中企庁が2021年版中小企業白書を公表 コロナ禍の企業への影響を細かく分析
中小企業庁は4月23日、2021年版の中小企業白書を公表した。
この白書は中小企業庁が毎年公表しているもので、2021年版のテーマは「危機を乗り越え、再び確かな成長軌道へ」。新型コロナウイルス感染症が中小企業に与えた影響を分析し、その実態を明らかにするとともに、経営者の参考になるデータや事例を豊富に紹介している。
実に多岐にわたるデータが紹介されているのだが、中でも注目したいのは「中小企業の財務に対する意識と業績との関係」だ。
リーマンショック以降、中小企業においても財務指標を経営に活用する動きが活発化。
特に近年は、企業規模を問わず自己資本比率を高めることの重要性が叫ばれているが、小規模企業の自己資本比率は2010年を底に上昇に転じ、そこから右肩上がりの状況にある。
もっとも、中央値が17.1%と決して高くはない上、掲載されているのが2019年のデータであることから、コロナ禍の影響が織り込まれていないことに注意が必要だ。
さらに気になるのは、損益分岐点比率。こちらも2019年の数値だが、小規模企業では92.7%、中規模企業では85.1%となっている。
この数値が低いほど、新型コロナ禍のような急激な変化にも強い会社であると言えるが、白書では中小企業の損益分岐点比率が高いことを指摘。
また、損益分岐点比率を定期的に計算・把握している企業では、していない企業に比べて2%ほど良い数値であることも紹介し、財務指標に基づいた経営分析の重要性を説明している。
2021年版の中小企業白書は、新型コロナ禍中に作成・公表されたというだけあって、従来よりも興味深いデータや考察、提言が為されているので、一読してみることをお勧めしたい。
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