バブル崩壊後に増加した「物納」が コロナ禍で改めて脚光を浴びる!?
国の家賃支援給付金に加え、各自治体が独自に家賃補助を行ってきたことから、これまで不動産に対するコロナ禍の影響は小さく抑えられてきた。
しかし、家賃支援給付金の申請受付が2月15日で終了するなど、今後は各種支援策が縮小されることから、不動産への影響は「春以降が本番」という観測もある。このように、今後は広い範囲で地価の下落が見込まれることから、相続税の物納制度が改めて注目されているようだ。
所有する土地の路線価が時価を上回る場合、土地を売って相続税を納めるよりも、土地そのものを物納する方が有利。
そのため、キャッシュの少ない土地オーナーの相続では今後、物納を検討するシーンが増加すると考えられるが、こうした現象はバブル崩壊後の平成4~6年、リーマンショック後の平成20~21年にも起こっている。
バブル崩壊直後の平成4年には、申請件数が前年の約3倍となる12,778件まで増加。その後、平成18年度の税制改正で物納できる財産の基準が厳格化されたことから、平成19年を境に申請件数は激減したものの、リーマンショックが起きたことで翌年には再び倍増した(H19年383件→H20年698件)。
また、近年は景気が緩やかな上昇基調で地価は安定、売却して相続税を納付した方が有利なため、令和元年の申請はわずか61件にとどまっている。
現在、物納制度は厳しく運用されている。12,000件以上の申請があったバブル崩壊当時とは全く別の制度といっても言い過ぎではない。
特に土地については、隣地との境界を確定させ、測量して地積更正を済ませ、地代を見直して契約書も整備する必要があるなど、事前準備なしに行うことは不可能だ。
過去、景気後退期には必ず申請が増加してきた「物納」。今後は、相続税の納税対策のひとつとして意識しておく必要があるだろう。
« 19年度租特、適用件数206万件 最も多いのは「法人税率の特例」 | トップページ | 医療費控除、病気予防等は対象外 「医療費控除の明細書」添付必要 »
「相続・贈与・住宅・小規模宅地」カテゴリの記事
- 暦年課税や精算課税など見直し 生前贈与加算を7年以内に延長(2023.02.01)
- 2021年分相続税の申告状況公表 課税割合15年以降最高の9.3%(2023.01.10)
- 税金徴収漏れ約1億6千万円指摘 46税務署にて徴収不足が72事項(2022.11.15)
- e-Tax利用件数は順調に増加 申告では5.6%増加の約454万件(2022.09.01)
- 電話相談センターの相談557万件 うち所得税が最多の281.8万件(2022.08.23)
« 19年度租特、適用件数206万件 最も多いのは「法人税率の特例」 | トップページ | 医療費控除、病気予防等は対象外 「医療費控除の明細書」添付必要 »
コメント