デリバティブ取引を損益通算対象に租税回避防止に時価評価課税導入を
金融庁の「金融所得課税の一体化に関する研究会」が7月7日に公表した論点整理では、有価証券市場デリバティブ取引を損益通算の対象にすること及び租税回避防止策として時価評価課税の導入の検討を、2022年度税制改正要望として盛り込んだ。
デリバティブ取引は、株式や債券、通貨、外国為替などの金融商品から派生した商品の取引の総称で、代表的なものとして先物取引、オプション取引、スワップ取引がある。
論点整理では、損益通算の対象をデリバティブ取引全体とすることが望ましいとしたうえで、市場デリバティブ取引については、金融機関や税務当局の実務において問題が発生する可能性が低いとして、先ずは、有価証券市場デリバティブ取引を損益通算の対象にすることが適切とした。
デリバティブ取引を損益通算の対象に含めた場合の租税回避行為として想定されるのが、デリバティブ取引の「売り」と「買い」を両建てし、損失があるポジションのみ実現損として損益通算することで課税の繰延べを可能とする方法だ。
これを防ぐのが、実現損だけでなく含み益に対しても課税される時価評価課税の導入。
たとえば、取得価格1万円の資産の価値が2万円に上がった場合、売却しなければ利益は実現しないため評価は取得時の1万円のままだが、時価評価課税では売却しなくても2万円となり含み益である1万円に課税されることになる。
« 懸賞での高額賞金は課税に注意!一時所得で50万円以上は要申告 | トップページ | JOCから支給の報奨金は非課税 所属企業からの報奨金は一時所得 »
「税制改正」カテゴリの記事
- 金融庁、2023年度税制改正要望 NISAの抜本的拡充等が中心(2022.09.23)
- 帳簿の提出がない場合等の整備 過少申告加算税等の加重措置(2022.08.08)
- 住宅取得等資金の贈与の見直し 新非課税制度は適用期限2年延長(2022.07.15)
- 2022年度税制改正法が可決成立 賃上げに係る税制措置の拡充等(2022.04.15)
「法律」カテゴリの記事
- 時間外労働の割増賃金率を引上げ 来年4月から月60時間超は50%(2022.11.02)
- 金融庁、2023年度税制改正要望 NISAの抜本的拡充等が中心(2022.09.23)
- 21年度の滞納残高は2年連続増加 消費税の新規発生が17年連続最多(2022.09.09)
- 相続財産譲渡での取得費加算特例 特例の適用を受けるための要件は(2022.06.03)
- IT導入補助金の申請がスタート インボイス制を見据えた補助対象(2022.05.31)
「国税・法案・申告・e-tax」カテゴリの記事
- 2021年分相続税の申告状況公表 課税割合15年以降最高の9.3%(2023.01.10)
- 地方交付税不交付団体を再算定 当初算定より6団体減の67団体(2022.12.26)
- 2021事務年度法人税調査を公表 申告漏れ所得金額6028億円把握(2022.12.14)
- 税金徴収漏れ約1億6千万円指摘 46税務署にて徴収不足が72事項(2022.11.15)
「所得税」カテゴリの記事
- 2021事務年度法人税調査を公表 申告漏れ所得金額6028億円把握(2022.12.14)
- 税金徴収漏れ約1億6千万円指摘 46税務署にて徴収不足が72事項(2022.11.15)
- 21年度の滞納残高は2年連続増加 消費税の新規発生が17年連続最多(2022.09.09)
- e-Tax利用件数は順調に増加 申告では5.6%増加の約454万件(2022.09.01)
- 電話相談センターの相談557万件 うち所得税が最多の281.8万件(2022.08.23)
「確定申告」カテゴリの記事
- 2021年分相続税の申告状況公表 課税割合15年以降最高の9.3%(2023.01.10)
- 税金徴収漏れ約1億6千万円指摘 46税務署にて徴収不足が72事項(2022.11.15)
- 21年度の滞納残高は2年連続増加 消費税の新規発生が17年連続最多(2022.09.09)
- e-Tax利用件数は順調に増加 申告では5.6%増加の約454万件(2022.09.01)
- 電話相談センターの相談557万件 うち所得税が最多の281.8万件(2022.08.23)
「株式・投資」カテゴリの記事
- 金融庁、2023年度税制改正要望 NISAの抜本的拡充等が中心(2022.09.23)
- 大学発ベンチャーは最多の3306社 「東京大学」が329社で最も多い(2022.06.15)
- 株の配当所得 大口株主の判定基準が改正「同族会社と合計で3%以上」なら総合課税に(2022.02.09)
- 2021年の新規上場社数は125社 14年ぶりに100社を上回る!(2022.02.01)
« 懸賞での高額賞金は課税に注意!一時所得で50万円以上は要申告 | トップページ | JOCから支給の報奨金は非課税 所属企業からの報奨金は一時所得 »
コメント