7割近くまで迫る日本企業の後継者不在率 事業承継サービスが活発化
帝国データバンクによれば、2018年10月時点での日本企業の後継者不在率は66.4%。前年から1.5ポイント上昇した。また、後継候補の選定が済んでいる企業の約4割が「同族承継」。子どもなどの身内に頼らざるを得ないのが現状だ。
実際、後継者不在によって黒字廃業する企業は非常に増えている。例えば「痛くない注射針」で知られ、「現代の名工」にも選ばれた岡野工業の廃業が大きなニュースになった。
中小企業庁の試算によれば、黒字廃業によるGDP喪失額は今後10年間で22兆円にのぼる見込みだ。
こうした現状を受け、事業承継をサポートするサービスが続々登場している。
ポッカ社のMBOなどを手がけたアドバンテッジパートナーズは、全国の地場産品メーカー等を対象とした投資枠を設けた。
あおぞら銀行と日本アジア投資が共同設立したAJキャピタルは、出資者である地銀7行の顧客企業への支援、経営人材や協業先の紹介などを行っている。
また、中小企業向け保険のエヌエヌ生命保険は、経営者死亡後の後継者支援サービスを開始。事業承継に関して相談相手がいない企業向けに、税理士などの第三者によるセカンドオピニオンサービスの提供や、後継者の声をオンラインで公開する「後継者コミュニティ」を展開している。
人口減少社会となった日本において、さらに深刻化する後継者問題。これらのサービス活用も視野に入れ、早めの対策を講じていく必要がある。