将来、介護のために必要な貯蓄額とは 夫婦で訪問・通所の場合1835万円
経済産業省から「将来の介護需要に即した介護サービス提供に関する研究会」の報告書が公開されている。
この報告書は、生産性や効率性といった労働科学的アプローチから介護問題を分析したもので、その内容はすべて数値に基づく。全体を通して介護事業者側の視点に立つが、長寿命化によるリスク対策として、一人ひとりが生涯設計ビジョンを立てることの必要性を啓蒙している。
報告書では、十分な介護を受けるために必要な貯蓄額をケースごとに試算。具体的には、単身か夫婦か、性別、65歳時点での平均余命、要介護認定期間、要介護の程度などの基本属性を仮定し、通所・訪問介護を主とするのか、施設に入るのかといった介護サービスの受給類型を組み合わせている。
例えば、単身の男性高齢者で訪問・通所介護を受ける場合、65歳から平均寿命までの収入と支出の差額は▲219万円で、「貯蓄等に頼る必要がある」とした。また、夫婦で訪問・通所介護のケースでは差額が▲1835万円となり、これだけの経済的余裕がある人は多くないだろう。
報告書では資産形成の在り方を問うが名案は出ておらず、「健康寿命を延ばす工夫が欠かせない」と、厚生労働省と同じ結論で締めている。健康寿命と平均寿命の差は、男性で9年、女性では12年以上。その期間、健康でいられるか、それとも介護が必要な状態となるかは分からない。各々で長寿命化リスクに備える必要があるだろう。
« マイナンバー対応のための費用 ソフトウェアの買換えは資本的支出 | トップページ | 個人住民税の特別徴収徹底へ本腰 特別徴収義務者の指定を実施する構え »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 外国人建設技術者の採用・定着に向けて 国交省 中小企業向けの手引を公表(2025.05.02)
- 人口の自然減が過去最大を更新 ▲84万8728人 少子化加速(2025.04.08)
- 内閣府調査 今後3年間の設備投資 企業の75.8%が増加を計画(2025.04.04)
- 家庭生活での男女の平等感 およそ6割が「男性優遇」を実感(2025.03.26)
- 2024年の出生数は約72万で過去最低 自然増減数の減少幅も過去最大を記録(2025.03.21)
「地域・伝統」カテゴリの記事
- 業績回復には個人消費が鍵 人手不足・物価高が重荷に(2025.05.12)
- 外国人建設技術者の採用・定着に向けて 国交省 中小企業向けの手引を公表(2025.05.02)
- 人口の自然減が過去最大を更新 ▲84万8728人 少子化加速(2025.04.08)
- 内閣府調査 今後3年間の設備投資 企業の75.8%が増加を計画(2025.04.04)
- 物価高などに苦しむ企業を支援する 政府の新しい保証制度がスタート(2025.03.31)
「法律」カテゴリの記事
- 事業承継税制の役員就任要件「3年」から「贈与の直前」へ改正(2025.02.13)
- 法人税率の中小特例が見直し 年間所得10億円超は「税率17%」に(2025.01.27)
- 暗号資産取引に対する課税 分離課税の“対象入り”は暗礁に!?(2025.01.14)
- 与野党の意見が一致し改正が現実味 「富裕層に対する金融所得課税強化」(2024.11.12)
- 2023年度の査察、151件を摘発 検察庁に66.9%の101件を告発(2024.07.26)
「健康」カテゴリの記事
- 全労働者に占める若年労働者割合 5年前に比べて3.6ポイント低下(2024.11.05)
- 「脱炭素」の言葉の認知9割超も 脱炭素社会への実際の行動は3割(2024.04.17)
- 全国の雇用型テレワーカー24.8% ハイブリッドワークが拡大傾向に(2024.04.15)
- 精神障害の労災申請は過去最多 前年度に比べ337人多い2683人(2023.08.09)
- 2022年労災死傷者数は約13万人 うち死亡者数は774人で過去最少(2023.06.26)
「景気・世論・日本人」カテゴリの記事
- 企業数・営業収入・法人税が過去最高 国税庁 令和5年度会社標本調査(2025.05.22)
- 労働力調査 失業率改善・就業者増 女性と高齢者の就業が拡大(2025.05.20)
- 2025年版中小企業白書が公表 金利上昇の影響を試算したコラムが話題(2025.05.14)
- 業績回復には個人消費が鍵 人手不足・物価高が重荷に(2025.05.12)
- コンプラ違反倒産が379件で過去最高 業種別では「サービス業」が最多(2025.05.07)
「生き方 社会」カテゴリの記事
- 企業数・営業収入・法人税が過去最高 国税庁 令和5年度会社標本調査(2025.05.22)
- 労働力調査 失業率改善・就業者増 女性と高齢者の就業が拡大(2025.05.20)
- 業績回復には個人消費が鍵 人手不足・物価高が重荷に(2025.05.12)
- 内閣府調査 今後3年間の設備投資 企業の75.8%が増加を計画(2025.04.04)
- 家庭生活での男女の平等感 およそ6割が「男性優遇」を実感(2025.03.26)
「若年層・シニア層」カテゴリの記事
- 人口の自然減が過去最大を更新 ▲84万8728人 少子化加速(2025.04.08)
- 令和7年度税制改正大綱が公表 基礎控除は「10万円引き上げ」(2025.01.22)
- 全労働者に占める若年労働者割合 5年前に比べて3.6ポイント低下(2024.11.05)
- 正社員に占める女性割合27.3% 係長以上の女性管理職割合15.1%(2024.09.05)
- 「特定一般教育訓練」の指定講座 新規指定146講座で計707講座に(2024.03.08)
「家計」カテゴリの記事
- 労働力調査 失業率改善・就業者増 女性と高齢者の就業が拡大(2025.05.20)
- 人手不足倒産、過去最多を更新 建設・物流業を中心に深刻化(2025.04.25)
- 家庭生活での男女の平等感 およそ6割が「男性優遇」を実感(2025.03.26)
- 「特定一般教育訓練」の指定講座 新規指定231講座で計1,016講座に(2025.03.14)
- 中小企業の57.7%で正社員が不足 運送業、建設業では人手不足感が顕著に(2025.03.10)
« マイナンバー対応のための費用 ソフトウェアの買換えは資本的支出 | トップページ | 個人住民税の特別徴収徹底へ本腰 特別徴収義務者の指定を実施する構え »
コメント