震災後の中小企業経営の影響度調査
商工中金が今年10月にまとめた「震災後の中小企業経営に関する調査」(震災影響度調査・有効回答数4,569社)は、質問項目やサンプル数も多く、精度の高い結果を提供している。中小企業が、震災の経験から得た教訓を、今後の経営方針にどのように反映させていくかに注目したい。
売上高が「減少した」と回答した企業は34.3%、「一旦減少後、現在は震災前の水準に」(13.2%)を含めると5割近い企業が売上減少を経験した。「震災の影響は軽微で変化は小さい」は約4割、「増加した」または「一旦増加後、現在は震災前の水準に」と回答した企業は、約1割にとどまった。
経常利益への影響をみると「減少した」が35.9%を占め、「一旦減少後、現在は震災前の水準に」(10.1%)を含めると、5割近くの企業が経常利益の減少を経験していることがわかる。「震災の影響は軽微で変化は小さい」は44.0%。特に影響を受けた業種は輸送機器、飲食店、宿泊で、7割以上の企業が売上減を記録した。
仕入価格への影響は「上昇した」が26.7%で、「下落した」の2.4%を大きく上回った。一時的な影響については「一旦上昇後、現在は震災前の水準に」が6.5%。「一旦下落後、現在は震災前の水準に」は1.6%。「震災の影響は軽微で変化は小さい」は62.9%となった。
このような影響をふまえ、製造業は今後、リスク管理強化・リスク回避のため、国内拠点の統廃合や海外移転を加速させると見られる。
« 事業者免税点制度の見直しを要請 | トップページ | 相続は「生前の準備」が重要 相談相手は税理士や弁護士 »
「震災・災害」カテゴリの記事
- コロナ禍で「地域」「レジリエンス」がキーワードに スマートシティに向けた自治体の取り組みに商機?(2021.01.18)
- 19年分所得税等の確定申告状況 納税額は5年ぶり減少の3.2兆円(2020.07.28)
- 賃貸物件の賃料減額は原則寄附金 一定条件を満たせば損金算入可能(2020.05.02)
- 自転車通勤のメリットと、労働生産性の向上やメンタルケア(2020.05.02)
- 新型コロナ、法人の取扱いを案内 個別指定による期限延長手続き等(2020.05.02)
「中小企業」カテゴリの記事
- 2021年度税制改正関連法が成立 住宅ローン控除の特例の延長など(2021.04.09)
- 改正高年齢雇用安定法が4月1日に施行 福利厚生やマネジメントの充実が必須に(2021.04.09)
- 事業再構築補助金 補助率の高い 「緊急事態宣言特別枠」が新たに追加(2021.03.05)
- 2019事務年度の法人税調査事績 申告漏れ所得総額7802億円把握(2020.12.10)
- 19年分民間平均給与は436万円 前年比▲1.0%と7年ぶりの減少(2020.10.09)
「被災、申告」カテゴリの記事
- 新型コロナ、事業所の納税1年猶予 個別の事情がある場合にも納税猶予(2020.03.26)
- 台風第19号の被害者への救済策 申告・申請・納付等の期限を延長(2019.11.13)
- 青色事業専従者給与の特例とは 勤務実態と金額の妥当性に注意!(2017.09.14)
- 確定申告の内容の再チェックを! 過少申告・無申告加算税の取扱い(2017.04.12)
- 法人の黒字申告割合は5年連続増加 申告所得金額は過去最高の61.5兆円(2016.10.18)
コメント