老舗の国分、全方位的な取引を死守 ~社歴300年、丸紅と包括的な協業へ~
東京日本橋の食品卸大手の国分といえば老舗中の老舗。1712年(正徳2年)創業の独立系でこれまで同業他社のような業務提携がなかった。それだけ代表的な卸業の大店(おおだな)だ。足元の日本橋・京橋地区再生にも欠かせないリーダーの一人でもある。
その国分が2015年6月をめどに丸紅と包括的資本・業務提携し初めて協業すると発表した。売上でみるとトップの三菱商事、伊藤忠の食品2グループに続く国分・丸紅グループは2兆円に届く。「2兆円クラブ」という勲章も金メダル並みに大きな意味を持つのだ。ここにきてのグループ化の理由には卸大手ならずとも、企業成長を阻む壁がそびえる。業界再編による競争激化、国内市場縮小、原料価格・燃料費高騰、PB(プライベートブランド)を持つ大手小売企業の台頭と納入価格下げ、または問屋抜きのメーカー直取引、それに食品卸業には収益性が低い宿命があった。国分には新市場開拓が21世紀の命題となっていた。
この危機からの脱出に丸紅を「最良のパートナー」に求めた、または丸紅が打診した。しかも丸紅には冷・凍冷蔵・菓子を得意とし、国分の不足を埋める。さらに丸紅には大手小売2強との資本関係がない、という「良縁」だった。これまでの全方位取引も死守できる…こうして国分は4年連続減益の崖っぷちから立ち直る強力な布陣で新たな時代の幕開けを迎える。
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