限定正社員という中間制度は過渡期? ~「解雇ルール見直し」案に波紋広がる~
今、なぜ解雇ルールの見直しが必要なのだろうか。労働法的にも難解な課題の一つだ。正規雇用と非正規雇用の推移を見ると、2000年から非正規雇用の割合が増え、2010年には35%近くが非正規雇用になった。両者の中間にあたる限定正社員制度は、政府の調査によると50%以上で取り入れられている。
政府の目論みは非正規労働者を限定正社員にシフトさせ、安定した仕事に就けるような労働市場を描くが、当然、労使の利害が相反する。
まず会社側は採用条件も限定して、正社員に準ずる「解雇しやすい正社員」扱いなのか。一方、限定正社員は、子育てや介護、転職などの目的に応じて、ある程度自由な働き方を選べる、WLB(ワークライフバランス)を目指すメリットを優先させたいのか、など働き方の多様化が「中間的雇用制度」を生んだともいえる。
しかし今の論調は、限定正社員問題は「解雇しやすい立場」へ追い込む影の部分が本音か、それとも同会議の経営者側委員が提案している正社員となる「雇用維持型」から徐々に「労働移動型」へシフトするルール転換を断行したがっているのか、解雇ルールの見直し案が波紋を広げているのだ。
これまでタブー視してきた解雇規制4要件などというキツイ単語が急浮上するのは日本型雇用形態の過渡期を意味し、解雇の仕組みの見直しなど、答えは来年度にも出る勢いだ。