残高8兆円超と成長を続ける「ラップ口座」 割高な手数料でも人気を集める理由は?
金融機関に運用を一任する「ラップ口座」の契約数が増え続けている。
日本投資顧問業協会によれば、今年6月末時点で残高は初めて8兆円を超えた。契約件数も右肩上がりに伸びており、約76万件と過去最高を更新している。
運用を一任するという性格上、「ラップ口座」の手数料は割高だ。運用成績の如何にかかわらず、一定のコストがかかる。
たとえば三井住友銀行や野村證券などでは年間に約30万円程度必要であり、金融機関側にとっては“おいしい”商品だといえる。
それでも売れているのは、投資にかかわる面倒な手続きや分析を敬遠する層が、高齢者を中心に存在しているからだ。
そこに着目した金融機関側は、相続対策を組み込んだラップサービスを急激に展開している。
たとえば大和証券は、運用資産から生前贈与できる仕組みを導入。野村證券は、相続時に換金する必要のない信託の仕組みを組み込んだ「ラップ信託」の提供を開始している。
信託のまま相続すれば、そのまま相続人が運用を継続することも見込めるというわけだ。
見落としがちだが、日本の個人金融資産の大半を所有しているのは高齢者である。
60歳以上世帯の平均貯蓄額は2,000万円以上といわれており、「塩漬けにするよりは、多少手数料がかかっても増やしたい」と考える人もいるだろう。
ただ老後資金として堅実な資産運用を目指すならば、「金融機関任せ」のサービスへの依存は危険ではないだろうか。その点で投資家教育も今後の課題だ。
« 「人材を選ぶ」時代から「企業が選ばれる」時代へ “募集要項のない中途採用”を開始した企業も | トップページ | 自筆証書遺言の利便性が格段に向上 相続法改正で方式緩和と保管制度が創設 »
「市場創出・就職・人材」カテゴリの記事
- 新規学卒就職者の3年以内離職率 大学卒が32%、高校卒が37%に(2023.11.16)
- 事業承継、後継者が決定は26% 高齢の経営者でも後継未定も…(2023.11.08)
- 新入社員の理想の上司・先輩は「丁寧に指導する人」が約8割(2023.10.11)
- 国税庁定員、1191人の増員要求 8年連続となる差引純増は51人(2023.09.29)
- 23年大企業の夏季賞与1.59%増 2年連続での80万円台の水準に(2023.09.15)
「相続・贈与・住宅・小規模宅地」カテゴリの記事
- 事業承継、後継者が決定は26% 高齢の経営者でも後継未定も…(2023.11.08)
- 「タワマン節税」抑止の通達公表 新算定ルールは来年1月から適用(2023.11.03)
- 社長が住む街トップは「港区赤坂」 東京都港区の6.6人に1人が社長(2023.10.31)
- AIが自動回答、チャットボット 10月から年末調整の相談を開始(2023.10.25)
- 2023年基準地価、2年連続上昇 地方圏の住宅地31年ぶりに上昇(2023.10.06)
「株式・投資」カテゴリの記事
- iDeCoの加入者が300万人を突破! 来年は拠出限度額の引上げも予定(2023.09.25)
- タワマン節税抑止の通達案公表 従来の評価額に評価乖離率で補正(2023.09.01)
- 「タワマン節税」防止に見直し案 実勢価格の60%へ評価額を引上げ(2023.08.16)
- TOB成立後上場廃止での株式 譲渡所得の申告漏れが目立つ(2023.08.02)
- 23年度税制改正法案が可決成立 NISAの抜本的拡充・恒久化(2023.04.26)
« 「人材を選ぶ」時代から「企業が選ばれる」時代へ “募集要項のない中途採用”を開始した企業も | トップページ | 自筆証書遺言の利便性が格段に向上 相続法改正で方式緩和と保管制度が創設 »
コメント