ユーチューバーの暴走で注目度アップ VALUでの資産運用は可能なのか?
5月末にベータ版がリリースされたVALU。個人が上場企業のように「VA」と呼ばれる疑似株式を発行することで資金調達できるサービスで、にわかに注目を集めている。
ただし、ベータ版ということで先行きが不安視されていた。その不安が表面化したのが、人気ユーチューバー「ヒカル」らが起こした騒動だ。
詳細には触れないが、インサイダー取引が可能など、仕組みの脆弱性が明らかとなっている。では、脆弱な仕組みを改良すれば、VALUは信頼できるサービスとなるだろうか。
結論から記すと、資産運用の対象とはならないだろう。VALUは現在の設計では金融商品になりえないからだ。株取引と似ているが、決定的な違いは、投資側にリターンする仕組みがないこと。
株式の場合、投資側は配当を受けることができ、企業の資産に対する請求権も所有するが、VALUの場合は何もない。
優待の提供は可能だが、義務ではないため「VA」発行者側はノーリスクハイリターン。優待を受けられないクラウドファンディングと捉えるとわかりやすい。
では「VA」を発行すれば資産形成できるかといえば、簡単ではない。「VA」の“時価総額”は、SNS等のフレンド数・フォロワー数によって決まるからだ。
つまり、知名度がなければバリューを得ることは不可能なのである。確かに画期的なサービスではあるが、現段階では個人の価値を数値化するプラットフォームと考え、今後の推移を見守るべきだろう。