消費税の逆進性対策への論点整理 ~「複数税率」の導入には否定的~
民主党が取りまとめた「消費税の逆進性対策に係る論点整理」によると、税額控除を基本として、控除額が所得税額を上回る場合には、控除しきれない額を現金で支給する給付付き税額控除は相対的に低所得者に有利な制度であり、逆進性対策としても有効に機能し得る、また、裁量の余地が小さく、再分配重点化の側面が強く、複数税率が抱えるような問題を生じにくいと評価している。
制度導入に伴う論点として、利子所得、事業所得、預金残高等については、マイナンバー導入後であっても必ずしも把握できないことから、所得等の総合把握に向けた検討が必要なことなどを掲げている。
一方、食料品等一定の品目を対象に税率を軽減する制度である「複数税率」は、一見、逆進性対策として単純で効果的に感じられるため、一般的な理解が得られやすいと思われるが、仮に食料品を軽減対象にしたとしても、かえって高額所得者ほど負担軽減額が大きくなり、逆進性対策としての効果には議論の余地がある、として疑問を呈している。
複数税率は自民・公明両党の要望を受け入れ検討項目としたが、民主党はやはり否定的である。
さらに、制度設計上の論点として、(1)軽減税率の適用範囲の合理的な設定が課題となる、(2)インボイスの導入が必要となり、事業者の事務負担の増加や、インボイスを発行できない免税事業者が取引から排除される懸念にどう対処するか、などの問題点を指摘している。
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