ファミリーマートをめぐる動きが急加速! 農林中金の出資から見える伊藤忠の思惑
7月上旬に、ファミリーマート(以下ファミマ)をすでに子会社としている伊藤忠商事(以下伊藤忠)は、TOBを行って完全子会社すると発表した。
伊藤忠の2020年3月期決算は前年比5.3%の減収。ファミマの利益を取り込むことで、その絶対額を増やせる。
この6月に、時価総額と株価では三菱商事を上回って初めて総合商社トップに立っており、経営層は「3冠」に強い意欲を見せているともっぱらだ。
一方、“それだけのため”と思えないのも事実。同時に発表されたJA全農と農林中金の出資。
約570億円で4.9%の株式を取得し、ファミマの店舗を通じて地元の農産物を販売したり、ファミマで扱うコンビニ弁当・惣菜に使う食材を提供したりする。
これは、農林中金にとってもメリットがある。農林中金は、農業融資の少なさから2016年に不要論を突きつけられた屈辱を味わった。新たな「販路」を獲得したうえに、農産物加工品を開発して商品価値を上げる道筋を用意すれば、プレゼンスを取り戻すことができる。
もちろん、この思惑どおりに進む保証はない。しかし4月にファミマは、中国事業における係争に勝訴。一時は暗雲が立ち込めていた事業展開に明るい兆しが見えている。
新型コロナウイルスの発生源とされながら、今では封じ込めに成功。少なくとも伊藤忠は、その人口の多さから「コロナ後」の最大のマーケットになる可能性が高い中国での足場を固めようと考えているのだろう。
それを踏まえると、農協や農林中金と関係の深い農業法人をめぐる投資マネーの動きも今後気になるところだ。
« 10月以降年末調整手続きの電子化 勤務先のメリットを挙げてPR | トップページ | 19年度物納申請は61件で大幅減 ピーク時92年度の0.01%まで減少 »
「農業へ進出」カテゴリの記事
- ファミリーマートをめぐる動きが急加速! 農林中金の出資から見える伊藤忠の思惑(2020.08.09)
- あえて“匠の技”ではなく“汎用性”を追求!ファイナンス会社がいちご生産に取組むワケ(2018.01.13)
- 被災地の経営課題は全国共通課題~地域再生のカギを握る“協力隊”~(2015.05.01)
- 商社・地銀、環境激変で農業へ進出~活性化が期待できる攻めへの転進(2011.03.01)
「市場創出・就職・人材」カテゴリの記事
- テレワークの導入費用に注意! 「支給」、「貸与」で異なる課税(2021.01.18)
- コロナ禍で「地域」「レジリエンス」がキーワードに スマートシティに向けた自治体の取り組みに商機?(2021.01.18)
- 三井住友FGが広告事業に進出する背景とは? 金融がマーケティング界の覇権を握る可能性も(2021.01.09)
- ポルシェが体験型施設の開設を発表! あえて今フィジカルな接点を求めるワケは?(2020.12.03)
- コロナ時代は健康経営もオンラインへシフト メンタルからフィットネス、がん教育まで(2020.11.26)
「プライベートブランド(PB)」カテゴリの記事
- ファミリーマートをめぐる動きが急加速! 農林中金の出資から見える伊藤忠の思惑(2020.08.09)
- 新型コロナ禍の今こそ社内強化のチャンス! 多彩な効果が期待できる「インナーブランディング」(2020.04.14)
- ニコン、衝撃の純利益前年度比50%減 斜陽を迎えたカメラ産業が打つ次の一手は?(2019.09.25)
- 過去最高益 キッコーマンの意外な利益構成 右肩上がりの成長を支えるビジネスモデル(2019.05.09)
- 店舗運営に必要なマーケティング視点とは? 「香り」に対する考察を深めて他との差別化を図る!(2019.03.25)
「株式・投資」カテゴリの記事
- Kyashが大注目を浴びた年利1%の「残高利息」 急遽提供中止の理由に見るフィンテックの現在地(2020.12.26)
- 生保各社が評価軸の中心へシフト いま「ESG投資」が注目されるワケ(2020.11.26)
- 最大手の預かり資産は3,000億円を突破! 提携金融機関も急増する「ロボアド」の可能性(2020.10.29)
- 「DX銘柄」から見えた新・東証一部の方向性 デジタル技術活用よりも重視された評価軸と(2020.10.02)
- 「紙の通帳」有料化に見る銀行の凋落 フィンテックに駆逐される日は近い?(2020.09.04)
「事業承継」カテゴリの記事
- 19年度物納申請は61件で大幅減 ピーク時92年度の0.01%まで減少(2020.08.09)
- ファミリーマートをめぐる動きが急加速! 農林中金の出資から見える伊藤忠の思惑(2020.08.09)
- 特定同族会社事業用宅地等の特例 青空駐車場や資材置場は適用せず(2019.12.04)
« 10月以降年末調整手続きの電子化 勤務先のメリットを挙げてPR | トップページ | 19年度物納申請は61件で大幅減 ピーク時92年度の0.01%まで減少 »
コメント