ESG投資拡大の流れでクローズアップ 企業のリスク要因「座礁資産」とは?
石油元売り大手のENEOSが、再生可能エネルギー新興企業のジャパン・リニューアブル・エナジーの買収を発表した。
「ESG」や「カーボンニュートラル」など「温室効果ガスの排出抑制」がビジネスや政策形成のトレンドとなって久しい。
化石燃料を使用することが、「悪」とまではいかないものの、時代遅れの象徴とみなされる風潮が定着しており、今回のENEOSの買収も、こうした時代の流れを見越したものとみて間違いない。
ところで、こうした風潮の中で「座礁資産」という考えがクローズアップされている。
座礁資産とは、「社会の要請など様々な状況変化により将来価値を失う資産」のこと。
今後、二酸化炭素排出をより抑制する方向へ社会が動くことにより、化石燃料そのものや、あるいはそれらを必要とする機械設備は、フル稼働することができなくなると想定される。
必然的に資産価値が減少することになるため、企業は会計上、減損処理をしなければならない。
すなわち、貸借対照表上では資産の減少、損益計算書上では損失計上することになるのである。
ただし、どの程度の資産が“座礁”するかと言えば、「ハッキリとは分からない」。
2016年に発効したパリ協定では「産業革命前に比べて現在の気温を+2℃以内の上昇に抑えること」を目標としたが、実際どの程度の化石燃料が使えなくなるかは分からないためだ。
不確定要素の多い座礁資産問題だが、企業としてはロングスパンで対策を進めていく必要がある。
座礁資産を保有する企業では、資産を手放すことを検討すべきだし、座礁資産に対して新たな投資をすることは避けなければならない。
また、すでに金融の世界では、座礁資産関連の投資を引き揚げる動きが活発化しつつあり、今後は投資家による石油・石炭関連株からの資金の引き上げが相次ぐ可能性もある。
投資戦略においても、企業が保有する座礁資産の情報を十分に精査する必要が出てくるだろう。
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