日銀の資金循環に見る「投資」のハードルの高さ 利用者数を順調に伸ばすPFMは越えられるか?
家計の現預金残高は上昇の一途をたどっている。追い打ちをかけたのがコロナ禍だ。
日本銀行の「資金循環統計」によれば、2020年3月末に999兆円だったのが、わずか半年後の9月末に1,030兆円を突破。資産形成へのシフトが進むどころかますます貯蓄志向が高まったとも受け取れる。
ただ、決して、意識変容が起きていないわけではない。たとえば年間40万円と少額な「つみたてNISA」の口座数は右肩上がりに伸びている。
金融庁によれば、2019年12月末から2020年6月末までの新規口座開設数は、前年同期比で約1.2倍となった。
ただし、新規口座数は約55万、全体の口座数も約244万程度であり、大きなムーブメントが起きているとは言い難い。ある程度知識も意識も高い層が動いただけに見えてしまう。
そんな閉塞的な状況に風穴を開けようとしている存在が、PFM(個人財務管理)。日本での代表的な存在が、「家計簿アプリ」ともいわれる「マネーフォワード ME」や「マネーツリー」。
前者は、2020年10月に利用者数が1,000万人を突破している。これらは、銀行・カードやポイント、マイルの残高や毎日のお金の出入りを自動で可視化するサービスだが、その効果は意外と大きい。
資産状況が整理されることで、余剰資金がいくらなのか把握でき、投資に振り向けやすくなるのだ。
マネーツリーが15,000人を対象に実施した調査では、約6割が投資をしているという。双方とも投信サービスと連携できることから、投資の推移も常に把握でき、適切にコントロールしている利用者も多い。
今後キャッシュレス化が進んでいくと、このPFMの存在価値はますます高まる。長らく立ちはだかっていた投資・資産形成の厚く高い壁が崩れる可能性もある。そのとき、適切な動きをとれるように個人も企業も準備をしておくべきではないか。
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