ジョブ型は果たして定着するのか? “高プロ”の不調が炙り出す雇用の現実
ジョブ型雇用という用語が脚光を浴びている。従来、日本の主流だった人を軸に仕事を割り当てる従来のメンバーシップ型雇用とは逆で、仕事に対し人を割り当てる雇用形態だ。
注目を集めたきっかけは、経団連が毎年1月に春闘の交渉指針として示している「経営労働政策特別委員会報告」で明記したこと。
その背景には、大手企業の危機感が挙げられる。スイスのビジネススクールIMD発表の「世界競争ランキング」で日本企業が1位になったのは1989年。しかし昨年は30位、今年は34位と凋落の一途で、人材の質を高めることは喫緊の課題なのだ。
そして、そもそも専門性を持つ人材が不足している。デジタル化が叫ばれる昨今だがIT人材の不足は顕著。
立て直そうにも、生産年齢人口は年々減少し、数十年にわたって人材を囲い込むメンバーシップ型雇用が不可能な状況に陥っているのだ。そこで、善は急げと大手企業が続々とジョブ型雇用を取り入れているのだ。
一方で気になるニュースもある。厚労省の発表した高度プロフェッショナル制度(高プロ)の導入企業数が、今年9月末現在でわずか22社(適用労働者数は858人)だったのだ。
健康確保措置の実施や過労防止策実施状況の報告が義務付けられるなど、企業にとってはハードルが高いが、時間ではなく労働の質を評価する高プロは、まさにジョブ型雇用。
職種が限られているとはいえ、全国で1,000人に満たないのは、企業側が本気でジョブ型雇用に乗り出していない証ともいえる。
業務内容によっては、メンバーシップ型雇用のほうが向いている場合もあるだろう。しかし、大切なのは、トレンドに左右されず、それぞれの組織に適した手法を随時見直していくことではないだろうか。
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