合計所得金額が2000万円以下の20歳以上の受贈者が、父母や祖父母など直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合に、一定額までが非課税となるもの。

 2021年度改正では、床面積の要件の緩和などの見直しが行われたが、適用期限の延長は行われていないことから注意が必要となる。

 2021年度税制改正では、(1)2021年4月1日から同年12月31日までの間に住宅用家屋の新築等に係る契約を締結した場合における非課税限度額を、2020年4月1日から2021年 3月31日までの間の非課税限度額と同額まで引き上げ、(2)受贈者が贈与を受けた年分の所得税に係る合計所得金額が1000万円以下である場合に限り、床面積要件の下限を40平方メートル以上(改正前:50平方メートル以上)に引き下げる見直しが行われた。

 つまり、2021年中の贈与の要件には、本年12月31日までに、住宅取得等資金の贈与を受けて住宅の新築、取得又は増改築等に係る契約を締結していることがある。

また、贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすることがある。

受贈者が「住宅用の家屋」を所有する(共有持分を有する場合も含まれる)ことにならない場合は、この特例の適用を受けることはできない。

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