事業者免税点要件の厳格化に注意 判定要素の「特定期間」は上半期
現行の事業者免税点制度は、前々年(個人)または前々事業年度(法人)の課税売上高が1千万円以下の事業者についてはその課税期間の課税資産の譲渡等について、消費税を納める義務が免除されている。
現行制度では、当期の扱いは前々期の課税売上高のみで判定することから、前期に売上が急増しても、課税事業者となるのは翌期からとなる。
こうした点を悪用した消費税の脱税事例が見受けられることから、2011年度税制改正において、課税売上高が1千万円を超えることが期の途中で明らかになった場合には、その翌期から課税事業者となるよう要件を厳格化する方向で見直された。
具体的には、個人事業者のその年分や法人のその事業年度の基準期間の課税売上高が1千万円以下である場合で、
その個人事業者や法人のうち、個人事業者のその年分や法人のその事業年度に係る「特定期間」における課税売上高が1千万円を超えるときは、個人事業者のその年分または法人のその事業年度については、事業者免税点制度を適用しないこととされた。
「特定期間」とは、(1)個人事業者のその年の前年1月1日から6月30日までの期間、(2)法人のその事業年度の前事業年度がある法人のその前事業年度開始の日以後6月の期間、などだ。
この改正は、2012年10月1日以後に開始する個人事業者のその年や法人のその事業年度について適用する。判定要素となる「特定期間」が上半期であることから、上半期に売上が高い業種は、事業年度の変更も検討課題となりそうだ。
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