生保各社が評価軸の中心へシフト いま「ESG投資」が注目されるワケ
環境・社会・企業統治への取り組みを重視するESG投資が改めて脚光を浴びている。
日本生命と第一生命が、すべての資産の投資・融資判断にESG評価を導入すると発表。
また、HSBC投信は、11月17日から個人投資家向けに「HSBC ESG米国株式インデックスファンド」を販売開始。ESG要素を取り入れた米国株式のインデックスファンドは国内初となる。
ESGに対する関心の高まりは、直近のものではない。国連が責任投資原則(PRI)を提唱したのは2006年。2015年にはSDGsが採択され、PRIへの署名機関数が急増。日本でも年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が署名し注目された。
GPIFは2017年から日本株運用にESG指数を導入し、2018年度末までに資産残高を3兆5,000億円に拡大。
2019年12月に経済産業省が発表した調査結果によれば、国内外の機関投資家48社のうち、実に97.9%がESG情報を投資判断に活用していた。
とはいえ、なぜ生保各社はそこまで思い切った方向転換をしたか。
理由はやはり新型コロナウイルスの感染拡大だろう。予測不可能な変化が常態化する世界において重要なのは、持続可能性の追求。環境や社会を良化しようという取り組みをしている企業に投資することはリターンにつながるというわけだ。
HSBC投信の新商品のように、個人投資家がESG投資をすることにも同様の意義深さがある。
1980年代以降、温暖化ガス排出量の70%はわずか100社によるものというデータもあり、投資先企業のESGへの取組をサポートすることは環境や社会の良化につながるからだ。
1人が起こせるアクションには限りがあるが、投資によるレバレッジ効果も期待できる。リターンと社会貢献を同時に実現できる方法として、個人でのESG投資が社会人としてのマナーとなる時代がやってくるかもしれない。
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