印刷業、構造変化へ待ったなし 地域の印刷会社の新たな可能性
印刷業界の大量印刷という生産モデルは、IT技術の進化で、印刷の情報伝達ツールとしての独占的地位を失おうとしている。
印刷業は山の形に似て、頂上に発注者(出版、広告業、その他の企業)がいて印刷を受注し、用紙確保、印刷・製版等の手動と電子処理、製本、配送と産業の裾野が広がる。「下請け」構造は過当競争と価格競争から脱却しきれず、そこへITによる技術革命で先行投資を余儀なくされてきた。
現在、新聞を除いた業界規模は4兆円、大日本と凸版印刷2社で約80%のシェアを握る。全体の伸び率は07年頃からマイナスで不況産業に指定される。
多くは「出版・広告業不況」など不景気を理由に挙げるが、自力によるマーケティング力不足で構造変化への対応策を打てずにいるのが本音であろう。実際、液晶カラーフィルタ、ICカードなどデジタルプリンティングで収益モデルを確立した例は一部だけである。
そんな中、日本印刷技術協会は照準を「地域」に合わせる。産学官連携によるフリーマガジンの発行、動画を活用した海外観光客の誘客、地域通貨の導入と運営、ご当地キャラクターの創造、地域ブランディング等、印刷物制作を通して培ったメディア制作のノウハウとネットワークの新しい活用法を訴えている。
地域に根ざす印刷会社の奮起こそ、地域活性化の起爆剤となりうるというのだ。地域ブランディングという切り口には目新しさを感じるが、新たな事業領域の開拓・開発へ資力傾注が急務である。
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